1999年05月02日(日) |
天涯の花 宮尾 登美子 |
15歳になったばかりの珠子は、2歳から育てられた養護施設愛光園の卒園をまえに、このとき、園長から養女の話を聞く。申し出てきたのは、徳島県南部に聳えたつ剣山の中腹にある神社の宮司白塚国太郎とその妻すぎ、ともに60歳をこえた老夫婦だという━ここに、やがて珠子が体験する「肉親」との、きびしくもあたたかい生活のはじまりがある。電気や電話もなく冬は深い雪におおわれる山での暮らしのはじまりがあり、人知れず咲く孤高の花キレンゲショウマとの出会いのはじまりがあり、東京から来たカメラマン久能との運命的な恋のはじまりがある。 そして、孤児としての「過去」にこだわって生きてきた珠子の、孤児であることの自覚によってのみきりひらかれる豊饒な「未来」への」確信もまた、このときはじまっていた。
以前 この作家の「朱夏」を読んだことがある その作品と比べさせてもらえば、この作品は孤児ながらも自分をしっかりと持った女性が主人公だ たぶん 日常においても言葉の少ない女性なのだろうと思う それでいて人を傷つけないように 自分の思ったように生きていくのだろうと思う ほんとうに芯がしっかりした女性なのだろう
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