読書記録

2024年05月31日(金) 影と踊る日 / 神護 かずみ



「おまえは出来は悪いが、うちの娘だ」 思いつめたら突き進む“跳ねっ返り”女性警察官の真情。
認知症の高齢女性を助けた青年が水死体で発見された。鈴山澪は事件の背後に悪名高い刑事の存在を探り当てる。不審な動きを見せる刑事は何を追っているのか?
 特殊詐欺の闇を抉り出す渾身の警察小説! 
心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか? 新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。共演者の麻子は、恋人を詐欺被害で亡くしていた。
ある日、麻子は生放送で、未だに捕まらない 犯人への憎しみを口走って炎上する。一方、澪の友人で、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された青年がいなくなる。
その件に絡んで謹慎となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。辿りついた防犯映像には地元暴力団との交際が噂される刑事の姿が……。
警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに――。


東京や大阪といった都会ではなく、新潟という地方警察が舞台の小説。

いろいろ どんでん返しがあって面白かった。



過去は自分の影のようなもの。忘れたつもりでいても、消えることはない・・・・・・














2024年05月27日(月) 女性の品格 / 坂東 眞理子

いまや女性の社会進出、活躍が当たり前となった現代の日本。
学校や職場でも、優秀で元気なのは女性ばかりである。女性の価値観、果たすべき役割が大きく変化しているのだ。
では、古い型の「女らしさ」はもはや求められないのだろうか? いや、女性上位の時代だからこそ、従来の男性とは異なる価値観、よき女性らしさを、職場や家庭に持ち込んでほしい、と著者は語っている。

「礼状が書ける」
「約束をきちんと守る」
「型どおりの挨拶ができる」
「姿勢を正しく保つ」
「贅肉をつけない」
「人に擦り寄らない」
「よいことは隠れてする」
「得意料理をもつ」
「恋をすぐに打ち明けない」----本書は、ビジネスから装い、話し方、恋愛にいたるまで、女性としての振舞い方を具体的にアドバイス。
何げない日常の立居振舞いに、女性の生き方と品位はおのずと表われるものである。















2024年05月23日(木) 坂の途中の家 / 角田 光代


山咲里沙子(やまさき りさこ)
専業主婦。夫と娘との三人暮らし。
裁判員裁判の補充裁判員に選ばれ、担当となった裁判で我が子を虐待死させた母親と自分の経験を照らし合わせるうち、蓋をしていた過去の辛い出来事を思い出すようになる。

山咲陽一郎(やまさき よういちろう)
里沙子の夫。
家具や内装の設計事務所に勤めていて、残業や飲み会で帰宅が遅くなることも多いが、早く帰ってきた時には文香を風呂に入れてやったりもする。

安藤水穂(あんどう みずほ)
乳幼児虐待死事件の裁判の被告。

安藤寿士(あんどう ひさし)
水穂の夫。


読んでいる途中は 里沙子のことを面倒くさい女だと思ってたが、最後に近づくにつれ私の子育てしてる時の心情だと思いだした。
人間は勝手なものでのど元過ぎれば何とかで、あの辛かった子育て時代を忘れていた。
今は姑根性で、陽一郎の母が孫を預かって、なお夕飯を持たせていることに感動すら覚えてる。

でも、私なら一日や二日くらいならまだしも、2週間も姑に幼子を預けてまで裁判員を引き受けない。絶対に断る!!
まぁ、それはこの小説を否定することになるけれど。。。






2024年05月14日(火) 時ひらく / 


 歴史あるデパート 三越を舞台に人気作家6人のアンソロジー


 思い出エレベーター / 辻村深月
制服の採寸に訪れて誘われるようにエレベーターに乗った

 Have a nice day! / 伊坂幸太郎
ライオンに跨がると願いごとが叶うという言い伝え

 雨あがりに / 阿川佐和子
老いた継母の買い物に付き合ってはぐれてしまった

 アニバーサリー / 恩田陸
吹き抜けの天女像やライオンや特別食堂の絵画たちのおしゃべり

 七階から愛をこめて / 柚木麻子
友達とプレゼントを買いに訪れて繋がった時間

 重命る(かさなる)/ 東野圭吾
ガンで余命短くなった男が挨拶周りで最後に三越で買った土産


どれも心に沁みるいい物語だった












2024年05月09日(木) 風景は病んで人間だけが徒に呼吸を呑んでいる


 パート仲間だった人のご主人が自費出版された詩集

著者  山口 治



跋扈する人間を
静謐ながら強烈な
視線で描いた叙景詩

病める風景は 呼びかける
病める風景は 呼応 する

富める豊かな社会、かつてない繁栄の、
その背の陰ですすむ自然環境の変化、
種の生態系の綻びの兆候という現実、いま
日々その警鐘の中に在るのだが・・・、
私達人間はこの地球にあって、
どのような存在で、
どう日常を在るべきなのだろうか。




風景は病んで

人間だけが

徒に 呼吸を

呑んでいる













2024年05月08日(水) のち更に咲く / 澤田 瞳子


 道長の私邸で働く下ろう女房・小紅が主人公。

二兄・保昌も道長の私邸で働く肥後守。

祖父・藤原元方は民部卿で天皇の外戚にまでなったが夢破れ悶死。
父・藤原致忠(むねただ)は酒席で人を殺め佐渡へ遠流の末 亡くなる。
一兄・斎光(ただみつ)は公卿の闇討ちに失敗し殺害される。
三兄・保輔は郎党を率いて盗みを働き、捕縛されて自害。


都を跳梁する盗賊団「袴垂」の棟梁が亡くなったはずの三兄・保輔だという噂を聞いて、小紅は真相を探ろうとする。

まぁ、何と面白い。


人は如何なる出来事に遭遇しようとも、生き続けねばならない。そして自ら止めるわけには行かぬその歩みこそが、人の世を過ごすということなのだろう。



藤原道長の栄華を転覆させようと都を暗躍する盗賊たち。盗賊の首魁が死んだはずの兄だと聞いた道長邸勤めの女房・小紅は、盗賊の正体を追い始める。やがて王朝を脅かす秘密へと辿り着き…。『小説新潮』連載を単行本化。














2024年05月03日(金) 北神伝綺  / 大塚 英志


 兵頭北神(ひょうどう ほくしん)
主人公。元は柳田國男の弟子だったが破門されるが、柳田の封印した山人関係の資料を押しつけられて、満洲に渡り、インチキな拝み屋を始める。
日本の幻の先住民「山人」の血を半分だけひいており、それゆえ日本人でも山人でもない特殊な人間である。普段はトリックを使ったインチキな降霊術で生計を立てている。武器として仕込み杖を使い、いつも支那服と黒いコートを着ている。師である柳田に対して愛憎入り混じった複雑な感情を抱いている。

 柳田國男(やなぎた くにお)
日本民俗学の創始者。元高級官僚で軍部や政界と繋がりがあり、かつては貴族院書記官長を務めていた。
自らが追い求めた山人を、自らの手で葬ったことに苦悩している。弟子である兵頭北神に対して愛憎ない混じった複雑な感情を抱いている。

 滝子(たきこ)
北神の腹違いの妹ではあるが、男女の関係にある。芸者をしていて何かと北神の力になる。


民俗学の権威ということで、私が勝手に想像していた柳田國男ではない?


物語の展開が私にはよく分からない。

でもまぁいい、だって
これはあったこともなかったこともあったこととして語る物語、らしいから。









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fuu [MAIL]