読書記録

2011年02月25日(金) 閔妃暗殺−朝鮮王朝末期の国母− 角田 房子

 今、韓流ブームとかで韓ドラがかなり放送されていて私も朝鮮王朝の物語をずいぶんと視聴している。
正直面白い!!
日本の歴史ドラマと違って長丁場のものが多いのでテレビっ子になってしまっている。
そんな中 朝鮮王朝の王妃が日本人によって殺害されていたことを知った。

 
 朝鮮王朝第26代高宗の王妃だった朝鮮王朝 閔妃 暗殺事件は、日本の国家を代表する朝鮮駐在公使の三浦梧楼が首謀者となり、日本の軍隊・警察・暴徒としかいいようのない民間日本人たちを朝鮮の王宮に乱入させ、公然とその国の王妃を殺害したという、およそ近代世界外交史上に例を見ない暴虐をはたらいた事件である。
この事件はいまだに韓国人の胸にふかい傷跡をのこしているが、日本国民の大部分はこの事件についてさえまったく知識をもたなかった。
そして事件の関係者はほとんど処罰されることもなく、その後の日露戦争への引き鉄となっていく。


 私のようなものが絶対と言ってもいいくらい眼を通すことのない膨大な資料からこうした歴史の事実を本にして読むことの出来る有難さをつくづく感じた。が 我々日本人には たとえ何があっても”過去”は水に流すことをよしとする国民性なのか、まして自国に都合の悪いことなら尚更・・という思いが根底に潜んでいるのだろうか。


 そしてこの物語の中で別な事実も知った。

日本国紙幣1万札の福沢の”顔”に不快を表明するのは
韓国人だけでなく、中国人の一部も同じ反応を示しているそうだ。
1885年(明治18年)3月16日付の『時事新報』に掲載された『脱亜論』の中で、福沢は朝鮮を”誘導するに値しない国”と韓国に対する抜きがたい偏見の思いで見限るような発言をしているのだ。
知らなかったなぁ。。。















2011年02月12日(土) 牛込御門余時             竹田 真砂子



 私の苦手な短編がそれでも読み切りやすいように書かれてある。

〇千姫と乳酪(バター)
 巷に喧伝されている千姫ご乱行の真相は、義母の淀君から教わった乳酪の製造だったとは。。。
〇九枚の皿
 家綱公の旗本、大久保彦六が雨中休業中の市松座を、直参の沽券で開かせた末の顛末は、皿屋敷パロディならぬ夜逃げだった。
〇おすが
 初老の武士が顔馴染みの茶店の娘、おすがのためにしたことは、初めての人斬りだった。
〇奥方行状記
 夫を待つだけの生活に疲れた旗本の奥方が何かをしたい・・・と役者に入れあげ育てた。
〇献上牡丹
 磔、獄門に架けられるはずだった男が至高の華(献上牡丹)を咲かせるために密かに生かされた。
〇繁昌の法則
 敵討ちと称して貧乏道場を繁盛させたある企みがあった。
〇やせ男
 狂歌好きの洒落モノ集まりの中でお荷物だった男が、小旗本の婿養子に出世した。
〇本多様の大銀杏
 銀杏が見下ろす悲喜こもごも



牛込御門あたりで起きた人情物が読みやすい物語になっていた。
今も石垣だけが排気ガスと騒音の中でひっそりと、しかし、誇り高く生き残っているとあとがきにあった。















2011年02月02日(水) 花岡事件の人たち            野添 憲治

中国人強制連行の記録



 太平洋戦争中に日本国内での労働力の補充のために、まるで村狩り(軍部では兎狩りと言っていたようだ)のように中国人を強制連行してきて、今の大館市花岡で強制労働させた。
食事は一日一回饅頭とごぼうかふきの煮たものが一本だけ。
衣服も支給なしで水の中での土木作業もありで着たきりすずめだった。
最初から寝具もなしで寒い冬でも毛布の一枚の支給もなかった。
常に栄養失調状態で虐待と餓えで死亡する中国人も多くいた。
働きが悪いと花岡鉱山を請け負っていた鹿島組の監督らに殴る蹴るの暴行を受け、他の鉱山に比べて花岡鉱山での中国人死者は抜出していた。
そんな残忍非道な虐待に抗って中国人たちが終戦間近の6月30日深夜に蜂起したが失敗に終わった。

「もはやかれらは、死か抵抗かのいずれかを選ぶよりほかに道はなくなった。それは ”このひとびとがついに奴隷であることにがまんしきれなくなった日” であった」 と、敗戦直後に、花岡鉱山に派遣されて中国人を診断した医師の言葉である。


 今、日本と中国との関係は決して良好とはいえないけれど、
あの戦争で日本人が中国でもそして日本の国内においても一体どれだけの非道なことをしてきたのかということだ。
でも私がよく思うのは日本の歴史を考えてみたら遣唐使をはじめとしてはるか昔から日本はどれだけ多くのことを中国から取り入れたことだろう。
今の日本は先進国として威張ってはいるけれど、はるか飛鳥奈良時代は中国が先進国で日本は発展途上国だったのだ。
あの戦前の軍の主導者たちのなかにそんなことを思う人はいなかったのだろうか・・・と私はいつも思うのだ。


















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