月に舞う桜
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2008年04月26日(土) |
ティッシュなしでは生きられない |
風邪引いてました。いや、引いてます。 真冬の寒い時期よりも、ゴールデンウイーク前後の方がよく風邪を引きます。この時期は、毎日服装に悩みます。何を着て行けばいいか分からない。そんな気候の変化に体がついていけないのかも。 そして、ほとんどの場合、喉から風邪を引きます。今回も。
火曜日。 午前中は「あれ? 何かおかしいな」程度だった喉の違和感が、時間の経過と共に痛みに変わり、だんだん痛みがひどくなっていきました。風邪ウイルスが忍び寄り、少しずつ体を蝕んでいくのが分かって、ジョーズのテーマ曲が頭の中に流れたほど。 帰宅した頃には喉の痛みがMAXに。爆弾でも飲み込んだんじゃないかと思うくらい。家にあった消炎剤を飲み、飴を舐めながら就寝。
水曜日。 喉の痛みが引かず、体が熱っぽくてだるいので、会社を休みました。会社に連絡を入れたとき、ものすごーく具合の悪そうな声が出たので「よっしゃ♪」と思わずガッツポーズな桜井さん。 体温を測ると微熱でしたが、体感温度はそれ以上でした。高熱よりむしろ微熱の方が「たちの悪いだるさ」を引き起こすような気がします。 一日中、寝て過ごしました。寝て、起きて、ご飯食べてうがいして、また寝る。
木曜日。 喉の痛みはだいぶ和らいだものの、熱っぽさは取れず頭痛もするので、もう一日お休みをもらうことに。またまた、実際よりもはるかに具合の悪そうな声で会社に連絡。いや、わざとじゃないですよ? 直前まで寝ていたこともあって、自然とそういう声が出てしまうのです。 水曜日よりも眠る時間が減って、テレビを観たり本を読んだりして過ごしました。
金曜日。 喉の痛みも頭痛も治まったので、出社しました。2日も休んでしまって申し訳ない。腹痛やら計画有休やら暴風雨やら風邪やらで、今月はちょっと有休取り過ぎです。ちゃんと5日間働いた週がないんだもの。来月は真面目に働こうっと。 体調は悪くないものの、鼻水が止まらない……仕事の合間に鼻をかんでいるのか、鼻をかむ合間に仕事しているのか分からない状態でした。おまけに、ときどき耳の聞こえが悪くなるし、4時半くらいになって急に脂汗が出てきてびっくりしました。やっぱり、本調子じゃなかったらしい。
で、今日。 相変わらず鼻水が止まりません。いったいどこから湧いてくるの、この鼻水。生きるために鼻をかむのか、鼻をかむために生きているのか……って感じ。
さて、実は桜井家では4月の始めに母が風邪を引き、先週末に父が引き、そして最後に私だったわけですが、そんな桜井家では今、生姜と蜂蜜が欠かせません。 生姜の絞り汁と少々の蜂蜜を熱いお湯で溶かします。これが喉に効くということで、食後にみんなで実践中。 私は猫舌なので、お湯が少し冷めるまでの間、湯気を吸っています。口から吸って、鼻から吐いて。そうすると喉と鼻の通りが良くなって効果2倍! な気がします。
この鼻水は鬱陶しいし、ときどき出る咳も嫌だけれど、この時期に引いておいて良かったなあとも思います。もう一週間遅かったら、hideちゃん祭りに差し支えるもの。
そう言えば、体調が悪いと奇妙な夢をよく見るものです。この数日、ずっとへんな夢ばかり見ています。ほとんどは内容を忘れてしまったけれど、唯一鮮明に覚えているのは、私はどこかの入学式だか卒業式だかに出席しており、式の途中で列席者の中の数名が突然立ち上がってサックスでSilent Jealousyを演奏し始める、というもの。なんのこっちゃ??
2008年04月20日(日) |
3週間遅れの「創造の夜」 |
※久しぶりに、Another Worldを更新しました。
昨日は、「ひとり創造の夜」をやった。 奴ら、やっぱりすげーよ。 40過ぎたおっさんが、3daysの最終日にあんなライブやるんだもの。
あんなライブに、行きたい。いつか絶対行ってやる! でも、パソコンで観てもこれだけ余韻が残るんだから、実際に行ったら、余韻が大きすぎて一週間くらい動けないかもしれない。
自分のソロの新曲を宣伝するTOSHIの頭を、PATAが後ろからはたいた。そんな光景が一番ツボで、一番新鮮だった。 他のメンバーのソロ活動もちゃんと宣伝してあげるTOSHIを、律儀だなぁと思った。 TOSHIが「HIDEも一緒にいるぜー!」ってごく自然に振り返ったとき、あのピンクの髪とその下の笑顔が本当に見えた気がした。 涙でまともに歌えていなかったアコースティックバージョンのForever Loveは、今まで聴いたForever Loveの中で一番感動した。あの涙に、年月の重みを感じた。できることなら、あの場にいて、一緒に歌って気持ちを伝えたかったな。
3日間のライブを全部観てみて、SUGIZOならギタリストとして6人目のXJAPANになってもいいかもしれないと思うようになった。 でも、私がLUNA SEAのファンだったら、ちょっと嫌かもなぁ。 HEATHの衣装は3日目が一番恰好良かった。あの髪型は、一体どうなっているんだろか。
2008年04月18日(金) |
春の嵐が運んできたもの。しょんぼりと、喜びと。 |
初めて、暴風雨を理由に仕事を休んでしまった。 家を出るとき、雨は降っていたものの風はそれほど強くなかったので、大丈夫だろうと思ったのだけど、家を出て少ししたら凄まじい風が吹いてきた。 頑張って途中まで行ったけれど、あまりの強風で前が見えず、傘の骨は折れるし道端に落ちている発泡スチロールは飛んでくるしで、危険なのでそれ以上進むのを断念し、引き返した。道行く人がみんな傘を顔の前に突き出して身を守るように歩いているから、ぶつかりそうで怖かったし。
ところが、9時半くらいには雨も風も弱まって、ときどき強風が吹くものの、さっきまでの暴れっぷりが嘘みたいだった。 がっくり。 職場のみんなは、無事に着けたのかな。家が近いのに、休んでしまって申し訳ない。 休みは本来なら嬉しいものだけど、こういう理由で行けなくなると、ちょっとしょんぼり。 オペレーターは電話に出てなんぼ、家でできる仕事なんてないし。
でもまぁ、しょんぼりしていても仕方がない。かと言って、開き直ってごろごろしたり遊んだりしているのは申し訳ないので、福祉住環境コーディネータの勉強をしていた。
そしたら、携帯電話にローソンチケットからメールが来まして。 hide memorial summitのチケットが当たりました!! いわゆるhideの追悼ライブだけど、私はあんまり追悼だなんて思ってない。「追悼って言うか、hide祭でしょ?」って気持ちで行くつもり。 主役はhideであってXJAPANじゃないのに、Xを目当て行こうとしている私。正直hideのソロはX解散後の曲(Rocket Diveとか、ピンクスパイダーとか)以外それほど知らなくて、あっちに逝っちゃってから、遡って少し聴き直したくらいだった。そんな私が行ってもいいものかと、思わなくもない。 でも、hideがいなくなったことで泣いて泣いて悲しんで、10年経った今でも映像に泣けてくるような人間が集まって、楽しく盛り上がって騒いで弾けて今もちゃんと生きてるよって証明して見せたら、hideはきっと喜ぶんだと思う。
そう言えば、TELL MEは、よくカラオケで歌ったなぁ。 あとは、MISERYに励まされた。「悲しいと言うならば、空の青ささえも、届かないもどかしさに君は泣くんだろう」って歌詞に、あーそうかもしれないなぁ、と思った。空の青さが悲しいこともある。でも、美しいことにも変わりない。美しい世界は、そのまま美しい世界として見よう、って決めたんだ。
summitには知らないバンドもたくさん出るから、ちょっと勉強しておかなくちゃ。せっかくだから、X以外も丸ごと楽しまないと。
こんなに早く再会の機会が訪れるとは、思っていなかった。来月、また奴らに会いに行ってきます。 今度は、東京ドームのときよりももっと純粋に、楽しんでこようと思います。あの時は、強い気持ちゆえに、思い詰めてしまったところがあったので。
通勤途中、色とりどりの花が目につくようになった。 水仙、チューリップ、百合、八重桜、名前は分からないけれど黄色い花、ピンクの花、紫の花。 春の道は、心惹かれる風景が多くて楽しい。 見上げた空には、白い月。日が長くなった。
2008年04月14日(月) |
後輩に、陰ながらエールを |
私がちょうどライヴ騒動中の頃、我が母校出身のピッチャーがプロ野球デビューしていた(高校も大学も私と同じだが、在学期間がかぶっておらず、知り合いではない)。しかも、先発で! 途中で交代させられたようだけど、敵チーム贔屓の同僚によると、なかなかの好投だったらしい。 昨日は、中継ぎでの登板だったもよう。 出身大学から選手が出てもそこまで注目しないけれど、出身高校から、となると話は違う。我が弱小県立高校から初めて誕生したプロ野球選手なのだ。注目しないわけにいかない。 プロ野球に全く興味のない私も気分が盛り上がっていて、今年はそのチームのにわかファンになるつもりだった。 が、あとから「昨日、投げたらしい」と知る程度にとどまっているのが実情だ。それでも、後輩がプロの世界で活躍するのは本当に嬉しいし、誇らしい。 こんな「ダメにわかファン」だけど、いつかテレビで彼が投げている姿を観られたらいいな、と思う。
2008年04月13日(日) |
足元見られて引っ張られる |
昨日、DMMでダウンロードしたライヴ映像で2週間遅れの「ひとり無謀な夜」をやった。 「無謀」を観終わって、「こんなライヴに行きたかったなぁ」という思いはあるけれど、それ以上に、「やっぱり、ライヴに行って良かった!」という気持ちの方が強い。 当たり前だけど、生のライヴとパソコンで観るライヴじゃあ、全然違うもの。 パソコンは、画面も音も小さい。足元からドン! と来る重低音がない。TOSHIの声に包まれている感覚がない。Xの莫大なエネルギーを全身で感じられない。圧倒的に物足りない。 物足りないのは、ライヴに行ったからこそ思えること。 日に日に、ああいうライヴだったことへの悔しさよりも「行って良かった」が上回る。
WOWOWに「破壊の夜」の再放送をメールでリクエストした。そしたら、すぐに返事が来た。 「破壊の夜」は7月に再放送予定とのこと。
(現段階ではあくまでも「予定」であって、確定ではないものと思われます。情報が違っていても、私は責任を負えません。私のこの日記を読んで喜んだり落胆したり、ましてやWOWOWに抗議したりは、しない方がいいかと……。)
7月ですか! くそぉー、5月の放送が終わったら即解約しようと思っていたのに。 何かもう、完全に足元見られまくりですがな。 そうこうしているうちに、今度はパリとニューヨーク公演の放送がありそうで恐ろしい……いつになったら解約できることやら。 いずれ、「創造の夜」もやるのかなぁ。
WOWOWで生中継された、Xの復活ライヴ初日「破壊の夜」。それが5月に再放送されるということだったので、WOWOWに加入した。 悔いの残るライヴだったとは言え、参戦したライヴだからこそ、やっぱり映像を手元に残しておきたいから。
ところが! リクエストが多かったために急遽、再放送ではなく、2日目の「無謀な夜」を放送することになったらしい。 えーとですね、「無謀な夜」と3日目の「創造の夜」はインターネットサイトDMMの配信を買って観るつもりでして、「無謀」は既に購入、ダウンロード済なわけですが。 まあ、DMMは限られた期間しか観られないので、WOWOWの放送で「無謀」を保存しておけるのは嬉しいんだけども。
Xのこととなると見境なくなる私、WOWOWに足元見られているような、いいように転がされているような気がする。
「破壊」の再放送もしてくれるよう、WOWOWにメールを送るつもり。 でも、hideの追悼ライヴも放送するようなので、それで許す。
どうしよう。イライラして発狂しそうだ。
ときどき嫌と言うほど強烈に認識させられるんだけど、私はサラリーウーマンでいることや企業という組織の一員であることに向いていない、と思う。それなりに、上手くやってはいるつもり。でも、たぶん本当は向いていない。向いていないのは、私が捻くれているからかもしれないし、人と関わるのが無性に嫌になることがあるからかもしれない。 かと言って、(広義の意味での)自営業なんて私には荷が重過ぎるから、何だかんだ言ってもサラリーウーマンでいるのが、ある意味一番楽っちゃ楽なんだよな。
基本、経営陣が話し始めるとイラっとする。話の内容がどうのと言うんじゃなく、反射的にイライラしてくる。 根深いところで「経営陣は敵」と思っている節のある自分、どうにかならないものか。 何でこんなに、企業ってものに対して不信感があるんだろう。我ながら不思議。 「うちの会社の○○社長や△△部長」に対する不信感じゃないんだよね。一般的な企業や経営陣に対する不信感があるような気がする。そんな抽象的なものに不信感を抱いても仕方ないのに。自分も企業の構成要員なのに、笑っちゃう。
4月から、うちの職場の長がかわった。3月までいた長は……何と言うか、今まで見たことのないタイプの人で、ぶっちゃけパワハラ野郎だし、細かいことをグチグチ言うし、いつも眉間に皺を寄せて目が笑っていない人だった。 でも、職場の問題点を全てその人のせいにしてしまうのは違うだろ! と思う。幹部陣には、どうもそういう言動が見られるので、辟易する。 いなくなった人に責任を押し付けるのは簡単だけどね。
物を壁にぶつけて破壊したい、と思った。YOSHIKIがドラムを破壊するみたいに。 この衝動が3年前に感じたものに似ていて、怖くなる。
愛する人の声だけ聴いていたい。大好きなものにだけ囲まれていたい。 それが叶わないなら、せめて、5時15分を過ぎたらオジサンの傍にはいたくない。残業代払ってくれるなら別だけど。
Xネタで引っ張りすぎました。今日から通常営業に戻ります。 ライヴ日記では、ところどころでX風味な口調ついが出てしまったので、自分が柄の悪いイメージになりつつあるんではないかと心配な今日この頃……全部Xが悪いんです(何を今更!)。 ワタクシ、本当は、Xファンと言うと驚かれるキャラなんです。ジュディマリが好きだって言ったら、「あー、そんな感じ」って言われるキャラなんです。 しばらくはジュディマリ・キャラで行きたいと思います(……たぶん無理)。
えーと、いつのまにやら4月になっていました。そして、いつのまにやら入社から丸2年が経ち、3年目に突入、今年も新人さんが入ってきました。 団地の前の桜は、今年になって枝を切ったせいなのか、この春は「咲き乱れる」と言えるほどではありませんでした。 桜の自己主張が弱かった上に、私がライヴ騒動中だったため桜を愛でる余裕がなく、気がつくと散っておりました。 来年は、満開の桜を見上げて目を細める余裕がありますように。
2008年04月07日(月) |
★ライヴその後★攻撃は、まだ再開されたばかりだろ!? |
ライヴ終了から今までの心の変遷と、今の心境。 昨日書いた「苦言」は偽りのない本心だ。でも、これから書く想いも、紛れもない真実。
ライヴの最後までいられないかもしれないと思っていたのに、予想外に短かかったため、終演に立ち会うことはできた。それはよかったのだが、唐突な終わり方に呆然としてしたまま帰路を辿ることとなった。電車の混雑ぶりに、ライヴの興奮がかき消されそうになりながら。
翌日(29日)の朝、目覚めたとき「あれは夢だったのかもしれない」と思った。夢だったらいいのに、ライヴは本当はまだ一週間先……ってオチだったらいいのに、と。 午後、あまりに不完全燃焼感が凄まじいので、「白い夜」のDVDを観た。アコースティックバージョンのROSE OF PAINで、号泣。祭りのあとの虚脱感と、悔しさと、ライヴの余韻が渦になって、吐き出さなければ苦しくてどうにかなりそうだった。 ひとしきり号泣すると少しすっきりして、気分が持ち直した。きっと、メンバー自身が一番悔しかったに違いない、と思えた。 が、夜になって、どうしても「無謀の夜」が気になり、mixiで情報収集してしまった。すると、開場も開演もほぼ定刻通りで、ライヴ内容も素晴らしかったとのこと。 それで、また号泣。自分が取り残された気がした。 30日はチケットが外れたから仕方ない。自分の体力を考えると、たとえチケットが取れたとしても2日続けての参戦は難しいだろうと思って、29日はチケットを取ろうともしなかった。それが悔やまれた。無理してでも行けばよかった。 初日でアクシデントが起きたからこそ、残り2日は大成功してメンバーが完全燃焼することを祈っていた。それは本当。けれども、やり切れなかったのも、また事実だ。初日はリハーサルだったの? と思った。
いま思うに、ライヴ翌日の土曜日にあれだけ泣いたのは、悔しかっただけじゃなく、ライヴで受け取ったエネルギーがあまりにも強大すぎて、そのエネルギーにやられたからでもあるんだろう。
28日の「破壊の夜」はWOWOWで生中継されていた。我が家はWOWOWに加入していないので、チャンネルを合わせても音はなく、不鮮明な映像が流れるだけだ。実は、それを承知で録画しておいたのだった。 30日の日曜日、その不鮮明なライヴ映像を観てみた。不鮮明でも、どの曲をやっているのか、TOSHIが何と言っているのか全部分かる。I.V.のときは「あぁ、ここで歌唱指導があったんだよなー」と思い返し、紅では、客席一体となって赤ポンポンが振られているのがはっきり分かった。これならメンバーたちも絶対気づいてくれたはずだと思い、安心した。 私は確かにこの場所にいたんだ、と実感して、純粋に感動した。何と言っても、Silent JealousyとアコースティックバージョンのSay Anythingが聞けたんだもの。それだけでも、すごいことだ。 行って良かったと、そこで始めてきちんと認識した。
それから、グッズ販売で買ったパンフレットを読んだ。メンバーひとりひとりのインタビューはどれも内容が濃かったが、中でも、TOSHIのインタビューには涙が出た。 自分が原因を作った解散から10年間の想い、Xヘの想い、HIDEへの想い、そしてYOSHIKIへの想い。TOSHIの想いがストレートに伝わってきて、泣けた。このインタビューを読むことができただけでも、高いチケット代を払っただけの価値がある、と思えた。 友達って本当にいいものだ。青臭いかもしれないけれど、それがTOSHIのインタビューを読んで真っ先に浮かんだ正直な感想だった。 私は仲の良い友達であればあるほど「一緒に仕事はしたくないなぁ」と思ってしまうタイプなので、余計にTOSHIとYOSHIKIの結び付きには感服する。 幼稚園のすみれ組からの繋がりだもの、途中10年離れたとしても、その絆は周りの想像を超えたものなんだろう。
パンフレットを読み終えて、私は「ま、しゃあねぇか」と思った。完全に納得できたわけではなかったけれど、少なくとも、自分を納得させる努力をする気にはなった。
バカみたいな話だけど、ライヴ前の私は、ライヴが終わったら自分の人生がないような気がしていた。それは具体的な「死」を思ったのではなくて、例えば「4月以降も相変わらず仕事をしている自分」というものを想像できなかったのだ。ライヴで燃え尽きて、それで終わり。そう思っていた。 でも、ライヴで完全燃焼できなかったとあっては、これで終わりにはできない。こんなんじゃ、私の人生、終われない。 Xが無敵なら、私だって無敵だ。Xが攻撃再開したのなら、もちろん私だって。そしてその攻撃は、まだ再開されたばかりでしょ? こんなんで、終わるわけがないでしょ? 終わらせてたまるかよ。絶対に、また会いに行ってやる! そんな闘志が、むくむくと湧いた。
TOSHIのMCをもっともっと聴きたかった。 YOSHIKIのこどもみたいな笑顔をもっと見たかった。 もっともっと名前を叫びたかった。「We are X!!」って叫びたかった。 Xジャンプだって、私はジャンプそのものはできないけど、加わりたかった。 そして、ちゃんと手を振って、見送りたかった。
こんなに悔いが残るから、行けるところならどこだって、また会いに行くよ。
今回のライヴには、ものすごく期待していた。期待が大きかったから、落胆も大きかった。考えてみたらさぁ、他のアーティストならこんなにガッカリしなかったはずなんだ。 それだけ、私の中でXの存在が大きいってことだ。それを、思い知らされた。
車椅子は、1台目から自分にぴったりのものに出会えるわけじゃない。何台も乗り替えることで、だんだん自分に合うタイプが分かってきて、ぴったりの車椅子を見つけられるんだ。 就職だって、そう。私は新卒のとき、なかなか就職が決まらなかったから、決まったときは「就職できた」ってだけで本当に嬉しかった。でも、結局その初めての就職先は、1年足らずで辞めてしまった。そして、2社目の今、何だかんだ文句を言いながらも3年目に入った。骨を埋める覚悟はできていないけれど、当面はこの調子でやっていけたらいいと思っている。
そんなもんだ。何事も、はじめから100%うまくいって大満足、なんてあるわけがない。 Xのライヴは今回が初めてだった。初めてのライヴが最高のものだったら、私はそれで満足してしまっていたかもしれない。「もういいや。これで人生に悔いはない」と思ってしまっていたかもしれない。 心に残ったモヤモヤと悔しさは、Xからのメッセージなのかもしれない、と思う。「俺たち、こんなもんじゃねーぞ」って。「だから、お前の人生もこんなもんじゃねー、これで終わりじゃねーぞ」って。「まだまだ先があるから、覚悟しとけよ!」って。
私はさ、今までずっとずっとXに生かされてきた。中学2年の自然教室へ向かうバスの中、紅に衝撃を受けてからずっと、その途方もないエネルギーで生かされてきたんだ。 だから、これからだって生かされていくんだろう。待たされて待たされて、心配もさせられて、時には呆れたりぶち切れたりしながら、それでもやっぱりXに生かされる。 ったく、しょうがねーな。
復活したのは嬉しいけれど、ずっとは続かないような気がしていた。あまり続けなくてもいいんじゃないかと思っていた。またXJAPANとして本格的に活動するのは、TOSHIの重荷になるんじゃないかと心配だった。 今は違う。 Xがメインの活動じゃなくてもいい。でも、Xという形は、できることなら継続してほしい。一時中断は何度だって、何年だってあっていいから、「完全な終わり」にはしないでほしい。だってさぁ、「破滅に向かって」いる間は、「破滅」そのものではないんだから。
これで終わると思うなよ!
2008年04月06日(日) |
★ライヴその後★苦言 |
今回のXJAPAN復活ライヴ、セットも演出も非常に素晴らしかったと思う。特にHIDEのホログラムは、まさかあそこまでの演出があるとは予想していなかったので(スクリーンにHIDEが出るだけだろうと思っていた)、本当に感動した。HIDEに対するメンバーの愛情やスタッフの努力が伝わってきて、嬉しかった。 それに何より、TOSHIの歌とMCを生で聴けたこと、聴きたかった曲を聴けたことは、他のどんなマイナス面を考慮したとしても、私の中でその大きな意味が損なわれることはない。
それでもやはり、「破壊の夜」しか行けなかった立場としては、もやもやが残ってしまう。「無謀な夜」「創造の夜」が大成功だったらしいことを参戦者の満足の声と共に見聞きすると、どうしても「何で初日だけ……」と悔しさを覚えてしまう。 一週間経ってだいぶ冷静になった今、私の正直な気持ち――感謝と感動の裏側に張り付いた苦言――をまとめて書いてみたい。 そして、いつまでもグチグチ言っていても仕方ないので、文句は今日限りにしたいと思う。
まず、「破壊の夜」で私が感じた問題点は以下の3つだ。 ・予定時間から開場が2時間、開演が2時間20分遅れた ・それによってライヴ自体が大幅に短くなり、2時間弱しか行われなかった ・ライヴが唐突に終わった
初日が大波乱の夜だったので、YOSHIKIの体のことも含めてあとの2日が心配だったけれど、無事に有終の美を飾ったようなので安堵した。結果的に、3daysを通して振り返ると今回の復活ライヴは成功と言えるのではないか。それでメンバーたちは初日の悔しさが少しは晴れただろから、私だってそれは良かったと心底思う。 東京ドームでは、規定で夜10時までしかライヴを行えないらしい。押しに押して「もう電源を切りますよ!」とドーム側に言われる中、YOSHIKIは舞台袖に引っ込むたびに頭を下げて交渉したという。何とか粘って、ART OF LIFEまでやった。時間が押したのは機材トラブルが原因だったけれど、YOSHIKIはHIDEのホログラムを諦めなかった。時間を押してでも、どうしても等身大のHIDEを私たちの前に登場させたかった。その強い思いには頭が下がるし、敬服する。
こんなふうにポジティブに受け止めている部分があるのは、私の中でXJAPANに対して感情的な繋がりがあるからだ。 けれども、感情的な繋がりがあるからと言って、「ま、Xだからしょうがないか」で全てが済ませられるわけではない。Xファンは待つことに慣れているけれど、少なくとも私にとっては、今回は限度を超えていた。
シビアに考えれば、ライヴは金銭的な契約だ。 私たち観客はチケット代金を払う(それも、Xのチケットは他のアーティストに比べて高い)。アーティストとスタッフは、チケット代に見合うライヴを提供する。3daysライヴと言っても、3日間の通しチケットではないのだから、1日ずつ完成されたライヴを提供しなければならないはずだ。 セットリストは事前に公表されているわけではないから、どんなにライヴが短かったとしても、それは観客の期待と予想が外れただけのこと。だから、契約不履行ということにはならないだろう。 しかし、開場と開演時間に関しては、予定時間が明記されている以上、できるかぎり予定通り執り行えるようにするべきではないか。何が起こるか分からないのもライヴの醍醐味ではあるから、ある程度の遅延は仕方ない。観客側だってリスクは承知だし、それなりの覚悟はしている。 が、2時間遅れというのはあんまりではないか。最高のセットと演出と演奏をするための遅延と言っても、それはそれ、これはこれ。最高のライヴを時間通りに提供するのが、プロではないのか。
ライヴは「なまもの」だから、アクシデントはつき物だろう。仕方ないと言えば仕方ない。やってみて、遅れたことや、できなかったことは今更言っても始まらない。 ライヴが中止されたのではないから、チケットの返金を訴えようなどという気持ちはさらさらないし、そもそも返金なんて意味がない。振替公演をしたとしても、ライヴはその日限りのものだから、同じセットリストだとしても取り戻せない点は多いだろう。
大幅な遅延とそれによるライヴの短縮がどうにもならないことであるなら、せめて、その場できちんと説明をすべきだろう。プロが負う責任の中で、「説明責任」の割合は非常に高いと思う。 私は仕事でオペレーターをしているが、お客様からの苦情を受けることもある。どんな企業、どんな仕事でも、人間のやることだから時には手違いが起こってしまうこともあり、それはある程度仕方のないことだ(もちろん、企業側が「仕方ない」と言うのは言語道断だけれど)。では、手違いが起きたときにどうするか、何ができるのかと言えば、第一に、とにかく説明責任を果たすことだ。なぜ手違いが起きたのか、今どのような状況か、今後どういった対応ができるのか。それらをきちんとお客様に説明することから始めるより、他はない。
ライヴの話に戻ると、寒いなか開場を待っているとき、係員から何度も同じ言葉が繰り返された。 「開場時間ではありますが、ただいまリハーサル中のため、まだ開場ができません。もうしばらくお待ち下さい。皆様のご理解とご協力をお願いいたします」と。 機材トラブルについては一言も触れられなかった。 リハーサルをしていたのは本当だったかもしれない。けれども、そもそもなぜリハが押したのかと言えば、始めに機材トラブルや設営の遅れがあって、そこから全てが押していたからだろう。 そこら辺の原因を何も説明せずに、ただ「リハーサル中です」と言うだけでは、「リハーサルをしていると言えば、私たちが『YOSHIKIも頑張っているんだから、私たちも我慢して待とう!』と大人しく黙るとでも思っているんじゃないのか!?」という穿った見方をしてしまう。 しかも、最後のほうは係員の口調が非常に投げやりで、私は長時間待たされていることよりも、むしろその口調に腹が立ったほどだ。時間が押しているのはあなたのせいではないが、あなたは観客ではなく運営側の人間でしょう、そんな立場の人が投げやり&逆切れ気味の口調でどうするんだ! と。うちのセンターに入る苦情の大部分は他部署のミスが原因なのだけど、それでも私は企業側の人間としてできるだけ丁寧に謝りますけどね。
それから、TOSHIのMCについて。 ライヴ参戦記にも書いたけれど、ライヴの冒頭でTOSHIは「だいぶ待たせて悪かったな。YOSHIKIがちょっと遅れたぜ」と言った。 YOSHIKIはそういうキャラだし、一発目のMCではノリが大事だから、それでよかったと思う。 ただ、それで終わりなの!? とも思ってしまったのだ。少々の遅れ(私の感覚だと30分が限度)なら、YOSHIKIのせいってことで片付けるのも十分「あり」かもしれない。が、今回は2時間だ。 翌日のYOSHIKIの会見で機材トラブルが原因だったことが説明されたし、後日TOSHIのブログでも遅延の謝罪があった。 それでもやはり、私は当日あの場で何らかのきちんとした説明がほしかった。TOSHIであれば、Say AnythingかI.V.の前にでも、一言、真面目な説明ができたはずだ。
私が今回のライヴで一番残念だったのは、あまりに唐突な終わり方だった、それをメンバーが選んだことだ。 YOSHIKIが倒れてメンバーが舞台袖に引っ込み、ライヴ終了のアナウンスが流れるまで、本当にあっと言う間だった。メンバーに別れを告げる暇も、余韻に浸る間もなかった。 私にはYOSHIKIが本当にぶっ倒れたように見えたけれど、真偽は分からない。ライヴを終わらせるために演出で倒れるつもりだったのが、力尽きて本当に失神してしまったのかもしれない。 完全な演出だとしたら、あの場ですべきことではなかったと思う。「倒れる=観客にきちんとけじめのある別れができない」ということだから。ライヴ中に演出で倒れるのはYOSHIKIのパフォーマンスの一つだから別に構わないけれど、そういう終わり方は散々待たせたファンに対してあんまりではないか? もし本当に倒れたのだとしても、他のメンバーはもっと違う対応ができたはずだ。 ART OF LIFEが終わってすぐ手を振りながら去るのではなく、一度ステージ上に立ち止まって4人で、YOSHIKIが起きれないのなら3人で、挨拶をしてきちんと終わらせてほしかった(「5人でX」と言っても、現実的に責任を取れるのは4人なので)。 今日は機材トラブルがあって遅れてしまい、ライヴが短くなってしまった。10年ぶりに大勢集まってくれたのに申し訳ない。絶対にまた会いましょう。 それくらいのことを、TOSHIが代表して言ってくれてもいいのではないか。 機材トラブルが誰の責任によるものなのかは分からない。スタッフの準備不足なのかYOSHIKIが妥協しなかったからか、アーティストとスタッフを含めた全員の見通しの甘さのせいなのか。 いずれにしても、アーティストに直接の責任があろうとなかろうと、観客に対してはアーティストは責任の一端を担っているし、前面に立って説明なり謝罪なりの対応ができるのも、スタッフではなくアーティストなのだ。 だからこそ、ああいう終わり方はないんじゃない? と、私は思うのです。
YOSHIKIおよびXJAPANを見ていて常々思うのだけど、アーティスト性とプロ意識のバランスを上手く維持していくのって、難しいことだ。 YOSHIKIは妥協しない。妥協しないで作品を作る。だから発売がとてもつもなく遅れる。妥協しないでドラムを叩く。だから倒れる。挙句にライヴが中止になったりする。 私たちはそのアーティスト性に惹かれるから、何時間でも何年でも待つ。そうして待つことに慣れてしまい、「ま、Xだからなぁ」などと言って、「待たせるのもXの醍醐味の一つ」みたいな雰囲気ができてしまう。 でも、プロとして、それはどうなの? と思うことも私は少なくない。少なくないけれど、Xの無敵なエネルギーを前にすると、そんなことはどうでもよくなってしまう。そして、離れられない。
今回のライヴの終わり方も、結局のところプロ意識よりアーティスト性(=YOSHIKI流の美学?)が勝ってしまったんだなぁと思ったのだった。
2008年04月04日(金) |
★X復活ライヴ参戦記★ライヴ編(2) |
出発〜開場編 ライヴ編(1)
XJAPAN 攻撃再開2008 I.V.〜破滅に向かって〜 3月28日(金) 破壊の夜
セットリスト↓(ソロコーナーは、過去のライヴを参考に私が適当にタイトルをつけました) The Last Song(SE) Rusty Nail WEEK END SCARS featuring HIDE Silent Jealousy(guitar:SUGIZO) HIDEの部屋with PATA,HEATH Say Anything featuring TOSHI,PATA,HEATH YOSHIKI piano solo Without You(YOSIKI&TOSHI) I.V.(guitar:SUGIZO) 紅 ART OF LIFE(第2楽章まで) Longing〜跡切れたMelody(SE)
HIDEの部屋が終わり、YOSHIKIが登場する前にかかるようなBGMが流れた。「次はドラム・ソロか!?」と思ったが、ステージに現れたのは予想に反してTOSHI、PAATA、HEATHの3人だった。 手を上げながら、「どうもありがとう!」と歓声に応えるTOSHI。この日、TOSHIは何度か「どうもありがとう!」と言ったが、その言い方は昔のX時代とは少し違って、もっと柔らかく、どこか一昔前のフォーク歌手みたいだと思った。これが、素に近いTOSHIなんだなぁ。
TOSHI「僕は10年間癒し系でやってきたので、一発目に叫んだとき、声がひっくり返っちゃった」
ええっ、そうだったっけ!? 全然気がつかなかったよ。言わなきゃ、分からんのに。 そのあとも、TOSHIは照れ隠しのように、わざと声をひっくり返してみせた。相変わらずお茶目なTOSHIくんだったけれど、もしかするとまだ少しこの空間に馴染んでいなくて、様子見の段階なのかもしれないと思った。何せ10年ぶりの東京ドーム、10年ぶりの5万5千人だもんね。
TOSHIは「10年ぶりなのに、こんなに集まってくれて……」と感慨深げに言い、PATA、HEATHと3人で椅子に腰掛けてSay Anythingのアコースティック・バージョンを披露してくれた。 実はこれ、Silent Jealousyと同じくらい聴きたかったんだ。 過去のライヴDVDの中で一番好きなのは、94年の東京ドーム「青い夜」と「白い夜」だ。その中で、TOSHIはソロコーナーでゲストにソプラノサックス奏者を呼んで、このSay Anythingのアコースティック・バージョンを歌った。次に、HIDEとPATAの3人でROSE OF PAINのアコースティック・バージョンをやった。いつにも増してTOSHIの歌の上手さが際立っていたし、「いつものXのTOSHI」とは一味違う素に近い彼の魅力が出ていて、とても印象的な2曲だった。 今回はその2曲を統合したような、「3人でのSay Anything」だった。
TOSHIの声、伸びる伸びる。 TOSHIに出会えてよかったよ。その声に出会えて、よかった。ものすごく悲しい思いもしたけれどね、そこを越えて、今TOSHIの歌を聞いている自分は間違っていなかった、と思う。断ち切らなくて、よかった。生きていれば、あらゆることは起こり得るんだ。
東京ドームは音が悪いという情報を聞いたり見たりしていたから、私はかなり覚悟をしていて、音そのものに関しては期待しないようにしていた。 でも実際は、東京ドームの音質に関して私はまったく気にならなかった(ときどき、各パートの音のバランスが悪いかな? と思うことはあったけれど、それがドームのせいなのか演奏の問題なのかは分からない)。 「東京ドームの音」に関してまったく不満を持たなかったのは、TOSHIの歌唱力によるところが大きいのではないかと思う。ライヴだとCDに比べて歌の完成度が低くなってしまい、その質の低下を生の音の迫力で補うことによって「それでもやっぱりライヴはいい!」となることも多いのではないか。だけど、TOSHIの場合は全然そうじゃなかった。CDに引けを取らないどころか、さらに伸びやかで感情がこもっている気がした。 今更ながら、「あぁ、この人って本当に歌が上手いんだ」と実感した。この10年間で、歌に深みが増したのかもしれない。
Say Anythingが終わって3人は退場、入れ替わりにYOSHIKIが登場した。 ピアノソロの前、いつものように赤い薔薇を客席に投げたけれど、笑顔の中にも陰りがあるように見えて、心がざわついた。 「ピアノソロ」とは呼べないかもしれないくらいの短いフレーズを弾いたあと、そのままWithout Youのイントロに続いた。再びTOSHIが姿を現し、二人でのWithout Youを初披露。 歌が入った形では初めて聴いた。シンフォニックコンサートでYOSHIKIが「この曲はTOSHIがいないとできないから」と言った曲。HIDEへのレクイエム、そして、YOSHIKIとTOSHIを再び結びつけた曲。YOSHIKIがHIDEのために書いた曲だけど、逆にHIDEが二人のためにYOSHIKIに書かせたんじゃないかと思う。 スクリーンには、HIDEを中心に、Xのデビュー当時からの映像が流れた。 ねぇ、この演出、反則でしょ? ただでさえ、この曲は泣いてしまうのに、これはもう号泣させようとしているとしか思えない。 普通、ステージ上で見せ場を作っているメンバーの名前が一番叫ばれるのに、Without Youのときは、ほとんどがHIDEコールだった。 HIDEはもういない。取り返しがつかない。でも、絶対にすぐ近くにいるはずのHIDEに向かって、みんな叫んでいた。その叫びに「何でいないんだよ、バカヤロー!」という気持ちが混ざっていたのは、私だけじゃなかった、と思う。 スクリーンもステージもこの目でちゃんと見たいのに、だんだん見えなくなって、曲自体もあまり集中して聴くことができなかった。これから何度だって、聴く機会はあるよね?
TOSHI「新生Xの曲Without Youを聴いてもらいました。次も新曲です」
YOSHIKIがピアノでI.V.を伴奏し、TOSHIがサビを何度か繰り返した。なかなか先に進まないし、やけに英語を分かりやすく歌うので不思議に思っていると、
TOSHI「YOSHIKIのリクエストで、ここをみんなに歌ってほしいそうです」
YOSHIKI、頷く。あぁ、なるほどね。 PATAとHEATHのコーラス部分を私たちも歌う、ということらしい。 で、しばらく練習タイム。同じところを繰り返す。YOSHIKIのピアノ伴奏でTOSHIの歌唱指導を受けられるとは、なんと贅沢な! 私たちが慣れてきたのを見計らって、だんだん曲が盛り上がりを見せる。そして、PATA、HEATH、SUGIZOが登場。 曲の間、ステージの後ろのスクリーン(ここにもスクリーンがあったんだ!)に歌詞が流れていた。TOSHIの英語の発音が上手くなったせいか、プロモを観ているだけでは歌詞がさっぱり分からなかったので、ありがたい。セットの柱か何かが邪魔で、私のところからは歌詞に見えない部分があったのが少々残念ではあるけれど。
続いては……紅のイントロだ!!! 赤ポンポンを持ち、その時点ですでに高かったテンションがさらに跳ね上がった。 歌の前のギターソロで、スクリーンにはHIDEが大写しになる。 そして、たぶん、この紅の途中からだったと思うのだけど、HIDEがステージ上に現れた。ホログラムというらしいけれど、HIDEの等身大の3Gが出現したのだ。 輪郭がぼわーっとしていて、HIDEが本当に降りてきたように感じられた。技術的なことなんて分からない。何がどうなっているのか分からない。でも、確かにHIDEはそこにいて、ギターを弾いていた。 予想を超えた技術と演出に驚愕している間に、曲は進んでしまう。他のメンバーも見なきゃいけないし、歌いながらポンポンも振らなきゃだし、TOSHIがマイクを向けて煽るから「腹から声出さなきゃ!」だし、忙しい。
花道に出てきたTOSHIが、サビの「紅に染まった〜」で私たちに向かってマイクを突き上げる姿を、私はずっとずっと忘れない。頭がくっつくくらいYOSHIKIの傍に寄って歌うときの、TOSHIの楽しそうな表情も。
1階スタンドから見下ろしたアリーナ席は、赤ポンポンで埋め尽くされていた。復活を祝して振られる紅い花。サプライズ企画が成功した瞬間だった。 ステージ上のメンバーたちは、気付いてくれたかな。気付いてくれたよね?
このライヴで悔いが残ったことの一つが、HEATHを観る暇があまりなかったことだ。 スクリーンの一つには常にHIDE。他のスクリーンにはメンバーがそれぞれ映っている。豆粒ほどにしか見えない、ステー上のYOSHIKI、PATA、HEATH、そして花道で歌う、やはり豆粒大のTOSHI。 どこもここも観たいけれど、いっぺんに全部は観切れない。それで結局、HEATHを堪能する余裕がなかった。でも、ちょっと観ただけでも、HEATHはめちゃくちゃ恰好良かった。10年経って、むしろ若返った気がする。 PATAはよく目に付いたんだけどなぁ。PATAは全然変わらない。メンバーの中でPATAが一番長生きするんじゃいかと、私は密かに思っている。まぁ、お酒で肝臓がやられていなければの話だけど。
紅が終わり、メンバーが退場。 しばらくアンコールの手拍子が続いたあと、スタンドでウェーブが始まった。このアンコール・ウェーブも、Xのライヴで絶対やりたかったことの一つ。 スタンドで何度かウェーブをやって、今度はアリーナ席にウェーブを促すため、アリーナ・コールが起こった。 そうこうしていると、メンバーが再登場。
そして、始まったのは……ART OF LIFE。
思わず耳を疑った。 ART OF LIFEは30分以上ある曲で、過去ライヴでは2度しか演奏されていない。TOSHIはちょこちょこ休めるからいいけれど、あとの人たちはピアノソロの部分以外ではギター弾きっぱなし、ベース弾きっぱなし、そしてドラム叩きっぱなしになる。 10年ぶりのライヴで、この曲をやるのか! この人たち、本当になんて無謀な奴らなんだろう。 これはYOSHIKIが倒れるな、1曲全部やらないかもしれない。そう思った。 ART OF LIFE演奏中は、全員がものすごく真剣になる。楽しそうな様子が微塵も感じられない。PATAとHEATHは直立不動でひたすら弾く。いつもはおどけて見せたり前に出てアピールしたりパフォーマンスしたりするHIDEでさえ、そうなのだ。 見ているほうも真剣になって力が入るが、直立不動のメンバーにはちょっと笑える。
曲のちょうど半分、第2楽章をTOSHIが歌い切り、YOSHIKIがドラムを叩く、叩く、叩きまくる……。
全ての力を振り絞ってドラムを叩き、そして崩れ落ちた。
沸き起こる悲鳴。 倒れることは予想していたものの、本当に倒れてしまったように見えたので、息を呑んでじっと見つめた。
TOSHIが「また会おうぜ!」と手を振りながら、PATA、HEATHと共に去って行った。 YOSHIKIはスタッフに抱えられ、運ばれていく。
少し待てば、YOSHIKIも復活して全員でまた出てくるのだと思った。 ところが、そう時間を置かずに「これにて本日の公演は終了いたします」というアナウンスが流れた。
あまりに無情な響きだった。 会場中から「えー!!」という叫び声が起こる中、私が事態がよく飲み込めずに呆然としていた。 開演して、まだ2時間弱しか経っていない。オルガスムも"X"も、ENDLESS RAINもなしってこと……? 暴れん坊将軍になるのはここからだ! と思っていたのに。 マラソンを全力疾走するつもりでいたら、突然目の前にゴールテープを引かれた。そんな感じだった。
客席には照明がつき、規制退場のアナウンスと共にLonging〜跡切れたMelodyのSEが流れていた。
私のXライヴ初参戦は、こうして唐突に幕を下ろした。
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