2017年05月31日(水) |
イギリスの風の中で/畑部 佐智子 |
夫の死別という強烈な、理不尽とさえ思えるような悔しさの中から立ち上がることが出来たのは、生まれて初めての短歌を作ろうとしたことに依るとある。 師でもある ”佐々木由幾 ” 氏の序文にも望んでもなかなか叶えられないような境涯に身を置き乍ら、ただ一つ最も大きな悲しみは一番大切な人を亡くされたからとある。
著書の最初のページにご夫婦揃っての写真があったけれど、そんなに若くして亡くなられたという印象は受けなかったけれど、子供さんがおられなかった分、ご夫婦仲が良かったゆえの喪失感なのだろうと推察した。
難病を克服しつつある人を医者は 自分の作品見るごとく見る
心にある池に小石が投げ込まれ 思わぬ波紋に戸惑うばかり
忘れようと思うことあり淡色の シクラメンの鉢書いて飾れり
鉢水に水やり乍ら心にも 花壇持ちたく庭をみている
仕合せでも不幸でもなき夕べ 寂寥の光にあえて身を置く
青空が徐々に変わりて作られたる 夕暮の色、吾の心の色
あまたの句のなかからわたしが選ばせていただいたのは、やはり・・・私の生活感というか現状がはっきり分かるなぁと妙に納得している。
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