2021年12月29日(水) |
ヴァイタルサイン / 南 杏子 |
二子玉川グレース病院で看護師として働く堤素野子は、31歳になり今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を過ごしていた。 患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなすが、整形外科医である恋人・翔平と束の間の時間を分かち合うことでどうにかやり過ごしていた。
私は何度も入院してるので、看護師の過酷な勤務は理解している。
本音を言えば命を預かる仕事は怖くて私にはできない。
でも入院してる時、看護師のやさしい声掛けとか気遣いは本当に有難い。
言葉は悪いかも………だが、看護師に好かれる患者になったほうが居心地はいいかも。 そして看護師に感謝する気持ちは常に持っていたい、と思う。
2021年12月19日(日) |
泣き娘 / 小島 環 |
少年は“哭女”として、今日も葬儀で涙を流す。
哭女――雇われて葬式で泣くことを生業とする女性のこと(中国や朝鮮半島、またヨーロッパなどでも実在する職業である)。
舞台は女帝 武即天が治める唐代の中国、神都随一と噂される哭女の“泪飛”は葬式に引っ張りだこ。葬儀では涙を絶やすことは許されない。そこで盛大に涙し故人の功績を称え謳うことが家の格を表すため、いい家柄の葬儀では優秀な哭女が雇われるのだ。しかし泪飛にはある重大な秘密があった。それは周旋屋の老婆・右聴と泪飛だけが知る事実――泪飛は少年なのだ。
泪飛と名を語り女性の姿で葬儀に出る燕飛は、不審な死を迎えた夫婦や世間を騒がせる義賊らの謎と出会い、その真相に迫る。さまざまな境遇の人びとと接することで、燕飛が手にしたこの世の理とは。 亡くなった両親に代わって妹と弟を養うため女装姿で哭女を続けなければいけない少年の苦悩と成長、そして年上の貴族青年・青蘭との奇跡のような友情を描く。新時代の旗手が放つ歴史青春ミステリ小説!
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2021年12月13日(月) |
アウア エイジ / 岡本 学 |
our age
大学教師の私に届いた、学生時代にバイトをしていた映画館からの招待状。 映画館の壁に貼られたままの写真に、20年前の記憶がよみがえり…未解決だった思いというか、ミスミという女の母が残した写真に写っている塔を探すことにした。
ミスミという女は殺されるような女で、実際 殺されたらしい。 ミスミとその母には何か…動きはあるが、主人公は静かな存在というのが感想。
2021年12月03日(金) |
レゾンデーテルの祈り / 楪 一志 |
レゾンデーテルとは 自身が信じる生きる理由、存在価値を意味するフランス語の「raison d'etre」をカタカナ表記した語。他者の価値と比較して認められる存在価値ではなく、あくまで自己完結した価値を意味する。
実用日本語表現辞典
未来小説
西暦2035年、日本では既に〈 安楽死 〉が認められるようになっていた。
そしてこの物語の主人公 遠野眞白は(人名幇助者=アシスター)という職業に就いていた。
恋人や配偶者を失って生きる意味を失ったひと、自分が生きていく理由も価値も見いだせないひとたちが、安楽死するためにREN取得していた。
SNSで安楽死をテーマにした小説だと知って飛びつくように読んだけれど、登場人物はみな若い人たちで、私のように老いや病気を理由の安楽死希望者はいなかった。 そして結果として、アシスターたちは安楽死の希望を撤回させる職業だった。
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