読書記録

2014年10月05日(日) 美雪晴れ みおつくし料理帖           高田 郁


〇神帰月━味わい焼き蒲鉾
前作で名料理屋「一柳」の主である柳吾から求婚された芳だったがなかなか承諾の返事を出来ずにいた。
それはどうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからとの気持ちからだった。
そんな日々の中で澪はその頃は贅沢品だった焼き蒲鉾を手作りしようと模索していた。

柳吾に紹介されてつるやにやってきたお臼と料理人の政吉は夫婦だった。

〇美雪晴れ――立春大吉もち

今年も師走朔日がやってきて、料理番付が売り出される日だが、
もうそんなものに振り回されるのに懲りた種市は番付は買わないと宣言する。
しかし、おりょうの夫、伊佐三が番付につるやが載っていると知らせてきて皆は驚く。
つる家は見事関脇に返り咲いていた。
又次の供養に作った「面影膳」をつる屋の定番にしなかったことに龍吾は安心して、
龍吾は澪に芳とともに一柳に来て自分のもとで修業をしないかと持ちかける。


蓮根200グラム(皮をむき酢水につけておく)
蕪100ブラム(皮を分厚めにむいておく)
卵白(ほぐしておく)
海老(むき身にして細かく叩く)
上新粉60グラム
塩小さじ2分の1
胡麻油・醤油適宜
蓮根をすりおろす、出た汁は決して絞らない。
すりおろした蕪の汁は絞る。
ボウルに蓮根・蕪・上新粉・卵白・塩・海老を加えてよく練る。
皿に入れて5分ほど蒸し上げる(水気の多い蓮根もあるが気にしない、少なければ上新粉を10グラムくらい足す)
蒸し上がったものをモチをまとめるようによくこねる。
8等分にして小判形に成形して、今度は10分ほど蒸す。
蒸し上がったものを胡麻油を引いた鍋でこんがり焼き、最後に醤油を回しかける。




〇華燭━宝尽くし

龍吾と芳の祝言はそれぞれの身内と一柳の奉公人だけが出席してささやかに祝われた。

澪は芳の想いを汲んでつるやの奉公人たちを食材に見立てた料理を作った。

つるや店主種市に見立てた海老、芳の好んだ蓮の実、走りの蕗、そして又次のつもりの味を控えた椎茸の含め煮を、
天満一兆庵で仕込まれた百合根饅頭の生地で包み込んで蒸したものに、銀あんをかける。
仕上げに三つ葉の軸と同じ太さに削いだ人参とを水引に見立てて飾る。




〇ひと筋の道━昔ながら

政吉につるやの板場を任せた澪はあさひ太夫を身請けするための4千両を作り出すべく、
元祖「鼈甲珠(べっこうだま)」という玉子料理を吉原で売りはじめる。
最初は60文という設定だったが、登龍楼に紛い物といわれないためにあえて200文という価格にして勝負する。
大量生産はできないけれどはまぐりの合わせ貝を器にするなどして工夫のかいもあり毎日完売する。
だが澪は、自分で決めた値段設定なのに、その値を聞いて食べるのをあきらめて通り過ぎて行く客が大多数を占めることに心を痛める。
自分は何のために誰のために料理人となったのか、高額な高級料理をセレブに食べてもらうために料理人になったのかしらと
、自問自答するのだった。













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