ボクの庭にはモミジの木がある。 モミジというのは漢字で紅葉と書く、葉が紅くなる木である。
ボクの庭のモミジは毎年紅くならずに赤っぽい茶色のまま葉を 落としてしまっていた。 ボクはまだ2年しか生きていないので2年分のことしか知らな いのだが、アキコも「うちの庭の紅葉は紅くならない」と言っ ていた。
ところが、今年、ボクの庭のモミジの葉が紅くなっているので ある。 去年アキコと見に行った「もみじロード」というところのモミ ジよりはずっと色が悪いが、こんなに紅くなった庭のモミジは 初めてである。アキコも初めてだと言っていた。
ボクはここのところ毎日昼寝をしながらこのモミジを楽しんで いる。 庭にいながらきれいなモミジを鑑賞できるなんて、きっと神様 がオリコウなボクにモミジをプレゼントしてくれたに違いない。
今朝はすごい雨が降った。 雨が降ったおかげで朝の冷え込みはそれほどではなかったが、 これからどんどん寒くなって今週はひどく冷え込むのだとボス が言っていた。 ボスは「冬の足音が聞こえてきたな」と言っていた。
ボスが「冬の足音」の話をしてから、ボクは冬の足音が気にな って仕方がない。 ボクは耳がいいので、どんな足音も聞き逃すことはないはずな のに、ボスに聞こえる「冬の足音」がどうにもボクには聞こえ ないのである。
冬はボクが昼寝をしている間に近づいて来たに違いない。 ボクがどんなに耳をすましても足音が聞こえないところをみる と、冬のヤツは忍び足の名人らしい。
冬が近づいてくればボクにもきっとヤツの足音が聞こえること だろう。 ボクは番犬なので、ボクの庭に冬が忍び込んで来たらちゃんと ボスやアキコに報告しなければならない。 今週は冬が近づいて来るらしいので、ボクは冬が忍び込んで来 るのを見つけて、ボスやアキコにほめてもらうつもりである。
今年もまたチクチクの季節がやってきた。 このチクチクはコセンダングサという草の種なのである。 コイツは賢い草で、ボクの体にくっつくような種を作って、 散歩に行ったボクに種を運ばせているのである。
ボクは去年、コイツの種をたくさん運ばされたので、ボクの 庭には今年たくさんのコセンダングサが花を咲かせた。 今年もまたボクはコイツの種の運び屋をやらされている。 ボクは散歩に行った時に草むらをガサガサ歩くのが大好きな ので、運び屋になるのは仕方のないことなのである。
散歩から帰るとアキコが「運び屋が帰って来た」と言って、 ボクの体のチクチクを取ってくれる。 チクチクはかゆいので、アキコがチクチクを取ってくれるの はとても気持ちがいい。
チクチクを運んでコセンダングサには喜ばれ、チクチクを取 ってもらうためにアキコにかまってもらえるのなんて、ボク は嬉しいことづくめである。 チクチクはかゆいけれど、チクチクの季節はなかなか良い季 節である。
今日、ボクが散歩に出かけると、どこからかとても良い香りが 風に乗ってやってきた。 香りがする方へ行ってみると、そこに小さなスイセンの花が2 つ咲いていた。
スイセンはボクの散歩道に咲く花の中でもとても強い香りがす る花である。 たった2つ花が咲いただけでも辺り一面スイセンの香りでいっ ぱいである。
この辺りの土地はスイセンにとても合っているらしい。 ボクの散歩道にはたくさんのスイセンが植えられているのだ。 これから春先までずっと、ボクの散歩道はスイセンの花で縁取 りした香りの道になる。
このスイセンは今年初のスイセンだったので、ボクはスイセン の香りをいっぱいに吸い込んでみた。 強いスイセンの香りでボクはくしゃみが出そうになったが、こ のくしゃみが出そうな感じもなかなか気持ちがいいものである。
2005年11月26日(土) |
クローバーのつぶやき |
この頃、朝晩とても寒い。 ボクの小屋にはアキコが新しく毛布を1枚追加してくれたので 夜もそれなりに暖かいのだが、外に生えている草はさぞや寒い ことだろうと思う。
この頃、朝起きると庭の草にはたくさんのつゆがついている。 これはきっと草が「寒い、寒い」と言った言葉なのだろうと ボクは考えている。 寒い朝にはとくにたくさんのつゆがついているから、草が1回 「寒い」と言うごとにつゆが出るのではないかと思う。
今朝は庭のクローバーにたくさんのつゆがついていた。 クローバーは昨日の夜、たくさん「寒い」を言ったに違いない。
いつだったか、アキコは洗濯物を干すのを後回しにして庭の花の 写真を撮っていた。 ゲンノショウコの花の写真を撮っていたのだが、今日、アキコは またいつかと同じところにしゃがみ込んで、何やら必死に写真を 撮っているようだった。
ボクが覗きに行くとアキコは「ゲンノショウコの実がこんなにか わいいなんて知らなかったよ」と喜んでいた。 アキコがしゃがみ込んだ先には、小さな草の実がはじけていた。
ゲンノショウコの花が枯れてから、ボクはこの草に興味を失って しまっていたが、こんな素敵な形の実をつけるのだったら、花が どうなってこんな形の実までいくのか、きちんと観察していれば よかった。 腰がびっくりしてしばらく庭に出て来ることができなかったアキ コが「ゲンゾー、この実、はじける前はどんな形だったの?」と 言ったが、ボクは答えられなかった。
でも、かわいい実がはじけたところを見ることができてとても良 かった。 ゲンノショウコだって、見つけてもらって喜んでいるに違いない。 ゲンノショウコの実は、みんな笑っているように見えた。
アキコがボクと一緒に庭や散歩道に出て、草花の写真を撮るのは 本当に久しぶりである。 腰のびっくりも治って、アキコはカメラを持ちながらとても嬉し そうだった。 ボクも久しぶりにアキコと庭をうろうろしてとても楽しかった。
びっくり腰回復記念第一号にアキコが庭で撮ったのは下の写真だ。 これはノブドウというツルの実である。 木の上の方から下がっている赤いツルに瑠璃色や紅みどり色や空 色の小さな実がたくさんついていた。
日に日に寒くなっていく中で、日中のあたたかい日差しは何より も幸せなひとときを運んで来てくれる。 小春日和のやわらかい日の光を浴びて揺れているノブドウの実は、 ボクやアキコと同じようにあたたかい晩秋の1日を楽しんでいる ようだった。 こんなあたたかな日の光の中で過ごす午後は最高にしあわせな午 後である。 この幸せな時間がいつまでも続くと良いとボクは思う。
2005年11月23日(水) |
ビスケットありがとう |
ボスとアキコがフリーマーケットに出かけて、とてもゴキゲンで 帰って来た。 「お祭りみたいに人がたくさんいて、たくさん買ってくれたよ」 とアキコは喜んでいた。
ボスのオカアサンとカヨチャンがお弁当を持って来てくれたらしい。 アキコは「ボスが店にいると売れないけど、カヨチャンがいるとた くさん売れるんだ」と言っていた。 ボクも大きいボスが座っている店よりもやさしいカヨチャンが座っ ている店に行きたいと思うからして、お客さんの気持ちはよくわか る。 たくさん売れたのはきっとカヨチャンのおかげなのだろうと思う。
ボクはオルスバンと宣伝のゴホウビとして、おいしいビスケットを もらった。おひさまに当たりながらベッドの上で食べるビスケット は格別である。 下の写真はボクがもらったビスケットを食べながら「おいしい!」 と言っているところである。 とてもゴキゲンなボクの顔なのである。
2005年11月22日(火) |
フリーマーケット来てクダサイ |
明日、23日にボスとアキコはまたフリーマーケットに シュッピンするらしい。 ボクはまたアキコに「ビスケットあげるから宣伝して」 と頼まれたので宣伝犬になることにした。
明日「代々木公園というところの歩道橋の下あたり」に ボスとアキコはいるらしい。 フリーマーケットでたまごの形の石けんやひよこの形の 変なおもちゃを売っているのがボスとアキコである。 アキコは腰がびっくりしていたら行かないらしいが、腰 もだいぶ良いので行くことだろう。
ボクも一緒に行きたいのであるが、ボクには鶏の番犬と いう仕事があるので行けなくて残念である。 ボクは新しいベッドでゴロゴロしながら・・・いや、し っかり番犬をしながらボスとアキコがビスケットを持っ て帰って来るのを待つことにしよう。
昨日の夕方、ボスとアキコがオカイモノというのに出かけて、大きな モノを買ってきた。 昨日は暗くて何を買ってきたのかわからなかったのだが、今朝アキコ がそれを持って庭に出てきた。 ボスとアキコが買ってきたのは、ボクのためのベッドだったのである。
ボスとアキコのおさがり毛布ではなく、ボク専用の新品ベッドがもら えて、ボクは非常に嬉しい。 ボクは嬉しくてちぎれるほどシッポを振って見せた。
今日はくもり空でひなたぼっこはできないのであるが、さっそくボク は新しいベッドでお昼寝をしてみた。 新しいベッドはふわふわで広々していてとても寝心地がいい。 ふちのところに首を乗せて、ユウビンヤさんが来るかどうかを見張る こともできる。
庭の鶏たちも羨ましそうに見ているようだ。 ボクだけベッドをもらったのでやきもちを焼いているに違いない。 これから毎日鶏たちにベッドを見せびらかしながら、ふわふわの雲に 乗っている夢でも見て暮らそうと思う。
これは昨日のズル日記のつづきである。
ボクたちは細い道をどんどん進み、大きな木のところまで辿り 着くことができた。 アキコがヒトメボレしたという木には神様の前にかけてあるグ ルグルの縄ががけてあった。 アキコは「ああ、ゴシンボクが私を呼んでいたのだわ」と訳の わからないことを言った。
ボスは近くを通りかかったおじさんをつかまえて、大きな木に ついていろいろ話を聞いていた。 ボクとアキコは散歩をしたり、写真を撮ったりしていたので、 おじさんの話は聞いていなかった。
でも、この大きな木の下にいると何だか心が落ち着くような気 がした。 アキコが「この木には神様が住んでいるんだよ」と言ったので ボクは「神様こんにちは」と挨拶をしておいた。 ボクはオリコウなので、この木にオシッコをかけるのもやめて おいたのである。
今日も日記のズルをしているから、昨日の写真なのである。 昨日、ボスとアキコが水を汲みに行ったのは、実は写真の木を 見に行きたいからなのであった。
前にアキコがこの近くの道を通った時に、遠くからこの木を見 つけてヒトメボレしていたそうなのである。 「あれはイチョウの木だったから、そろそろ葉っぱが黄色くな っているはず!」とアキコは強く強く訴えた。 それで、みんなでこの木を見に行ったのである。
アキコがヒトメボレをしたという木はとっても大きな木だった。 イチョウという面白い形の葉っぱをした木である。 アキコが前に見たという道から奥の方に入ったところに生えて いた。 運転手のボスが「クルマを切り返せるのか?」とちょっと弱気 になるくらい細い道の奥だった。 アキコは無責任に「きっと切り返せる」と勝手なことを主張し、 ボクたちを乗せたクルマはどんどん大きな木に向かって行った のであった。
つづく・・・
日記が続いていいのかボクはわからないのだが、アキコが いいと言うのでつづくのである。
久しぶりの日記である。 アキコは少し腰の調子がよくなったら、日記さぼりさぼり病に かかってしまっていたらしい。 ボクもあまりの寒さに手がかじかんでうまくキーボードを押せ そうになかったので、アキコと一緒にさぼっていたのである。
男らしくさぼった日の日記は書かないことにしようかと思った のだが、ズルをして3日ほどさかのぼって日記を書くことにし よう、とアキコが言ったのでそうすることにする。
今日、ボスとアキコと一緒にもみじロードというところにある おいしい水を汲みに行った。 ボクの庭のジャグチから出る山水もおいしいのであるが、ここ の湧き水はさらにおいしいということなので、みんなで行って みたのである。
ボスとアキコはこの水で紅茶を煎れて飲むのだと言っていた。 ボクは庭の山水で十分である。 もし飲ませてくれるなら、この水じゃなくてギュウニュウを お願いします。
アキコの腰のビックリもだいぶ良くなったみたいである。 今日はアキコがガラス戸のところに座ってボクと遊んでくれた。
ここのところ、アキコがボクにドーンをされるのをおそれて ボクに近寄ってくれなかったので、ボクはとっても淋しかった のである。
今日は冷たい風が吹いてとても寒かったのだが、アキコがはい ているフワフワのズボンに顔をくっつけるととても暖かかった。 顔を温めるとズカンソクネツにならないのであるが、ほっぺた が暖かいのはとても気持ちが良かった。
今日はなぜかアキコがボクにマメシボリの手ぬぐいを巻き付け たのだが、どうしてそうしたのかはわからない。 これを巻くと寒さが和らぐのかとも思ったが、暖房効果はあま りなかった。 アキコの足に顔をくっつけすぎて、ボクはアザラシみたいな顔 になってしまったが、なんとなくしあわせな1日だった。
今日、久しぶりにアキコが庭に出てきた。 本当に久しぶりである。
ボスがハシゴというもので屋根に上がるというので、そのハシゴ を下で支えるためにアキコは庭に出てきたのである。 本当はボスは「ハシゴを支えなくてもいいよ」と言っていたので あるが、アキコは「ハシゴが倒れるとこわいから」と言って無理 矢理出てきたのである。
アキコが久しぶりに庭に出てきたのでボクは騒ぎたかったのであ るが、またボスに「逆さまポンポコリンの刑」に処されると嫌な ので、アキコと一緒におとなしくハシゴに登るボスを見ているこ とにした。
ボスは高いところも平気でどんどんハシゴを登って行った。 ボクとアキコは下でボスのハシゴ登りの技をじっくり見学した。 アキコは「すごいね」と言っていた。 腰がビックリしていなくても、アキコにはあの軽やかなハシゴ 登りは無理であろう。
ボクは木に登ることができる犬になりたいとかねがね思っている のだが、木登りの技はアキコではなく、ボスに教えてもらうこと にしよう。
昨日に引き続き、ボクはズカンソクネツに凝っている。
ボクの庭は季節や時間によってひなたと日陰の形が違う。 だんだん寒くなってきて、ボクの庭は日陰がたくさんできるように なった。
今日、ボクがズカンソクネツ昼寝をしようとしたら、ひなたよりも 日陰の方が大きいので、とても困ってしまった。 ソクネツにするために足をひなたに出すと、頭に日が当たってしま うので、首を写真のようにひねらないといけないのである。
このポーズでぎりぎりだがボクはズカンソクネツすることができた。 しかし、実はこのポーズだと眠れないのである。 ズカンソクネツ昼寝も大変なのである。
ボクは小屋の中で昼寝をしても、頭が小屋からはみだしてズカンに なってしまうので、無理矢理こんなポーズで寝るのではなく、おと なしく小屋で昼寝をした方がよいのだろうか。
アキコの腰はだいぶビックリをやめたようだ。 まだアキコは庭に出てきてくれないが、気にせず元気に過ごす ことにする。
昔からの言い伝えの「ズカンソクネツ」という言葉を知ってい るだろうか。 「頭寒足熱」と書く、すごいジュモンで、頭を冷やして足をあ たためると健康に良いとか長生きできるとか、賢くなれるとか なんとか・・・そんなジュモンなのである。 オリコウなボクはボスから聞いて知っているのである。
ボクはこのジュモンを教えてもらってからというもの、ズカン ソクネツに凝っているのである。 今日の昼寝もズカンソクネツ昼寝にしてみた。
足と体は日に当ててあたたかく、頭は日陰で涼しく。 すばらしい昼寝をしたおかげで、ボクは今日もおどろくほど 健康な犬である。
今日もアキコはガラス戸のところでボクと話をしてくれた。 でも、アキコは庭に出てくるつもりはないらしい。 腰がまだビックリでも、ガラス戸のところまで来られるのだから 庭に出てきてくれても良いだろうとボクは思うのだが、アキコは 出てこないつもりらしい。
アキコは「この前病院から帰ってきた時にもゲンゾーは腰をドー ンしたでしょ」と言った。 「それに、ゲンゾーはいつも私のポケットのニオイをかいだり、 ポケットをガリガリやったりするでしょ」と言った。
ボクはアキコにドーンしてしまったことは反省している。 ドーンをするとボスに「逆さまポンポコリンの刑」にされてしま うので懲りたのである。 しかし、アキコのポケットをガリガリしたりはしないし、したこ ともない。
・・・と思っていたのだが、アキコがさっそくボクがポケットを ガリガリしている証拠写真を出してきた。 ガリガリしている写真をとっておいて証拠にするとはずるいアキ コである。 でも、またガリガリしてボスに「ポンポコリンの刑」に処される 前にそれに気づいて良かった。 次にアキコが庭に出てきたらドーンとガリガリには気を付けるこ とにする。
アキコの腰がビックリで、ボクは毎日ヒマである。 しかし、アキコの腰はだいぶ良いらしい。 今日はガラス戸のところに座って、ボクといろいろ話をしてくれた。 ボクとアキコは、山で暮らしていた時の話をした。
ボクがまだボスやアキコと一緒に山で暮らしていた時、ボスもアキコ も大変忙しかった。 そんな時、ボクはよくヒトリアソビをしていたそうである。 「小さいのにゲンゾーは偉かったね」とアキコがボクをほめてくれた。 そして、小さいボクがヒトリアソビをしている写真があったはずだと 言って、それを出してきた。
下の写真がそれであるが、ボクはどんなことをして遊んでいたのかを まったく覚えていない。 写真を見ると大変楽しそうにヒトリアソビをしているので、この頃の ボクにぜひどんなことをして楽しそうにしているのかを聞いてみたい ものである。 この頃のボクならば、アキコの腰がビックリでもちっとも気にせず ヒトリアソビを満喫できたのかもしれない。
この頃とても暖かい日が続いている。 アキコの腰がビックリしてから、ボクの日記には植物の写真が 載せられないのである。
たまにはボスが「一緒に花の写真を撮りに行こう」と言うので はないかと期待しているのだが、ボスは決してそうは言わない のである。
でも、ボスはこの頃ボクとよく遊んでくれる。 アキコの腰がビックリなので、代わりに遊んでくれるのである。 今日もボクはボスと遊んでたくさん走り回った。
毎日こんな風にボスがいっぱい遊んでくれて、さらにアキコと 一緒に花を見に出かけられるとボクは大満足なのであるが。 早くアキコの腰がビックリをやめてくれるといいと思う。
アキコは相変わらずヘンテコな格好で歩いている。 まだまだ腰がビックリしたままらしい。
時々アキコはガラス戸を開けてボクにビスケットを投げてくれる。 ボクは最近マスターした「空中ビスケットキャッチ」の技でおい しいビスケットをゲットしているのである。 「空中ビスケットキャッチ」をマスターしておいて良かった。
アキコが庭に出なくなってから、アキコが「私の代わりにゲン ゾーをかわいがって」とボスに言うので、ボスがボクをかわい がってくれる。
しかし、ボスのかわいがり方はとても乱暴である。 アキコがボクをなでてくれる時はとても優しくなでてくれるの だが、ボスは大きな手でゴリゴリとボクをなでる。 昨日も大きな両手でボクの顔をつかんでゴリゴリとなでられた。
ボスのなで方はなかなか男らしいのであるが、なでられた方は いつ首をグリっとひねられるか心配でドキドキである。
今日は久しぶりにアキコが庭に出てきた。 ボスに連れられてお医者に行って来たらしいのである。
アキコが庭に出てきた時は必ずビスケットがもらえるのでボクはとても 嬉しい。 アキコがお医者から帰ってきてクルマから降りてきた時、ボクはとって も嬉しかった。 しかし、アキコがひどくゆっくりと近づいて来るのでボクは待ちきれな くて立ち上がってしまった。そしてアキコの腰にドーンをしてしまった のである。
アキコはビスケットを持ったまま「アイタタタ」と痛がり、そしてボク はボスにしかられてしまった。 「逆さまポンポコリンの刑」に処されてしまったのである。
「逆さまポンポコリンの刑」は恥ずかしかったが、朗報もある。 ボクが刑に処されている時、アキコがどこからかカメラを持ち出してき てボクが刑に処されているところの写真を撮ったのである。 これはアキコが元気になってきたという証拠である。 アキコのひどくビックリゴシもだんだん良くなってきているのであろう。
おかあさんへ アキコがおかあさんからもらったオキュウがとても気持ちいいと言ってい た。ボクもオキュウをしたいので、ボクにもぜひオキュウをクダサイ。
今日もアキコの腰はビックリらしい。
お医者に行ってちょっぴりビックリが治ってきたアキコ だったのだが、アキコがジッカででっかいネコを抱き上 げようとしたら腰がひどくビックリして、前よりもずっ とひどいビックリになってしまったらしいのである。
たぶん、アキコは「ひどくビックリゴシ」になったのに 違いない。
昨日はアキコが起きあがることもできなかったのでボク も日記が書けなかったのである。 それで今日になって書いているのである。
とにかくアキコの腰がビックリしているとボクはヒマな のである。 今日は残念なことに写真もないのである。
今日もアキコは腰がビックリらしい。 アキコの腰が痛いとボクはとてもヒマである。
アキコと一緒に草花を見に行くと、アキコがしゃがみこんで 写真を撮ったり虫メガネで見たりするのでイヤだったのだが、 一緒に草花を見ることができないと、それはそれでとてもさ びしいのである。
今、ボクの庭のど真ん中にタンポポが1輪 咲いている。 庭の真ん中に咲いていてとてもかわいらしいので、アキコに 見せてやりたいのだが、アキコはガラスの中からボクに話か けるだけでタンポポのところまでは出てこない。
早くアキコの腰がビックリじゃなくなって、一緒に真ん中の タンポポを見て「きれいだね」と言いたいものである。
なにやらアキコはまた腰が痛いらしい。 前にも腰が痛くなったことがあるらしいが、今度のは前より ずっと痛いらしいのである。
ボスとアキコはアキコの腰について「ビックリゴシ」ではな いかと言っていた。 腰がビックリしてなる病気なのだろうか。
ビックリゴシは痛いらしく、アキコは変テコな格好をして歩 いている。 もともと格好良く歩いたりはしないのだが、とにかく変テコ である。
どのくらい変テコなのか見てもらうために、今日は特別に ビックリゴシ・アキコの歩き方を真似てみた。 写真の歩き方がそれである。
ボスは「うまい、似てる」と言ったが、アキコは「そんな風 に口を開けて歩いてない」と言った。 アキコはそう言ったが、本当はアイタタタと言いながら、こ んな風に口を開けて歩いているのである。
アキコの話によると、ボスはボクの日記を見て「こんなにかわい がっているのに、何だかワルモノみたいだ」と嘆いているらしい。 ボクはボスのことを「厳しいボス」と思っているが「ワルモノ」 と思ったことはない。なぜならボクは「ワルモノ」が何であるか 知らないからである。 しかしボスは「ワルモノ」みたいな感じがするらしいのである。
ボスは自分が「ワルモノ」でないところを見せようと思ったらし く、急にボクと遊んでくれると言い出した。 そしてアキコに「写真を撮ってくれ」と頼んだ。
ボスがボクと遊んでいるところを写真に撮って「ボクをかわいが る優しいボス」をアピールしようとするのはちょっとズルなので あるが、ボスが遊んでくれるのはとても嬉しい。 アキコには悪いが、実はボクはアキコとのんびり静かに遊ぶより も、ボスと激しく暴れて遊ぶ方がずっと楽しいのである。
今日はそんなわけでボスとたくさん遊んだ。 ボクはノドが乾いて3回水を飲んだくらい、走り回って楽しかっ た。 ボスと遊ぶのはとても楽しいので、またボスのことを「ワルモノ」 だと言って、ボスに遊んでもらうことにしよう。
今日、ボクはとっても眠くてお昼寝気分だった。 「今日はたっぷりお昼寝をするぞ」と思っていた。 しかし、こんな日に限ってアキコがちょこちょこ庭に出てくる のである。
ボクは律儀な犬なので、アキコが庭に出てきたら小屋から出て 来てオスワリをすることにしている。 ボクがオスワリをすると、アキコが「オリコウだね」と言って ビスケットをくれるので、そうしているのである。 本当はビスケット目当てなのである。
今日はボクがうとうとしかけるとアキコが庭に出てきた。 その度にボクは小屋から出てオスワリをするのが大変だった。 アキコが「ゲンゾー、目が真っ赤だよ」と言った。 ボクが眠くてうとうとしているのに、アキコが邪魔をするから 目が赤くなってしまったのである。
しかし、そんなことを言うとビスケットをもらい損ねるので、 ボクは平気な顔をしてオスワリをするのである。 男らしいとはこういうことなのである。
今日、ボクがアキコからビスケットをもらおうとしていたら、 ボスが出てきて「マテ」と言った。 「マテ」と言われてアキコは少し迷ったようだったが、ボク の目の前の地面にビスケットを置いたのである。
アキコの「マテ」は短いが、ボスの「マテ」は長いのである。 ボクが少しでも動くと、ボスは何度でも「マテ」と言う。 ボクの口からヨダレが出てきて、アキコが「もういい加減に あげようよ」と言うまで、ボスはボクを待たせる。 そして、長い間待った後、ボクはようやくビスケットにあり つけるのである。
今日の「マテ」も長かった。 ボクにはいろいろな特技があるが、一番つらい特技はやはり 何と言っても「マテ」である。
ボクはオリコウな犬だから「マテ」は上手にできるが、上手 にできることとつらいことは別問題である。 だが、長く「マテ」をした後のビスケットが特別おいしいこ とも真実である。
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