2017年10月23日(月) |
山女日記/湊 かなえ |
タイトルは「山女日記」 となっているが、「山へのいざない」としてもいいなぁと思いつつ読んだ。 読んでいて 自分も山に登っているかのような臨場感、山の清涼な空気に満たされているような感じ。 特にニュージーランドのトンガリロ、いつか行きたいなぁと思わせる描写。 そして各章の主人公が別の章と微妙に関係あるというか、絡んでいる設定。
妙高山 火打山 槍ヶ岳 利尻山 白馬岳 金時山 トンガリロ
アラサーというか、女が結婚に迷う時、決心がつかない時、それぞれの章の主人公が山に登れば答えが見つかるかも・・・と出かけていく。
2017年10月13日(金) |
イノセント・ディズ/早見 和真 |
英語が分からないから、イノセントという英単語を調べなきゃ、と思いながらも一気に読み終えた。
田中幸乃、30歳、確定死刑囚。 元恋人の家に放火してその妻と1歳の双子の女児を殺めた罪。 中学時代の強盗致傷事件や事件前に元恋人にストーカー行為をしていたことから、計画性や強い殺意があったとして最も厳しい判決が下された。 幸乃は控訴しなかったが反省もしなかった。
物語の後半で明かされたのだが幸乃は犯人ではなかった。 だから反省などする必要もなかったし、ただ死に場所を見つけただけのこと。 さらに中学時代の強盗致傷事件も友達の身代わりで幸乃はその場所にいただけのこと。
過ぎたこと、人生においてもしも・・・は ないけれど、それでも幸乃の母が生きていれば、母が交通事故を起こさなければ、あの日に冷たい雨が降ってさえいなければ、さらにさかのぼれば幸乃の母ヒカルが路地裏の産科医院で中絶していれば。。。
惜しむらくは産科医や義姉、中学時代の友人、元恋人の友人、刑務官など彼女の人生に関わった人たちの追想で物語は構成されていくけれど、元恋人の想いが登場しなかったことが私には物足りなく思えた。
” イノセント ” とは、純粋とか無垢とかいう意味のほかに ”無実の”という意味もあるらしい。 ともかく友人たちの抱く幸乃のイメージから冤罪に違いないとして、再審に向けて奔走するのだが刑は執行されてしまった。
2017年10月04日(水) |
人生の目覚まし時計が鳴ったとき/山下 弘子 |
人生は一度きり。 短くても長くても、 一度きり。 泣いても笑っても、 一度きり。 だからこそ、 一日たりとも、 一瞬たりとも、 後悔なく生きたい。
がんになったからといって、性格まで変わらない。 ただ、考えることや思うことは、ずいぶん変わったと思う。今まで眠っていた脳がようやく起き上がり、活動を開始したような感じ。 がんになったこと、余命宣告をされたことは、わたしにとって、人生の目覚まし時計だったのだ。
前作の「雨上がりに咲く向日葵のように」でも感じたことだが、どうしてこの人はこんなにも明るく強くいられるのだろうか。そりゃぁ、誰も家族がいないとき、一人になったときなど、コッソリ泣いたりしただろうけれど、基本的にすごい前向きで心から尊敬してる。 それでも自身の体験をもとに講演やらされてるから 「余命宣告ビジネス」とか 「死ぬ死ぬ詐欺」とか 「いい気になっている」とか、いろんな誹謗中傷があるようだけれど、私ならもうとにかく わめき散らしていると思うのだ。
だけど毎日が幸せだとおっしゃる、どうかこの幸せが、一日でも長く続きますように。
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