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絵だけ見せろ↓(AIR掲載イラスト集)

犬だけ見せろ↓(AIR掲載の犬系日記集)
- 2004年11月30日(火) ∨前の日記--∧次の日記
- AirSHOT vol.1「秋と犬」


photo taichi

...
- 2004年11月29日(月) ∨前の日記--∧次の日記
- ヨン様,巨人,ドラえもん…最近のニュースにツッコミ!(1)




オバファンもマスコミも、
お前ら本当にアホだな。



ヨン様を一目見ようと、成田空港に約3500人。

■前日の24日夜から場所取りをする女性もいる過熱ぶり。
ヨン様が立ち止まって手を振ると、ファンから悲鳴にも似た歓声。
■成田空港には、過去最大規模の200人を超える報道陣が集結。
成田来日フィーバー報道としては、昨年6月のベッカム来日をもしのぐ規模とのこと。
CXは、ソウルの空港から航空機にデジタルカメラを持って同乗し、
ファーストクラスでくつろぐヨン様の姿を「独占映像」としてニュースで流す一方、
TBSはヘリを飛ばして都心に移動するヨン様の黒いセダンを空撮で実況中継。
車を追跡しながら「ただ今、幕張」「都内に入りました」と現在地を逐一伝え、
渋滞にはまると「ヨン様、車中で読書中」と細かい情報までテロップで流し、
他コーナー時もTV画面隅にヨン様の車の映像を流し続けた、とのこと。
■ホテルから出てくるヨン様の車に、集まった約1000人のファンの一部が殺到。
押し合いになって転倒するなど、10人がけがをした。負傷者は43〜65歳の中高年の女性。
ヨン様の車は、ファンに取り囲まれたまま約300メートル走行。
大分県から来た女性(51)はタイヤに足を踏まれてけがをしたという。

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分からん…。
ぺの魅力がそれほどかと云うのは別にしても、
はっきり云って、幾らなんでも熱狂し過ぎだろ!アホかっ!
やれ成田に3500人とか、やれホテルに1000人とか、
おまけにこの日のために、わざわざ大分から来て怪我しているオバサンがいる始末。
もし、こういう日本の中年オバサンがこうなってしまったのは、夫がだらしがないからだ、
と云う意見があるとしたら、確かにその一面もあるかもしれないが、
それに全ての理由を帰結するのはあまりに責任転嫁。それほどこのオバサン達はおかしい。

あと芸能マスコミ連中。いいかげんにしろ。
例えばCX。お前らのやったことはプライバシーの侵害じゃないのか?
ぺは許可してたのか?(あの微笑みで許可したのかもしれない…)
あとTBS。ヘリとかそんな無駄な製作費に金使うなら、CF枠の値段をもっと下げろ。

とにかく、韓国のマスコミもオバサンも呆れてたらしいぞ。







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子役が70歳?!
気付かなかった…。


25年間、アニメ・ドラえもんの声を務めてきた大山のぶ代ら、
主な声の出演者5人が来年3月で降板し、若手と交代する。
テレビ朝日側は今春、79年のシリーズ放送開始から出ている

ドラえもん役の大山のぶ代(68)
のび太役の小原乃梨子(69)、しずか役の野村道子(66)
ジャイアン役のたてかべ和也(70)、スネ夫役の肝付兼太(69)

の5人と協議を開始。
25周年の区切りや高齢化などを理由に、声優の一新を決めた。
後任は検討中。来年3月分までは現出演者で収録し、4月分から新声優陣に代わる。

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敬服しました。ドラえもんの子役の声優さん達、そんなお年だったとは…。
全く疑問に思わない程、子供の声として耳に残ってしまっていた。
この5人の声優さん達がやっていることは、小学校の時から知っていたわけだから、
よく考えれりゃ、そういう年になってるはずなんだよな。まさに職人たち。

でも、今よく聞けば、ああいう声の小学生っていないよなーと思ったりして。




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いつかMacの天下が…。


アップル・マッキントッシュが教育市場で支持を得てきている。

今春からは、東京大学が採用するなど大学での導入が相次ぎ、
02年以降、大学との商談数が毎年2倍ペースで伸びているらしい。
人気の理由は、最新のOS「MacOS X」がUNIX環境であること。
これまでは研究用にUNIX機の使い方を教える一方で、レポート執筆などの作業のために
ウィンドウズ機を併用していたが、マックだと両方の作業が1台で済む。
しかも操作がわかりやすく、初心者が多い学生に好評らしい。先に導入した東大や東京女子大から
「学生から操作についての問い合わせがぐんと減った」
と、評判を聞いて問い合わせる大学も多いとか。
「教室で(圧倒的なシェアの)ウィンドウズ機が使われずに
全員がマックで作業しているのは不思議な気もする」
と、マックを導入した東大関係者。




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ゲイツ、
あんたやっぱり、
スケールが違うよ。


世界一の億万長者、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は
迷惑メールの受信数でも世界一のようだ。

同社のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が18日、
シンガポールでのセミナーで、ゲイツ氏が
1日に約400万通の電子メールを受信し、
その多くが迷惑メールであることを明らかにした。

しかし同社の対策技術で、こうしたメールがゲイツ氏の目に触れることはほとんどないという。
迷惑メールはインターネット通信の約80%を占めると言われている。

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俺も1日1000件のメール攻撃を食らっていた時があったが、かなわんな。
しかしゲイツも凄いが、迷惑メールという生き物の繁殖力には戦慄を覚える。





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もはや誰もが知っている。
ただの見栄と「巨飾」の
16年間全試合「満員御礼」。



巨人が、来季から本拠地東京ドームの観衆の実数発表をするという。
桃井恒和球団社長(57)が「もう少し実数に近い形で発表できないかと考えている。
東京ドームに空席が目立っているのに、いつも5万5000人では不誠実」と云ったとか。

東京ドームでは88年の開設以来、ギネス級の満員記録を更新している(ように見える)が、
人気の陰りが顕著になり、空席が目立つ今季も、全試合が「5万5000人」の発表だった。
大リーグやJリーグなどでは、すでに実数で観衆を発表しているが、プロ野球ではアバウトな
発表が根付いており、不自然に水増ししたともみえるような数字を発表し続けてきた。

「前例踏襲はしない。改革元年にしたい」と繰り返すフロントが、
聖域ともいえる「5万5000人」にもメスを入れることになった。

(日刊スポーツより要約)

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実数でないことはそりゃ〜分かってた。テレビ見てりゃ明らかに満員じゃないもん。
しかし誰が始めたんだか、古い奴らが作ってきた慣習とやらには本当に馬鹿げたものが
まだまだ残ってるな〜と思ってしまった。実数発表に踏み切る!って当たり前だっつーの。

野球でなくとも、こういうのが日本にはまだまだある。

雑誌業界でも、広告主宛に発表する販売部数に「公表部数」と「実部数」とがある。
「何それ?」みたいな話だが、あるのである。この「公表部数」と、雑誌の広告費の
値段との関連性は言わずもがな深く、やはり水増し発表慣習がまかり通っていたらしい。
それが今年あたりから、雑誌業界が改革を始めたそうで、雑誌印刷時には、
必ず印刷会社の印刷証明書を提出することになったそうだ。
これにより、ちょっと云えないが、某大手出版社の某有名雑誌は、従来の公表部数の
約半分の部数で報告し直したそうだ。
広告代理店の人間としては本当に頭に来るのですが…





04 11 29
t a i c h i



...
- 2004年11月26日(金) ∨前の日記--∧次の日記
- ダックス・イン・ザ・パーク―最終回―「犬日和」


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ダックス・イン・ザ・パーク
DACHS IN THE PARK


ハラタイチ  書き下ろしロングエッセイ―最終回―

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別名「犬バカ日誌・最終回」

※最後まで、犬バカで親バカな内容で締めさせていただきます。








最終回


(1を読んでいない方へ。 注…「お嬢」=「彼の愛犬であるメスのミニチュアダックス」)






様々な種類の犬たちが、広大な園内に敷き詰められた芝生の上を駆け回っている。
柴犬、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリー、ダルメシアン、トイプードル・・・。
足の長い、いわゆる普通の犬は、四肢を鮮やかに駆って流れるように走っていく。
四つの足が伸縮しながら動き、上体を安定した高さに保ちながら平行移動していく感じが、
あまらに美しく滑らか過ぎて、その洗練さが彼には精密機械のような動きにも見えた。

ご存じのようにダックスフンドは足が短く胴が長い。走るにも足さばきだけでは追い付かないのか、
長い胴を懸命に曲げたり延ばしたりして、短い足の稼働範囲を補いながら全身で走る。
身体をいっぱいに使ってがむしゃらに疾駆する姿に、イキモノ的なリアルさを感じると彼は云う。
ダックスの走る姿が、彼はとても愛らしくて仕方がなかった。走るだけでも愛らしいのに、
「おいで!」と呼んで、自分に向かって走ってくる日にゃ、走る犬はチワワではないけれども
アイフル父さん状態になる。彼曰く、その花道に天鵞絨の絨毯を敷き詰めてあげたい気分になるらしい。
「ダックスほど公園へ連れて来た甲斐がある犬はいないのでは?」と、さらに彼は親バカをかます。

彼はお嬢をリードから解き放ち(本当は公園ではいけないのですが…)、深い芝生の絨毯の上を
思いっきり走らせようとした。しかし彼の思惑に反して、お嬢はすたすたと歩くだけ。
そして、へたっと尻を落として、「何で走らなきゃいけないのよ?」という眼で彼を見る。
(あーこのオンナわっ!)と彼は自ら走り出し、お嬢と距離を開ける。するとお嬢は、
「ちょっと待ってよ、何よ、あたしを置いてく気?」と必死になって彼を追いかける。
満足そうな笑みを浮かべた彼の目の端に、まわりの人達の過度なリアクションが捉えられた。
最初は横目で不思議そうに見るだけなのだが、通り過ぎた後に決まって同じタイミングで反応する。
あまりに小さいお嬢の姿が深い芝生のために気付かず、至近距離でやっと肉眼で捉えて驚いている。


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こうして走っていく途中で、あるいはお嬢が突っ込んでいった先で、またも色んな人と出会う。
その先々で、必ず「ちいさ〜い」と云われるのだが、彼はやっと気付いたことがあった。



「その仔ワクチンは終わってるの?、え、終わってる?!何ヶ月なの?!」

と、犬を知っている人たちから何度もこのように聞かれる。考えてみれば、公園に入る前から
ワクチンのことは聞かれていた。そう、誰もがまだお嬢を2〜3ヶ月ぐらいだと感じるらしく、
ワクチンが終わってないのに散歩させていると思っているのだ。

犬というのは必ず「五種ワクチン」を2回は打たないと散歩させてはいけない。
そうすると、ワクチンが終わるのは大体5ヶ月ぐらいの頃になる。
つまり公園に来ている犬は皆少なくとも5ヶ月以上は経っていて、最低限それくらいの大きさに
育っているのが普通と思われているらしい。その中にあって、2ヶ月すぎた赤ちゃん程度の
大きさしかないお嬢は、公園の愛犬家達の目には、ありえない小ささの犬として映っていたのだ。
彼は改めて周りを見渡してみた。公園にいるあらゆる犬種のすべての犬の中で、贔屓目でなく、
圧倒的にお嬢が一番小さい犬であった。世間の物差しで計ったお嬢の小ささを初めて知った。
みんなが一様に振り向いて驚いていたリアクションの秘密が、やっと彼は理解できたようだ。


******************************************



「えぇっ!5ヶ月!、ちょっとKってば、この仔コジローと同じだってよ!」


【本日19人め】Tさん(女性/27歳)【本日20人め】Kさん(男性/28歳)
【犬その1】ケン(ミニチュアダックス/2歳/レッド)
【犬その2】コジロー(ミニチュアダックス/5ヶ月/クリーム)

※13人めからTさんまでに、お嬢のお客様が5人いましたが省略しています。


またしてもお嬢の小ささに驚いていたのは、2歳のレッドカラーのミニチュアダックス・ケンと、
お嬢と同じ年のコジローという2匹のダックスを連れた、若いカップルであった。
最初に話しかけて来たのが、レッドカラーのケンを連れていたTさん。
お嬢がすでにケンを追いかけまわす中、TさんはあわててKさんとコジローを呼んでいる。

「え、その仔がコジローと同じ年? え、5ヶ月なんですよね? うそでしょ?」

お嬢と同じ年だというコジローを連れたKさんは、目を丸くしてお嬢の前にしゃがんだ。
お嬢は匍匐(ほふく)前進挨拶をKさんに済ませると、その横にいたコジローへアタックする。
コジローも5ヶ月の割にはどっしりとして、お嬢のテンションを男犬らしく受け止めている。
そう、このコジロー君は、同じ5ヶ月なのにお嬢の倍の大きさをしていたのだ。

「体重何キロですか?、えー1.3キロ?!、コジローは2キロ超えた位なんですけど、これでも
 すごく小さいと思ってたんですよ。へーー小さ〜い、いいですね〜、コジローもこれ以上
 大きくなってほしくないんですけどね。このぐらいまでの大きさがかわいいんですけどね」

思い出していた。彼のもう一匹ブラックタンも小さいダックスだったが、
おそらくこのコジロー君と同じサイズなんだろう。確か同じくらいの時期で2キロぐらいだった。



ふと気付くと、彼等の横に外人さんが笑顔で立っていた。
TさんKさんが先に挨拶をして、彼も「どうも〜」と云った。


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【本日21人め】ジェシカさん(英国人女性/29歳)
【本日22人め】クラークさん(英国人男性/31歳)


「オゥパピー、カワイイデスネ、チョットダイテモイイデスカ?」

彼とTさんKさんの3人がお嬢を撫で回していた時、夫婦でジョギング中だったにもかかわらず、
見とれて立ち止まってしまったらしい。妻のジェシカさんに犬を抱かせてほしいとお願いされて、
彼はお嬢を抱き上げジェシカさんに渡した。「オゥ…カワイイ…」と彼女は流暢につぶやく。
旦那のクラークさんは、KさんとTさんにケンとコジローを撫でさせてもらっていた。

お嬢を抱いて顔が綻ぶジェシカさん。Tさんがクラークさんにケンを触らせて、コジローを抱いた
Kさんがクラークさんと笑いながら話している・・・。
少し離れた位置で見ていた彼は、ふとその光景が、傍観者の視界で目に入って来た。自然と頬が緩み、
当初の予想とあまりに異なるイベント展開に、目の前の光景が非現実的なものに見えて来たのだ。
まるで作り物のような世界ではないか…そう思った時、彼は急に目を見開いた。
(待てよ、どちらかというと非現実的なのは・・・今の俺の方なのか?)

ふと気付くと、ジェシカさんに抱かれているお嬢が、彼女の太い腕から前足2本を垂らしたまま、
キョトンと彼を見つめていた。お嬢の視線を代弁するかのように、ジェシカさんが彼に訊いた。

「ダイジョウブデスカ?」


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木々の影が長く伸びていた。陽の暖かみが次第に弱々しくなってきている。
肌寒さが頬を撫で始めると、彼は身体の芯が熱くなっていることを自覚し始めた。
それはココロの暖かみであった。バッグから取り出したボトルの先を、水をねだるお嬢の舌先に
向けながら、彼は己の中にある上気したテンションを吟味してみた。

お嬢は自らの公園デビューと共に、22人とのコミュニケーションを彼にプレゼントしたのだ。
彼は、初日から大勢の指名を取り付けた、大物新人ホステスを雇うマネージャーの気分は、
今の自分の気分とどのくらい近いものなのかを考えてみたりした。

青空が広がると、何故人々は公園に集まってくるのか。
今の彼にとっては、今日のようなコミュニケーションが目的では無いはずだ。
休日のコミュニケーションは、かえってウザいぐらいなものだと彼は思っていたに違いない。
ただ「だって公園日和じゃない?」という理由で公園に足を運んでしまう人たちと変わらない
テンションで、彼もふらりと今日の公園に来ただけであった。

休日になるとにふらりと公園へ赴き、ベンチで一日を悠々自適できる程、
彼はセレブ気取りでもなく、根っからの外出好きでもなく、電波な夢想家でもない。
今日が青空で、ダックスを走らせたくて、だから「公園」だった。それだけだった。
公園とダックスは似合うし(親バカ)、青空と公園は似合うし、青空と公園の下には人が集うし、
連れていた犬がたまたまダックスで、たまたま極小の快活なお嬢だったから、
ごく自然に彼の周りに人が集まり、無理をせず自然にコミュニケーションが生まれた。
彼の鬱は一時的にでも晴れやかになった。結果として、彼は己に一番必要なものを得たのである。
だからといって今後、それを目的として公園に出かけていくことは、やはり彼にはあり得ないのだ。
今日のような空が広がっていて、ダックスが物欲しそうな目で彼を見つめたならば、
再び彼は公園へと足を向けるのであろう。それだけなのだ。
「犬日和」だから、公園へと出かけていくのである。

空と、犬と、公園と――。



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自然と大きく闊歩して歩く帰り道、リードが後ろへピンと張った。
振り返ると、お嬢が前へ足を突っ張りながら何かを云っている。

「ゆっくり歩いてよ!疲れてんだから、少しは気をつかってよね!」


またしても責められている彼であった。











※舞台の公園は、
東京・練馬区の「光が丘公園」でした。



ーーーー「光が丘公園編」完ーーーー




04 11 26
t a i c h i



...
- 2004年11月24日(水) ∨前の日記--∧次の日記
- デザインフェスタ。








先日、「第20回デザインフェスタ」に行ってきました。







(そもそも「デザインフェスタ」って何?)

簡単に云えば、
デザイナー達が己の作品の発表と販売を兼ねてフリマブースを出しているようなもの。
「超大規模なデザイナーのフリーマーケット」と思っていただければよい。
もしくは、「クリエイターの学園祭」だろうか。この表現は見てもらえれば納得するかも。


(「デザイナー」って所謂プロの人? 実費でブース出してるわけ?) 

このイベントでは、どんな人でも、出店して己の作品を展示すれば皆デザイナーってこと。
インディーズ系のすごく人気がある人から素人まで自由に出店しているので、
それが逆にすごく自由な雰囲気があり、イベントの活気につながっている。
20回目で、かなり大規模でプロっぽいイベントになってきた気がする。



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確か、14日の日曜に、恵比寿にある会社へ休日出勤しようと埼京線に乗っていた時だった。

『あ、そういえば今日って・・・』と思い出し、そのまま恵比寿を、会社をスルー決めて、
りんかい線「国際展示場」駅までそのまま直通。速攻で会場へ足を運んだのであった。



東京ビッグサイト。
会社のデジカメが鞄に入ったままだったので、おっとラッキーみたいな。








ゲート前のチケットブースは長蛇の列。
結構認知されてるんだな〜とふと思う。










【左上】アリーナ会場。これを中心にして四つの5つのエリアがある。

【右上】ギャー人さんもたくさんいた。

【左下】服が積み上げられて展示。服飾デザイナーさん達もたくさん出店。

【右下】INTER FMが、臨時サテライトスタジオ出していた。










グラフィック系デザイナーさん達のブース。



【左上】
いつも出店している、かなり人気のあるイラストレーター。好み。

【右上】
これらは皆モノクロの写真。被写体はものすごく日常の即物的なものなのだが、
マテリアル模写を超越した、美しい抽象グラフィックになっている。イイ!

【左下】
この絵は原画でみてほしい!この人めちゃくちゃ上手い!!見とれてしまった・・・
ポストカードとか買おうか迷ったんだが、ああ買えばよかった・・・

【右下】
このイラストも好き。色使いの系統は赤黒ベースとカラーベースの二種があるようだが、
黒の締め方を抑えていて、繊細な線でファニーかつスタイリッシュに仕上がっている。









会場内の様子。学園祭の雰囲気があります。

















キャラクター特集〜。



【左上】
この人は、この「パンタロン」とかいうパンダキャラに人生賭けてるのだろう。
「このパンダは、次期たれぱんだ候補」になるんだと…。一発アテられるか。

【右上】
こちらはヒヨコのようです。
でもフツーにかわいい程度じゃこの時代アタんないかも。どこかに「引っ掛かり」がないと・・・。
「ムカつくんだけど、かわいいよねー」とか、「やる気なさそーなんだけど、かわいいからいいや」とか、
あっ、そうだ!写真の下の方に見える「集団で攻める」ってのはありだな。
集団ヒヨコで一つのキャラにするとか。(だめか・・・)

【左下】
「アチキコケシ」? なんだこりゃ?

【右下】
この人たちは、自らキャラクターになって営業中。










その他いろいろ・・・。



【1番上】・・・「6人がけ揺り椅子」。6人でデモ中。何故にピンクのワーキングウエア?

【2番め】・・・こちらは3人でデモ中。こういう人形も「デザイン」ってことで沢山出店していた。

【3番め】・・・まー単なる落書きだが、こういうものもあるからイベントに自由な雰囲気がでる。

【4番め】・・・何かをぶらさげまくってます。貝殻オブジェだったっけな。







下記イラストのポストカード購入。



え〜こちらのイラスト。やはり直接見てほしい〜。
吸い寄せられるように見に行ってしまった。
モノトーンでもカラーでも、バチっと決まった色彩には弱いのである。
他のどんな価値観や感覚を差し置いても、これが最優先って感じで洗脳されてしまう。

んで、ポストカード3枚購入。・・・ちょっとうれしい。



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てなわけで、2時間程たっぷり見て、会社に行ったわけである。
久々に、ちょっとココロの満足感を得られた時間だった。




この手のデザインイベントで、グラフィック系の作品を見ながらいつも思うことがある。

俺自身の頭の中に「こういう色の使い方で、こういうイメージで描いてみたい絵」があって、
そのイメージを先に表現されてしまった作品があるかどうか、という眼で見ているのだ。
このイベントでも、近いものはあったがドンピシャリなものは無く、胸を撫で下ろした。

「じゃーさっさとそのイメージを先に描いちまえよ!」
という意見を頂戴するかもしれないが、現状ではやる気が全く起きないから仕方ない。
まーそういう絵の愉しみ方を一人で密かにやっているということで良いのではないか。
で、イメージ通りの作品がいつか展示されていた時、見ながら心の中で云うのだ。


「あーこのイメージ!、ずっと前から俺がやろうと思ってたやつなんだよねー」





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P.S.
せっかくの刺激を、一応カタチにしておこうと、
ページの表紙でご覧になったように、AIRのロゴを変更。
いかがでせう?







今後もよろしくっす。




04 11 24
t a i c h i


...
- 2004年11月10日(水) ∨前の日記--∧次の日記
- ダックス・イン・ザ・パーク −7−「これで買える?」


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ダックス・イン・ザ・パーク
DACHS IN THE PARK


ハラタイチ  書き下ろしロングエッセイ―その7―

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別名「犬バカ日誌7」。












(1を読んでいない方へ。 注…「お嬢」=「彼の愛犬であるメスのミニチュアダックス」)





お嬢の前に現れたのは、無邪気な子供三人組であった。

【本日10人め】Tくん(男の子/5歳)
【本日11人め】Aくん(男の子/4歳)
【本日12人め】Kちゃん(女の子/4歳)


「すげー小せー、うぉっ、とびついてくるよ!…すみません、だいてもいいですか?」
「いいよ。お尻を右手で持って、そう、で、左手で前足の下を、そうそう」
いかにもガキ大将というヤンチャさのTくんは、興味津々でお嬢を抱き寄せた。
お嬢の尻尾がうれしさのあまり16ビートを刻むドラムスティックと化している。

「Aも抱いてみなよ、ほらっ」
「え、俺いいよ…」
ガキ大将について来ただけで別に犬に興味なさそうな感じだったAくんが、Tくんに促されて
遠慮しようとした時、お嬢が、Aくんの足の間からよじ登ろうとしていた。
「わ、わ、何だこの犬!」
登りきったお嬢が青い眼をAくんにロックオンさせて、必殺の青い悩殺ビームをAくんに放った。
「か、かわいーな…」
「だろ?、A、おめーも好きなんじゃねーかよ!」
かくしてAくんは、あっさりとお嬢の手に堕ちた。
「オットコって、ホンット、カンタァ〜ン」とでも云いたげに、後ろ足で耳の後ろを掻いている。

男の子二人がじゃれ合っている間、
女の子のKちゃんはお嬢の姿をじっと見ているだけだった。


********************************************


「おう、Aさー、サッカーやろうぜ!いくぞ!、あっ、ありがとうございましたー」
Tくんが立ち上がって走り去ると、Aくんが名残惜しそうな目でお嬢を見ながら、Tくんの後を
追って走っていった。そして彼とお嬢の前にはKちゃん一人が残って、芝生の上にしゃがんでいた。

お嬢はKちゃんの足元へ擦り寄り、お腹を出して寝転がりながら前足で空を掻きむしっていた。
どこか寂しげな眼でお嬢をじっと見ていた彼女は、やがてそっとお嬢に手を触れた。
「犬、好きなの?」と彼は訊いた。Kちゃんは首を僅かに縦に振る。

彼はお嬢に「お手」や「おすわり」をさせてみた。室内以外でさせるのは初めてであったが、
室内とは異なる環境の中でもお嬢は同じようにやってのけた。親バカながら、さすがお嬢である。
Kちゃんは目を丸くしてじっとお嬢を見ていた。彼女はまだ一度も口を開いていないのだが、
彼には、彼女が犬が大好きでたまらない事が切々と伝わって来た。
彼が「犬、飼ってないの?」と訊くと、また首を縦に動かした。

すると、Kちゃんは突然立ち上がった。そして別の方向へ走り始める。
彼は訳が分からず彼女を目で追うと、離れた場所に彼女の家族のものと思われる荷物が置いてあった。
Kちゃんはその荷物の中から、彼女のものであろうか、かわいい赤い色をした財布を持って戻ってきた。
少し息を荒げながら、彼女は小さな赤い財布を開けて、彼の目の前で逆さまにしてみせた。
小さな手のひらの上に落ちて来たのは、100円硬貨3枚と10円硬貨2枚であった。


「これで犬買える?」

Kちゃんが今日初めて、彼に対して口を開いた言葉がこれであった。
彼は一瞬言葉が出なかった。彼はその時悟ったのだった。彼女はおそらくずっと以前から犬が
欲しくて欲しくてたまらないのに、親に反対(買えないのか?飼えないマンションだからかなのか?)
されていたのだろう。そのために、彼女は自分のお小遣いで買えないのかどうかを彼に聞いたのだ。
彼は唇をかんだ。お嬢に「お手」や「おすわり」を彼女の前でさせたのは、まるで彼女の犬欲しさを
知っていながら煽っていただけではないか…。

「…ちょっとそれじゃ足らないかな〜、お父さんとお母さんに相談してみたら?」
結論は想像ついているのにもかかわらず、彼はそう答えるしかなかった。彼は罪悪感で一杯になり、
小さくうなだれているKちゃんの顔を、まともに見る事は出来なかった。
彼女はいつまでも芝生の上に座りながら、飛び跳ねるお嬢をじっと見続けている。

公園の芝生の上に、樹々の影が長く伸び始めていた。


(8につづく)


...
- 2004年11月08日(月) ∨前の日記--∧次の日記
- 最新オススメ曲オムニバスCD作成。


ハラタイチ・2004年10月末現在セレクション

シングルオムニバスCDに入っている19曲を一挙紹介!




ハラは、度々最新シングルや、気になる曲などを集めてオムニバスCDを創っております。
これをクルマのCDチェンジャーの中に入れて聞いているわけです。

10月末に創ったオムニバスCDに入れた曲のラインナップを、一言説明付きでご紹介します。



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1.『ベステンダンク』/高野寛

   10年以上も前のヒットチューン。最近FMで耳にして、あまりの懐かしさに入れてみました。
   トッド・ラングレン・プロデュースの音が、耳に刺激的でインパクトがあり、1曲めとしました。


2.『サンライズ』/BENNIE K

   今回の超イチオシ!!耳の記憶を頼りに探し続けてやっと曲&歌手名を割り出しました。絶対イイ!
   大好きな矢井田瞳のアップナンバー「my sweet darlin’」のようなノリに似ていて、
   たまにラップが絡む感じ。そのラップもカッコイイ。超オススメ!聞くと絶対元気が出るナンバー!


3.『心』/東京事変
   
   椎名林檎バンド「東京事変」第二弾シングル『遭難』の3曲目。『遭難』の3曲の中ではこれが一番!
   昔の『青空』や『すべりだい』的な優しい曲調で、その中に刹那な林檎嬢の言葉がしたためられている。
   《「心」って要は何なの?大人になってしまったのに、まだよく分からない恥ずかしい自分…だけど、
   そういう自分を意識し、しっかり受け止めて、前を向いて生きていくんだ…》という歌詞。ちなみに、
   歌詞の後半に、荒川沿いにある浦和の「秋ヶ瀬公園」が出て来る。何度か行った事ある公園なのだが、
   何故「秋が瀬」なのか?最近の彼女はよくそこに行くのか、たまたま選んだのか?う〜ん知りたい!


4.『Re:Re:』/ASIAN KUNGーFU GENERATION

   来るぞ来るぞと去年から云われ続けて、やっとブレイクしたアジカンです。
   オリコン初登場1位アルバム「ソルファ」の8曲目。脳髄を刺激してくれます。


5.『思いが かさなる その前に…』/平井堅

   最近スローバラードを続けてますね。やっぱ俺はこの路線かな?と思ったんでしょうか。純愛ブームに
   上手いこと乗っている感じです。堅チャンは、詩が云々というより耳に残るメロディ創りがうまいね。



6.『君がくれた日』/ナチュラルハイ

   イチオシユニット。ユウのボーカルもカオルコのピアノも絶品です。これはシングル4枚目。
   是非、デビュー曲「LIFE」から、カップリング曲も含めて全部のシングル聞いてみるべし。
   この「君がくれた日」のタイトル曲も含めて、他の2曲もいい!あいかわらずセツナイです。


7.『虹の都へ』/高野寛

   高野寛をブレイクさせた曲がこれ。「ベステンダンク」同様によかったので入れてみました。


8.『ダイナマイト』/東京事変

   「遭難」の2曲目。俺はよく知らないが、どっかの英語曲のカバー。(多分有名なんだろう)
   林檎嬢が久々に巻舌かましているナイスな英語ボーカルです。


9.『Blessing 祝福』/平原綾香

   平原綾香のボーカルはなんでこんなに荘厳さを醸し出すのだろうか。低音域から高音域まで、
   圧倒的される歌唱力が、メロディと合わせて曲の壮大な世界観を創っています。


10.『Saturday In The Park』/Chicago

   シカゴのすごい昔の曲なんですけど、何故か知らんが結構FMで流れてくるんですよ。
   あまりに聴覚にインプットされてしまったので、我慢しきれず今回入れてみました。


11.『虚言』/ナチュラルハイ

   「君がくれた日」の3曲目。カオルコのピアノが、怪しくドロドロとした愛を演出しています。


12.『振動覚』/ASIAN KUNGーFU GENERATION

   アルバム「ソルファ」の1曲目。出だしからブチかましてくれます。


13.『遭難』/東京事変

   2ndシングルのタイトルチューン。昔っぽい怪しげなメロディで、これもイイっすよ!


14.『黄昏サラウンド』/RIP SLYME

   リップスライムはどうもボーカルが下手な気がするんだけど、この曲はメロディとリズムが良い。
   休日のさわやかな昼下がりな雰囲気があります。とにかくサビだけ繰り返したい感じ。


15.『GIRL TALK』/安室奈美恵

   とりあえず入れてみた。いいんだけど、結構音をいじられててリズムベースの曲で、
   久々にアムロのボーカルをしっかり聞いてみたかったと思ってしまった。



16.『涙のあと』/CHEMISTRY

   シングル「Long Long Way」のカップリング曲。タイトル曲よりこっちのほうがいい。


17.『ふたりのカタチ』/ナチュラルハイ

   「君がくれた日」の2曲目。ユウの切ないボーカルを堪能できます。ナチュラルハイのシングルは
   必ず3曲入っていて、ユウのボーカルを活かしたスローバラード、カオルコのピアノを際立たせた
   アップチューン、そしてその二つがバランスとれたタイトルチューンとなっている。必聴!


18.『24時』/ASIAN KUNGーFU GENERATION

   アルバム「ソルファ」の9曲目。曲の冒頭がかっこいいです。


19.『育つ雑草』/鬼束ちひろ

   久々のシングルなんで入れてみました。ヘビーなアップナンバーです。
   やはり、もう少し鬼束独特の世界観ある曲の方がいいかな〜。


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以上19曲でした。面白いでしょ。

よく見ると、東京事変3曲(最新シングル「遭難」収録の3曲全て)、アジカン3曲(最新アルバム「ソルファ」
より3曲)、ナチュラルハイ3曲(最新シングル「君がくれた日」収録の3曲全て)、高野寛2曲・・・
と、4アーチストで11曲を占めておりました。

今回の最もオススメはと云われれば、圧倒的に「サンライズ/BENNIE K」でしょう。この曲なんか、
もっとブレイクしていいんですけどね〜。オリコン最高位10位でそのまま下がりぎみらしいです。

あとは、東京事変の「心」。これいいですよ。この前の「群青日和」と合わせて、昔の林檎嬢が戻って来た!
と感じさせる曲です。ナチュラルハイなど上記に挙げたアーチストは、アーチストそのものがオススメです。

ハラのオムニバスは、ブランニューがコンセプトのようでそうでも無いんです。
最新コレクションなのに何であの人がいないの?とかあるんですけど、要するにグッド&ニューがコンセプト。
その時聞きたいっ!って曲はいつでも刺激をくれる曲なのです。
新しい音は常に刺激的だけど、昔の知らない曲だって初めて聞けば刺激的ですし、
忘れていた名曲がFMや街中のショップでかかったりすれば、初めて聞いたような新しい刺激があるわけです。
定期的にそれを集め回ってオムニバスにするのは、趣味の一つになってますね。
耳にのこった音だけを頼りに、名前の知らない曲をゲットするまでの過程は愉しいものがあります。
流行ってないだけで聞いてみると絶品な曲ってあるんです。そういう曲を見つけた時はとても嬉しい限り。
去年、アジカンやナチュラルハイ、RieーfuやMizを見つけた時は、宝物を発見した気分でした。



さて、まだ発売が先で、このオムニバスに入れる事が出来なかったんですが、
この後入れたい注目アーチストとしては、Yoshikaです。
11/17に、mーfroとコラボしたバラード曲が出ますので要チェックでっす。


0 4 1 1 0 8
t a i c h i


...
- 2004年11月03日(水) ∨前の日記--∧次の日記
- 犬エッセイ《ダックス・イン・ザ・パーク》―6―「虐待」


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ダックス・イン・ザ・パーク
DACHS IN THE PARK


ハラタイチ  書き下ろしロングエッセイ―その6―

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別名「犬バカ日誌6」。











(1を読んでいない方へ。 注…「お嬢」=「彼の愛犬であるメスのミニチュアダックス」)






グレーのニットと黒いジーンズの女の子が彼の後ろにいた。芝生の上を擦り寄って来たお嬢を
笑顔いっぱいで抱きかかえながら、彼に話しかけた。


******************************************


【本日9人め】Jさん(女性/24歳)

「後ろで見ていて、何か小さいのが草むらの中でもそもそしてると思ったら…小さいですね!」
大屋根からここまで歩いてくる間、誰も視線を向けて来なかった理由が彼には分かった。
お嬢が小さ過ぎて伸び過ぎた秋の芝生に隠れて、周りの人に見えなかったからだった。
「もうワクチンは終わったんですか?」
「ええ、この前終わりました。もう五ヶ月なんですけどね」
「え!五ヶ月なんですか?小さ〜い!いいですね〜かわい〜。それに元気ですね〜ははっ」
お嬢が、壁をのぼるゴキブリのような素早さで、Jさんの腕から胸へ這い上がろうとして、
バランスをくずし、背中から芝生の上に落ちたところであった。

そのお嬢のじゃじゃ馬ぶりに笑顔を見せるJさんであったが、彼はその笑顔の眼の中に、
どことなく刹那的な曇りを感じ取った。彼はJさんに聞いてみた。
「犬は飼ってるんですか?」
「ん〜、一年前までは飼ってました、ダックスを…」
「へ〜そうなんですか。え、今は…」
「ええ、亡くなったんです。…保健所から譲ってもらったダックスだったんですけど、
もう身体が弱っていて、三歳で…」

彼女が飼っていたダックスは、前の飼い主が虐待同様に育てた上に捨てられた犬であった。
それを彼女がもらって来て懸命に看護をしながら育てたのだが、精神的なダメージが大きく、
亡くなる二、三週間前までJさんには心を開かず、ずっとケージの中で丸まっていたという。
食事も殆ど食べず内臓も弱っていたため衰弱して、あばらが見えていて、元々所々にあった
脱毛部位が全身に広がっていったらしい。ある日、初めてJさんと眼を合わせて、足を震わせ
ながら近付いて来て、彼女は泣きながら抱きしめたとの事。その二週間後、静かに横になった
まま、Jさんのダックスは老犬のように息を引き取ったという話であった。


******************************************


都内にある国際的に有名な某繁華街に、知る人の間で「虐待ペットショップ」と呼ばれている
ペット屋がある。彼はその店の話を聞いた時の事を思い出していた。
その店は雑居ビルのワンフロアを占めていて、店内は不衛生極まりない劣悪な空間とのこと。
南から西側にかけての壁は天井いっぱいのガラスサッシュとなっており、ペット達はケージに
入れられて、そのガラス面に沿って積み上げられていると云う。店の主要顧客は、繁華街で
夜働いている人々やその街で深夜に遊びに来るお客がメインであるため、夜から店を開けて、
早朝まで営業しているのである。

これまでの話で、勘がいい犬好きの方はお気付きだと思われる。
この店のペットは、ゆっくり安眠する時間が全くないのである。昼間はガラス面から日光に
照らされるため、ガラス際に置かれたペット達にとっては光度や室温ともに高く、とても
安眠出来る状況には無い。そして夕方のきつい西日に晒された後、太陽が沈んでからの涼しい
時間から営業が始まるのだ。室内照明で照らされた上に、他のペットは鳴きわめいて騒がしく、
これまたゆっくり寝ていられない。強いて云えば午前中だが、いずれにしても営業時間外は
空調が止められているので、空気環境は劣悪である。世話も全く行き届いていないと云う。


******************************************


お察しの通り、こうしたペットショップをどんな連中が営んでいるかと云うと、裏のその筋の
人達だそうだ。お客もまたそういう筋の方々であるとの事。一体どんな育てられ方をすると
いうのか。本当に大事に育てたいと思う人は、間違いなくこういう店では買わない。ぬいぐるみ
を欲しがるのと同様の感覚で買っていく人達なのではないかと、彼は想像せざるを得ない。
一時の慰めだけで、もしくは単なる「かわい〜」という衝動だけで買われたペット達は、
その後どうなるのであろうか。ペットの世話はとても厳しい。特に小さい頃は、このお嬢の
ように云う事も聞かず、トイレも思うようにはせず、非常にストレスもたまる営みなのだ。
そういう事を想像せずに衝動的にペットを買っていった人達は、一体どうしているのだろう。
捨て犬の話や虐待の話を聞く度に、彼は考えざるを得なかった。

ペットを是認している以上、純粋な動物愛護の議論をする気は無いが、「家族の一員」という
意味あいで、売る側も買う側も確信的に愛玩動物という存在を認識しているはずである。
人間同様の存在価値があるものとしてペットを扱わなければならないはずである。
お客に対して「家族の一員として、あなたを癒してくれますよ〜」という営業をしている以上、
ペットショップは、ペット達を「家族」として、人と同様のものとして世話をしなければなら
ない。こんな講釈を垂れなくても当たり前の事だ。
しかし、あのショップの主も客も、ペットを「ブツ」としてしか捉えていない。まるで、裏で
行われている「人身売買」と一緒ではないか。彼は怒りを覚えて、眼を見開いていた。


******************************************


「どうしたんですか?」とJさんに云われて、彼は我に返った。
お嬢はJさんの前で、キューピーのようなお腹を向けながら前足を必死に掻いていた。
「なんか腹が立ちますね…」と彼は云った。「え、私何か気に障る事でも云いました?」
彼女のリアクションを見た彼は、飛躍した返答をしたことに気付いた。
「あ〜いや、そのJさんのダックスの前の飼い主の事を想像したらね、なんか…」


Jさんがお嬢に「じゃあね〜」と云って、丘の上の方へ戻っていくのを見ながら、お嬢は必死に
追いかけようとして、伸びるリードと一緒にもがいていた。


さらに、次のお客さまが走って寄って来た。小さい男の子二人と女の子が一人。
すかさず群がるファンに超高速投げキッスをお見舞いする、サービス精神旺盛なお嬢であった。



(7につづく)


...
    

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