月に舞う桜
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2010年02月28日(日) |
ToshI LAST CONCERT<5> |
ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI の最後。
YOSHIKI「このメンバーが揃ってるとさ、ついついXJAPANと勘違いしちゃって、あれ? 今日は薔薇がないの? って」 ToshI「『薔薇がないよ、用意して!』『YOSHIKIさんのコンサートじゃないです』 ってね」
それから、ToshIがまた客席に向かって水を撒いた。 客席で振られているhideちゃん人形に、YOSHIKIが気づいて、
YOSHIKI「あ、hideも来てるんだね」
って言った。私も、腕に抱いていたhideを高く持ち上げた。
YOSHIKI「ToshI、もう1曲行くの?」 ToshI「いいですよ」 客席「暴れてー!」 YOSHIKI「だから、暴れるコンサートじゃないって。暴れられる体でもないし。さっき言ったじゃん、徐々にって。ロスかなんかでウォームアップコンサートでもやろうかな」 ToshI「言っちゃっていいの?」 YOSHIKI「言ったって、どうせ信じないから」 ToshI「ロスでやるより、日本でやれって言われちゃうよ。お前らがロスに来いよ、オイ!」
そ、そんな、脅すように低い声で言われても、私はロスへは行きませんよ? い、行かないもんねーだ。
YOSHIKI「元々みんなロスに住んでたんだよね。気づいたら俺だけになっちゃったんだよ。そう言えば、SUGIZOもよくロスに行くよね。ま、大人の事情があるんだけど」
会話が途切れ、じっと顔を見合わせるToshIとYOSHIKI。
ToshI「煮詰まったね」 YOSHIKI「全然煮詰まってないよ」 ToshI「煮詰まってないか」 YOSHIKI「じゃあ、ToshIから最後に一言」 ToshI「はい。今日は本当にみんな集まってくれて、どうもありがとう。僕は本当に、最高の友たちに囲まれて、幸せだなと思います。ありがとう。世界一のと言うんでしょうか、ここまで本当に熱く熱く、深く深く応援してくれるみんなに感謝します。本当にありがとう。自分としてはここで区切りをつけて、新たなスタートを切れたこと、本当に嬉しく、心強く思います。これから、残された人生……」
ここで、客席からいっせいに「えーー!!」という声が上がった。 「残された人生」なんてこと、そんな静かな口調で言わないでよ、ToshIくん。
ToshI「まあ、まだまだ、あと50年という人生……」
50年! すごいね、あと50年も生きたら94歳だね。私、それまで生きてないかも……。 でも、ToshIくんは、ずっとずっと歌っていて。
ToshI「じじいになっても、歌っていくぜー!! ちょっとハイトーンは無理だぜ。……Standing Sexも無理だぜ」
だんだん声が小さくなるToshIくん。 Standing Sexは無理なのかあ。じゃ、今のうちに歌っておいてもらわないと! ステージ後方へ歩きかけたToshIは、ふと振り返って付け足した。
ToshI「変な意味じゃなくてだぜ?」
これには客席もYOSHIKIも大ウケ。 分かってます。変な意味じゃないのは重々承知でございます。
ToshI「ということで、最後は、運命共同体のお前たちとー! 有終の美を飾るぜーー!! 行くぜーー!!」
そして、YOSHIKIのピアノによるENDLESS RAINの前奏が始まった。 いつものように、みんなで大合唱。 曲の後半、節約のために今回は却下されたのだと思っていたミラーボールが、ステージの天井から下りてきた。それは、赤坂BLITZという会場で使うにしては大きなミラーボールで、とても美しく輝いていた。まるで、ToshIやXのほかのメンバーや私たちを照らす太陽みたいだった。
ToshIもYOSHIKIも、みんなが嬉しそうだった。 サビのリピートはいつもより短めだったけれど、心はとても幸福に満たされて、温かくなっていた。
ToshI「また会おうぜーーーっ!!!」
ToshIが叫んで、5人がステージの前方に並び、万歳。 私は、万歳の代わりに膝の上のhideを高い高いした。 ToshIがメンバーひとりひとりと抱き合い、4人はステージを去った。 ステージにひとり残ったToshIは、私たちに向かって深くお辞儀した。とても長い長いお辞儀だった。それから、名残惜しそうに何度も手を振ってくれた。
ToshIがステージから姿を消しても、「本日のコンサートはこれにて終了です」というアナウンスが流れても、私たちはその場を動くことができずにいた。 ToshIがステージの奥に消えた方を見つめながら、SEで流れているSay Anythingをみんなで歌った。私は、溢れる涙が流れ落ちてhideの髪を濡らさないようにと、大きな声で歌った。
ドラムがなくて、アコースティックなライブ。ドームでやるような派手さはない。 だけど、今まで観たどんなライブよりも温かくて、メンバーの愛情溢れるライブだった。みんな本当にToshIを愛していて、いざとなったらいつだって駆け付けてくれるんだ。固い絆、なんて心強いことだろうか。 こんなに素晴らしく素敵な時間を共有できたこと、この場所にいられたことを、心から感謝している。ToshIに、YOSHIKIに、PATAに、HEATHに、SUGIZOに、hideに、そして何より、チケットを譲って下さった方に。
2010年02月27日(土) |
ToshI LAST CONCERT<4> |
ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI の続きの続きの続き。
ToshI「俺はやりたいんだけど、YOSHIKIが『話そう話そう』って」 YOSHIKI「さっきの曲の、まだ緊張が取れないんだよね」
えつ、どんだけ緊張しとったん??
ToshI「もう、取れた?」 YOSHIKI「だって俺、基本的に突っ込みぎみだから」 ToshI「ゆったり弾くの、ダメなんだよね」 YOSHIKI「ダメじゃないけど」 ToshI「ダメじゃないダメじゃない、ダメじゃねーよ! 何でも弾けるんだよ」 YOSHIKI「だから、さっきの曲とかも葛藤があって、突っ込んじゃいけない。でも、片っ方のYOSHIKIが『突っ込め!』って。闘いながら弾いてたんだよ。闘いながら、感動しながら」
そっか。YOSHIKIも、雨音に感動していたんだ。
SUGIZO「いい曲ですよね」 ToshI「PATA、こうやって言うんだよ?」 PATA「考えとく」 SUGIZO「みんな知らないかもしれないけど、ものすごい緊張するんだよ、こういうほうが。大きいとこで、みんなの前でバン! とやってると平気なんだけど」 ToshI「ということは、東京ドームなんて全然へっちゃら?」 SUGIZO「緊張はしないよ、全然。だけど、静か〜なところで……」 ToshI「ちょっと待って。東京ドームで緊張してる人って、いるの? HEATHは緊張してるの?」
ひーちゃん、コクコクと頷く。
ToshI「あ、緊張してるんだ。ちゃんとHEATHみたいに緊張しようよ、みんな。PATA、酒飲んでる場合じゃないんだよ。酒飲むところじゃねーんだよ」 PATA「いや、それもアリなんだよ。野球観戦は800円でビール飲めるんだから」 YOSHIKI「最初の東京ドームのとき、キャッチボールやってなかった?」 SUGIZO「しかもそれ、発売されてましたよね、映像で」
はーい、持ってまーす!
YOSHIKI「東京ドームの意味分かってんのかよ」 PATA「野球やるところでしょ」 YOSHIKI「今日もさっき、そろそろ出番ですって言われて行こうと思って、東京ドームって、出番ですよって言われてからステージ行くまで10分くらいかかるんだよね。ここ、30秒ぐらいで着いちゃう」 ToshI「僕、YOSHIKI待たせてました」 YOSHIKI「プロデューサーなんで、今日は待ちます。じゃ、曲やりますか」 ToshI「え、もう? YOSHIKI、何か……」 客席「もっと話してー」 ToshI「東京ドームの話が出ましたけど、どうなんですか今後」 YOSHIKI「えーと、そうですね。だから、(ToshIが)声が出なくなったり、(自分が)ドラム叩けなくなったり、いろいろあったんで徐々にね、こういうところから入って行かないと」 ToshI「こういうとこから?」 YOSHIKI「いきなりさ、ドカーンと行くからいけないんだよ」 ToshI「徐々にね」 客席「大阪も来てー!!」 YOSHIKI「行きたいよね。え? 良いとこなのは知ってるよ。おいしいもので釣らないで。俺たち、おいしいもので釣られるんだよね。お好み焼き食べに行っちゃうよ」
そのあと、客席から「名古屋も!」「仙台!」「新潟ー!!」と次々と地名が叫ばれた。 全国レベルで考えたら東京も横浜も同じだろうと思って、「横浜!!」とは叫ばずにいた。 が、「埼玉!」という声がしたんである。全国レベルなら埼玉も東京と同じようなものなのに、なんという度胸! ちっ、私も叫べばよかった。負けたぜ。
YOSHIKI「新潟はコシヒカリだっけ?……だんだん今日のコンサートの趣旨が分からなくなってきた」 ToshI「さよならコンサート」 YOSHIKI「さよならと言うのは、次の扉の始まりということで」
客席から、「おおー」という声と、拍手が起こった。 さすがYOSHIKI、うまくまとめてくれるね。
YOSHIKI「曲やろうよ」 ToshI「はい。じゃあ、みんなでこの曲一緒にやるぜー」 YOSHIKI「本当に今日はToshIのためと言うか、みんな集まってくれてありがとう。えっと、そうですね……(ToshIに向かって)また一緒に頑張って行こうね」
ToshIが、力強く頷いた。 そして、Forever Love。 ときどき、声が出ていなかった。声が枯れ始めていたせいもあるし、感極まったのもあるのだろう。 声がかすれたときは、私たちがみんなで歌って加勢した。 この曲のレコーディングのとき、ToshIはすごく悩んでいたのだろうと思う。97年のラストライブでは、この曲でYOSHIKIと抱き合った。二人とも、泣いていた。 いま、YOSHIKIと抱き合うとしても、二人が泣くとしても、あのときとは全く意味が違う。なんて奇跡なんだろう。
ToshI「どうもありがとよーーーっ!!!」
曲が終って、ToshIが叫んだ。力の限りという感じだった。
(次が最後)
2010年02月26日(金) |
ToshI LAST CONCERT<3> |
ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI の続きの続き。
アンコール。 衣装替えしたToshIが登場。大きな襟のついた白い上着は、コートみたいに腰のところをベルトで締めている。手には、黒い革手袋。
ToshI「みんな、ありがとよーー!! みんな、メンバーの名前を呼んでやってくれ!!」
ToshIに迎えられて、4人も登場。
YOSHIKI「揃いましたね、メンバーが」 ToshI「XJAPANが揃ったぜー!」 YOSHIKI「ってことは、Xやれってこと?」 ToshI「一応そのように聞いて、この間のプロモーションビデオの衣装を着て来たんだけど、俺だけ?」
あぁ、PVの衣装なのか。早く観たいなあ、PV。
ToshI「俺だけ?……俺のコンサートなんだよ!!」
そんな、重低音で言わんでも。分かってますがな。4人は「所詮バックバンド」なんだよね(笑)?
YOSHIKI「知ってる? 最近の俺のあだ名。伝書鳩」 ToshI「みんな、伝書鳩って呼んでくれ」 YOSHIKI「やだよ」 ToshI「これからは『YOSHIKIさんへ(ハート)』とか書くなよ。伝書鳩さんへ(ぽっぽ)」
ぽっぽ! かわいすぎるぢゃないか!!
ToshI「なぜ伝書鳩かって言うと、YOSHIKIプロデューサーが今回『とりあえずコンサートやります』って」 YOSHIKI「いや、やってくれって言うから」 ToshI「そう、快くやってくれて、みんなに連絡を……みんな大変なんですよ、いろんなところにいて。(SUGIZOを指して)ロシア行ってたり、(PATAを指して)ブラジル行ってたり」 YOSHIKI「(HEATHを指して)大阪」 ToshI「正確に言うと尼崎。兵庫県」
そりゃあ、いるところじゃなくて出身地じゃないか!
ToshI「みんな、いろんなところにいるんで、YOSHIKIがロスにいながら全員に指示を出して、細かいことでもYOSHIKIに連絡して、『どうしようか』と。『ミラーボール、どうしようか』と」
ToshIの言葉につられて、みんな上を見た。で、「(ミラーボールが)ない!」という言葉が飛んだ。
YOSHIKI「でも、基本的にはみんな日本にいたわけ。なぜ一回ロスに行って……じゃあ、こういうコンサートだし、細かいところは節約しようと」 ToshI「節約? ありがとうございます! いろいろ事情があります! 大人の事情があるんだよ、このやろう!!」
わ、わかってるって。みんな、ToshIくんの事情は分かってます。 こうやって、みんなの前で明るくぶっちゃけることができるようになって、ホント良かったね。 今日は、そういうわけでミラーボールがないのか。
YOSHIKI「でも、電話代がバカにならないんだよね」 ToshI「電話代が一番かかった」 YOSHIKI「一回ロスに行って、また日本に行くわけ。連絡網が。時差の立場は?」 ToshI「ね。どんな時間でも連絡してくれたもんね」
すごいね、YOSHIKI。本当に、ありがとうね。
YOSHIKI「寝てないよ」 ToshI「俺って伝書鳩じゃない? って言うわけ。で、伝書鳩発言になった、と」 YOSHIKI「鳩じゃねーよ。せめて伝書鷲とかさ。虎とか」 ToshI「強そうだね。伝書虎」
ここで、客席から「(虎じゃ)飛べないよ!」という声が。
YOSHIKI「羽つけりゃいいんだよ!」
かっけー! 羽根の生えた虎ですかい。
ToshI「ってことで、いいのかな? こんなトークで。一応PATAちゃんにも何か……ちょっと待て! これ、何これ」
PATAの脇に置いてある缶を持ち上げて、においを嗅ぐToshI。
ToshI「ビールだよ! コンサートのときに飲むのやめてくれる?」
いや、ToshIくん、それは無理ってもんよ。飲まなきゃ石塚先生じゃないから! PATAが、何かをToshIにささやいた。
ToshI「あ、これは魔法の水だそうです。PATAちゃん、何か一言」 YOSHIKI「バックバンドの分際で」 PATA「えっと、こんなお騒がせのデパートみたいな奴ですけど、一つよろしくお願いします」
これには、心底感動した。嬉しかった。決めるときにはちゃんと決めてくれる。こういう言い方で愛情表現をするPATAが大好きです。 大丈夫、これからもずっと、ToshIを応援するからね。
ToshI「YOSHIKIからPATAに何か質問ありますか」 YOSHIKI「PATAって、日が暮れると酔っ払ってるわけ? いつも」 ToshI「暮れなくても酔っ払ってるって」 YOSHIKI「そうだけど。レコーディングは太陽が沈む前にやらないと、XJAPAN用語で『ひき逃げ』って言って……」 PATA「それ、古いじゃねーかよ」 YOSHIKI「俺がレコーディングスタジオ入ったとき、PATAはどこ行った? って言ったら、弾いて逃げちゃいましたって」 PATA「違うよ。YOSHIKIが帰ってこなかったんだもん、だって」
それにしても、今日はよく喋るねぇ、石塚先生。
YOSHIKI「今日も弾き逃げされちゃったか、って」 PATA「得意ですから」 YOSHIKI「まあ、同じ千葉出身ってことで」 PATA「一つよろしくお願いします」 ToshI「ちょっといま、一つ間違いがあるんで。YOSHIKIの出身地はXだから。出身地X、年齢X」 YOSHIKI「だけどToshIと同級生なんだよ」 ToshI「今日もサンデージャポンの取材で言っちゃったよ」 YOSHIKI「要するに、よく調べりゃわかるんだよ」
いや、よく調べなくても、みんな知ってますから!
ToshI「PATAちゃん、ありがとう。はい、HEATH。HEATHはねー、『明日はラフな格好で行きますよ』って、(髪の毛)すごい編み込んでるじゃん」 HEATH「寝癖が」 ToshI「はい、全国のお茶の間に」 HEATH「えーと、去年はお騒がせ第一号だったので、(ToshIが)お騒がせ二号ってことで」
あー、去年は何かいろいろあったよね。ま、終わり良ければすべて良しってことで。
ToshI「はい。YOSHIKIさん、何かHEATHに質問」 YOSHIKI「お騒がせって、俺も一応、首が」 ToshI「いろんなお騒がせがあるんだよね」
ほんとだよ、まったくもう! おかげで、こっちはいつもハラハラドキドキだっつーの!!
ToshI「お騒がせ初代。団長ってことで」 YOSHIKI「初代お騒がせ」 客席「大丈夫ー?」 YOSHIKI「大丈夫じゃないかもね。いや、大丈夫にします」 客席「がんばってー!」 YOSHIKI「これホント(客席の声が)聞こえるから喋りづらいね。はい、頑張ります。HEATHがXJAPANに入った最初の日だっけ? 俺たち、マザー牧場に行ったんだよね」
なんでやねん!
YOSHIKI「覚えてる? じゃあHEATH、XJAPANでやろう!ってなって、よし、牛見に行くぞって」 ToshI「鷲とか虎とか言ってるわりに、牛見に行こう、牛、牛! って。『マザー牧場行こう♪』って」
「マザー牧場行こう♪」で、またもやYOSHIKIのものまね炸裂。女の子みたいな声が、かわいいっす。しかも、髪の毛を触る癖まで真似してた!
YOSHIKI「HEATH、覚えてる?」 HEATH「バーベキューやったんだよね」 ToshI「いや、牛じゃなくて羊」 YOSHIKI「羊だっけ。牛と違うか」 ToshI「牛と羊は違います。モーと、メー」 YOSHIKI「びっくりしたでしょ。最初、牛見に行こうって」 HEATH「スケールがでかいな、って」
でかいか?
ToshI「さすがX、世界JAPANだぜ」 YOSHIKI「あれ、hideが言ったんじゃなかったっけ」 ToshI「hideが言ったのかもね」 YOSHIKI「hideが言って、俺たちが『いいアイデアだね』って」
hideかい! YOSHIKIが言いだしっぺと違うんかい! い、いいアイデアかなぁ。 でもさー、本当にhideだったのかなあ? hideも今、そこらへんで「俺じゃねーよ! YOSHIKIだよ!」って言ってるかもよ?
ToshI「それいいねって言って、そのまま朝行ったんだよね」 YOSHIKI「ちゃんと言うと、そういう何かあったときは思い出を作っておこうってこと。それがたまたま牛だっただけで」 ToshI「だから羊だって」 YOSHIKI「あ、羊」 ToshI「いい思い出だね」 YOSHIKI「SUGIZOは何かそういう思い出なかったっけ?」 ToshI「SUGIZOはXJAPANに入って……入ったんだっけ?」 SUGIZO「入ったんですかね」 ToshI「たぶん」 SUGIZO「新参者です。よろしくお願いします」 ToshI「今回も、レコーディングもすごく長い時間、こだわって、アコースティックギターも、バイオリンも、えっと、ギター……」 SUGIZO「エレキ」 ToshI「あ、エレキ、エレキギター」 YOSHIKI「ロックバンドだから」 ToshI「そうそう、ロックバンド」 YOSHIKI「今日のコンサートだけ観たら、絶対勘違いされるよね。ドラムがないっていう状況」 ToshI「『ドラムがないって楽だね』って言ってたじゃん」 SUGIZO「サウンドチェックが一瞬で終わりましたもんね」 ToshI「オンタイムで始まる始まる。今回は本当にもう協力してくれて、SUGIZOありがとね」 SUGIZO「とんでもないです。本当に思った。ToshIさんみたいな天才的なヴォーカリストはいないです。真面目な話、ToshIさんと一緒に演奏できることがどれだけ感動的なことか、みなさん解りますか? 本当にいい歌い手と一緒に演奏すると、いつでも僕バックやっちゃいますよって思うくらい感動的なの」
わお! なんて極上の褒め言葉! でもスギ様、そのお言葉は大変嬉しいのですが、RYUICHIの立場は一体……。
SUGIZO「今回のレコーディング、最初は『SUGIZO、バイオリン弾いてくれる?』って言われて、『いいですよ、弾きますよ』って。曲送ってくれて。『うわー、いい曲……あれ? バイオリン入ってないんだけど』ってなって、『やっぱりギター弾いてくれる?』って。バイオリン弾いて、エレキ弾いてってなって行って、一日じゅう弾いてた」 ToshI「ごめんね、人がいなかったんだ」 SUGIZO「いろいろお察しします」 ToshI「大人の事情があります」 SUGIZO「でもね、そこは仕事とかじゃなくて、感動的なシーンがあって音楽をやれるってことが最も幸せなことなので。今日はその感動のライブ版で、しかもXがみんな揃って、ToshIさんという最高のシンガーを讃えようじゃないかという日なので。みんな、分かってるよね」
スギ様、語るねー。 ToshI、SUGIZOの頭をなでなで。
ToshI「PATA、こうやって言うんだよ?」 PATA「勉強になりました」 SUGIZO「でも、ロックバンドですから。音楽やりましょうよ」
ほんとだよ。お前ら、トークが長いっつーの。アンコールで出てきてから、どんだけ喋ってるんだ! いっこうに曲にいかないじゃないの。 でも、こういうトークのムードは大好きだけどさ。
曲をやらずに、奴らのトークはまだまだ続いてしまうのであった。
(またまた続く)
2010年02月25日(木) |
ToshI LAST CONCERT<2> |
ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI の続き。
エアポートが終わり、ピアノを離れたToshI。
ToshI「それじゃあ次の曲は、アルバムのタイトルチューン。おめーたちの出番だぜー!」
ToshIが、客席向かってペットボトルの水を撒いた。2階から見下ろしていると、飛び散る水が本当に綺麗だった。おととしのZEPP TOKYOを思い出した。あれから、ずいぶんといろんなことがあったね。
ToshI「次の曲、武士(サムライ)JAPANいくぜ!!」
ステージと客席が一体になった。 この曲は元気なバリバリのロックだから、このときだけは、ライブをアコースティックに作っているのが物足りなかった。ギュイーンてギターの重い音があればもっと良かったのに。
ToshI「ありがとよー!! PATA、ありがとう。SUGIZO、HEATHも」
ここで、PATA、HEATH、SUGIZOは退場。
ToshI「じゃあ次は、どうしても俺にピアノ弾かせてくれって」
おお! いよいよプロデューサー様の出番ですな。
ToshI「俺の方が上手いから出てくんなっつったんだけど」
い、いや、いくら40年来の親友だからって、照れ隠しにそこまで言わんでも。いや、まあ別にいいんですけどね。仲良しだから勝手にやっちゃって。
ToshI「YOSHIKIー!!」
登場したYOSHIKIは、いつものライブよりラフな恰好だった。とてもリラックスした表情をしている。
ToshI「YOSHIKIは声が小さいんで、声聞きたかったら、しー!」
ToshIはそう言って、客席の「YOSHIKIー!!!」という歓声をなだめた。
YOSHIKI「小さくねーよ!」
抗議するYOSHIKI。 うん、小さくはないよね。でも、舌足らずな喋り方だから、何言ってるのか分かんないことがあるんよね。
YOSHIKI「なんかさ、楽屋で聞いてたら、今日は静かに行こうって言ってたのに……」 ToshI「しんみりとね」 YOSHIKI「なんかいきなり気合入ってない?」 ToshI「気合入っちゃった。あ、そうだ、気合い入れんの忘れてた。気合い入れて行け、こらーーー!!!」
普通に喋ってたのに、急に叫ぶToshIくん。 あ、あのー、気合い入れって、忘れてたとかそういうものなんですか。
YOSHIKI「このあと、バラードだから」 ToshI「あ、バラードか」
な、なんなの。この「気合入れ損」的な雰囲気は。
ここで三たびSUGIZO登場。
SUGIZO「話違いますよね」 YOSHIKI「話違うよね」
どうやら、ライブ前は「今日は静かに行こう」って話だったのに、蓋を開けてみたらえらく盛り上がっちゃってるのが「話違う」ってことらしい。
ToshI「こんなに可愛い奴らを前にしたら、こっち側につくぜ」
そう言って、キャーキャー歓声の途絶えない客席側に寄って、YOSHIKIとSUGIZOに対決姿勢を見せるToshI。
YOSHIKI「ToshIさぁ、一応Produced by YOSHIKI」 ToshI「あ、そうか。プロデューサー紹介するぜ! YOSHIKIーー!!」 YOSHIKI「じゃあ、とりあえず曲やりますか」 ToshI「はい、曲やりましょう」
いいねー、仲良しでほのぼのしたこの感じ。 ToshIがステージの後ろの方で、水だかハチミツドリンクだかで喉を潤していたら、
YOSHIKI「場を繋いでおいてくれって、うしろからの指示が。曲やって大丈夫?」 ToshI「大丈夫、曲やって下さい」 YOSHIKI「一応バックバンドなんだ、俺」 ToshI「世界一高いバックバンド……」
そ、そうですね。
YOSHIKI「曲、これでいいんだよね?」
YOSHIKIは、自分の前の譜面とToshIを交互に見ながら確認した。 何やるんだろう。っていうか、早くやれよ!
ToshI「うん、やろう」 YOSHIKI「難しいんだよね、これ」 ToshI「ちなみに、YOSHIKIがこれやろうって曲を持ってきたのは、おとといです」
ええっ、相変わらずボーカル泣かせな。 でも、それってつまり、Xの曲じゃないってことだよね。
YOSHIKIのピアノに乗せてToshIが歌いだしたのは……Unnamed Song。 この曲は、ToshIが歌ったら合うだろうねって、ずっとファンの間で言われていた。 VIOLET UKでは女性ボーカルの曲だけど、想像通りToshIの声がぴったりだった。ToshIをイメージして、Xの曲として作ったんじゃないかと思うくらい。まさにToshIの歌うバラード。ToshIの真骨頂! ……まあ、またきっちりカンペ見てるけどね。 途中から、SUGIZOのバイオリンが加わった。3人が織りなす、やさしく崇高な世界が広がっていた。
YOSHIKI「緊張した」 ToshI「緊張した?」 YOSHIKI「難しいよね、これね」
いや、あなたが書いたんですが、YOSHIKIさん。
ToshI「間違えちゃった。ごめんね」 YOSHIKI「いや、俺も危なかった」 ToshI「これ今、同級生の会話ね?」
そう言って客席を振り返るToshI。 こういう会話は楽しくて大好き。でも、さっきまでの壮大な世界がちょっぴり台無し??
YOSHIKI「知ってる? 元々ToshIってヴォーカリストじゃなかったんだよね。最初ギタリストで、ヴォーカリストが辞めちゃったんだよね」 ToshI「その次、YOSHIKIじゃなかった? だから辞めるしかなかったんだよ」 YOSHIKI「違う違う。最初、俺で、第二中学校と第三中学校に分裂して……」 ToshI「その話いっちゃう? 分裂じゃなくて、廃校と統合があったのね。新しい学校ができて」
あ、去年ららぽーとのインストアイベントで聞いた話だ。 ピアノにもたれて話すToshIと、にこにこしながら答えるYOSHIKI。
YOSHIKI「そうそう。で、くらちんがヴォーカルだったんだよね」 ToshI「くらちんがヴォーカルだったね。そこまで話すの? くらちんネタ? クラタくんね。接骨院の」 YOSHIKI「接骨院だったっけ?」
話がどんどんローカルになっていきますな。
ToshI「館山の。YOSHIKI、診てもらった方が良いんじゃないの?」 YOSHIKI「もう手遅れ。そういう次元じゃない。で、くらちんが辞めて、だれがヴォーカルやろうってなって、一応全員歌ったんだよね。俺も含めて。そしたら、ToshIが一番うまかった」 ToshI「YOSHIKIよりちょっとうまかったんだよね」 YOSHIKI「俺は声が高かったんだよ」 ToshI「当時はまだマイクスタンドを持ってなかったから、YOSHIKIが持ってる天体望遠鏡がマイクスタンドだったんだ」 YOSHIKI「俺、まだ声変わりしてなかったんだよね」 ToshI「声が高くて、かわいい。みんな、そんな素顔見たことないだろうけど、すごいかわいかった」
私の同級生にも、そういう男の子がいたなあ。彼はどうしているかしら。声変わりしてなくて、かわいい男の子が。
YOSHIKI「ToshIより身長がちっちゃくて」 ToshI「今は15センチ、20センチくらい高いけど、当時はひょろひょろで、もやしみたいだった」 YOSHIKI「ひよこって呼ばれてたよね、俺」 ToshI「そこまで言っていいの? それは、『YOSHIKI/佳樹』って本でも暴露してたよね」 YOSHIKI「今日は1000人しかいないから」 ToshI「いやいや、お茶の間でいっぱい観てるから。ここは1000人だけど、お茶の間に何千万人もいるから」 YOSHIKI「そうですね、はい。じゃあ次はToshIの曲で、これもね、急に弾けって言われて」 ToshI「いや、もう一か月前から送ってたって。30日には。おととい会ったとき『聴いた?』って訊いたら、『うん、まだ聴いてない』って」
おおぉ!! 出ました、ToshIによる「YOSHIKIものまね」が!! 「うん、まだ聴いてない」のところがね、YOSHIKIのまねをした口調だったんですよ。さっき話していた、声変わりしてないひよこのYOSHIKIみたいな口調で。めっちゃ、かわいいの!
ToshI「『聴いてない』って言いながら、『これ歌って』って。さっきのUnnamed Songっていう曲。本当はすごくいい曲……本当はって言うか……」
ついポロっと言ってしまった言葉に自分で苦笑するToshI。
ToshI「とりあえず、いい曲だよね」 YOSHIKI「まあまあだよね」 ToshI「この言葉、嫌なんだよね。ART OF LIFEっていう楽曲を3年かかってレコーディングしたの。ヴォーカル録りは約2年かかったわけ。で、終わった瞬間、できたね! ってみんなで喜んでたら、『まあまあだね』って」
あちゃー、厳しいのぉ。そりゃあ、ToshIくんもグレたくなるわな。……いや、グレたんぢゃないか。
ToshI「そのあと、みんなでYOSHIKIのスタジオをぶっ壊したの。嬉しくて」 YOSHIKI「表現方法が俺たち分かんないんだよね。とりあえず壊しとこうかって」 ToshI「『俺はこのためにスタジオを買ったんだあーー!!』って」 YOSHIKI「そこまで言ってない」 ToshI「言ったよ!」 YOSHIKI「言ったかもしれない。よく覚えてない」 ToshI「酔っ払って覚えてないんだよ」 YOSHIKI「はい」
うーん、相変わらずおもしろすぎるな、すみれ組コンビは。
YOSHIKI「じゃあ、そうですね。昨日ToshIとこれをリハーサルやって、自分でもすごいジーンと来てしまいました」 ToshI「ありがとうございます。40年つき合って、初めて褒められた」 YOSHIKI「ははは。今のヴォーカル良かったねって、たまに言うじゃん」 ToshI「ああ、たまにね。機械的にね。今の良かったんじゃない? って」 YOSHIKI「表現方法が分かんないんですよ」 ToshI「僕たち、仲良いもんね?」
うん、知ってる。 ToshIはわざとらしく言ったけど、本当に本当に仲が良いこと、知ってるよ。そりゃあ、もう、ラブラブだもんね!
YOSHIKI「じゃあ、曲いきますか」 ToshI「はい。本当に、YOSHIKIのサポートがあって、ここに立つことができました。そして、みんなのサポートがあって、歌うことができます。本当にどうもありがとうーーー!!! そんな想いを、YOSHIKIと一緒にやりたいと思います」
曲は、雨音。 YOSHIKIの抑えたピアノと、SUGIZOのバイオリン、そしてToshIのささやくような歌声。 ToshIが、泣いていた。泣いて、最初の方は声が上手く出ていなかった。
泣かないで。泣かないで。 もう、泣かなくていいよ。
本編はこれで終わりだった。 ToshIが「本当にどうもありがとう。また会おうぜ」と小さく言って、3人はステージを去った。
(続く)
2010年02月24日(水) |
ToshI LAST CONCERT<1> |
ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI
に行って来たのです、実は! YOSHIKI mobileでの先行予約が外れたのは、先週木曜日のこと(これは日記にも書いた)。 金曜日、99%ダメだろうと諦めつつも「チケット譲って下さい!」と書き込みしてみた。そしたらなんと、「1枚余ってしまった」と譲って下さる方がいたのである!! 土曜日、交渉成立。 日曜日、ToshIのアルバムが届いたことは日記に書いた通り。が、私があの日まっ先に考えていたのは、日記に書いたようなことよりも、「ライブまでに曲を覚えなくちゃ!」ってことだった。 ライブ前日の火曜日、なんと朝から胃がかなり痛くて体を動かすのがしんどかった。めちゃくちゃ焦った。ライブにはどうしても行きたいし、何よりチケットは会場での手渡しという約束になっていたので、絶対ドタキャンできない。 で、会社を休み、1日じゅう寝ていた。その甲斐あって、ライブ当日の朝には復活していた。
ライブにはhideちゃんも連れて行った。私の部屋でいつも宙をにらんでいるhideちゃん、初外出である。 赤坂BLITZに行くのは初めて。車椅子用スペースは2階のバルコニーだった。 わりとステージが近い! 見やすい! やっぱりドームなんかと全然違うなあと思いながら、テンションが上がる。 キャパが小さいとチケットを取るのが大変だけど、アーティストを断然近くに感じられて楽しめる。
(このライブは、今まで行ったライブの中でも1、2を争うくらい素晴らしく感動的だった。ToshIの声も言葉もXのメンバーとのやり取りも、すべてを記録に残しておきたくて、もう本当に一字一句逃したくないくらいなので、DMMのアーカイブ配信でライブをもう一度観ながら以下を書くことにする)
セットリスト↓
made in HEAVEN Dear LIFE (SUGIZO) 春の息吹 Story Of A Young Boy(PATA) eagle sniper (HEATH) エアポート 武士JAPAN Unnamed Song (VIOLET UK) 雨音
--アンコール-- Forever Love(XJAPAN) ENDLESS RAIN(XJAPAN)
客電が落ちて、ToshIがステージに姿を見せて、ピアノの前に座る。その間ずっと、客席からは「ToshIーー!!」「おかえりー」と大歓声。私は、涙がボロボロ出ていた。名前を叫んだらしゃくり上げそうで、声を出せなかった。 1曲目は、ソロデビュー曲のmade in HEAVEN。 感無量。 この選曲は、「自分の原点に、本当の自分に立ち返るんだ」というToshIの決意の表れであるように思えた。 長い長い旅から、ようやく戻ってきたんだ。 ピアノ弾き語りで聴かせたmade in HEAVENは、今年初めまで声が出なくなっていたヴォーカリストだなんてことが信じられないような響きだった。力強くて伸びがあって、深みもある。あの声の深みは、たぶんToshIの心だ。 完全復活、なんてもんじゃない。明らかにパワーアップしている。
「かならず訪れる SUNRISE 心が気がつけば 聴こえる声がある」 (「made in HEAVEN」より)
大切なことは、18年も前に歌っていたんだね。 いまToshIは、YOSHIKIやXのほかのメンバーや私たちの声を聴いてくれているのだと思う。声が聴こえるということに、気がついてくれた。 客席から、すすり泣く声が聴こえた。 この曲の歌詞のように、貴方のこれからの道のりに、どうかいつも光がありますように。
ToshI「会いたかったぜーーー!! ついにー、帰って来たぜーーー!! 帰って来たぜーーー!! 今日はお前たちと、ここに来れなかった全国のお茶の間にぃ、全国のお茶の間にー! 俺たちの愛を届けるぜーーー!!!」
おかえり、ToshIくん。 13年前から、今日という日をずっとずっと待っていたよ。
ToshI「今日は、お前たちと有終の美を飾ろうと思う。今日はスペシャルなバックバンドを用意した。まあ、所詮バックバンドだけどな」
そ、そうですか、「所詮バックバンド」ですか。世界のXに対して、信頼と愛情に裏打ちされた言葉としてそんなふうに言えちゃうのは、あなただけですな。 Xをバックバンドに使えるヴォーカリストも、世界中であなただけ。
ToshI「どうしてもバックで弾かせて下さいって言うんだ。しょうがないから呼んでやったよ。じゃあ、まずトップバッターは……SUGIZO!」
出てきたSUGIZOと、軽く握手と抱擁を交わす。
SUGIZO「ぜひバックでやらせて下さい」 ToshI「まずはSUGIZOと二人で。曲は、SUGIZOのソロの曲」 SUGIZO「ぜひ、歌って下さい」 ToshI「SUGIZO、曲のタイトルを」 SUGIZO「Dear LIFE。命のための曲です。これは絶対ToshIさんが歌ったら美しいだろうなと思ったんだけど、みんな聴いたら絶対感動すると思うよ」 ToshI「お前、最初からそんなにハードル上げるなよ」
ToshIはそう言ったけど、ハードルはちっとも高くなかった。だって、SUGIZOが言う通り、本当に美しかったもの。 ToshIの歌とSUGIZOのアコースティックギターが奏でる世界は、命への想い、愛おしさ、願いと輝きに満ちていた。サビでの二人のハーモニーには、ぎゅうっと胸をつかまれてドキドキした。 歌詞にはMASAYA色とかぶる部分もあったけれど、響き方がまったく違う。 例えば同じ「美しさ」という言葉でも、発する人や文脈によって、そこに込められた心がどれだけ受け手に伝わるかが変わってくる。ToshIがMASAYAの曲を歌っているときは、「本当に美しいものって、いったい何? 何を思い描いているの?」と半分疑問だった。でも、このDear LIFEを聴いたときは、ToshIとSUGIZOと私たちとで「美しいもの」を共有できた気がした。 他人の曲をこれだけ自分のものにして歌いこなせるんだから、やっぱりただ者じゃないヴォーカリストだ。歌のうまい人でも、他人の曲を歌うと何だかしっくりこなくて「オリジナルのほうが良いな」と思うことが多い。だけど、ToshIが歌うとしっくりきてしまう。前にYou Tubeでイマジンを歌っているのを観たときも、同じことを思ったなあ。
ところで、あのーToshIくん、あなた思い切りカンペ見てますよね? 歌いこなしてはいるけれど、歌詞は覚えられないのね? Xの曲でもときどき間違うんだから、他人の曲じゃ尚更ってか? 確か、「メロディーラインはすぐ覚えられるけど、歌詞は覚えられない」って言ってたもんね。
ToshI「じゃあ、次のどうしてもやりたいって人を呼びます。はい、PATAぞう!」
PATAとも握手と抱擁。が、
PATA「でも、俺そんなこと言ってねーからな!」
石塚先生の反撃。 うんうん、そうだよね。本当はToshIのほうから(YOSHIKIかな?)みんなにお願いして、みんながそれに答えて温かく駆けつけてくれたこと、客席の全員が分かってるよ。
ToshI「じゃあ、どうしてもPATAぞうが弾きたいって言うので」 PATA「だから、言ってねーって!」 ToshI「でも、どうしても弾きたいって言うもんだから」 PATA「どうしても弾きたくねーよ!」 ToshI「お前たちも、こういう大人にはなるんじゃねーぞ」
は、はい。もう大人になっちゃったけど、「そういう大人」にならないように気をつけます(笑)。
ToshI「次の曲は、この間……というか、今日か。24日、僕の新しいCDがリリースされました。その中に入っている曲で、SUGIZOがギターをレコーディングでは弾いてくれました。PATAは弾いてない」
ギターの準備が整わないのか、「あー、ちょっと待って」というPATA。 ToshIが「とても素直に自分の想いを書いた曲。春の息吹という曲です」とタイトル紹介して始めようとしても、「まだです」と遮るPATA。
ToshI「こういう大人にはなるんじゃねーぞ」
ToshIのダメ押し。 PATAの準備ができて、ToshIもギターを持って、SUGIZOとトリプルギターでの春の息吹。 だいぶ暖かな日だった。今年も、もうすぐ春がやって来る。芽が出て、花が咲いて、風が吹いて、新しい道の始まる季節。 ToshIの新たな出発の日にここにいられることを、心から嬉しく思う。
ToshI「これで一回SUGIZOは退却です。SUGIZO、ありがとう! じゃあ、次にどうしても参加したいって言ってた人。HEATH!」
SUGIZOと入れ替わりにHEATHが登場。相変わらず恰好いいっす。
ToshI「HEATH、ベース弾いてくれまーす。HEATH、今日は軽い感じでいきますよって言ったわりに、ばっちりメイク決めてるじゃん」 HEATH「いやいや。さっきまでそこでお茶してたからね」
答えになっとらん……。
ToshI「じゃあ次の曲は、PATAのソロの曲を歌わさして頂きます。Story Of A Young Boy」
ToshIはギターをタンバリンに持ち替えて、楽しそうに歌っていた。 会場から自然と手拍子が起こるような、軽快な曲だった。こういうのを、アメリカンっていうのかしら? ギター一本だけ持って、アメ車か古びた列車に乗って長い道を気ままに行く感じ。 途中、「Oh,Yeah!」ってToshIくんと客席の応酬。学園天国みたいな……って、違うか。一度「おめーたち、音痴だぜ!」って突っ込まれた。だって、「Oh,Yeah!」のたびにToshIくんが高音から低音まで幅広く音程を変えるんだもの、ついて行かれない。
曲が終って、ピアノに座ったToshI。「どうもありがとう。じゃあ次は……」と言いかけたけど、「次は」のところでちょっと声が裏返った。すかさず、客席の前列から「声、裏返ったよ!」と突っ込みが入る。
ToshI「裏返ったな。あんまりシャウトするの慣れてないんだよ」
ぼそぼそ言い訳するToshIくん。いや、今日すでに何回かシャウトしてるから! 今さら「慣れてない」とか言われても……。 でもさ、こうやって客席の声をちゃんと拾って反応してくれるのって、嬉しいよね。ライブハウスならでは。
ToshI「じゃあ次はHEATHの曲。この曲は元々はロックなへヴィーなHEATHの曲なんだけど、今日はちょっと渋いアレンジにしてやってみます。eagle sniper」
この曲、いい! 私好みの曲だ! 闇とか孤独とか、夜の中の一点の灯とか、そんな言葉を思い浮かべる。曲がToshIの力強い声に合ってるのだと思う。 PATAのギターとHEATHのベースとToshIのピアノと声が、絶妙にマッチして世界を作り上げていた。
SUGIZOのDear LIFEも、PATAのStory Of A Young Boyも、HEATHのeagle sniperも、それぞれに魅力的な曲だったし、ToshIのヴォーカリストとしてのいろいろな面を見せてくれた。こういうライブ、ぜひまたやってほしいな。 この3曲とも、オリジナルをじっくり聴いてみたい。
ToshI「じゃあ、加えてまたSUGIZO」
SUGIZOが再び登場。これで、ステージは4人。残るはあと1人だね。
ToshI「次の曲は、これも新しいアルバム『武士JAPAN』の中から、エアポート」
去年、入院中に作ったというエアポート。ToshIの高音を活かした曲で、なおかつ低音もずっしり響く。 旅に出て、帰ってきた場所が「ここ」で良かったよ。
(続く)
2010年02月21日(日) |
忘れてはいけないこと |
ToshIのアルバムが届いた。 2ヶ月も声が出なかったとは思えないくらいの、歌声だ。 特に1曲目の「エアポート」では、伸びやかな高音から急に低音へ移行する箇所があって、前より音域が広がったんじゃ?と思う。
20代前半、私は生き続けることに絶望していた時期があった。私を愛してくれる人たちはいたし、それを分かってもいたけれど、自分が無理して頑張ってまで生きなきゃならない理由を見出せなかった。頑張らなければ世の中から弾き出されるけれど、この世の中には、無理をしてまで合わせる価値がないと思った。 どうしても許せないことや、捨てられない憎しみがあった。だからうまく呼吸ができなくなった。 友人や精神科の先生やカウンセリングの臨床心理士さん、そして何より、時間の流れが私を支えてくれた。もちろんXの曲もToshIの声も傍にあった。 いま、私はあの頃の気持ちを忘れそうになっている。でも、忘れてはいけない、と思う。 忘れることは、一つの大きな能力だ。息苦しさや絶望感は思い出したくないものだし、忘れることで前に進めることだってある。だから、悪いことではないのだろう。 だけれど、忘れてしまったら、あの頃の自分を「なかったこと」にして切り捨てることになる。いまの私は、あの頃の絶望の上に立っているのに。
再出発は、過去を切り捨てることじゃない。
私は、ToshIのことも忘れずにいたいと思う。この12年間のことも、その前の10年間のことも。ToshIが傷ついたこと、傷つけられたこと、誰かを傷つけてしまったかもしれないことも、それでも多くの人に希望を与えてきたことも。 だから、TOSHI with T-EARTHのアルバムは捨てないでおくことに決めた。自分の意志だけでは記憶は時間とともに薄らいでいくけれど、物があれば、たぶん記憶は繋ぎ止められる。 それに、物は心の証だ。忘れないでいると決めたことの証。
ToshIも、忘れずにいるといいな。
YOSHIKI mobileにて申込んだToshIライブのチケット抽選結果発表日。 午後の休憩時間に携帯を見ると、結果案内のメールが来ていた。
「残念ながら落選しました」
って。
一気にやる気を失くし、一人でふてくされた。
ライブに行く気もないのにチケット取って、即オークションに出して値を吊り上げてる奴、そんなに運が良いならチケットじゃなくてテポドンでも当たればいいのに!!
このパソコンの17インチ画面で観るのかあ。 もう休みも申請したんだけどな。 はぁ……。
ぐぁ〜! TOSHIサイトではチケットはずれてしもうた。 あとはYOSHIKI mobileに賭けるしかないなあ。 でも、なんか当たる気がしな……ぃ。 ネットで生中継配信があるけど、会場にいるのと家のパソコンで観るのじゃ全然違うもんなあ。 とりあえず、先に会社に年休届けを出しておくか。 どうかどうか、当日は同じ場所にいられますように。
2010年02月11日(木) |
文句が多いように見えるのは、愛情の裏返しデス。 |
ToshIの再出発&ラストソロライブは赤坂BLITZかぁ。
(ところで、あんまり名前の表記を変えないでほしいなあ。特に、大文字と小文字の混在は打つのが 面倒だから、やめてほしい。)
赤坂BLITZには行ったことがない。 会場に車椅子用スペースが設けられているか確認してから、チケットの先行予約を申し込みたかった。が、祝日のため、主催者の電話受付が休みという罠。 赤坂BLITZに電話したら、「2階にスペースがあるので、車椅子使用者は2階席へ案内するよう主催者には頼んでいるが、そこを車椅子スペースとして使うかどうかは興行による」とのこと。 ToshIサイトでの先行予約は今日限り。仕方がないので、とりあえず申し込んでおく。あとのことは、チケットが取れてから考えよう。 (ってか、BLITZなら横浜BLITZでやってくれると近くて助かるのに。)
ToshIの体の調子や、まだ片付いていないであろう諸問題も心配だけど、新生ToshIの歌声が楽しみだ。早く会いに行きたい。
(でも、再出発の日が元カレの誕生日ってのがビミョー。しかも、週の真ん中って……。)
とりあえず、晴れて独身貴族になったらしいし、新たな第一歩に立ち会えることを願ってやまない。
(それにしても、アルバムもチケットも高過ぎやしないかい?……って、「稼いだお金をすべてTOSHI のために使っても、恩を返しきれない」とか言った人間が口にする言葉ぢゃないか。)
2010年02月04日(木) |
安易なのか本気なのか |
個性 1.個人に具わり、他の人とはちがう、その個人にしかない性格・性質 2.個物または個体に特有な特徴あるいは性格
性質 1.もって生まれた気質。天性。資性。 2.物事が持っている特色 3.〔哲〕事物の本来固有するもので、それにより他の事物と種類を区別されるもの
(広辞苑より) ==================================================================== うちの会社が、とうとう「障がいも個性」と言い出した。 あー、やだやだ。 私は、自分の障害を私の個性だと言われるのが大嫌いだ。冗談じゃない。 「個性」ってのは、「その人らしさ」のことだろう。 障害は、「私らしさ」じゃない。障害とは、引き受けざるを得ないものであり、いたしかたないものであり、そして明らかな「欠落」だ。「欠落」だけど、それで私の人間としての価値が下がるわけじゃない(もちろん、価値が上がるわけでもない)。 障害者であることは確かに私の属性の一つだし、障害が私の人格や生き方(つまり個性)に影響を及ぼしていることも事実だろう。だけど、決して「障害=個性」ではない。
口当たりと耳障りの良い言葉で、私の障害を変に美化したり、プラスのイメージを押し付けないでくれと思う。 人は、物事を美化すると、そこで思考がストップしてしまう。「障がいも個性」と簡単に片付けることで、いったい何から目をそらそうとしているの? 何をうやむやにしようとしているの?
こんなことを言っている私も、小学校6年のときに書いた小説では「障害は個性だって考えればいい」なんてことを主人公に語らせていた。 たぶん、何かの受け売りだ。でも、当時は本気でそう信じていたのだと思う。そう信じることで、自分を受け入れようとしていた。 考え方が変わった今でも、自分自身の障害を個性だと考えることで積極的に受け入れようとする人を、私は否定しない。それはそれでいい。それこそその人の生き方であり、「その人らしさ」だと思うから。 だけど、分別のある大人が、他人に対してその人の障害を個性だなんて安易に言うもんじゃない。
「障がい者」という表記や「障がいも個性」なんて言葉、いったい誰が言い始めたんだろう。 なんで、世の中はどんどん気持ち悪い方向へ向かっていくんだろう。
うちの会社は、真剣に考えた上で、この標語を決めたんだろうか。それとも、世の中のはやりに乗っただけなんだろうか。 去年、とあるイベント用の資料を作っているとき、「障害当事者として『障がい者』という表記は使いたくないので、今回の資料では『障害者』と表記させて下さい」と申し出たけれど、うちのグループ会社全体で決まっている方針なのでダメと言われた。 その方針も、何でそう決まったのかは誰も分からず。安易なのか、きちんとした理念あってのことなのか、怪しいもんだ。どこぞの障害者団体に意見されたから、というのも聞いたことがある。 難しいのは、そこなんだよね。 「障がい者」も「障がいも個性」も、障害者自身が言い始めたのなら、頑なに否定もしていられない。現に、好んで使う障害者は結構いるみたいだし。
【月日と雪】 今週から2月ですか。そうですか。 先週あたりから、日が長くなってきたもんなあ。そりゃあ、月も変わるわけだ。
横浜では、おとといの夜から降った雪が昨日の朝も溶けきれておらず、昨日は通勤が一苦労だった。 歩道の雪をしゃりしゃり言わせながら、できるだけ雪の少ないところを選んで進むのだけど、そうすると頭上の電線から雪解け水が落ちて来てヒヤっとした。逆に、頭上に電線のないところを通ると、足元に雪が多くて困った。
【決意と思案】 夜更かしも暴飲暴食もしていないのに、肌が荒れている。 だから、スーパーやデパートのバレンタインコーナーには立ち寄らないでおこうと思う。
肌が荒れているのに、明日は社員証用の写真を撮ると言われた。 いまの社員証は、今年の誕生月で有効期限が切れるらしい(有効期限が切れると、入り口のロックを解除できなくなる)。 いつもはパウダーファンデーションを使っているけれど、写真撮影があるなら明日はベースファンデにしようかな。でも、そうするとさらに肌が荒れそうなんだよな……。
【最近のトモコレ】 ・同僚と岡田くんがカップルになってしまった。そのことを会社で同僚に話したら、喜んでいた。 ・トシとヨシキは親友である。おお、さすが! ・うちの父は豆腐が好きで、冷奴や湯豆腐をよく食べる。が、トモコレの父に豆腐を食べさせたら、あまり気に入らなかった様子。どうも、リアルとは食べ物の好みが違うことが多いようで。
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