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- 2006年07月21日(金) ∨前の日記--∧次の日記
- BONNIE PINKー遅すぎたブレイク。

突然ですが、
BONNIE PINKが昔から大好きです。


というわけでえ〜と、久々に大好きなアーティストについて、
ここで語らさせてもらってもよいですか?





**********************************




『BONNIE PINK』と聞いて、音楽と共に日々過ごしている方ならば、
知らない人はいないでしょう。それくらい実力を持ったアーティストです。

知的で奥の深い詞の世界。普通の女の子っぽい声ながら
卓越した歌唱力。そして天才的なメロディセンス。
さらに、彼女の実力を心底実感したいならば、
『Bonnie's Kitchen #2』の英語曲ベスト版を聞きましょう。

彼女の英語曲を聞いたネイティブの人が、
「日本人の女の子が歌っているとは思わなかった!」
と云った話は有名。それぐらい彼女の英語曲は秀逸です。





…というわけで、
日本でもトップの実力を持つシンガーソングライターで、
J-WAVEなどでは常にランキング上位を誇る彼女ですが、
その実力の割に一般認知度はイマイチのような気がします。


しかしここ最近、いよいよボニーピンクが、
超強力なプロモーションを繰り広げはじめました。





**********************************







まずは、5月末より封切られております
映画
『嫌われ松子の一生』
ソープ嬢役で映画初出演!

劇中で主題歌の
『LOVE IS BUBLLE』
歌っています。

映画でソープ嬢を演じるボニー嬢


そして、あの資生堂アネッサCM曲
『A Perfect Sky』でブレイク中。


蛯原友里のCMやバックヌードジャケットより、
このボニーのCM曲の方が問合せが殺到したとのこと。
エビちゃんがこの曲の宣伝をしたようなものです。



ホームグラウンドのJ-WAVE『TOKIO HOT 100』では、
宇多田ヒカルを抑えて
2週連続1位。

エビちゃんバックヌード仕様の
初回限定盤ジャケット

通常盤ジャケット

そしてあのオリコンチャートでも、ボニー史上最高位の5位。現在でもTOP10圏内です。



隠れた実力者、遅れてきた女王とはまさにボニーのこと。
ちなみに、ワタシが好きな3大DIVAは、宇多田ヒカル、椎名林檎、そしてボニーピンクですが、
これまで、実力に知名度と売り上げが伴っていなかったのがボニーなのです。


大ブレイクマキシ『A Perfect Sky』とともに、遅咲きの花を咲かせるか?






***********************************







それを狙って追い討ちをかけているのかは知りませんが、
7月26日コンプリートベストアルバムが発売されます。
アルバムタイトルは
『Every Single Day』




さて、主にこれからボニーピンクを聞こうという方、ライトなファンの方に向けて
このコンプリートベストアルバムの曲目紹介をさせていただきます。

ワタシも決してヘビーなファンではないので、
コンプリートなイントロにはならないかも知れませんが、
買うために参考となるレビュー代わりにはなると思います。





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7月26日発売 BONNIE PINK コンプリートベストアルバム
『Every Single Day』(2枚組)






Disc1




01. Heaven's Kitchen ★★★★★

前作の3rdマキシ『Do you crash?』で、初めてボニーピンクを知った私が、
完全に彼女につかまったのがこの『Heaven's Kitchen』でした。
そして前作から引き続き、スウェーデンのトーレ・ヨハンソンによるプロデュース。
♪「名前があって そこに愛があって たとえ一人になっても 花は咲いている」
冒頭でボニーがつぶやくフィロソフィカルな詞から胸を鷲掴みされます。
♪「ヘヴンズキッチーン〜」…のサビ部分は、oasis的なノイジーな重厚感でグッド。
今回「A Perfect Sky」を聞いた人の殆どが、ボニピンは『Heaven's Kitchen』ぐらいしか
知らないと答えており、それくらいインパクトがあった曲。彼女の一番の代表曲です。




02. Forget Me Not(英語) ★★★★

リズミカルなメロディに、ボニーの英語ボーカルが跳ねるように絡んでいく。
英語詞はオンナノコな感じでカワイイ。「彼を忘れられないが、振り向くのは私じゃなくて、
彼の方よ」という素直になれない乙女心を歌っている。サビの歌詞は下記のような感じです。
♪「under the bed I hid forget me not. everywhere he can smell forget me not.」
(ベッドの中に忘れな草を隠した。彼は至る所で忘れな草の香りを嗅ぐだろう。忘れな草の香りを)





03. 泡になった

2ndシングル『Surprise! 』のカップリング。この曲は知りませーん。




04. かなわないこと ★★★★

私が初めてボニーサウンドに出逢ったのが、この3rdマキシの『Do you crash?』なんです。
そしてこのマキシが、トーレ・ヨハンソンとの記念すべき初コラボです。その2曲目が
この『かなわないこと』。これもイイ!、ボニーのハスキーで悩ましげなヴォーカルが印象的。
♪「運命って言い訳が全てじゃないけど、それ以上便利な偽善なんてないね」
♪「きのうならだとか 男だったらだとか かなわないことばかりでせめないで」

女性ならば「うんうん」と頷いてしまう歌詞かも笑。こういう引っ掛かり感がある曲が好きです。



05. オレンジ ★

これがデビューシングル。ボニーをある程度知ってる方が聞くとびっくりします。
今よりも別人のように低くてハードな歌声なんです。硬さを感じるがそれがかえって初々しい笑。



06. 犬と月 ★★★

♪「震えた犬が 月の下とぼとぼ歩いて来た 怯えた瞳で 月の下 忍び足 歩いて来た」
この出だしの歌詞が頭から離れない曲です。聞いてすぐに絵が浮かんでしまいます。



07. Surprise! ★

デビュー2曲目。これも1stの『オレンジ』同様に、今のボニーとは異なる歌声ですが、
一番ロック色が強くて激しいこの曲には合っているかも。ライブで人気の曲らしいです。



08. Lie Lie Lie ★★★★

中島らも原作『永遠も半ばを過ぎて』の映画『Lie lie Lie』の主題歌。
佐藤浩市と豊川悦司、鈴木保奈美の3人が共演。とても好きな映画です。
そもそもこの映画を観たのは、主題歌をボニーが歌っていることがきっかけでした。



09. 金魚 ★★★★★

これは名曲。恋する女性の不安で拠り所のない心情を「金魚」に例えて詠う歌詞がとても切ない。
金魚だから彼の手のひら上では生きていけない。でも水槽の中に帰れば彼はいない・・・
♪「私の居場所なんてものは あなた次第 なのに 
  私が泳ぐそのプールに あなたが泳ぐ姿 幻」

しっとりとメロウでありながら、サビでは嘆くように訴えかける歌声が印象的です。




10. It's gonna rain! ★★★ 

5thシングル。当時、週刊少年ジャンプ連載でカリスマ的人気を博していた『るろうに剣心』の
TVアニメ(50話〜66話)の主題歌。もちろん歌詞は『るろう』とは関係のないもので、
雨の日の女性の不安定な心境を詠っていますが、曲調はかわいらしく軽やかなメロディーです。




11. Do you crash? ★★★

私が初めてボニーサウンドに出逢った3rdマキシシングルの1曲目。
♪「頭が忙しい」と言って電話を切って ほんの少し後に深く後悔してしまった」
 ♪「あぁつまらない それがどうしたって? あぁつまらないことで忙しい」

ボニーは、普通な毎日の中に誰にでも起きる衝動や狂気をさりげない言葉にするのが上手いですわ。



12. The Last Thing I Can Do (英語) ★★ 

マキシシングル『Forget Me Not』のカップリング。
メロウなメロディー&ヴォーカルと、シンプルで素直なワードで心に響く英詞が印象的です。



13. Evil and Flowers(英語) ★★★★ 

大好きです。全編英語詞ですが、BKロック風味のノイズ感漂う渋いバラード。
英語詞も最高に渋い、渋過ぎる!下記に1番の歌詞のみ載せておきます。

♪「You can find evil everywhere aiming at your flowers.
  Run and run and hide as you may, they will catch you.
  They're always ready in your mind. No man alive can see them.
  They show themselves as flowers fall then youmust go.」
(邪悪なものはどこにでもあって、あなたの花を狙っているのだ。
 走って走ってどんなに隠れたって、奴らに捕まってしまうだろう。
 奴らはあなたの中でじっと潜んでいる。生けるものみな見る事はできない。
 そして花が散るにつれその姿を現す。その時は行かなくてはならない。)








Disc 2





01. So Wonderful ★★★ 

トーレ・ヨハンソンの門下生でもある若手プロデューサーチーム「Burning Chicken(バーニングチキン)」
とのコラボマキシ。夏らしく瑞々しいサウンドがたまりません。



02. Daisy ★★

プロデューサーは元レンタルズのトム・グリムリー。5曲入りのプチアルバム的マキシシングル。
全てがアルバム未収録。ボニー自身によるギターを大幅にフューチャーした曲。



03. You Are Blue, So Am I ★★★ 

清涼感あふれる水色のポップチューン。そして詞もきれいで、頭の中でするりと絵に変換されます。
♪「映画のようなため息 鏡越しに君が見える その視線の先には 次のため息が見える」




04. 過去と現実 ★★★★★

私もコレ、めちゃめちゃ好きです。過去のボニーナンバーの中でも相当上位にランクされる曲。
まさに「男スガシカオ」といえる、これぞボニーピンクって曲です。
都会的で落ち着いたメロディラインにのせて、ボニーが切なげにささやく刺さる詞がハマり過ぎ。
しっとり聞き入ることでしょう。以下は2番の歌詞です。どうぞ刺さってください。
♪「過去に生きる多くの人は 現実を信じない人 通り過ぎなければ目覚めない人
  間違う事を恐れない事 間違いを忘れない事 今を見つめる事の方がもっと大事
  明日の夢と錆びれた記憶 確かな物などない だけどあなたに降り注ぐ雨は 現実という涙」





05. Sleeping Child(英語) ★★★

アルバム『Let Go』からの2ndリカット。ボサノバ風味のメロディにあわせて、
クールな英語ヴォーカルを聞かせてくれるボニー嬢。これからの季節に涼しくていい曲です。




06. Tonight, the Night ★★★★★ 

この曲を聞いた時はビックリしました。全く新しいボニーサウンドを耳にしたという衝撃。
それもそのはず、約5年振りにトーレ・ヨハンソンがプロデュースしたらしいですが、トーレ自身も
あのフランツフェルディナンドのプロデュースを経て、新たな境地に入ったのでしょう。
進化した2人の合体が生んだスーパーポップサウンドです。「インドア(密室)サウンド」と
云われたボニーですが、この曲は明らかに開放的でオープンなメロディーです。




07. Take Me In ★★★

曲調は微妙にR&B的なグルーヴ感が漂います。4thアルバムやツアーでも一緒だった
Anthony Johnsonとの共同プロデュース作。当時の「DDIポケット“ feel H ”」のTV-CM曲でした。




08. 眠れない夜 ★★★

染み入る珠玉のバラードです。分かっているけど想わずにはいられない人間の矛盾を
深く切なく詠んだボニーソングの本道。彼女のこういう知的なところが好きです。
♪「期待しないで生きて行けるほど 大人ではなく また子供でもない
  痛みを知って 臆病になっても 君が必要なんだと まだ夢を見ているよ」





09. Thinking of You ★★★★

♪「あ〜ったらしい あっさ〜」の出だしが最高。思いっきり清々しいです。
♪「そばにいるだけじゃ見えないもの 離れていても分かり合えること
  同じ月 同じ空の下で待っているわ Thinking of you」
このサビもいいです。




10. New York

マキシシングル『You Are Blue, So Am I 』のカップリング曲。
うーん、これは聞いた事ないんですよね… スミマセン。



11. LOVE IS BUBBLE ★★★★

今だに旬な曲です。中谷美紀主演の映画『嫌われ松子の一生』の主題歌であり、
本作にて映画初出演のボニーが、劇中でショーガールに扮して歌う曲でもあります。
いや〜これまたビックリしました。彼女の引き出しの多さへの驚きを隠せません。
間違いなくこれまでのボニーピンクの辞書にはない曲です。



12. Private Laughter ★★★★

『Tonight, the Night』に続いてトーレ・ヨハンソンがプロデュース。前作から
新たな次元へ昇華したボニー&トーレのオープンなサウンドが、この曲でも継承。
スケール感漂うメロディーに艶やかに絡んでいくボニーの歌声が美しい。



13. Soulders
スミマセン、この曲は知りませんでした。ライブ盤の『Pink in Red』に収録されていたので、
iTMSで試聴だけしました。しっとりとした美しいメロディーの曲ですね。



14. A Perfect Sky  ★★★★

冒頭でもふれた、今をときめくスマッシュヒット『A Perfect Sky』。
実はこの『A Perfect Sky』、最初は本当に資生堂”ANESSA”のCMソング用に制作されて、
短いバージョンしかなかったらしく、問い合わせが殺到してからフル制作したんだそうです。
とてもそんな風に聞こえない完成度なんですけど笑。




15. Last Kiss ★★★★★

ボニーピンクにしては超ベタでストレートな歌詞。しかし、そこがこの曲のポイント。
少し斜めから物事を捉えるボニーが、こんな豪速球を投げ込んでくるのは卑怯です。
♪「痩せた指にキスをした あなたをずっと忘れないよ
  いつか会えると信じて 最後のキスを噛み締めるよ
  痩せた指にキスをして 泣いたあなたを思い出すよ
  これで終わりだとしても 最後のキスは忘れないよ 忘れないよ…」

卑怯ですよね?こんな詞。しかも、トーレとの最強コンビで創った劇場型メロディにのせて、
ボニーが歌うわけですよ。ドラマのような恋が好きな男女にとっては「即泣きソング」です。






**********************************






コンプリートベストに選ばれなかったけど、
絶対にお奨めのボニーソングたち。





■映画『Lie Lie Lie』のエンディング曲より
たとえばの話 ★★★

■アルバム『Evil and Flowers』より
Quiet Life(英語) ★★★★★ 英語曲の中でも名曲です。
Youe Butterfly ★★★★★ これはいいですわー。

■アルバム『Even So』より
1・2・3 ★★★★★ これは入れて欲しかった!! 

■アルバム『Just a Girl』より
Building a Castle(英語) ★★★★★ 泣きたくなる珠玉のメロディ。

■アルバム『Golden Tears』より
日々草 ★★★★★ メロディーとヴォーカルのからみ具合が秀逸。




*************************************




総評して、このコンプリートアルバムを買えば、
初めてBONNIE PINKを知ろうとする人にも、少しかじっていてもっと知りたい人にも、
買って損はないと思います。ただし、英語曲も聞いてください。

ただ、ファンとしては、ブレイクしようともしなくとも、
彼女がずっといい音楽を提供し続けてくれればいいと思うだけです。




060721
taichi
...
- 2006年07月11日(火) ∨前の日記--∧次の日記
- 南北ブラザーズ vs 日米アタッカーズ

北のミサイル発射以来、騒然とする
環太平洋外交ウォーズ。





ミサイルの標的となっている日本が、北への恐怖と怒りをあらわにするのは当然である。
国民感情からすれば一刻も早く北へ直接的な制裁を下し、ミサイルなどの物理的な恐怖を
無くしてほしいところだ。中々進まない国連安保理の動向に苛立ちすら覚えるだろう。
制裁決議に反対を表明している中ロに対しては「なんでだよ!」と云いたいはずだ。

しかし、ことに政治というのは感情論で議論するべきものではない。
国際政治ならばなおさらだ。今回の動向を見ても、外交というのはまさにパズルのようであり、
幾つもの天秤が釣り合う量を微調整しながら着地点を図る作業である。

ワタシもこの件に関しては、実にデリケートな問題であるため言及を避けていましたが、
しかし、状況があまりに目に余る展開となって、一言云いたくなりました。



日米韓中ロ vs 北という6ヶ国協議内の構図は、あっけなく崩れ、
なんと、南北 vs 日米という構図になってしまった模様です。

中国はどちらかというと、勃発した喧嘩を収めるべく一番必死に走り回っていて、
ロシアはキャスティングボードを握りつつも静観しているいつものポジション。




この中でも、
北朝鮮、中国、韓国、日本、(米国)についてコメントしたい。

特に韓国と日本!




*******************************************




まずは北。

「この国にかける言葉が見つからない」



日本人として正直恐い。これは感情論を超えた日本国民として世界に対する公式表明だ。
闇貿易でしのぐ北はどこか暴力団ぽいが、対話が出来る暴力団ならまだかわいい。
そう、北が恐いのは、その軍事力以上に何を考えてるか分からないところ。
いわばかつての「オウム真理教」的存在だ。金正日は麻原だ。
武器を持った狂信集団ほど恐いものはないのだ。

ワタシからはこの国にいうことはない。対話するならサシではダメ。必ず1対ALLだ。
つまりは6ヶ国協議に出てこさせるしか、対話解決の道はないのだ。





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次に中国。

「時間までがんばってくれ!」





その6カ国協議に北を参加させようとしていた議長国が中国だ。
当初から「追い込んではいけない」と、北をかばい続けて来たのも中国だ。
かばい続けて来たにもかかわらず、北が暴発してしまって面子丸つぶれってことで、
今回一番トホホな立場にいるのが中国だ。相当に困っている。

今回の国連ギリギリまで拒否権をちらつかせて、日米の譲歩を引き出そうとしていたが、決議直前で、
「すまんが、一週間時間をくれ!、もう一度交渉してくるから!」と泣きを入れてきた。
日本世論には反対する中国へのブーイングも垣間みれるが、中国には中国の北との外交がある。
ワタシは特に中国に対してどうこう思わない。ミサイルが日本に着弾してたなら話は別だが。

決議延期同意に際し中国に課した条件は3つ。
(1)あくまで国連安保理での制裁決議を求める
(2)中国の北朝鮮への外交努力が続いている間は決議採決はしない
(3)中国の説得が失敗すれば速やかに制裁決議を行う。

さらに米国は、採決回避の条件として
(1)北朝鮮の6カ国協議への無条件復帰、(2)ミサイル発射実験の無期延期の確約、とした。

中国の交渉により、北がミサイルを放棄して、全体での対話の場に出てくればそれでよいと思う。
だが、今日の時点では、中国政府高官による交渉は難航しているようだ。
まあ、とにかく執行猶予までがんばってほしい。そして失敗した場合には潔く応じてもらいたい。





*******************************************





そして今回、最もひとこと云ってやりたい国、
それは「南」…韓国だ。


「この状況でも、保身と日本批判しか出来ないんですか?」







韓国青瓦台(大統領官邸)は9日、北朝鮮のミサイル発射問題に関する声明を発表、
「無理に日本のように未明から大騒ぎする必要はない」と述べた。【ソウル9日共同】



この声明に関しては日本はもちろん、韓国の有力紙も猛反発した。
ワタシもこれには空いた口が塞がらなかった。

韓国はこれまで、北に対して「太陽政策」という宥和策をとっていたのだが、
兄弟のミサイル暴発によって、政府は完全にフリーズしてしまった模様。
北のミサイル発射の対応は世界で最も遅く、大統領は沈黙を守ったままとなっていた。
これに対して韓国紙は、政策への批判や対応が遅いことへの非難を一斉に展開していた。

そうした中で、大統領官邸が声明を発表したのだ。前述のように日本の対応を非難した他、
「北のミサイルは脅威ではない」「早朝から対応したからといって何が変わるのか?」
「国民を不安にさせず落ち着いた対応が大事」「戦略的沈黙」
などと述べていた。

まず、韓国と日本をはじめ世界各国の反応や対処に差があるのは理解できる。
当然ながら兄弟国であり隣国であり現状の政策がある。違っていて当然だ。
そのことを言い訳するのは、別に良しとしよう。しかしだ、


批判を交わす為に日本をダシにするのはやめていただきたい!
それによって己の落ち度を美化するのはやめてもらいたい。



いやはや、
韓国政府のお約束。「国民の政府批判を収める薬は日本批判」


しかし今回はメディアはダマされなかった。その官邸声明に一斉非難を浴びせたのだ。
しかし一方では韓国国民の方はもっと呑気らしいが…。
安倍晋三長官は「日本の対応は当然だ。そうした表現を使うことは残念だ」と述べた。
もう少し「我が国に着弾してから騒げと云うのか?」ぐらい皮肉ってほしかった。




こうして、中国同様に、韓国政府も国内外から圧力を受けながら、
苦渋の対応を強いられている状況であったのだが・・・・・、


・・・・・

どうも韓国という国は、国際的な問題のことよりも、
日本への非難を用いて国民に対して自己正当化を図ることしか考えていないようだ。

日本の愚かな人達が、云わなくても良いことをしゃべってしまったばかりに、
昨日あたりから韓国政府が息を吹き返しつつあるのだ。







*******************************************




そして日本。


「勘弁して〜!なんで今そんな話をするんだ!」




防衛庁の額賀長官が9日に、
「日米同盟によって、日本は防御中心、敵基地攻撃は米国との役割分担があるが、
国民を守るために必要なら、独立国として限定的な
攻撃能力を持つことは当然だ」と。

安倍長官も、10日の記者会見で、
「誘導弾等による攻撃を防ぐために他に手段がないと認められる限りにおいて
誘導弾等の
基地をたたくことも法律上の問題としては自衛権の範囲内として可能
との(国会)答弁がある。日本国民と国家を守るために何をすべきかという観点から、
つねに検討研究を行うことは必要ではないか」
と。

麻生外相も、9日のテレビ番組で、
「北朝鮮『核は持っている』と言う。核ミサイルが日本に向けられる場合、
被害を受けるまで
何もしないわけにはいかない(←発言主旨要約)と。



お偉い様方が、ミサイル発射騒ぎのドサクサ紛れに、
日頃の想いの丈を次々と披露しちゃったわけです。

なんで今云うんだ!論点がずれていくつーの!
話がややこしくなること分かってるだろーに!!


案の定、ややこしくなりました。前述しました通り、韓国政府が激しく反応。
日本が自らややこしい発言をしてくれたおかげで、出るに出て来れなかった大統領が登場。
「日本の政治指導者の先制攻撃発言などで新たな状況が生じ、事態を悪化させる憂慮がある」
と、北のミサイル発射以来初めてコメント。
ミサイル発射を「核問題の状況管理に多くの困難が生じた」と批判しながら日本については、
「独島(竹島)の教科書掲載や(日本海の)海底地名登載、靖国神社参拝でも表れたように、
北東アジアの平和に尋常ならぬ事態を引き起こす可能性がある」
と語った。

あ〜あ、いつものお約束的展開となりました。日本非難を盾に国内世論を収めるわけです。
それに、日本では「限定した基地の攻撃」「将来に向けての慎重な議題」でしたが、
韓国では「先制攻撃論」「憲法無視の軍事強化の気配」「侵略主義的傾向」となってます。
日本の交戦的気配を憂うなら、隣の武装国家に何とかいえよ!!ってとこなんだが、
日本の愚かな面々が安易に口走るから、日韓の間では論点があさっての方向に行ってしまった。

日本のお偉方は、今云う必要がない事は云わない!そもそも今後も云う必要なない!
とにかく、いくら「限定的基地攻撃」だと云っても、完璧に「専守防衛」に反します。
どうして「自衛権の範囲内として可能」という解釈になるのでしょうか。可能じゃない!
先に基地を攻撃出来る要件として「相手に明確に攻撃する意図がある場合」というが、
それをどうやって証明するのか?一体どこで一線を引くのか?その「基地攻撃」とやらはつまり、
アメリカがやってることと同じことがしたいという意味か?

本来、日本が本当に平和憲法を自負する国ならば、たとえば、
今回のように韓国が日本の武装化に文句つけてきた時に、
「ならば韓国よ、太陽政策を中止してすぐに北をなんとかしろ!
 我々は正直怖くて仕方がない!貴国にとっては兄弟かもしれんが、
 日本にとってはただの狂信国家だ!兄弟なら厳しく接して、
 早くあの脅威を取り払ってくれ!それとも韓国軍が
 日本を守るからいいとでも云うのか?」
と云えばいい。
そのためならワタシは別に「靖国」も「教科書」も些細な問題だと思う。(竹島だけは譲れんが…)
云えないのは、もはや南北朝鮮との対話は諦めたからか?やっぱり軍隊がほしいからなのか?
そして、ゆくゆくはアメリカの傘から出たいか?

おおっと「北」から話がそれて「日米安保」まできてしまった…


やっぱり憲法あるんだし、安保条約あるんだから、攻撃は米軍任せでいいじゃん…と思えば、
その代わりに「BSE牛肉を輸入しなければならない」とか、「国債買ってあげなきゃ」とか…、
各国家間の関係というのは、解けないパズルのようなものだとつくづく感じるのである。






*******************************************





ラストはアメリカ。


「仕方なく牛肉買ったことだし、いざという時はお願いしますよ」



このように、実際にコイズミが云う訳ないが、こういう時のために、
牛肉輸入解禁とかせざるを得なかったんでしょう。
でも絶対にそれとこれとは別だ!!
「米国産牛肉輸入問題」についてはいつか話をしたい。

いずれにしても、こういう状況になると、
アメリカが頼もしく感じてしまうのが悔しくもあり、微妙なのだが・・・。





******************************************





最後に…




話がそれたが、とにかく「ミサイル危機問題」において、
日本、米英仏ロ中の5大国、そして韓国の関係各国の間で共通な認識としては、
「北のミサイル発射は大変遺憾なことだ」という点。
異なるのが、「伝え方の程度と内容」・・・これが安保理で議題となっているわけだ。


決して日本も米国も、北朝鮮を破壊することが目的ではない。
一刻も早く制裁を決議することが大事ではなくて、日米首脳の云う
「世界が非難していることを明確に示すメッセージ」に仕上げてもらいたい。
最終的な目的は、北に考えを改めさせて復興を促し平和的な道へ進む手助けをすることだ。
そのために、「いけないことはいけない」と云わねばならないというのが制裁決議である。
制裁決議にワタシも賛成だ。緊急世論調査では日本国民の92%が賛成とのこと。

北が警告無視してミサイルを発射したのはもう2度目だ。ナンチャッテ的な対応している場合ではない。
日本国民のこの恐怖感を世界にしっかりと伝えてほしい。本当に怖い。




060711
taichi




...
- 2006年07月09日(日) ∨前の日記--∧次の日記
- 中田英寿という時代【2】


前日の『中田英寿という時代【1】』を読まれてない方は、まずはそちらからをお読みください。















4.「王様」から「闘将」へ






中田英寿は、明らかに子供だった。
1998年のフランスW杯からペルージャへ渡ってからの数年間、コミュニケーション能力という意味では、
中田は明らかに子供だった。この点は、今回の引退メッセージで自ら明らかにしている。

中田のような強い自我を持つ人間は、己から何かを発信することは得意でも、周りの環境と調整し合い、
協調していくことには長けてない。人間とはバランスがあるもので、一方が立てば一方は立たないもの。
外に表出する彼の鋭利な部分だけを稚拙なメディアが取り上げて報道する。マスコミは「王様」という言葉を、
皮肉混じりに彼の肩書きに好んで使っていた。内に秘める誠実さや優しさを外に伝えることは下手な故、
中田は殻に篭っていった。しかし、金子達仁氏や小松成美氏などの彼と親しいライターたちが、
彼の素顔について度々語ることで、彼の内面と外の世界との橋渡しが行われた。そうして周囲の努力により、
心ない中傷や誤解から中田英寿という若き才能が守り続けられるうちに、やがて彼自身にも変化が起きていく。
中田はサッカーを通じて、子供から大人へ変わっていったのだ。




ある時を境に、中田英寿を疑問視していたファンの見方が変わったと感じた事がある。
今思えばその分岐点は、トップ下からボランチへポジションがシフトしたあたりではないかと思っている。
どの試合かは忘れてしまったが、日本代表の親善試合で、中田が初めてボランチでスタメン出場した
試合がある。私が「中田の適職はボランチ!」と確信した試合だった。以前は疑問視されていた守備も、
海外経験を経て日本の本職より確実に上手かった。特に印象的だったのが誰よりも豊富だった運動量。
献身的にボールを奪って前線に供給する姿は、自分に合わせて周りが動いてくれたトップ下時代とは
全く逆の中田の姿だ。さらに、ポジションの位置や役割上、ゲーム中に全体がよく見えるようになったからか、
ピッチの監督として、チーム全体を叱咤する彼の姿を見るようになったのもこの時期からだ。

「俺の一本のパスで決めてやる」が、「俺がゲームを支えて誰かに決めさせる」というスタイルに変わった。
近年の中田は、以前のブラジル代表主将であり晩年はジュビロで活躍した「闘将」ドゥンガ選手のように見えた。

当然、年相応に自覚が出て来たというのもあるだろう。他にそういう役を担える人がいなかっただけ
とも云える。しかし、コミュニケーションが下手な単なる「子供」だった中田が、周囲に守られながらも、
「王様」から「闘将」へと変化した要因は、司令塔からボランチへのシフトが影響していることは間違いない。

「クールな王様」から「燃える闘将」への覚醒?。
燃えるようなサッカーへの想い。サッカーを心から好きだという素直な気持ち。何が何でも勝ちたいという気持ち。
決して「覚醒」したのではない。それは、プロになってから封印せざるを得なかった「本性」であることを、
中田はHPのメッセージで赤裸々に告白していた。





*************************************






5.「中田時代」とは。






日本サッカーにとっての中田英寿の貢献は二つ。
「技術的な貢献」と、そして「外交的な貢献」があげられる。

彼は、日本サッカーが世界に追いつく為に必要な出来る限りのことを、自ら実践して身体で伝え続けてきた。
同時にCMなどの露出やネットを利用したセルフブランディングの徹底により、中田自身のみならず、
日本の全てのサッカー選手のブランド価値を向上させた。日本においてサッカーを一大産業に育てた功労者だ。
それは、後を追った選手の数を見れば一目瞭然だ。そしてもうすぐ、中田を見てサッカーを始めた世代が
デビューし始める。ド素人の私が云わなくとも明白だが、彼は日本のレベルの引上げに確実に貢献した。




しかし、日本サッカー史上で中田が初めて成し得た貢献というのは、外交的貢献だ。海外へ渡った日本人選手は
中田以前に何人もいた。奥寺氏はドイツで活躍した。だが中田が海外へ渡るまで、欧州各国の一般市民の
日本サッカーに対する認識は、「日本にもサッカーがあるのか?!」などと云われるようなレベルだった。
向こうのサッカー世界地図にある日本には、何の色も塗られていない状態だったのだ。

それがどうだろう、中田が渡ってからはセリエAのお膝元のイタリアのみならず、他の欧州各国の市民にも
日本サッカーの存在が、ナカタとともに知られるようになった。そのきっかけとなったのは何と云っても、
ASローマ時代の優勝をかけたユベントスとの大一番だ。0−2と劣勢に立たされたローマを救ったのは、
中田の起死回生のロングシュートであり、モンテッラの同点弾も中田の強烈なミドルシュートのこぼれ球だ。
世界のサッカーファンならばこの試合はニュースで観たであろう。この一戦で一気に中田の名が知れ渡ったのだ。
(久々に観たい人はこちらへ→【ASローマvsユベントス】

「日本?、ナカタなら知ってるよ。いい選手らしいね」世界からこんな風に云われるようになった。
長い間世界から置き去りにされてきた日本のサッカーファンにとっては、こんなに嬉しいことはない。





日本のマスコミに厳しかった中田だったが、海外のマスコミには丁寧に接した。その土地の言語を学んで、
その土地の言葉で話した事は、その土地のメディアに好感を与えた。しかしこれは単なる好感度の問題ではない。
日本にとってこの彼の振る舞いは何を意味するか。それは、中田がサッカー親善大使の役割を果たしたということだ。
彼がイタリア語で話す事により、日本サッカーと日本人について、市民レベルで正しく伝えられたはずである。
さらには、中田自身がしっかり身なりを整えて、紳士として振る舞ったことも日本にとっては大きい。
(中田自身は当然、日本への貢献を考えて振る舞っていたわけないが…笑)

中田の移籍以後少しの間、とかく日本人は「金ヅル」としか見られない時期もあったが、こうした彼の振る舞いは、
海外での日本選手の地位向上に絶大な貢献をした。それは引退発表の後の欧州メディアの反応を見ても明らかだ。
デルピエロが「電話で中田を説得したい」と云ったという報道には驚いた。過去の同僚でもないイタリアの選手が、
今や別の国のリーグにいて、活躍もパッとしない一人の日本人の引退に際して、電話で説得したいと云うなんて
想像できない話だ。皆さんは思わなかっただろうか?「彼が残した活躍の割には意外と反応が大きい」と。それこそ、
当初は「カネ」の魅力だけだった日本人選手が、一人のプロサッカー選手として本場に認められていた証ではないか。
こうした中田引退を惜しむ海外報道の中身こそ、中田が果たした日本への「外交的貢献」の現れだ。

中田がプロサッカーを始めてからの10年、彼が本当に目指していた目標は、
「日本サッカーの『実力』を世界に認めさせること」であった。
それには至らなかったものの、間違いなく「中田時代」の10年は、
「日本サッカーの『存在』を強く世界に知らしめた時代」であったはずだ。





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6.必ず帰って来てほしい。







「もう、ピッチの上に立つことはない」

中田はメッセージにこう書き記した。同じ男として潔い決断だと思う。彼の人生を我々ファンが
決める権利はない。これだけの仕事をしたわけだから、本当にゆっくりと休んでほしいと思うし、
彼自身が描く自分のライフプランに基づいて、新しい舞台での活躍を願うばかりである。

しかし、日本サッカーは間違いなく君を必要としている!本当は4年後にも選手として出場して欲しいが、
叶わぬ願いであれば選手でなくてもいい。監督としてコーチとして、地元の少年サッカーの監督としてでもいい。

とにかく、日本サッカー界にとって絶対に必要な人間だ。
必ず帰ってきてほしいと、我々日本国民は願っている!





060709
taichi


...
- 2006年07月08日(土) ∨前の日記--∧次の日記
- 中田英寿という時代【1】






中田英寿引退のニュースは、日本のみならず欧州をも駆け巡った。nakata.netに掲載された引退メッセージは、これまでのどの日記とも異なっていた。
彼がこれほど内面を曝け出したのはおそらく初めてではないだろうか。それは、中田の肉声そのままに綴られた心を打つメッセージであった。
まだ読んでいない方は是非読んでほしい。





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1.彼はもう、分かっていた。




ドルトムントの夜空を眺めながら、彼の胸に去来していたものは、やはりその2文字であった。
誰もが引退のニュースを聞くにつけ、ブラジル戦の最後のシーンに納得したのではないか。
スタジアム内通路でも人目はばからず悲嘆にくれていた中田は、その後更衣室でジーコに意志を告げたという。

ピッチで彼が涙を流している時、私は思いのほか冷めた気持ちでテレビ画面を眺めていた。
悔しさを通り越して冷めていた。そんな私は非国民だろうか?
しかし私が思うに当の中田こそ、日本で最も冷めた目で日本代表を見ていたはずだ。

彼はすべてを分かっていた。代表の力を冷静に把握していた。だが、分かっていたからこそ
出来なかったことがやりきれないのだ。有言実行のサッカー人生を歩んできた彼にとって、それが悔しい。
その想いと心に決めた決意とが共鳴し合い、最後の笛と同時に溢れ出たのだろう。






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2.だからこそ、惜しい。





中田英寿の最後の試合となったブラジル戦。私が前回の日記で描いたような夢は起きなかった。
そう、起きるはずがなかった…、 結局は1ー4の惨敗…。
しかし私と同様、事実を冷静に受け止めた人は案外多かったのではないか?

あれだけ期待された日本であったが世界との差は歴然だった。これがワールドカップなのだ。
一定期間に世界各国が本気で対戦し合うため、均一に比較し易く素人でも気づかされる。
開幕戦のドイツを観て、私は改めて驚かされた。トラップ、パス、センタリング、シュート…
一つ一つの技の基本的な精度が違う。オーストラリア戦までに、他国の試合を観戦していた私は、
すでに愕然としていた。今の力の日本は決勝Tにふさわしいチームではない…と。

貧弱なフィジカルやゴール前の決定力は以前から分かっていたことだが、ショックだったのは
トラップやパス、センタリングなどの基本的な技の精度だ。オーストラリア戦の駒野のセンタリングは、
1本たりともマトモにゴール前へ入ってない。俊輔にしろヤナギや高原、小笠原もそうだ。
何度となくアタッキングゾーンにパスを試みても、稚拙なトラップ一つでチャンスが萎えていく。

百歩譲って下手なのは仕方ないとしても、最もショックだったのは持久力や精神力の脆弱さだ。
これって、日本人が世界と勝負出来ると思われていた数少ない能力ではなかったか?
それすらも勝負にならなかったら、一体どうやって世界に勝とうとしていたのか?
アウェーで行われる真のワールドカップは、沢山の真実を日本人に教えてくれた。



だからこそ、

中田英寿の引退が惜しまれるのである。





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3.ヒデが伝えたかったこと。





我々が気づかされた日本代表の真実を、中田はすべて分かっていた。それゆえ彼は従前から
『このチームにW杯を勝ち抜ける力はない』『走れなければサッカーにならない』と云い、
『基本的なことが足りない』と語った。叱咤激励ではなく、彼は知るべき事実を伝えていたのだ。

代表新監督に内定したオシム氏が、中田と同じ事を述べていた。
『日本はできるサッカーと、やろうとしているサッカーが違いすぎる』
『日本人は、自分たちがまだまだ弱いという自覚を持つ事だ』…と。

中田がずっと我々に伝えていたのはこのことである。
日本人がどのように世界と戦うべきかを、自らのプレーで伝え続けていたのだ。




世界平均から云えば、中田はとりわけテクニックや速さがある選手ではない。
技術ならば俊輔や小野の方が上であり、他の日本人でも速い選手はたくさんいる。
ではなぜ彼が、引退を世界レベルで惜しまれる程の選手として認められていたか?
それはフィジカル(身のこなし)や視野の広さであり、それ以上に、
実際に接した人間から評価を受けているのが精神力、つまり「高いプロ意識」だ。

フィジカルの強さは海外へ渡る前から強かったわけではない。海外に渡ってから創り上げた能力だ。
相手と自己の能力を見極めて、必要な事を適切に判断しながら身につけていくプロ意識が成した結果である。
語学習得の能力もプロ意識の現れだ。決して彼の頭の良さとは関係ない。あくまで意識の問題。

もう一つ忘れてはならないのが、海外一流リーグの経験そのものである。ここで云う経験とは
「身体で覚える経験」のこと。特に『1対1の場面』の話だ。一流の選手がどんな速さでどんな動きをするのか?
どんな当たりをしてきて、どんな狡さを持っているのか?これは絶対に経験しなければ分からない。
今回の日本代表に感じたのは、DFこそ海外へ行くべきだということだ。


並外れた身体能力や魔法のようなテクニックを求めても仕方がない。しなやかでバランスのいいフィジカル、
高いプロ意識、海外経験そのもの…。日本人ならば誰もが、意識の持ち方で身につけることの出来る能力だ。
彼が世界を相手に武器にしていたものはこういう能力である。


世界に近づくためには、とても地味で基本的なことが必要だと、中田は伝え続けていたのだ。







(下記へつづく)


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7月9日(日)『中田英寿という時代【2】』
4.「王様」から「闘将」へ
5.「中田時代」とは。
6.必ず帰って来てほしい。

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060708
taichi


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