2014年04月28日(月) |
あなたと共に逝きましょう 村田 喜代子 |
主人公の女性は60代で大学の講師、夫は会社を経営している。 ある日体の不調を訴えて医者にかかったら胸部大動脈瘤が相当の大きさになっていると診断された。 すぐに入院し手術をすべきと言う医者に対し、どうしても他の方法で直したいと願う夫。その間で、夫へのこれまでの思いが愛憎となって湧き上がり、どうしても整理できなくなるのが主人公だが、こういう場面は多くの妻たちの共通した思いだと大いに共感した。 民間治療に山奥の温泉に湯治に行くのだが、女郎姿の自分といった官能的な夢をみたりと、ほとんど支離滅裂になりそうな病人の日常を書いている。
結局は手術を受けて生還するという闘病記なのだが、頑固でも一種の信念を持ち続ける夫と、夫に腹をたて我慢に我慢を重ねてきた妻の心の動きがときに長年連れ添った夫婦の重さと強さというか、私と同年代の主人公の想いは自分自身の気持ちと重なるところも多く、一気に読んだ。
2014年04月15日(火) |
僕の死に方 金子 哲雄 |
エンディングダイアリー500日
流通ジャーナリストというメディア時代ならではの職業で、 「肺カルチノイド」という病気で41歳という若さで亡くなられた金子さんの本。 引きこまれるように一日で読み終えた。
私の死生観と重なる部分も多いので本文からいくつか自分への覚書として記す。
あと1年半の命のところ、苦しい治療を受ければ3か月延びるということなら、1年半のままで終わっていい。 最後までこうしてやりたいことをやり、妻とふたり、長いことおしゃべりして死んでいけるのがいい。 寿命が3か月延びる治療で苦しませるのは、本人のためになるのだろうか。家族が精一杯のことをやったと思えるだけのために、0.01%もない奇跡のために、国の医療費を無駄遣いするのは、自分の本意じゃない。
正直、自殺したい。 でも、もう、それもできない。 体がまったく動かない。 正直に言うと、今すぐ死にたい。この苦しみから解放されたい。誰かが死なせてくれるなら、喜んで死ぬという気持ちにもなる。
経験して初めてわかることがある。 もし皆さんの周りにがん患者がいたら、 「好きにしたらいいよ」 と温かく声をかけてほしい。 「がんばれ」 という言葉もつらい。
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