子供が小さかった頃はよくお昼のドラマを見た
『流れる星は生きている』 もそんなひとつだった 北朝鮮から3人の子供と引き上げてきた壮絶な記録だ
この『旅路』は『流れる星は生きている』の それ以前、それ以後を書き加えた作品ということになろうか
乳飲み子を抱えて よくぞ日本に帰り着かれたものだ 私の母は2人の子供を引き上げの途中で亡くしている そのことは 後々の母の人生にずっとトラウマとして残った この本の作者は誰を攻めることもなく、愚痴のひとつを書くでもなくただただ前を向いて生きてこられた 私も含めて 今の母親だったら何処まで子供を守ることが出来るだろうか・・と思った
2005年06月23日(木) |
まひるの月を追いかけて 恩田 陸 |
静と母違いの兄、研吾とその同棲相手の優香利と二人の同級生の藤島妙子。失踪した研吾を捜すために優香利と奈良へ向かったはずだったが、優香利は自殺とも思えるような交通事故死していた。優香利だと思っていた女性は妙子だった。その妙子も奈良で急死する。そして研吾は出家するという。 静は研吾と優香利は結婚すると思い込んでいたが、研吾には別に最愛の女性がいた。実母との確執をかかえる研吾の最愛の女性は静の母だった。実母にない愛を父の後妻である静の母に感じてしまったのだろうか。
それぞれの過去がちりばめられたわずか4泊の奈良への旅だった。 橿原神宮、明日香、山辺の道、奈良公園界隈・・奈良に住んでいるだけに情景が思いだされて物語にのめりこんだ。
現代人にとって、死は終焉であり、敗北であり、恐怖だ。生と死はいつも対極にあるものとしてドラマティックに、なおかつ荘厳なものとしてイメージされている。でも、実際のところは、そんなに大したものではないのかもしれない。生も、死も、そんなに差のないものなのかもしれない。奈良を歩いていると、生きている人間も、死んでいる人間も、同じ場所で暮らしているという感じがする。そして、実際に、死んだ者が今もすぐそばにいる−。
自分の考えていること、自分が感じていることは、大部分が自分の中で形にはなっていない。無意識のうちに自分を律している場合もあるし、自分を本当の意味で客観的に分析できないからである。
2005年06月17日(金) |
ベッドサイド 林 あまり |
新聞や雑誌で新刊案内というか 本の広告が出ている その中で興味のある内容があれば 図書館でのリクエスト本の参考にするために タイトルと作者と出版社をメモしている 本屋さんで現物を手にして買うことも多い
そんな中で私はこの本のどんな説明を目にしたのだろう 短歌集だけれど 恋の歌というよりは・・ 夢判断の本を買って私のみる夢の深層心理を読んだときと同じ衝撃を感じた 私は一体・・・・・
なんだかよくわからない闇、ぬるぬるの闇、 まぶしい闇、おそってくる闇
あなたのことも含めて一度なにもかも 脱ぎ捨ててみたい 本音を言えば
まっすぐに泳いでいるのにいつのまに 東へ東へ流されてゆく
暖色のステンドグラス 「そのままで生きなさい」と旅人を照らす
身にまとわねばならないものが多すぎて シャワーのためではなく脱いでみる
生きている苦い証に 指を折り日数をかぞえる今月もまた
内容 死と死のはざまの「私」へ―。鬼才が放つ最新傑作小説集。
憎悪の転生
ひとは、いつか死ぬ。死ねば物質的には骨壷の灰以外、なにも残らない。どうせ死ぬんだから、といういいかたは明朗ではあるが、笑えない重さも持っている。だからみんな日常的には自分の死を意識しない。死に拘泥しているのは幼稚なこととして片づける。
屍の宿
黒い子供
夜伽
降神
人には見えないけれど 自分には見える また その反対もある 幻覚なのか霊なのか 死に直面すれば見えるのか 怖くはなかったけれど ある意味 フィクションのような気がする
内容 財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。しかし姉の聡美は出版に反対している。聡美は三郎に、幼い頃の"誘拐"事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。
普通のひき逃げ犯を捜す物語かと思いきや、最後は本の出版を依頼した姉妹の確執の内容だった よく 姉の持っているものは何でも欲しがるというか、自分のものにしないと気がすまない妹・・というのを目にしたことがある 私のまわりにはそんな姉妹はいないけれど、物語ではよくあるパターンだろうか 姉も自分の持っているものを妹が欲しがっている、そのうち盗られるということも予想していて 知らぬふうをする 二人の間でそういうことが繰り返されるうちはいいが、他人を巻き込むようなことになったらそれはダメでしょう
私の母は、私が子供のころから、毒のある口でさまざまなことを教えてくれた。正しい教えもあれば、間違った教えもあった。私が末だに判断を保留している教えもある。そうした「未決」の教えのなかのひとつが、(中略)・・「既決」の」箱のなかに移った。 「男と女はね、くっついていると、そのうち品性までも似てくるもんだよ。だから、付き合う相手はよくよく選ばなくっちゃいけないんだ」 「既決」の箱の真ん中あたりにある教えも、私はついでに取り出して再吟味した。 「人間てのは、誰だってね、相手がいちばん言われたくないと思っていることを言う口を持ってるんだ。どんなバカでも、その狙いだけは、そりゃあもう正確なもんなんだから」
私も毒のある口を持った母なのだろうなぁ・・きっと・・
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