週報を書くのに2日かかってしまった。普段から文章を書きなれている俺は、何かあればこういった報告書類で苦労することはない。だから、書けなかったということは、本当に何もできなかったということ。 さすがにマズイんじゃないか。でも、動こうと思ってもなかなかうまく動けない。何かしたいと思ってもやり方がわからないし、勝手も許されていない。
漫画なんかだと、偶然出会った老人が某会社の社長だったりする幸運(たとえば先週の日記で書いた老人がどっかの財閥のご隠居だったりするのである)で何とかなったり、仕事とは関係ないところでした活動が当たったりするのだが……
配属直後ごろに、「仕事はどうだ?」と聞かれて、「楽しいですよ」と答えたところ、「そう言っているうちはまだまだ甘いな」と言われていた手前、あまり認めたくはないことだが、最近、妙に土日が待ち遠しい。 忙しすぎて体力的にキツイのではなく、あまりにもやることなすことツッコまれるので、精神的にツライ。
月末なので、持っている物件の売上処理があるのだが、上司から引き継いだ仕事でちょっとややこしい物件だったので、結局は任せっぱなし。お金にならない体験版の構築で、余計な時間をかけてしまい、またそれにもいちいち上司に見てもらわなければならないため、それを待っている間手持ち無沙汰になる。 この上司というのがまた、仕事になると無愛想なタイプで(プライベートは意外とお茶目だったりするのだが)、そんな仕事のない状態で隣に座っているとトイレに逃げ込みたくなるのである。
他の部署の新人営業マンはあまり怒られたりしないらしく、よく怒鳴られている僕や一つ上の先輩は近隣の部署からでも目立つらしいが、その分、他より鍛えられている感じはして、ツラい反面、優越感はある。
仕事の愚痴はさておき、平日がそういう状態なので金曜日、仕事が終わった後はとても大きな開放感と共に家路につく。そして先週の金曜日の家路のことであるが、とても惜しい出会いがあった。
僕はいつも天王寺駅で環状線から阪和線に乗り換えるさい、快速をまっていた。列の一番前に陣取って、電車を待っていた。 しかし、自分の並んでいる列は妙に人が少ない。すると、同じように列の一番前で座り込んでいた一人のお爺さんが立ち上がり、僕に「ここには電車止まらないんかな?」と、問いかけてきた。 最初、何の事を言っているか分からなかったが、すぐに理解した。6両編成でやってくるのに8両編成の立ち位置で待っていたのである。せっかく並んでいたのにその目の前には車両は止まらない。 せっかく座れると思って20分も並んでいたのに、その目論見が見事に外れて、お互いに「アホやなー」「アホやりましたねー」と笑いあう。
そのお爺さんは若く見えるというわけではなく、しわの深い、明らかな老人だった。しかし、明るく笑ったり、言動がハッキリしているのでその老いを感じさせない。何より、全く知らない僕に対して話しかける積極性もある。かなり好感のもてるタイプだった。
お爺さんは次の待つという話であったが、早く帰ろうと思って立つ覚悟でやってきた電車に乗り込むということでその場で別れたことを、出発してしまったあと後悔してしまった。 時間をかけて帰ってもいいから、その場にとどまっていればいろいろな話ができたかもしれないというのに……。
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