終わってないんですが。 - 2006年03月12日(日) こんばんは、遙です。 後書き以外で出てくるのは、初めてですね。別に出ても良いんだけど(笑) この間から書いてる「君と二人なら」なんですが、終わってないんですけど暫くお休みします。 nikkijamさんの方での参加企画の執筆期間が始まってしまうのです。 そちらが始まる前に終わらせる予定だったんですが、無理でした〜(泣)仕方がないです。 一ヶ月で終わるので、一応一ヶ月で戻ってくる予定です。 続きを楽しみにていた方(居ないと思いますが)、すみません。 しかし…凄い展開っつーか、もうオリジナルですよねー、「君と二人なら」。 というか、駆け落ち以外にも結ばれる方法を見つけて、しかもその方が自然なことに気がつきました(泣) 一応この物語はエンディング後のつもりで書いていたのですが、アグリアスは貴族だろうけれど、異端者(ラムザ)に荷担した者として犯罪者扱いなんじゃないだろうか?と思ったのです。 そうすると自分のお家には帰れない…。その点、ムスタディオのお父さんはラムザが悪い奴じゃないって知っているし、ゴーグだったら隠れ住むことも出来そうだからそのままゴーグで暮らせそうな気がします。 そこにアグリアスを誘ったら…。ほら〜、こっちの方が自然に見える〜(自分でツッコミ)。 失敗したな〜と思ったけれど、これはこのまま書いていこうかな、と(折角書いたから) サイトに持っていく時は注意書きでも書いて…(ゲームのシナリオ、無視してます!とか…)。 それより完結出来るのかな〜と思いますが(爆) それでは、この辺で。 一ヶ月後に戻って…これたら良いですね(オイ) - 君と二人なら (6) - 2006年03月07日(火) どうして良いのか、分からない―――いつもそうだった。 俺はアグリアスのことが好きだった。あの頃からもうずっと。 でも、“相手は貴族だから”ってずっと言えずにいた。一生言わないでおこうって思ってた。 諦めるんじゃない。諦められないなら、それで良い。ずっと想いを秘めたままでも、アグリアスが幸せなら良いかって思ってた。 それが間違っているとは思わない。だけど、アグリアスが俺を想ってくれて、俺の為にこんなとこまで逃げてきて…、それを突き放すのは間違っているかもしれない。 「貴族なんかに生まれなければ良かった…っ」 その言葉を聞いて、俺はアグリアスの腕を引いて抱き締めていた。 アグリアスの身体が戸惑いがちに強張ったのが分かる。 初めて抱き締めた身体は思っていたよりもずっと柔らかくて、石鹸か何かの良い匂いがした。 「…泣かないで」 そう言っても泣き止んでくれなくて、アグリアスは俺の胸に縋りつくようにして泣いた。 良かったと思った。泣いているアグリアスを見るのは嫌だけど、それでもアグリアスに“お前と出会わなければ良かった”なんて言われないで、良かったと思う。 アグリアスが、俺にとってかけがえのないあの日々を嘆いたんじゃなくて良かった。 それだけで十分だと思った。だけど、それだけじゃ駄目だ。 守るって決めたなら、最後まで守らなきゃ。 好きなら、想いを貫き通さなきゃ。 もう心に迷いはなかった。 バタン、と再び開いた扉―――振り向くと、その先にはまたあの男達が立っていた。 「やはりここに居たんだな。小僧、その女性を離せ。貴様如きが触れて良い女性ではない」 男は言う。その言い方にカッチーンと来たものの、俺はアグリアスの身体を離した。 男に従ったんじゃなくて、人前で抱き合ってんのが気恥ずかしかったから。 「アグリアス殿、探しましたよ。帰りましょう。このような小屋に居ては、ドレスが汚れてしまいます」 あーもう、いちいちムカつくんだけど。貴族ってそーゆーもんだって知ってたつもりだけど、今までアグリアスとか行方不明中のアイツとか…、貴族の中でも特異とも言える奴らと接していただけに、ムカついてしょうがない。 「嫌だ。何度も言った筈だ、貴殿と結婚するつもりはない、と」 「力ずくでも帰って貰います。父上、母上のことを考えれば、そのようなことは言えぬ筈。その小僧のことなど、私が忘れさせてみせます。さあ、アグリアス殿」 衛兵風の二人の男が剣を抜くと、アグリアスは少したじろいで唇を噛み締めた。 「そういうつもりなら…こちらも…」 アグリアスの言葉を遮るように、俺は二人の間に立つ。アグリアスを庇うようにすると男がぴくり、と片眉を上げた。 続 - 君と二人なら (5) - 2006年03月06日(月) 「………なれると思うか?」 「え?」 今度はしっかり聞き取れなくて、俺は聞き返す。 俯いていたアグリアスは顔を上げて、俺を睨みつけた。 「本当に幸せになれると思うか、と聞いたんだ!好きでもない男と結婚して、幸せになれるのか!?好きでもない男の子供を産み、その子を愛せると思うのか!?」 「姉さん、お、落ち着けって」 「こんな物…!好き好んで私が付けていると思うか!?こんなドレス…、私に似合うか似合わないか、お前なら分かるだろうが!」 「いや、似合ってるし!」 アグリアスが首飾りを引き千切ろうとする。 オイオイ、幾らすると思ってんだよ!…って、俺には分かんねぇけどさ! 「似合ったとしても、私はいらない。それがどうして分からないんだ!!」 「分かった、分かったから、落ち着けって!」 アグリアスの両手首を掴んで、その動きを止める。 首飾りは無事だった。アグリアスの胸の上でキラキラと光るそれを見つめて、俺はほっと息を吐いた。 暫くの間、俺の腕を振り払おうとしていたアグリアスは、やがて大人しくなる。 そのかわり、俯いたまま動かなくなった。 「私は…こんな物がないと幸せにはなれないのか…?私が貴族だからか…?」 「そうだよ。あんたは俺の手が届かない人なんだ。ホントは、こんな風に話してること自体おかしいんだぜ。…分かるだろ?」 「好きで貴族に生まれた訳ではない!」 アグリアスの言葉に、俺ははっと我に返った。 好きで貴族に生まれた訳ではない―――生まれる家柄を選べた訳じゃないんだ、俺もアグリアスも。 それは貴族に生まれたからこそ言える、迷い言とも取れる。裕福で権力がある貴族に生まれた方が幸福になれるのかもしれない。だけど、それは常識の範囲内での話であって。 一年前まで、俺達は家柄も身分も、金持ちも貧乏も関係なく、一緒に戦っていた。 そんなの関係なかったんだ、俺達は仲間だったから。 死なない為に必死になって生きてきたから、そんなことが気にならなかったとも言えるけど…。 だから、アグリアスが身分なんて関係ないなんて言っても、それはおかしいことでも何でもない。そして、周りの人間がそれを否定しても、俺はアグリアスを分かってあげなきゃいけないのかもしれない。 一年前までは、当然のように笑い合っていた仲間の一人なんだから。 気がつけば、アグリアスはぽろぽろと涙を流していた。 アグリアスの涙を見たのは初めてだ。どんなに戦いが辛くても、仲間が戦死した時も、涙なんて見せなかった。 その気丈な人が俺の前で涙を流している。どうして良いのか、分かんなくなる。 「泣かないでくれよ…。あんたに泣かれるのは嫌だ…」 綺麗なアグリアスが傷つかないように、守ってやりたいと思ってた。 だけど、今アグリアスを泣かしてんのは俺だ。 「誰の所為だと思っている…っ」 「分かってるよ。でも、俺どうして良いのか、分かんなくて…」 続 - 君と二人なら (4) - 2006年03月04日(土) 俺はアグリアスの話を聞いて、少なからずショックを受けていた。 戦争が終わって、一緒に過ごした日々は過去になって…、でも別々に暮らすことになっても、俺もアグリアスも変わらないって思ってた。 綺麗なのに強くて、剣の腕が凄くて、凛々しいアグリアス。 だけど、もう剣を持つ理由もなくて、アグリアスも“普通の貴族のお嬢さん”になっちまった。 やっぱり俺の手が届かない人なんだ。 分かってたつもりだった。だけど、分かってなかったんだ。 だって、俺は今の現状を目の辺りにして、ショックを受けてる。 ドレスやアクセサリーで、綺麗に着飾っているアグリアス。“貴族”の婚約者。 明らかに俺とは住む世界が違う。 「結婚すんだ?姉さん」 「だから、嫌だから…」 「それはもう聞いたけどさ。でも、貴族ってそーゆーもんなんだろ?親が決めた相手と…って、よく聞く。だったら、あんたも…」 「嫌だ!私は好きでもない相手と結婚などしない!」 言い切った…な。確かにそれが通れば良いけれど。 でも、それが出来ないのが貴族なんだろ? 家の為、金の為、権力の為に、好きでもない男と結婚させられる。 俺はそれで良いのか?アグリアスがあの嫌な感じの野郎と結婚しても…。 「…好きなヤツ、いんのか?」 そう尋ねると、アグリアスは頬を赤らめて目を逸らした。 「…私がわざわざゴーグまで逃げてきた理由が分からないか?」 分かるよ、分かるけどさ。 結婚なんかすんな。俺と逃げよう―――そう言うのは、簡単なんだ。まあ、勇気はいるけど。 だけど、言っちまって良いのか、悪いのか分かんねぇ。 俺と逃げたら、アグリアスは“貴族であること”を捨ててしまうことになる。 アグリアスの運命を大きく変えることになるんだ。 それでアグリアスは幸せになれるんだろうか…。俺はアグリアスを幸せに出来るんだろうか。 分かんねぇんだ、不安なんだ。手の届かない人を、届く場所まで落として良いのか。 「私はお前が…」 「姉さん、言っちゃ駄目だよ。俺も言わねぇからさ。それで良いだろ?」 俺はアグリアスの言葉を遮るように言った。 駄目だと思った。俺には出来ない、と。 俺が幸せに出来るかどうか以前の問題だ。そういうことを考えちゃいけない人なんだ。 「何が良いんだ!?」 「良いんだよ。あいつ…、感じ悪そうだったけど、金持ちそうだったし、きっと幸せになれるよ。だから、大丈夫だ」 何が“大丈夫”なんだろ…。よく分かんねぇけど…。 「俺は一生かかっても、その首飾りも指輪も買ってやれそうにねぇもん。だけど、綺麗だからさ。そっちの方が良いと思うし」 手の届かない人なら、せめて幸せになって欲しい。 その相手が俺じゃなくても、それは仕方がないことだから。 続 - 君と二人なら (3) - 2006年03月02日(木) 「ばーか、修理した俺が動かし方、分かんない訳ねぇじゃん」 こんなもんで追っ払えるとは思わなかったけどな〜。多分見たこともないようなおもちゃに、ビビっただけなんだろう。 バタバタと騒がしい足音が消えて、俺はもう一度絨毯を捲って地下室の蓋を持ち上げた。 「大丈夫か?あいつら、行っちまったぜ」 「ああ、私は平気だ」 手を貸してやると、アグリアスは素直に俺の手を取る。 さっきは気づかなかったけど、その指にはゴージャスな銀の指輪が嵌っている。 見たこともない、綺麗な青い石―――宝石なんかあんまり興味ないから名前は分かんないけど、すげぇ綺麗だ。 「ドレス、汚れてないか?ここ、埃が溜まってたろ?」 「いや、良いんだ。こんな服、汚れても」 「そーゆーこと言うなよ。折角綺麗なんだからさ」 暗くたって狭くたって服が汚れたって、気にするような女じゃないけどさ、アグリアスは。 それでも女らしい格好をしているせいか、こっちが心配になってくる。 「お前こそ、無事なのか?」 「全然」 「剣の音がしたようだが…」 「あのなぁ、俺だって一年前まで、あの化けもんと戦ってきたんだぜ?ちょっと腕が立つぐらいのヤツにどうこう出来ねぇさ」 そう、どうこう出来る訳がない。だけど、それはアグリアスも同じ筈で。 何で俺よか全然強い筈のアグリアスが、あいつらから逃げてきたんだろう。何で逃げ切れなかったんだろう、謎だ。 「それもそうか。…すまない」 綺麗な格好をしてても、喋り方はアグリアスだ。それに少しだけ安心する。 「気にすんなって。大したことじゃねぇし」 それに、アグリアスがピンチの時は必ず守るって決めてた。 あの日―――自分の弱さと強さに気づかせてくれたあの時、誓ったんだ。 アグリアスがピンチの時ってなかなかなくって…、でも誓いが守れて良かったよ、ホント。 まあ、アグリアスには言ってないから、何のことか分かんないだろうけどさ。 「で?あいつら、誰なんだよ?なんか感じ悪ィヤツらだったぞ」 「………フィアンセ」 アグリアスは暫く沈黙してから、小さな声でそう告げた。 「は?」 ちゃんと聞こえはしたんだけど、信じられなくて思わず聞き返す。 「フィアンセなんだ、私の」 「フィアンセ〜!?け、結婚すんのか!?姉さん!!」 「それが嫌だから、こうして逃げている!」 そりゃそうか…、そうだよな…。でも、嫌なら何で婚約なんて…。 「親が決めたことなんだ。私は何度も嫌だと言ったんだが、聞き入れて貰えなくてな。相手も何故かその気で…。何度も逃げようとしたんだが、厳重態勢でなかなか逃げることが出来なかった。夕べ、婚約パーティが始まる前にようやく逃げ出せたんだ」 婚約パーティの前にねぇ…。そりゃあ、相手も追いかけるよなぁ…。 「…って姉さん、まさかそれでその格好…?」 「ああ、着替える暇がなくて…。仕方なく、このままチョコボに乗ってきた」 …そりゃ、目立つだろ…。アグリアスが逃げ切れなかった理由が何となく分かった。この格好じゃ、剣も使えないしな。 だけど、そんなことはどうでも良いことなんだけどさ…。 続 -
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