2024年06月30日(日) |
燕は戻ってこない / 桐野 夏生 |
北海道で勤めていた介護施設の職を辞して上京した二十九歳の、リキこと大石理紀。 彼女は東京の病院で非正規の事務職に就くが、薄給ゆえに生活は苦しかった。 そんなおり、同僚のテルから卵子提供のアルバイトを勧められ、生殖医療専門クリニックの扉を叩く。 ところが予想もしなかったことに、日本国内では認められていない〈代理母出産〉を高額の報酬とひき換えに提案される。
リキに代理母の提案をしたのは、元有名バレリーナの草桶基とイラストレーターの裕子夫婦。 不妊治療を断念したセレブな夫婦。 基が自分の遺伝子を継ぐ自分の子供が欲しくなったゆえの決断だった。
それにしても 人工授精して契約違反(?)の他の男性との性行為や、妊娠したのが双子だったという設定は 面白すぎる。
今、NHKでドラマ放送されてる。
2024年06月27日(木) |
健康の分かれ道 / 久坂部 羊 |
死ねない時代に老いる
老いれば健康の維持がむずかしくなるのは当たり前。老いて健康を追い求めるのは、どんどん足が速くなる動物を追いかけるようなもの。予防医学にはキリがなく、医療には限界がある。健康を害してないのに、病気かどうか気を揉む人にこそ、本当は何を診断されているのかを知ってほしい。絶対的な安心はないけれど、過剰医療を避け、穏やかな最期を迎えるために準備すべきことを、現役医師が伝える。
だれでも老化は初体験なので、これまでなかったことが起こります。病気か老化かは、検査をしてみないとわかりません。病気なら治療でよくなる可能性もありますが、老化は受け入れるしかありません。
健康は大事だけれど、いくら健康でもいつかは死にます。だったら、健康の維持にばかり気を向けるより、満足して死ねる準備をしたほうがいい。
私はこの先生の考えとても好き。 こんな考えの医師が主治医だったら安心して死ねるのに。。。
2024年06月21日(金) |
徒然日記 / 高橋 弘希 |
「送り火」で芥川賞をとった高橋弘希の初エッセイ。 青森県のローカル新聞「デーリー東北」(本社は八戸)に月イチ連載してたもの。
すっとぼけた内容がとても面白い。
著者によるイラストも面白くてなかなかよい。
あの兼行法師ならぬ 高橋法師の嗜好、著作の裏話、食レポなど。
くるって候ー とか
2024年06月17日(月) |
百夜 小説小野小町 / 高樹 のぶ子 |
百夜で ももよ と読む。
平安時代の「六歌仙」のひとりであり、優れた歌の才に加え、絶世の美女としても数々の伝説が残る小野小町。実作と伝わる和歌を拠り所に、小町伝説に秘められた真実を浮かび上がらせる。
この物語では 小野篁の娘という設定。
雅文という書き方はこの物語を引き立てている。
この世には、どうにも動かせぬもの在り。 されどその動かせぬものに、そのまま順ずるのを良しとせず。 けして良しとせず。
真に見えるものすべてが、真にはあらず、もまた、真なのでございます。
2024年06月12日(水) |
ヒロイン / 桜木 紫乃 |
1995年、渋谷駅で毒ガス散布事件が発生。指名手配されたのは宗教団体の幹部男性と、何も知らずに同行させられた23歳の信者岡本啓美。この日から、無実の啓美の長い逃亡劇が始まった。
指名手配された岡本啓美は、フリーのジャーナリスト鈴木真琴の助けで真琴の祖母梅乃と孫として暮らす。 そこで知り合った中国人就労実習生ワンウェイ。
束の間のワンウェイとの日々、その後 本名を田口丈治という男と山口一・りりとして暮らす。 田口丈治の昔の同僚に岡本啓美だと見破られて、懸賞金目当てに通報されて逮捕されてしまうところで終わる。
が 心配なのは 啓美の17年という長い逃亡は 取り調べでどこまで暴かれるのだろうということ。 本物の鈴木真琴・異母妹すみれのこと・そしてこれは決して明かされないだろうけれど密かに生んだワンウェイの子ども。。。 読んだあとのほうが気になって仕方ない。
2024年06月06日(木) |
くもをさがす / 西 加奈子 |
カナダでがんになった。 あなたに、これを読んでほしいと思った。
これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー 祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション
『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダ・バンクーバーで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。 カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
会話の部分が 関西弁なのは何でや?
カナダの医療体制が日本と違うのは理解できるが、両胸切除のがん手術が日帰りとは??
|