ダウン症の28歳の息子と養育に疲れた妻を手にかけてしまう押川透。 押川は「死刑にしてくれ」と懇願するが、国選でついた弁護士長島は、長男健太が通っていた施設で「彼には同情できない。」と言う言葉に触れた…。 「なぜ殺したのか」、その真相を探す弁護士の眼を通じて、障害者の子育てだけでなく、高齢者介護、普通の子育てでも、時に投げだしたくなる、居なくなってしまえば、、みんな、壁一つの所で踏みとどまれるのだ。 だが押川と妻の由香里は会社にも近所にも息子がダウン症による知的障害者であることは話していなかった。
私が当事者だったら・・・やはり日常的に死にたい、逃げたいと思うだろうことは断言できる。 でも自分で命を絶つ自信もないから誰かの手にかかって死にたいと強く願うだろう。
非常に重い物語で私にはまだまだ知らないことがたくさんあるなぁ、と うちのめされたような物語だった。
2014年05月10日(土) |
敵は微塵弾正 中村 彰彦 |
○紅い袖口 柴田勝家の姉の子、佐久間盛政は賤ヶ岳の合戦で羽柴秀吉に敗戦して斬首刑にされた。 その盛政は死装束に、前髪の頃 密かに垣間見たお市の方の白い小袖から見えた紅染めの絹を纏った。
○ガラシャを棄てて 石田三成の命に従わなかったガラシャは炎の中に消えた。 鉄砲の名人と言われていた稲富祐直はガラシャを守らず蓄電した。
○敵は微塵弾正 微塵流の初代宗家を創出した京極内匠は、自分の仕官や出世を邪魔する者を逆恨みし、闇討ちに屠ってきたが落ち着くかと思われた毛利家でも、同じ兵法師範である吉岡一味斎の娘に惚れ、嫁にしよう一味斎に掛け合うも、内匠の人間性の悪さを理由に断られると、逆恨みした内匠は一味斎を暗殺し毛利家から出奔する。 それでも執念で探し出した吉岡一味斎の妻と娘にかたき討ちされた。
○晋州城の義妓 先の 敵は微塵弾正 の続編で吉岡一味斎の妻と娘のかたき討ちの助太刀をした兵法者毛谷村六助がこの編の主人公。 薪取りや行商をして暮らしていた兵法者毛谷村六助は、縁のあった毛利輝元の推薦で、肥後半国を領する加藤清正に仕える事となる。 そして秀吉の朝鮮出兵に貴田孫兵衛統治と改名した毛谷村六助も出陣していった。
○亡霊お花 加藤明成が藩主である会津藩の家老堀主水は、偶然に見初めた女性を側室に迎え、女房名をお花と改めさせる。 多淫であった主水だが、お花もまた多淫であり、毎晩のように主水はお花を求めた。 ある日、主君明成より鶴ヶ城の支城亀ヶ城にしばらく腰を据え、領内の稲の稔りようを見定めるよう命じられると、亀ヶ城の城代を兼ねる主水に断る理由はなく、お花に会えない気持ちを残しつつ亀ヶ城へ向かう。 すぐにお花に会いたい主水は、人員を総動員し予定よりも早く仕事を終わらせ、主君への挨拶を後回しに、お花に伽をさせようと急ぎ屋敷へと戻る。 だが主水が目にした光景は、お花と間男との密通現場であった。
○恋の重荷 白河栄華の夢 化け狐を捕らえようとした武勇優れる藩士石田惣右衛門という人間の物語。 当初の狐退治の目標から、話が妙な方向に進み出し妻となったりんは化け狐だったのか、終わり方は昔話なのかホラーなのかこの短編集では一番おもしろかった。
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