2024年09月29日(日) |
蝶々の纏足・風葬の教室 / 山田 詠美 |
私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。その支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる(「蝶々の纏足」)。 教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女は、自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく(「風葬の教室」)。 少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編。
私は文庫本で読んだ。 巻末の解説者が、死んだら棺に入れて大切に思っているほかの物と一緒に火葬にしてもらいたい物語だと書いていた。
2024年09月24日(火) |
ようこそ、ヒュナム洞書店へ / ファン・ボルム |
牧野美加 訳
2024年 本屋大賞 翻訳小説部門第一位
ソウルの架空の町、「ヒュナム洞」の静かな住宅街にオープンした「ヒュナム洞書店」 三十代の女性店主ヨンジュやバリスタの青年ミンジュン、個性あふれる常連客など、書店に集う人々の交流を描く群像劇であり、「お仕事小説」でもある。 一話につき三〜一六ページのエピソードが四十話あり、各人物にスポットを当てながら物語は進んでいく。一番の中心人物はヨンジュだが、登場人物全員が主人公とも言える。
本屋のない町は、町ではない。 町だと名乗ることはできるだろうが 魂まで欺くことはできないことを、自身も知っているはずだ。
ー ニール・ゲイマン(小説家)
2024年09月19日(木) |
徴兵体験 百人百話 / 阪野 吉平 |
山形県置賜地区から戦争に行った110人、110通りの体験から、何を感じ、何を考えるか−。先の戦争で戦場の最前線を経験した110人の証言を収録する。『米沢新聞』連載を書籍化。
上官はいつも俺たちもことを一銭五厘の兵隊と言っていた。ハガキ一枚ほどの大きさの紙で人間が集まる。人間の方が兵器より安く集められる。その頃、ハガキ一枚一銭五厘だった。 戦争なんて正常の人間のやることでないよ。あの頃の日本はみんなが狂っていたのよ。
父 明治45年 母 大正10年
私の両親と同世代の人たちの実体験 でも、余りにも悲惨な本当のことは話さない方たちもおられるようだ。
2024年09月16日(月) |
闇の子供たち / 梁石日 |
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。 実父にわずか8歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた・・・ アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。 幼児売春、臓器売買、モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。
商品として売買される貧しいアジアの子供たち。
社会福祉センターで働く音羽惠子
2024年09月10日(火) |
土竜 (もぐら)/ 高知 東生 |
俳優 高知東生さんの自伝的短編集をまとめたもの。
俠客の父と、ネグレクトの果てに自死した母。17歳で天涯孤独となった彼は、喧嘩と女に明け暮れ、全財産6万円を握りしめ上京する。そして、薬物に溺れ、どん底に堕ち…。絶望と再生の物語。『小説宝石』掲載を単行本化。
タイトルの『土竜』というのは、生涯秘めておこうと思っていた母親の自死も含めて、自分の生い立ちがふっと顔を出したという意味だそうだ。
何回も改稿を重ねて出来た小説というけれど、なかなかに味のある物語に仕上がっている。
アロエの葉 シクラメン 喧嘩草 昼咲月見草 リラ 梔子
2024年09月03日(火) |
そしてあなたも騙される / 志駕 晃 |
夫のDVから逃れ、娘を育てるシングルマザーの貴代がすがったのは、SNS上で客を集める個人間融資のソフト闇金だった。 やけに親切に借金返済を猶予する貸主。その優しさとは裏腹に、貴代の借金は雪だるま式に増えていき…。
騙される人
騙す人
二つの章の終わりが 結びつかない ???
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