2007年03月26日(月) |
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眠れぬ夜に かすかに聞こえる救急車のサイレンの音
眠れぬ夜に ベランダから見る鎌のような細い月
眠れぬ夜に 闇の中で目を凝らし便りのない娘を思う
娘が抱えるこころの棘は はるか昔の我が姿
どんな時を過ごせば 娘のこころに触れ合えるだろう・・・
逢いたい・・・たまらなく・・・
2007年03月24日(土) |
火宅の坂 澤田 ふじ子 |
延享四年、大垣藩が断行した永御暇(ながのいとま)の犠牲となった下級藩士の天江吉兵衛は、町絵師として身を立ててゆくことを決意し、失意の者たちと助け合いながら生きてゆこうとする。
現代にも通ずるリストラ、人員削減、合理化というテーマで書かれた物語だがバブル経済の中心的役割を果たしてきた<お偉方>は、自らの責任を回避しこの惨状に素知らぬ体だ。かつての日本人、特に明治期の気骨をそなえた経済人なら、高職についていた責任を潔くとり、万人に詫びていただろう、と作者はあとがきに記している。 私も真にそう思う。 現代のお偉方もどの人も皆、己れの立場や権利にしがみついて問題の責任には知らん顔をする。いつの時代も気概のないリーダーのもとで泣かされるのは、天江吉兵衛とわれわれ庶民なのだ。
人間は考え方次第でどのようにでも生きられ、貧しさを耐えると思えば苦労だが、貧乏を楽しむ境地に到達すれば、それは清貧となる。かえって世俗で栄達を図ろうと競う人々の姿が、狂態に映ってくる。
第一次大戦終結の年、まだ20歳の新鋭作家佐々伸子は、父親に連れられて渡米し、同じ大学に籍を置く留学生佃と知り合う。そして伸子は周囲の反対をおし切って佃との結婚生活に入るが、小市民的な安住を求める佃の消極的な生き方に絶望し、やがて破局を迎える。
一人々々離れてみれば、大して悪い者でもなく、惨酷なものでもない人間同士も、ある関係の下に置かれると、別人になる。
人間が、飼われた獣と同じように、やがてはどんな境遇にでも馴れるという事実は、悲しく恐ろしい。自分にも、今にやはり、この生活に馴れてしまうのだろうか? そして、幾年か経つうちには、趣味も、情熱も失い、最初成ろうと目ざしていた者とは似ても似つかない者になって、そうなってしまったのさえ知らず、一生を終わるのだろうか? 伸子は、目に見えないうちにすぎ去る生活を惜しみ、不安に襲われた。
この時代、金銭的には何の不安も心配もないものが人間として成長したいからと、夫のことを小市民と見ていく伸子はやはり私のような小市民には理解し難い 渡米したり大学にいったり女中がいる生活は、日銭で米を買いあかぎれた手で麦と混ぜて炊くような大方の小市民の生活は分らないのだと思う 作者自身の自伝的作品のようだけれど、この物語には続きがあって作者は日本共産党の元書記長だった宮本顕治の妻となって、プロレタリア文学に目覚めていくようだ・・・ これには私は酷く驚いた・・・ ただ宮本顕治のほうにもいろいろ目論見があったようで、また私が想像もし得なかった世界を知った思いがしている
2007年03月08日(木) |
百万遍古都恋情 花村 萬月 |
またしても題名にひかれて読んだ本だけれど、 最近は裏切られることが多い 上下本の結構分厚い本だったけれど読みやすかったことは事実だ
京都に百万遍という交差点があることをこの物語で始めて知ったが、 私とそう歳が違わない作者の自伝のような物語に正直嫌悪した 作者の若い頃の性体験なんて読みたくもないが これは小説なんだと思えばせっかく借りたんだもの読まなくちゃ 何にしても私には到底理解できない人たちの話なのだと・・ 主人公の惟朔は決して女性蔑視ではないけれど、 こんなにもたやすく女性と関係を持つにいたっては 私らの生活とは住む世界が違うのだ 今までは男と女は違うのだと思い込んでいたけれど、 この本だと案外オンナも曲者だ 当たり前のこととして人はそれぞれだけど 性のことは男も女もないのだろうかと思った だから私から言わせれば古都恋情ではなくて、古都変情か
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