非常に遺憾なことがありました。
彼らに「あんたらそれでも親か!」とキレたらよかったのかもしれない。
夜中1時前くらい、閉店間際のラーメン屋さんに家族連れが来店されました。
父母・祖父と2歳の娘。
女の子はアンパンマンの風船を持っていたので、 日曜日だしどこかへおでかけしたのかなと思い、 こんな遅い時間に小さい子どもを連れてラーメン屋さんに来るのも やむを得ない稀なケースの日なんだろうと考えていました。
ただ、晩ご飯にラーメンを食べに来た様子ではなく、 餃子とビールを2人前注文して飲みはじめたではないですか。
お母さんはまもなくテーブルに突っ伏して寝入ってしまい、 一人残された女の子はアンパンマンの風船を持って店の中をうろうろし始めました。
あと店内にいるのは、たまたま遊びに来てた前のこのラーメン屋の店長と、 それに呼び出されて飲みにつき合わされている近所の八百屋のお姉さんの 二人組だけでした。
やがて女の子が店の外に出ようとしていたので 元店長が「お外に出たらだめよ〜」と優しく制止して、 「いくつ〜?かわいいね〜?」といっしょに遊び始めました。
元店長が子ども好きという意外な一面にも驚きましたが、 女の子が店を出ようとするところから、元店長と遊び始め、 枝豆やラーメンをぱくぱく食べ始めるその間まで、 両親たちが一切、女の子のことを気にもとめなかったことが、 なおびっくりでした。
お腹すかしてるみたいだし、そういえば彼らが注文したのは餃子とビールだけで、 ラーメンやオレンジジュースをすることもなかったなぁと思ったり。
おむつも濡れてぱんぱんになってて、八百屋のお姉さんが おむつ濡れてるみたいですけど「かえ」はありますか? と彼らに尋ねると、彼らはお姉さんにおむつを渡して、 結局お姉さんがおむつをかえてあげてました。
お姉さんも彼らのことがわかってるふうだったので、 たぶん「濡れてますよ〜」ではなく「ありますか?」と聞いたんだと思います。
女の子は元店長たちにすごいなついていて、 アンパンマンの風船についてるキャラクターたちやケータイのストラップを 見つけては「これはなに?」「これは?」といろいろ聞いて遊んだり、 「まめ、まめ」といって枝豆をせがんだりしていました。
その姿がかわいいことかわいいこと。
そしてその分また、女の子が不憫に思えてしかたありませんでした。
いっこうに女の子のことをかまわない彼らに次第に元店長たちも 腹が立ってきたようで、「聞こえてもかまわんさ」な感じで、 「そんなにお腹がすいてるの?何も食べさせてもらってないんだね〜」とか 「こんなにかわいいのにほったらかしにされてひどいね〜」とか 口々に言ったり言わなかったりしました。
いいかげん悪いと思ったのか彼らは「すいませんねー、迷惑をかけて」と 挨拶というか礼を言いに来てビールを入れてきて、さ、あっちに帰ろうねと 父と祖父が言うと、女の子はいやいやして言うことを聞きません(そりゃそうだ)。
父が冗談で「じゃあもう置いてくからねっ」と言う言葉が、 妙なリアルさをもって嫌な感じになりました。
――置いてってもらったほうが彼女にとって幸せなんじゃないか――。
元店長たちになつく女の子を見て、祖父はさらに 「なんならこの子連れて帰ってもらっても…」と言い出しました。
たとえ冗談でも普通それは言わんでしょうよ、って感じです。
やっぱりこの子は全く愛されていないんだろうなぁと思いました。
万が一に本当は愛してるのだとしても、 そんなやり方だったら絶対に伝わらないよね。
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