2015年06月11日(木) |
ひねくれ一茶 田辺 聖子 |
この物語は一茶41歳から始まる。
実母と早くに死に別れた一茶は祖母に可愛がられるが、継母との折り合いが悪く早くから奉公に出る。 そして実父が亡くなった後は異母弟と相続で揉める。 一茶としては実父の遺言通りに半分を相続して、江戸での俳人としての生活を確立したいと願うのだが、継母との折り合いの悪さから解決しないでいた。
そんな中 中に入ってくれる人がいて半ば諦めていた嫁取りをする。 子供が二人生まれるもどちらも幼くして亡くしてしまう。 あげくに若い嫁も病気で亡くなってしまい、一茶は悲嘆にくれるが子供を抱えて困っていた茶屋の女を子供もろとも引き取って暮らす。 最後は卒中で亡くなるが、一茶の人となりが存分に表現されたなかなかに読み応えのある物語だった。
散る花やすでにおのれも下り坂
春立つや四十三年人のめし
また人にかけぬかれけり秋の暮
蓑虫は蝶にもならぬ覚悟かな
夕つばめわれにはあすのあてはなき
初雪に白湯すすりてもわが家かな
生き残り生き残りたる寒さかな
死にこじれ死にこじれつつ寒さかな
死に下手とそしらばそしれ夕炬燵
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