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帰宅した夫は、興奮していた。
鋭い目で私を見て、 「おもろいモンが来たで」と、手紙を見せた。
「おもろいことしてくれるやないけ」 夫は、薄笑いを浮かべ言葉をはき出す。
この手紙は、本部からのものだった。 夫の店はフランチャイズ。 チェーン展開している。 毎月、ロイヤリティーを本部に支払っている。 ロイヤリティーを支払えば、あとは各店舗の収入だ。
開店資金が足りない人は、本部が資金を調達してくれる。 が、当然ロイヤリティーも多くなる。 幸い、うちは開店資金を自分で用意できた。 だから、そこそこのロイヤリティーを支払うのみだ。
本部が開店資金を用意するといっても、限りがある。 だから、本部は『出資金』を集めた。 『出資金』を出した人には、『配当金』がある。
夫は、出資していた。 毎月、配当金が通帳に振り込まれる。
その配当金を減額してほしいというのが、今回の手紙の内容だった。
現在の配当金の半額以下にしてくれ、、、というか、する。 同意しない場合は、出資している店舗を閉めてしまう。 当然、配当金など入らなくなる。 その上、店舗を撤去するお金はこちら持ち。
お願いというか、通達をしてきたわけだ。
夫は、超激怒。
出資金を集める際、社長は「配当金は孫の代まで支払う」と 明言していたからだ。 契約の前に、何度も夫にそう言ったそうだ。 本部主催の新年会でも、各店長達を前に挨拶でそう明言したそうだ。
不況なので、配当金を支払うのが辛くなったのだろう。 だけど、私は知っている。 社長は、金持ちだ。 相当裕福だ。 毎日プールで泳いで、ピカピカつやつや肌だ。 配当金を払い続けたとしても、社長がつぶれる事は絶対にない。
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