読書記録

2023年11月25日(土) がらんどう / 大谷 朝子


 誰にも恋愛感情が抱けず、結婚や出産が見えない経理事務職の平井。
その隣で、3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作る菅沼。
アイドルの推し活で知り合ったアラフォー女性ふたりが、コロナ禍で共同生活を始めた。


アプリで知り合った男にあったら それは何かの勧誘らしくてやっぱり男には馴染めない。
40歳目前で卵子凍結の更新を辞めた。
菅沼に作ってほしい物はないか、と聞かれて赤ちゃんのフィギュアを希望した平井。

がらんどう
中身がない → 



2023年11月19日(日) 紙のピアノ / 新堂 冬樹


 貧しさゆえイジメに遭っていた白石ほのかは、町のピアノ教師・二ノ宮に助けられた。ほのかの音楽的才能を見抜いた二ノ宮は、紙に描いた鍵盤を手はじめに、献身的にピアノを教えこむ。その甲斐あって音大に入ったほのかは、プロのピアニストを目指すため、コンクールに挑むことを決意した。その前に続々と現れる強力なライバル―ほのかは優勝して二ノ宮の想いに応えたいと思った。




邪道な雑記

掛け持ちのパートをする母子家庭でそだったほのか。
二ノ宮に無償でピアノを教えられるのも、奨学金で音大に入学するのも理解できる、が母亡き後の生活費はどうなっているのか?
同級生にいじめられるほど貧しかった母が保険金だけは残したのだろうか?
そんなことを気にしながら読む私は嫌な奴!!


あと、登場人物の名前に
例えば 真音 とか 花音 とか 奏子 とか、音楽の申し子みたいなのがあれば面白かったと思う。








2023年11月13日(月) あなたには、殺せません / 石持 浅海

 五線上の殺意
高校時代の同級生とコンビで音楽活動をする有馬駿。その相方に裏切られた恨みを晴らすために相手を殺すと心に決めている。

 夫の罪と妻の罪
夫が人を殺す瞬間を目撃した妻は、事件が発覚する前に夫を殺し「殺人犯の妻」となるのを避けようとする。

 ねじれの位置の殺人
服部建斗は思いを寄せていた女性を水難事故で失った。彼女が増水した河川敷から逃げ遅れた原因が双子の姉にあたると考えた彼は、復讐を誓う。

 かなり具体的な提案
パートナーに暴力を振るわれていた英会話教室の講師を見捨てて死なせただけでなく、その責任を擦りつけてきた知人に、日下部渉は殺意を募らせる。

 完璧な計画
同性の恋人が世間の目を気にしてお見合い結婚をすることになった目黒恵利。見ず知らずの男性に恋人を奪われる現実に耐えられず彼女の殺害を目論む。


犯罪者予備群たちの駆け込み寺
世の中には、犯罪に走ろうかどうしようかと悩んでいる人間が多い。そんな人間の相談に乗るNPO法人が存在する。

相談員、痩せている男性だった。顔も、身体も細い。その細い顔に、細いフレームの眼鏡をかけている。白いワイシャツにグレーのパンツ、紺色のジャケットに、少し色の違う紺色のネクタイをしめていた。

この相談員のプライベートが知りたいという読後感。












2023年11月08日(水) とわの庭 / 小川 糸


帰って来ない母を待ち、〈とわ〉は一人で生き延びる。光に守られて、前を向く。暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」。歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。



ある日、母がいなくなり、壮絶な孤独の闇を抜け、盲目の女の子とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた−。



2023年11月01日(水) ルミネッセンス / 窪 美澄


 

 忘れ去られたかのような寂れた町の片隅に建つ低層の団地群
引き返せない人生の踊り場で、出口をなくした、無数の思い
その町に住む元同級生、その子供、リノベーションされた団地に越して来た新参者がそれぞれ主人公で心の闇に見入られた短編集。

数学教師の中畑、
文房具屋の水野、
内装業の石崎
中学2年の花乃、
ウェブデザイナーの大室
悲哀な人生と寂れた町が映し鏡のよう

どれも、ほんの少しホラーめいて こわいような哀れなような不穏が残る。





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