2014年07月24日(木) |
病名のない診察室 豊田 美加 |
かつて心臓血管外科の若きホープとして名を馳せた薗枝温は、最愛の妻を亡くした喪失感に苛まれる。失意の薗枝は妻の実家でもある『くこ医院』で診療を再開。原因不明の症状に悩む患者たちに漢方中心の診療を行うことで薗枝も自分らしさを取り戻していく。
頭痛がする、頭が重い、動悸やめまい、耳鳴りがする、イライラする、疲れがとれない、よく眠れない、身体のあちこちが痛くて痒い、そんな不定愁訴に私も悩まされている。
私も漢方にはすごく興味があって薗枝先生(温先生)のような医師がおられるのなら是非、診ていただきたい。 漢方だって全能ではないだろうけれど、人と寄り添う医療のように思う。 今の西洋医療は病と向き合う医療で、検査をして医学的に異常が認められなかった場合、患者にはとても冷たいように思う。
これはシリーズにしてもらって是非とも続編にお目にかかりたいものだ。
信州は木曽の櫛挽職人名人の娘、登瀬。 父親の仕事に魅せられ、自分もその技を受け継ごうと父の背中を見つめて精進するも、女ということ、弟の死、妹喜和からのの一方的な確執、なにより時代や土地柄、など時代ゆえの因襲に阻まれたり翻弄されたりする。 それでも、自分を信じて、父を信じて櫛を挽くことだけにに邁進する登瀬。 それだけに、良くも悪くも凡人である妹と母(人間をどちらかに分けるとしたら私も主人公の母や妹の側だろう)の登瀬に対する複雑な気持ちもよく分かる のだ。
親子、兄弟、夫婦の関係をじっくり考えさせられる作品だった。
この物語の作者は男性と思い込んでいた。 男性なのにやさしい文章を書かれるなぁと思っていたら ”昇” と書いて ”のぼり” と読むそうで女性作家でした。
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