2005年03月27日(日) |
妻たちの静かな反乱 円 より子 |
「一人になっても寂しくはないと思います。夫と暮らしていたこの35年間、ずっと孤独でしたから・・・・・」 時代はすすみ、生活が変わっても、相も変わらず自己犠牲を強いられる妻たち。いま、多くの妻たちが、新たに自分の人生を模索しはじめた。弧絶した状況から抜け出し、一人の人間として生きるために。
この本に登場する妻たちは結果として、離婚して自立していく。夫にとって都合のいい女でいることに疑問を感じたのだ。だが 夫にいくら尽くしてもそれさえも うっとおしいと言う夫もいる。 つまるところ男も女もいろいろな意味で自立していないのだろう。 できたら離婚はしないにこしたことはない。 でも無理をして自分を殺してまで持続させるものでもないだろうと思う。
熟年離婚した私の母が叫んだことがある。 「私はセックスつきの女中か」 そのときは正直な気持ちとして、子どもにそんなことを口走る母を軽蔑した。そして父のことも・・。 私も時々は思うことだけれど結婚って一体何だろう・・。
2005年03月12日(土) |
山河寂寥 ある女官の生涯 杉本 苑子 |
内容 「賢すぎる子供は油断がならない」宮仕えの第一夜に淑子を傷つけた一言。しかし藤原一門の有力者の係累として、時に兄に叔父にまもられながら、後宮の恋を生き、文徳帝の変死、応天門の変、異母妹の美姫高子と在原業平の禁断の恋などを目の当たりに、宮中での地位と評価を築いてゆく。 藤原一族全盛の礎は築かれた。定省というみめよい養子を得た淑子は息子への愛情にかまけはじめる。しかし清和帝が譲位し、相次ぐ帝位の移り変わりに、宮中でいずれおとらぬ実力者となった淑子、高子、基経らは血類で野心を剥き出しにする。天変地異が続き揺れ動く都で、光孝帝が崩御し淑子の夢がかなう日がきた。
藤原基経という人物を私は知らなかった。この物語の主人公である藤原淑子の叔父にあたる。女官としては最高の地位まで上り詰めた女の一生であるけれど、本人にはそんなに出世欲は無かったと思うけれど、うまく時代に乗ったということか。以前 読んだ『橘 三千代』ともども、この時代のほうが今よりもずっと政治の世界はどろどろしていたようだ。政治を操れるというか天皇には自分の姉妹、姪、従姉妹、誰でもいいのだ。次の天皇になる子を産んでくれさえすれば・・。人間の権力に対する欲望も果てしないものがあるようだ。小説として読むぶんにはとても面白い。菅原道真の若かれし頃のことも面白いものだった。
2005年03月10日(木) |
過ぎし日の春は満州の彼方に 紙谷 多津子 |
いつも行く近所の美容院で題名に引かれて読んだ本だ 私もお顔だけは知っているそれもご近所の人の叔母さんという方の自己出版本 ご主人が満州電業承徳支店・双頭山発電所でお仕事されていて、ロシアの参戦により満州から3人の子どもと引き上げてこられた記録だ ご主人は仕事の整理のために残らざるを得ず 女子供のみの引き上げになったようだ 私の母も二人の乳飲み子と引き上げてきている 母とほとんど同世代で母の引き上げの状況もこの方と同じような状況だったのだろうなぁ・・と思う ただ 私の母の場合 子どもを二人とも死なせている そのことは後後までも母の胸で深い傷になっている 実家のあった大和郡山へまるで乞食のように痩せて、ほほはこけてロシア兵にレイプされないために髪を刈り上げて目だけがギョロついていたようだ 姉だと名乗られなければ、誰だか分からなかったということも後から叔母に聞いた 持ち帰った小さな骨壷は汗じみが出来ていたと 母が亡くなってから叔母に聞いた 生前の母から 満州の話は何も聞いていないので この手の本を目にすると私は飛びつく 母の心をわかってあげられなかった・・ という自責の気持ちからだ
この方は本の最後を次の言葉で締めくくっておられる
死なんと思い 生きんと思い 三年を超えぬ
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