こんな一日でした。
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2005年08月30日(火) |
待っていてくれる、ということ |
去年末、佐藤美術館での個展について、某ギャラリー情報誌が紹介を載せてくれた。その記事を見た方が会場に問い合わせの電話までして、訪れてくださった。とても熱心に見てくださり、次に作品を描いたら写真を送って欲しい、とのこと。では、夏までに、と約束をしたのだった。
7月にはお送りする心つもりだったのだが、仙台での個展の機会を得たこととや母の入院もあって、7月には写真をお送りできず、やっと8月も下旬になってお送りできた。遅くなるかもしれないとの私の便りに「待っている時間も楽しみ」との返事。本当に感謝、感謝である。 新しく描いたその作品を気に入って下さって、昨日、絵はその方の元に無事届いた。
個展が終わると、ふぬけたようになって、しばらく何も浮かばないことが多い。前々回の時、それで失敗し、恩師の同人誌の中表紙の絵をとうとう納められず、ボツになるという失態もしてしまった。あのときは個展の後、作品の至らなさに、落ち込んでしまったりもしたので、ふぬけかたが半端でなかったのだ。
7月の個展も、至らなさを感じる発表ではあったけれど、次につながる何かを得られた気がする。そのためか、会期後の「ふぬけ」感が少ない。新作の写真をお送りする約束もある。無名の、私の絵を、半年以上も待っていてくれる人がいるのだ。その約束は、私を「次」に引っ張ってくれた。 自分の中に、次にやってみたいことが見えていて、それを待っていてくれる人がいる。これほど幸福なことはないだろうと思う。
美術には、評価をする立場の人がたくさんいて、そういった人に評価されないとなかなか暮らしてはいけないみたいだ。私は、そういった人々と、さっぱり縁がない。でも、作品を楽しみにしていてくれる人がいる。待っていてくれる人さえいる。そのことを支えに、自分は生きていこうと思う。
2005年08月16日(火) |
我が家における地震被害 |
またまた宮城県沖の地震が発生。宮城県南部に位置する我が家の辺りは震源地も近く、震度5弱の揺れを観測。体感としては、もっと大きかった。 幸い、怪我もなく、食器が割れるという被害もなかった。 レジンキャストという、フィギアで使われる素材で出来た人形がちょっと傾いた程度。我が家で、地震によって動いたものは、これだけ。 ちなみに、このお人形が傾いたのを、転ばせずに支えてくれていたのは、イタリアの抱き人形。味のあるビンテージドール。その様子が可愛らしかったので、写真を撮ってみた。
人形好き同士で「災害にあったとき、どの子を連れて逃げるか?」が話題になることがある。のんきな事を、と思われるだろう。しかし、当人達はいたって真剣。切実な問題である。 避難の時、ペットを連れて行けずに苦しむ人も多いという。ペットですら肩身が狭い時に、他人からすれば単なるモノであるところの人形を連れて行くのは、やはりはばかられるだろう。小さな人形なら気にもされないが、私や私の人形仲間が大事にしている人形は80cmから1mもある。人間の子供のような大きさだ。そんな人形が何体もいる。どの人形も大事でたまらない。
洪水の中を、ジェニーちゃんを何十体と身につけて避難した人の武勇伝を聞いたことがある。馬鹿なことを…と、思われるかもしれない。しかし、私は笑えない。今日のような日は特に、本当に笑えない。
やっと7月の個展での展示作品と会場風景をUP。
宮城に戻ってから、制作ペースが倍になっている。そのため、レイアウトやサイト構成自体を考え直すときに来ている。そう思って、リニューアルを考えてみたら、そのデータの多さに閉口してしまった。 サイトに載せている作品は、実際の作品の半分以下である。それでも、整理しようと思うと気が遠くなる。
データならまだいい。我が家の納屋には、行き場もない大作が、10数年分しまい込まれている訳で、巨大な荷物を背負い続ける人生、ということを引越の度に体感させられる。
もう、人目に触れることもないと思う過去の大作や、HDにたまっていくデータを見るにつけ、ずいぶん遠い所に来てしまった、と思う。高校のころから、絵を描くことを中心に過ごしてきたわけだけど、一枚、一枚、描いているうち、こんなことになってしまった。もう、戻れないなぁ、と思う。続けるほかない。辿り着く地が、少しも見えなくても、泳ぎだしたあの岸辺もまた、はるか彼方なのだから。
先日、普段履きの靴を久しぶりに買ってきた。
私は外出の時にはeccoというメーカーの靴を履く。健康に良いというブランドだ。長時間歩くと腰が痛くなる私は、これを履くようになって、だいぶ痛みがなくなった。
普段、犬の散歩や買い物には「建さん」を履いている。なんと、\490円なりの安い靴。ワークマンという肉体労働の作業着を扱う衣料専門店や、DIYの店に売っている。靴底が滑らないようになっていて、やわらかく、かなり普通の靴よりも底が薄い。砂利道を歩くと、石の感覚が足の裏にはっきり伝わる。走ると、痛い。
実は「寅さん」という同じような靴があって、こちらは980円位する。多分、建さんは寅さんのバッタモンなのだと思う。寅さんはもちろん、葛飾柴又の寅さんの名前を拝借しているのだろう。バッタモンの建さんは、唐獅子牡丹な高倉建と、建設業の建をwミーニングにしているものと思われる。
建さんは10ヶ月くらい履くと親指の辺りに、靴下のごとく穴が開いて、買い換え時となる。気が付けば、もうeccoと建さんだけで数年を生きている。レセプションとか、パーティー、冠婚葬祭の時だけ、ちょっとヒールの高いレディーな靴を履くが、そんな時は自分でないような気持ちになってしまう。
部屋にいるとき、私はよほど寒くなければ裸足だ。靴下をはくと、頭が働かない。だから、砂利道を走ると痛いくらいの建さんが、私には一番似合いなんだろうと思っている。
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