今日はまだ始まったばかりであるが、今日が終わればいよいよ ボクが待ちに待った犬の年がくるということなので、少し早め に今年最後の日記を書いてしまうことにする。
今年も1年無事に終わろうとしている。 今年のボクはガンバった。 野良犬も追い払ったし、きれいな棚田も見たし、痛い注射にも 耐え、ズカンソクネツも遂行して健康でオリコウな番犬として の1年を送った。 たくさんの野草も見たし、ビスケットもいっぱい食べた。 そう言えば、今年はボクの庭に鶏たちが仲間入りした年でもあ った。
今年1年、本当にアリガトウゴザイマシタ。 来年はいよいよ犬の年である。 来年も私ゲンゾーを(ついでにボスとアキコも)ヨロシクお願 いイタシマス。
今日も寒かったが、晴れて気持ちのいい1日だった。 アキコの話によると、あと2回寝ればいよいよ犬の年になる らしい。 ボクはその話を聞いてから、もう5回以上お昼寝をしてみた のだが、何度お昼寝をしてもまだ犬の年は来ていないようで ある。
トリの年がもうすぐ終わりだと知っているのかどうか知らな いが、庭の鶏たちは何やらはりきって鳴いている。 ボクがきちんと2回寝てしまうとトリの年が終わって犬の年 になってしまうので、ボクの安眠を妨害しようとして大声で 鳴いているのかもしれない。
それにしても良い天気で気持ちがいい。 空の色を見ても、もうすぐボクの犬年が来るのを祝福してく れているように見える。
ああ、早く犬の年が来ないかな。
昨日にひき続き、アキコの動物アルバムを見てみた。 アキコのアルバムにはジッカのネコだけでなく、今までかわい がっていた動物たちの写真がたくさんあった。
ボクは知らなかったのだが、ボスとアキコは、ボスのジッカで 飼っている「大チャン」という犬を1年くらい預かっていたこ とがあるらしい。 いわゆるボクのセンパイである。 アキコは「強くてすごく男らしい犬だったよ」と言っていた。
普通、ボクよりも男らしいヤツがいるなどと聞いたら負けまい とするボクであるが、大チャンの写真を見たらその気は失せた。 ものすごく強そうなのである。 ボクは思わず写真にあやまってしまった。 ボクは雑種という犬だが、大チャンはカワカミケンという珍し い犬らしい。
でも、アキコが「日記を書く犬はゲンゾーだけだよ」と言って くれた。 昨日の可愛いぶりのネコや、強そうな犬を見てちょっぴり自信 をなくしかけたボクであるが、番犬として活躍したり、日記を 書いたりする犬はボクだけなのだということを思い出して元気 が出てきた。
来年はいよいよイヌ年、ボクの年である。 ボスやアキコの役に立って、来年もボクは活躍しよう!
ボクにはライバルがいる。 それはアキコのジッカにいるネコである。
今日、アキコはジッカに遊びに行ってこのネコの写真を たくさん撮ってきた。
写真を見せてもらったら、ジッカのネコは「ボクってか わいいでしょ」という顔をしていた。 憎たらしいネコである。
アキコのアルバムにはボクの写真だけでいいのに、浮気 者のアキコである。
今朝、ボクが小屋の前でひなたぼっこをしていたら、突然 ボクの小屋の向こうでバリバリという音がして水が盛大に 噴き上がった。 突然の冬の噴水にボクはとてもびっくりしてしまった。
水が噴きだしてすぐにボスとアキコが庭に飛び出して来て 「ハレツだ、ハレツだ」と言って右往左往した。 ボクはボスとアキコが噴水のまわりで水をかぶったり逃げた りする様子を見て楽しかった。 ボクも意味もなく庭をうろうろしてボスとアキコの仲間にな ってみた。
この噴水は、庭のスイドウカンというヤツがハレツしたため だったらしい。 その後、スイドウヤさんという男が現れて、スイドウカンを 直して行った。 ボクはスイドウヤさんを庭から追い出そうと頑張ったのだが、 スイドウヤさんはあまり気にしていないようだった。
ボスとアキコはもうコリゴリだと言っていたが、冬の噴水は なかなか見事だったので、ボクはもう一度見てみたい。
クリスマスが終わってしまって、ボクの庭はいつもの庭に戻って しまった。 今朝起きて庭に転がっているくつ下を確かめてみたが、くつ下の 中には何も入っていなかった。 くつ下の中に何も入っていないことを確認した後、ボクは少し寂 しく感じた。
ボスとアキコは何だかとても忙しそうである。 アキコは「ハッソウが終わったら遊ぼうね」と言って、ガラスの 中からボクに話しかけるだけで、ちっとも外に出てきてくれない。 ハッソウというのが何なのか、いつ終わるのかわからないし、ボ クはとてもつまらなかった。
しかし、アキコがとても素晴らしい話をしていた。 もうすぐ今年が終わって来年になるらしいのだが、来年はなんと 犬の年らしいのである。 そう言えば今年のはじめにアキコがそんなことを言っていた。 今年は鶏の年で、来年はボクの年。 鶏の時代ももう終わりで、来年はボクが主役の年になりそうであ る。いつ来年になるのか、今からとても楽しみである。
今日はクリスマスという日であった。 クリスマス・イヴの夜にくつ下を枕元に置いておくと何かいいことが 起こると風の噂に聞いていたオリコウなボクは、夏からずっと密かに くつ下を隠し持っていたのである。
このくつ下はアキコが洗濯物を干した時にうっかり落としたボスのく つ下である。アキコが気づかない間にこっそり小屋のすみに隠してお いたのである。
昨日の夜、ボクがこっそり隠しておいたくつ下を小屋の横に置いてお いたのだが、今朝起きてボクはびっくりした。 くつ下からビスケットのニオイがしていたのである。 サンタクロースという人は本当にいたのである。
ボクは自分でくつ下の中のビスケットを取り出すことができなかった ので、アキコに取り出してもらっておいしく食べた。 アキコは「くつ下をこんなにボロにして!」と言っていたが、怒って はいないようだった。 それよりも「すごいタイミングでくつ下を出しておいたんだね」と、 ボクに感心しているようであった。
写真はズカンソクネツ立ちのボクと記念のくつ下である。
今日、ボクはボスとアキコによってこんな格好にされてしまった。 どうしてかと言うと今日がクリスマス・イヴという特別な日だか らだそうである。
ボスもアキコもブッキョウトなので特にクリスマスをお祝いした りはしないらしいが、クリスマスというと何となくウキウキした 気分になるらしいのである。
ボクもこんな格好をしたせいか、ちょっぴりウキウキした気分に なった。 マメシボリの手ぬぐいが似合うと言われていたボクであるが、こ んな格好もなかなかいけるのである。
ウキウキしたからといって、特別なことはなかったのであるが、 おいしいビスケットももらったし、ホカホカのゴハンももらった し、のんびりお昼寝もしたし、言うことのない1日だった。
メリークリスマス! 皆さまにもステキな明日が訪れますように!
今日、ボクはボスとアキコと一緒に昔住んでいた山へ行った。 ボスとアキコは石けんに使うヨモギという草を採るのだと言っ ていた。 しかし、今日のヨモギ採りはすぐに終わってしまった。 なぜならアキコがフユイチゴを見つけたからである。
フユイチゴというのは蔓性のキイチゴの仲間だそうである。 夏の間は地面を地味に這っているのだが、冬になると写真のよ うな真っ赤な実をたくさんつけるのである。
フユイチゴを見つけたアキコは「今日はヨモギ採りはやめて フユイチゴ狩りにします」と宣言し、フユイチゴをせっせと 集め始めた。 「ヨモギも採っておかないと」と言っていたボスであるが、 すぐにヨモギ採りをやめてフユイチゴ狩りに参加した。 なぜならヨモギ採りよりもフユイチゴ狩りの方がずっと楽し いからである。
ボスとアキコはたくさんのフユイチゴを集めた。 そしてみんなで一緒に山の枯れ草の上に座って、集めたフユ イチゴを食べた。
ボクもフユイチゴを食べさせてもらったので、ボクは大満足 である。 フユイチゴは赤くて甘くてとってもおいしかった。 今日はテンノウという人のタンジョウビらしいが、テンノウ さんでもこんなおいしい実は食べられないだろう。
風が強い日はボクの庭に木の枝や木の葉などがたくさん飛んでくる。 木の枝や木の葉が飛んでくる音はとても楽しい。 冬の風が強い日の夜、ボクは小屋の中でこんな音を楽しみながらポ カポカ暖かく寝ている。
今夜は強い風が吹いていた。 ボクは小屋の中で風の音を聞きながら気持ちよく眠っていた。 しかし、強い風に飛ばされて大きな葉をつけた枯れ枝が鶏小屋に当た った時だった。 1羽の鶏が「コケーコケッコウ!」と変な声を出したのである。
「コケーコ」が結構なのか、それとも「コケーコ」を決行するのかボ クにはわからないのであるが、1羽の鶏がこの「コケーコケッコウ」 を始めると、鶏小屋の鶏たちがみんな同じように大声で合唱を始める のである。 まるで渡り鳥の大群がボクの庭に押し寄せたような声である。
あまりの騒ぎにボスが家から出てきて鶏小屋に入り、騒ぐ鶏を持ち上 げたり、くちばしを掴んだりして騒ぎをしずめるのに苦労しているよ うだった。 鶏たちの合唱がなかなかおさまらないところを見ると、鶏たちの「コ ケーコ」はなかなかのケッコウらしかった。
明日もまた風が強くなるとボスが言っていた。 明日の夜もまた鶏たちがコケーコをケッコウしたら、ボクは寝不足に なってしまいそうである。
今日、ボスとアキコがクルマの修理をお願いしているヤスダサン ノオクサンという人がボクの庭にやって来た。 ボクのためにカレンダーというものを持って来てくれたのだ。 これで来年は毎日かかさずに日記が書けることだろう。
ヤスダサンノオクサンはボクの日記を見て、ボクのことを知って いたらしかった。 クルマから降りてきてすぐにボクを見て「ゲンゾーくん!」と言 ったので、ボクは驚いてしまった。 ボクは知らない人が来たのだと思って、ワンワン大声で吠えてし まったが、ボクの日記を見てくれていたと知って嬉しかった。 ヤスダサンノオクサンのニオイを覚えておいて、次からは大歓迎 することにした。
ヤスダサンノオクサンはアキコに「ネットで見るよりもゲンゾー くんは小さいんですね」と言っていた。 ネットというのはよくわからないが、アキコの話だとボクはネッ トで見るよりも小さくて、「中型犬の小サイズ」らしい。
なんだか半端なサイズでいやなので「超大型犬の極小サイズ」と 言ってもらいたい。 男らしくなるには半端はいけない。 「中の小」だと格好悪いが、「特大の極小」だと格好いいような 気がする。
今朝もすごい霜が降りた。 ボクの庭はまた真っ白になって、ボクの足も冷たくてピリピリ した。
去年、ボクの庭には今頃もまだバッタがいたのだが、今年は虫 たちの姿はすっかり見えない。 いつも青々と茂っているクローバーもところどころ茶色になっ てしまっている。 ボクの庭にもとうとう冬がやって来たらしい。 ボクが冬の足音を聞かないうちにそっと忍び込んでしまった。
ボクは耳と鼻が自慢なのだが、冬の足音は聞き逃してしまった ので、今度はボスに負けないように冬のニオイを調べることに した。
まずは冬の手先であろう「霜」のニオイをじっくり調べて、 ボスとアキコに報告することにしよう。
アキコはまた3日も日記をさぼったのである。 何やら新しい石けんが発売になるとかで、徹夜で作業をして いたので、日付の観念が消失してしまったらしい。
アキコが忙しい忙しいと言って全然庭に出てきてくれなかっ たので、ボクはずっとお昼寝をしていた。 最初はアキコがいつ庭に出てくるかと、ベッドの縁にアゴを 乗せて昼寝をしていたのだが、アキコが全然出てこないので、 ベッドの中に隠れてお昼寝をすることにした。
ベッドの中に入ってしまうとガラス戸からボクを確認するこ とができない。 名付けて「忍法 隠れ寝の術」である。
ボクはすっかり隠れて寝ていたつもりだったのだが、ベッド にくびれがあったので、実はガラス戸からボクが寝ているの が丸見えだったようである。 ボスとアキコはボクの姿を見て「忍法 バカ寝の術だ」と 言った。 ベッドのくびれが反対側だったら「隠れ寝の術」も成功して いたのに、大失敗である。
今日はとても寒くなると言われていたが、お日さまがポカポカ 暖かくてとても気持ちの良い1日だった。
寒い日にはベッドの中にうずくまって眠るボクであるが、今日 は1日庭をウロウロしたり、空を眺めたりして気分良く過ごす ことができた。
写真のボクの後ろにあるのが鶏たちの小屋、そしてその向こう にあるのがてっぺん杉である。 てっぺん杉は青い空に突き刺さるように生えていて、とても 格好いい木である。
実はボクはボクの耳の形がてっぺん杉に似ていることがとても 自慢なのである。 ボクの耳も空に突き刺さるように格好よく生えているのだ。 てっぺん杉は誰も手入れをしてくれないが、ボクの耳はアキコ がオソウジをしてくれるので、てっぺん杉よりもお手入れがい き届いているのもまた自慢なのである。
今日、ボクはアキコからボクがもらわれて来た時の話を聞いた。 ボクは近くのジュウイさんという人から紹介されてもらわれて 来たらしい。 ジュウイさんというのは「犬の専門家」のことらしい。
アキコは番犬だから強い犬がほしいとジュウイさんに言ってい たらしいが、ジュウイさんはボクのことを強くないと思ってい たらしい。
ボクを紹介する時、ジュウイさんは「男らしい犬だ」とは言わ ず、「性格の良い子だ」と紹介したらしい。 普通、ジュウイさんのところに連れて来られた犬は緊張して食 べ物を食べなくなったりするらしいが、ボクはいきなりジュウ イさんの手からビスケットをもらって食べたらしいのだ。 「下アゴが出てるけど、手からものをもらって食べるような犬 はとても性格の良い子だから」とジュウイさんは言ったらしい。
ボクはこの話を聞いてとても複雑な気分である。 専門家が見たボクの特徴は「下アゴが出ている性格の良い犬」 らしいのである。 アキコは最後に「やっぱり専門家の意見は正しいね」と言って いたが、ボクはそんな犬なのだろうか。
今朝はひどく寒いと思っていたら、地面が白くなっていた。 アキコはそれを見ると「霜だ、霜だ」と言って喜び、ボクを写真撮 影に誘ってくれた。
霜で真っ白になった地面はとても冷たくて、ボクの足はピリピリし たが、地面を歩くと凍った枯れ葉がパリパリ音を立てるのでとても 面白かった。
ボクとアキコは霜できれいに飾られた落ち葉や石ころを見て歩いた。 一面真っ白な氷の結晶で包まれた葉っぱもあれば、縁だけ氷で飾ら れた葉っぱもあった。 いつもと同じ景色が白い霜で飾られて、とてもきれいだった。
写真の葉っぱはアキコが一番気に入った葉っぱである。 ボクも気に入ったのでさっそく噛んでみた。 葉っぱは冷たくてなんとも言えない枯れ葉の香りがした。 アキコは「あぁ、きれいだったのに!」と残念がったが、ボクは初 めての霜葉っぱの噛み心地に大満足である。
ボクが住んでいるところにはカモ川という川が流れている。 キョウトというところに有名なカモ川という川があるらしいが、 ボクが慣れ親しんでいるカモ川はちっとも有名じゃない川なの だ。
ボクが住んでいるのは海からずっと離れた西の方であるが、こ のカモ川はボクが住んでいる辺りから始まって、ずっとずっと 東の端まで続いて海に流れ込んでいるらしい。
ボクは山に散歩に出かけた時に、このカモ川をまたいだことがあ る。チョロチョロと細い流れでボクだってチョチョイノチョイで 飛び越えられるくらいの流れなのだ。 それが海に流れ込む頃にはボスだって流されてしまうくらい大き な流れになっているらしい。
写真はカモ川の「中の小」くらいの大きさのところである。 この辺りから木の棒につかまって流れて行ったら、東の海に辿り 着くのである。 今はちょっと寒くて川を流れるのはつらそうだが、暖かくなった ら川に流されたフリをして海まで流れて行ってみたいものである。
ボクの庭には毎日「ユウビンヤさん」という男がやって来る。 ボクはこの「ユウビンヤさん」を庭から追い出すことを日課に している。
しかし、最近困ったことがあるのである。 今年の春から「ユウビンヤさん」がプクプクした男に変身した のだが、この「ユウビンヤさん」はどうも犬が好きらしいので ある。 ボクが追い出そうとしてワンワン吠えると「ほらほら」と言っ てこちらに手を出したり、後ろを向いてボクを油断させた後、 急にボクに触ったりして遊んでくれるのである。
ボクはどうもこの「ユウビンヤさん」が来るのが楽しみになっ てしまっている。 今日も「ユウビンヤさん」はアキコと話をしながらボクと遊ん でくれた。 番犬なのに「ユウビンヤさん」が好きだなんていけないことだ ろうか。
写真の植物はアシタバである。 ボクが昔住んでいた山にたくさん生えているのである。 ボスとアキコが土地を借りているジヌシのケンさんというおじい さんが種をまいたので、たくさん生えているらしい。
アシタバという名前は、今日葉っぱを採っても、明日にはまた葉 が生えてくるから「明日葉<アシタバ>」というらしい。 でも、アキコに聞いたら「次の日には出ないよ。3日くらいした ら出てくるけどね。」と言っていた。 本当は「3日くらいしたら葉」なのである。
ボスとアキコはこのアシタバの天ぷらが大好きらしい。 アキコはボクと一緒に山に散歩に行くと必ずこれを採って来る。 ボクだってアシタバを食べてみたいのに、ボクがこれを噛もうと するとアキコは「噛んじゃダメ」と怒るのである。
3日くらいしたらまた新しい葉が出てくるというのに、アキコは 食いしん坊でケチである。
この頃とても寒いが、そのかわりに夜空がとてもきれいである。 今日の夜空は雲がモクモク出ていて、雲が月に照らされてとて もきれいである。 雲が風で流されて、時々雲の間から月が顔を出したり、星が顔 を出したりしている。
ボスとアキコが石けん作りから帰って来た時に、ボクは庭でア キコと一緒に夜空を眺めた。 「満天の星空もいいけど雲から顔を出す星空もなかなかいいね」 とアキコが言っていた。
アキコは空の写真を撮った後、寒い寒いと言って家に入ってし まったが、アキコが家に入った後も、ボクはひとりで夜空を眺 めている。 星はでたらめに空にくっついていると思っていたが、ボスの話 だと、季節によっていろいろな「星座」という形が楽しめるら しいのである。 今日の星は雲に隠れてどんな並び方をしているか見えないが、 今度天気の良い夜にボスから星座について教えてもらおうと思 っている。 ボクは星座について語れるロマンチックな犬になるつもりなの だ。
今日、ボスとアキコはまたボクを置いてフリーマーケットとい うものに出かけて行った。 今日は特別寒い日だったのに、ボクは庭でひとりでオルスバン だった。
夜になってボスとアキコが「寒かった」「売れなかった」と言 いながら帰って来た。 今日は寒かったので、お客さんはみんな急ぎ足で通り過ぎるだ けだったようである。 ボクはボクが宣伝犬にならなかったことが売れなかった原因だ と思っているが、ボスとアキコは寒さが原因だと思っているら しかった。
アキコが昨日の夜、遅くまでかかって作ったクリスマスカード がたくさん売れ残ってしまったと言っていた。 犬のカードを作ればもっと売れたに違いないとボクは思ってい るが、アキコはこれも寒さのせいだと言い張っていた。
たくさん作ってしまったクリスマスカードが残っているので、 アキコがボクにくれるそうである。 クリスマスにカードを送るとしゃれた犬になれるそうなので、 ボクも今年のクリスマスには誰かにカードを送ってみようかと 思っている。 ボクのクリスマスカードが欲しい人はぜひボクに連絡をクダサ イ。もしかしたらボクからクリスマスにカードが届くかもしれ ない。
また日記をさぼってしまった。 しかし「3日まではさかのぼってオッケー」というテキトウな アキコの許しが出たのでさかのぼって書くことにする。 -----
昨日、野良犬を追い払って鼻高々だったボクだが、今日はとても 怖ろしいことがあった。 アキコと遊んでいる時にふとボクの足もとを見ると、ボクの足に 宇宙人の影がついていたのである。
もうボクの庭に何がやって来ても追い払ってやる自信が出たボク であるが、この影には驚いた。 宇宙人は2本足で立ち、手があり、尖った2つの耳がついていた。 後ろには宇宙人が乗ってきた乗り物の影もあった。
ボクはこの前、ボスから宇宙人の話を聞いたので、宇宙人のこと をよく知っている。 ボクの影はこの宇宙人に食われてしまったのだろうか。 怖ろしいので、この後ボクはあまり影の方を見ないように過ごし ているのである。
今日、ボクはえらかった。 ボクの庭に入り込んできた野良犬を追い払ったのである。
ボクの庭に入ってきた犬はボクより少し体が大きくて、やさぐれた 目をしていた。 ボクは少し怖かったのだが、勇気をふりしぼってできる限り大きな 声でワンワン吠えた。 野良犬はどうしようかと迷っているようだったが、ボスとアキコが 庭に出てくるのと同時にどこかへ逃げて行った。
ボスとアキコは、ボクが野良犬を追い払ったのを見てとても喜んで くれた。 二人でボクを「えらい!えらい!」となでまわした。 鶏小屋の方を見ると、鶏たちもボクのことを尊敬のまなざしで見て いるようだった。
ボクは今日、とても鼻が高い。 今までで一番活躍できた。 ボスとアキコに「どうだ!」といばって見せて、鼻息をフンと吐き 出した。
ボクの住んでいるところは小さいたくさんの山に囲まれたとこ ろなので、どちらを向いても山が見える。 たくさんある山の中でボクは写真のこの山が一番好きである。
どこが好きかと言うと、山の途中に家もデンチュウも何もない ところである。 ただ木がたくさん生えた山がどんと座っているのである。
今日、散歩の時に山を見上げたら、山がすっかりコロモガエを していた。 新緑の頃には鮮やかな緑色の服を、夏には濃い緑色の服を着て いた山が、落ち着いた色の服に着替えていた。
ボクはこんな色のこの山が大好きである。 たくさんの動物がこの山の中で冬に備えて忙しく動き回ってい るところを想像するととても楽しい。 ボクと一緒にキビダンゴでお供をする予定のサルもキジも、こ の山のどこかで冬の支度をしているに違いない。
今日は寒かった。 「足がもつれるほど寒い」とアキコが言っていた。
ボクはこれまで2年間ニホンゴというものを勉強してきたが、 こんな言い回しは今まで聞いたことがない。 これはアキコが言い訳として使ったコトバだと思う。
なぜなら今日、アキコはボクとガサガサ道を散歩している時に 足がもつれて大きな石につまずいたのである。 アキコのつまずき力は強く、大きくて立派な石を掘り起こした。
アキコは「こんな大きな石が落ちているなんて危ない」と言っ ていたが、写真を見ればわかるように石が地上に出ていたのは ほんの少しだけだったのである。 (茶色い部分はみんな土の中にあったのだ。)
ボクは寒い空気の中、掘り起こされた石を見て「今日は大きな 石が掘り起こされるほど寒い」と思った。
今日ボクはアキコと一緒に山のオフドウサンを見た。 アキコがオフドウサンを見て「日本昔ばなしに出てきそうな景色だ」 と言っていた。
日本昔ばなしというのは、ツルが恩を返したり、クマが相撲をとった り、カメが太郎に助けられたり、サルがカニとケンカをしたりする話 のことらしい。
犬が出てくる話はないのかと聞いてみると、桃から太郎が生まれる話 には犬が出てくるらしい。 (この太郎はカメに助けられた太郎とは別人らしい。) 桃から生まれた太郎というヤツがキビダンゴというおいしいもので犬 と猿とキジをそそのかし、鬼というヤツを退治するという話らしい。
ボクの住んでいるところにはボクもいるし、猿もいるし、キジもいる。 鬼というのがいるかどうかわからないが、ボクも桃から生まれた太郎 というヤツのお供になって、格好いいところを見せてみたい。 本当は太郎がくれるというキビダンゴというのを食べてみたいのだ。
今日、ボクは散歩の時におもしろい種を見つけた。 これはオシロイバナという花の種らしい。 この黒い種の中に白い粉がたくさんつまっているらしい。
オシロイバナは漢字で「白粉花」と書く。 夕方から花を咲かせるので、別名「夕化粧」という名前もある らしい。 英語というコトバでは「Four-oclock」という名前も持っていて、 これは「午後4時」という意味らしい。
このオシロイバナは確か派手な桃色の花を咲かせていた。 夕方4時から派手な花を咲かせるなんて、この花は夜遊びが好き な花に違いない。
今年のお化粧に使い切れなかった白粉を種に詰め込んで、来年ま た夜遊びをするつもりなのだろう。 オシロイバナはきれいだが、とてもワルイコである。
ボクの庭のアマガキの実が最後の1個になった。 そのまま食べられないシブガキというヤツはまだまだなっている のにおいしいアマガキの命は短いのだろうか。
アマガキの最後の1個であるが、木についていると言ってももう ヘタと皮しか残っていない。 毎日ちょっとずつ熟れて、鳥にちょこちょこつつかれて、とうと う「カサペっ」という音を立てて地面の上に落ちてしまったので ある。
破裂したフウセンのようになってしまったアマガキであるが、ま だ時々名残惜しそうな顔をした鳥が枝にとまって見ていることが ある。 ボクも時々赤いヒラヒラを見上げてみる。
アマガキの最後の1個はなんだか「みっともない姿で残ってしま ったな」と恥ずかしそうにしているようだ。 きっと彼はヘタのところから見事に取れて、丸いまま地面にドサ っと落ちてみたかったに違いない。
夏の間ボクを涼しくしてくれた「ボクの巣」は、秋になって 枯れてしまった。 しかし、こんなに寒いというのに今頃「ボクの巣」はまた新 しい葉を伸ばし始めたのである。
下の写真はボクの巣が緑色に戻った喜びの記念写真である。 ボクは来年の春まで「ボクの巣」は枯れたままだと思ってい たので緑色の葉が出てきた時にはとても驚いた。 夏のようにフサフサにはならないかもしれないが、これなら またボクは巣の上でお昼寝をすることもできる。
ボクの巣が復活してくれて、ボクはとても嬉しい。 夏はボクが上でお昼寝をしすぎてボロにしてしまったが、今 度は巣が枯れないようにボクは大切に育てるつもりである。
ボクの庭にある大きな板はボクのベッドである。 その上にあるフワフワの枠もこの前ボクが買ってもらったボクのベッ ドである。 ボクが最近気に入っているのは、ベッドの上のベッドでお昼寝をする ことである。 つまり、ボクのお気に入りは「お昼寝inベッドonベッド」である。
お日さまがポカポカ当たる庭での「お昼寝inベッドonベッド」はとて も気持ちがいい。 ベッドの囲いがあるのでズカンソクネツ昼寝も自由自在である。
アキコはいつもそれを羨ましそうに見ている。 もしかしたら、アキコはボクと一緒にベッドでお昼寝をしたいと思っ ているのかもしれない。
アキコの大きさだとボクのベッドの中に入りきれないことは確かなの だが、誰かと一緒にベッドでお昼寝するのも悪くない。 ボクのベッドを半分空けておくので、ボクと添い寝をしたい人はボク の庭に来てクダサイ。
今日からいよいよ師走である。
こう書くと格好いいから書いてみろ、とアキコが言ったので書 いてみた。 師走というのは12月のことらしい。 12月は師も走るくらい忙しい月になるらしい。 ボスとアキコのオンシも今日から走り始めただろうか。
ところで今日、ボクの庭の線にモズが遊びに来た。 モズはまんまるくてとてもかわいい鳥である。 ボクとアキコが線の下まで行ってみたが、飛んで逃げる気はま ったくないらしかった。 ボクたちなど気にせず、お日さまをたっぷり浴びて気持ちよさ そうにひなたぼっこをしていた。
ボクの庭にはまだ師走は来ていないような気がする。 ボクが散歩で走る以外は誰も走らず、静かでポカポカと暖かい。 忙しい12月に疲れた人はボクの庭に遊びにくればのんびり過 ごすことができるだろうとボクは思う。
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