今日は暖かくてとても良い1日だった。 ボクの庭の鶏小屋建設も順調で、扉をつけたらほぼ完成である。 なかなか良い小屋ができたので、トウリョウとしても鼻が高い。
今日はタオルをちょいと小粋に巻いてみた。 アキコが「よっ、トウリョウ!江戸っ子だね!」とほめてくれた。 アキコの頭の中では、トウリョウと言えば江戸っ子なのだそうだ。
江戸っ子は細かいことは気にしてはいけないそうなので、体に鎖 が絡まっていたが、気にしないことにした。 江戸っ子トウリョウらしいだろうか。
ボクの庭の鶏小屋建設作業も着々とすすんでいる。
ボクは今日、トウリョウをやらないのかと言うと、やらな いのである。 今日はアキコにコッパというオモチャをいくつももらった ので、これで遊ぶことにしたのだ。
木を切った時に細かいコッパが出ると、アキコはボクの オモチャとしてこのコッパをくれるのだ。 コッパは木のニオイがして、噛むと歯の形にへこむので、 とっても面白いのである。
写真は、もらったコッパの中でもお気に入りの2個である。 お気に入りなので、誰にも触らせないのである。
今日も大工仕事は進んだが、それよりも今日はボクの庭に生える 植物の話をしようと思う。
ボクの庭には、山水が出るジャグチがあることは前にも書いた。 ジャグチは2つあって、1つはボクの小屋のそば、そしてもう 1つは庭の向こう側にあって、隣の畑をしているおばあちゃんが 使っている。
向こう側のジャグチから出た水は、水路に流れずにジャグチの辺 りに溜まるようになっているので、山水が溜まって小さい湿地の ようになっている。 この前のサンショウウオもここに住んでいたのかもしれない。
その湿地に、いよいよキショウブが生えてきたのだ。 冬にはただの水たまりのようになっているこの湿地に毎年黄色い ショウブが咲くのである。 まだ生えてきたばかりで数も少ないが、これから湿地いっぱいに 生えてきて、4月の終わりには黄色いショウブ園になる。 今からとても楽しみである。
今日は雨が降るというので、鶏小屋建設はお休みだ。 よってボクのトウリョウ仕事もお休みである。
今度は鶏小屋がボクのすぐ近くにあって、その中に小さい ヒヨコが暮らすのだから、雨が降っている日に庭を走りま わったりしてはいけないよ、とアキコに言われた。
雨も気にせず庭を走り回って遊ぶのは男らしいとボクは思 っていたのだが、小さいヒヨコが来るとなると、ヒヨコの ために走り回るのをやめるのもまた男らしいかもしれない。
今日はまだヒヨコも来ていないことだし、今のうちに走り まわっておこう。
今日、ボクは大工のトウリョウになった。
ボスとアキコに「鶏小屋作りを手伝わせてくれ」と言ったら、 アキコがボクをトウリョウにしてくれたのだ。 小屋の屋根に上がって釘打ちはできないが、トウリョウなら ボクでもできそうである。
トウリョウの仕事は、首にタオルを巻いてボスとアキコに作業 の指示を与えることである。 ボクが「そこだ」「テキパキやれ」と声をかけると、ボスもア キコも「へい!トウリョウ!」と言って、ガンバッた。
ボクの活躍で、今日は無事に小屋に屋根がついた。 下の写真は屋根がきちんとついたかどうか、トウリョウのボク が見回って確かめた時の写真である。
ボク:「明日はいよいよ金網張りだ、がんばれってけ!」 ボス:「ヘイ!」 アキコ :「ヘイ!トウリョウ!」
今日もボスとアキコはボクの庭に鶏小屋を建設中である。 鶏小屋ができたらボクの庭が台無しになる、と思っていたのだが、 鶏小屋があるのも悪くないという気持ちになってきた。
今日も1日ボスとアキコがボクの庭をウロウロして材木を切ったり 釘を打ったりしていて、とても面白いのである。 ボスがノコギリという道具で材木をギコギコやると、材木から木の クズがどんどん出てきて面白い。 釘というのをトントン打ち込むと、材木と材木がくっついてどんど ん形になってくる。 ハシゴに上ったアキコが高いところから「ゲンゾー」と声をかけて くれたりもする。
今日で骨組みが終わって、明日からはトタン屋根をつけるのだ、と アキコが言っていた。 明日からはボクも鶏小屋建設を手伝ってみようかと思っている。
とうとう、ボクの庭に鶏小屋建設が始まった。
ボスとアキコはまずボクの庭にブロックを埋め始めた。 ブロックには釘が逆さまに固めてあって、ここに柱をドスンと 建てるらしい。
心配していたボクのベッド移動はなくなったらしいので安心し たが、どうもボスとアキコは、ボクの手が届かないぎりぎりの ところに小屋を建てようとしているらしいのだ。
悔しいのでボクがブロックまで届くのだ、というところを見せ ようと思ってガンバッてみたが、やはり届かなかった。 ボクの足があと5センチ長かったら届くのに・・・。 残念なことである。
-------------------------------------------------------- ところで3月11日の日記に書いた「イモリ」は、実はイモリ ではなく「サンショウウオ」だったということがわかった。 アキコのオトモダチのテラチャンが教えてくれたのだ。 アキコはまさかサンショウウオがこんな身近なところに住んで いる生き物だとは思っていなかったらしい。 アキコはベンキョウが足りないようである。 ボクはイモリじゃないと思っていたのである。 実は、噛んだらムニムニしていて気持ち悪かったのだ。 --------------------------------------------------------
今日もボクはベッドを動かされないように、ベッドの上で 過ごしている。 今日はぽかぽかと暖かくて、ベッドの上で過ごすには最高 のお天気である。
ベッドの上から庭をキョロキョロ眺めていたら、庭の隅に ニョキニョキと茶色い棒のようなものが出ていることに気 がついた。 アキコに聞くと、ツクシンボというものだそうである。 ツクシンボというのは通称で、本当はツクシというらしい。 漢字で書くと「土筆」で、土からニョキニョキ出ている筆 のようなのでそういう名前をしているらしい。
アキコに絵を描くための筆を見せてもらったが、確かに土筆 は筆によく似ている。 ボクの庭にたくさん筆が出てきたようだ。 土筆を使って絵を描いて、ボクも絵描きになってみようか と今日は考えている。
今日、ボスが山へ出かけて来て、アキコと何やら相談していた。 二人とも深刻そうなので、ボクが耳をそばだてて聞いたところ によると、どうも山にいる「チッピ」と「姉さん」という2羽 の鶏がイタチというヤツに殺されてしまったらしい。
チッピと姉さんはボクの庭にいる「アイツ」と一緒にいた鶏で ある。アイツはボクの庭にイソウロウしていて助かったのだ。
それから、ボスとアキコの話を聞いてみると、ボスとアキコは ボクの庭に小さな鶏小屋を建てて、その中で新しいヒヨコを 育てる気らしいのだ。
ヒヨコはかわいいが、ヒヨコが来るとアキコがヒヨコにかまけ てボクと遊んでくれなくなるので、ボクはヒヨコは嫌いである。 しかも、ボクの庭に小屋を建てるなんて!
これからボクの庭がどうなるのか、ちょっと心配である。 小屋を建てるためにボクのベッドを移動させられないように、 これからボクはずっとベッドの上で過ごすことにする。 ここから動かないぞ。
ボスとアキコは家から出てくる時、ガラス戸から出てくる。 ガラス戸の中には薄っぺらいカーテンというのがあって、 中が見えないようになっている。
ガラス戸の中を見ることはできないが、耳の良いボクはいつも 廊下のギシギシという音で、ボスやアキコがガラス戸のそばま で来ていることを知ることができるのだ。
ボクはじーっと耳をすましてみる。 ガラス戸が邪魔してアキコの姿は見えないが、確かにガラス戸 のすぐそこにアキコがいる気配がする。 そして、カメラのシャッターボタンを押す音がした。
アキコめ、さては隠れてボクの写真を撮る気らしいが、ボクの 耳は何でも聞こえてしまうから、ボクに隠れて何かしようなん てできないのだ。 隠れて写真を撮った時は、ビスケットを2枚もらうことにしよう。
今日は暖かくてよい1日だった。 寒い日は毛布の上で昼寝をするのだが、今日は庭の 土の上にゴロンと寝ころんでも気持ちが良かった。
日に照らされた土のやわらかであたたかな感触や ちょこちょこ生えている草のひんやりとした感触が たまらなく春だった。
今日は、ボクの庭に春のお客さんまでやってきた。 ひらひら飛ぶモンシロチョウだ。 モンシロチョウはタンポポの蜜を吸って、羽を広げ てひなたぼっこしていた。
もうすっかり春だ。
ボクの庭にボケの木があることは前にも書いた。 たしか、去年の11月に花を咲かせた。 1ヶ月近く、ボクは庭のボケの花を楽しんだ。
あれから3ヶ月しか経っていないのに、今、ボクの庭の ボケはまた花を咲かせている。 去年の11月よりもずっとたくさんのつぼみをつけて、 これからどんどん花を咲かせる気らしい。
ボクの庭がまた華やかになるのでボクは嬉しいのだが、 3ヶ月しか経っていないのにまた花を咲かせてしまうと は・・・。 やっぱりボケの名前はお似合いなのかもしれないと思う。
今日は気持ちのいい1日だった。 最近ボクの庭の裏にある田んぼには水がはってある。 いつの間に水を入れたのか、ボクは気が付かなかったが、 いつの間にか水がたっぷりはってあった。
水が入るともうすぐタウエというものが始まるらしい。 タウエというのは、タネツケバナの頃から水につけてお いた稲の苗が芽を出して元気に育ってくるので、それを 田んぼに植えることらしい。
水をはった田んぼには、まわりの木や山がみんな逆さま に映っている。 ボクは逆さまに映った木や山を見るのが大好きである。 特に夕方、ゴハンを食べ終わって見るこの景色は最高で ある。
ボクの庭には春の草たちがどんどん生えてきている。 ここにきて、ひょっこり顔を出したのが写真の草である。
アキコによると「トウダイグサ」という草だそうである。 とっても毒だから、噛んじゃだめだと注意された。
アキコが茹でてくれるおいしいキャベツに色が似ている から、毒だと聞かなかったらボクはちょっぴり噛んでい たかもしれない。
トウダイグサの名前は、岬にある灯台ではなく、昔日本 人が灯りに使っていた燈台に形が似ているからだという ことだ。 ボクは灯台も燈台も知らないが、昔の日本人はこんなに ステキな形の灯りを使っていたとは、なかなかセンスが よろしいと思う。
今日は一日雨が降っていた。 南風が吹いて暖かいので、もう大好きな雪は降らないらしい。
ボクは雨が降っていても平気で庭で遊ぶのだが、ボクが雨に濡れる たびにボクをタオルで拭かなければいけないアキコは大変らしい。
「今日はおとなしく屋根の下で遊んでいなさい」と言われたので、 今日ボクはおとなしく屋根の下にいる。 庭に出て濡れないように、またテヌグイを巻かれてはかなわないの でそうしているのだ。
オリコウにしているゴホウビにアキコが牛乳をくれたが、牛乳は 10秒で飲み終わってしまった。 雨の日は退屈である。 雨の日は3時間かかっても飲みきれないくらいの牛乳が欲しいもの である。
今日はとても暖かくて春らしい日である。 お日さまがポカポカして気持ちがいい日は、アキコもたくさん 庭に出てきて一緒に遊んでくれる。
アキコが遊んでくれるのはとても嬉しいのだが、先日ボクが マメシボリのテヌグイを気に入って巻いていたので、アキコは ボクがテヌグイ好きだと勘違いしたようである。
今日は自分のテヌグイコレクションから色々なテヌグイを持っ て来て、どのテヌグイがボクに似合うかと何度も何度もボクに 巻き付けてみた。
写真の「赤ベコテヌグイ」がボクに一番似合う、ということで アキコはボクにテヌグイを巻くのをやめてくれたが、テヌグイ が100枚あったらどうしようかと思った。
今日は「ちょっと迷惑」という感じの顔をしてアキコにテヌグ イ好きじゃないところをアピールしてみたが、アキコはわかっ てくれただろうか。
ボクの庭にはクロヤナギという小さい木がある。 写真はこのクロヤナギである。
寒い間、幹に茶色いツメのようなものがついていたが、 暖かくなってツメの中から黒いモコモコが出てきた。 モコモコはツメから顔を出した時はきれいな赤色をし ているのだが、お日さまに照らされると真っ黒になっ てしまう。 今、ツメのとんがり帽子をかぶった黒いモコモコがた くさん枝についているのだ。
アキコに聞いたら、このモコモコにはもう少しで花が 咲くのだそうだが、産毛のような花なのだそうである。 どんな花が咲くのか、今からとても楽しみである。
今日、アキコと山を散歩したら、ヘンテコリンな形のツルを 見つけた。 去年伸びた草の枯れたツルなのだが、なかなか面白い形をし ていた。ヤマノイモとかなんとかいうツルらしいが、はっき りわからない、とアキコが言っていた。
ボクには単に「面白い形のツルだった」というだけなのだが、 アキコはしばらくツルを見ていた。 山の中にたくさんあるアケビやクズでカゴを編んで、このツ ルを絡めたらとってもステキなカゴになるはずだ!とアキコ は言っていた。
だが、アキコはツルを採らずにそのままボクの散歩を続けた。 ボクはアキコがツルを集め始めたら散歩が中断されるのでは ないかとドキドキしたのだが、アキコが散歩を続けてくれて ほっとした。
アキコは食べるための草はすぐに採るが、その他のものを採 る時はノリが悪い。 カゴも作らずに終わるのではないかとボクはよんでいる。
今日、山でスミレを見つけた。 日当たりの良い山の斜面に、ひっそりと咲いていた。
ボクはスミレが大好きである。 この花を見つけたらもう春だ、と思う。
今朝は雪が降ったような気もするが、この花を見るとあれ は夢だったような気もする。 山では田んぼでカエルがきれいな声で鳴いて、スミレが咲 いて、ウグイスがホーホケキョと鳴いている。
今日は穏やかで本当に気持ちの良い日である。
写真はカラスノエンドウという草である。 スズメノエンドウというこれの小さい草もあるらしい。 ちなみにカラスとスズメの間くらいの草もあって、これは カスマグサというらしい。 カラスの「カ」とスズメの「ス」の間、という意味らしい。 ふざけた名前である。
少し前からこの草が目立つようになってきた。 もう少しすると紫のような桃色のような花が咲く。
アキコは散歩に行くとこの草をものすごくじっくり観察する。 ボクはアキコがこの花が好きなので咲くのが楽しみなのだろう と思っていたのだが、今日、アキコが散歩の時につぶやいた言 葉で真実がわかった。
「もうそろそろ食べられるな」 アキコは今日、そう言った。 天ぷらにする時期を待っていたらしいのだ。 食いしん坊のアキコである。
今日、暗くなってからボクの小屋のそばにヌルヌルした ヘンテコリンなヤツがやって来た。
ボクがヤツと遊んでいると、ボスがそれを見つけてアキコに 「イモリだ、ゲンゾーがイモリをいじめている!」と告げ口した。 アキコがカメラを持って飛んできて「わー、わー、噛んじゃダメ! わー、かわいい!気持ち悪い!」と騒いだ。 そして、騒いでいた割にしっかりフラッシュをたいて写真を撮った。
その後、ボスとアキコはヤツをつかまえて、庭の隅にヤツを移動し てしまった。 ヤツはイモリという生き物だったらしい。
ボクはヤツをいじめてもいないし、噛んでもいないのに、勝手にい じめていると思いこむとはなんたることか。 今度ヤツが来たら、本当に噛んじゃうぞ。
3月25日 この生き物は「イモリ」ではなく「サンショウウオ」だったことが わかったのだ。 教えてくれたテラチャン、ありがとうゴザイマシタ。
今日はボスのオトウサンとオカアサンが山にやって来た。 ジャガイモの畑を作りに来たのだ。
少し前からボスが山の土を掘り起こしたりしていたが、それは ジャガイモを植えるためだったのだ。 ボクが見たところ、アキコとオトウサンはあんまり活躍してお らず、ボスはちょっぴりだけお手伝い、そしてほとんどオカア サン一人でジャガイモの畑を完成させていた。
ジャガイモの畑が完成したところで、ジャガイモ畑記念写真を 撮った。 アキコが「この畑からおいしいジャガイモがたくさんできるん だよ」と言ったので、ボクは思わずヨダレが出てしまった。 撮れた写真は舌をペロリと出していて、まるでボクが食いしん ぼうのようである。 写真を撮る時にそんなことを言うなんて、ひどいアキコである。
今日はものすごく暖かい、いや、暑い1日だった。 春を通り越して初夏のような日差しが照りつけて、おちおち ベッドで昼寝もしていられないくらい暑かった。
ところで今、アキコはホームページというやつを作り直して いるらしい。 「今のデザインはつまらないから面白いのにする」とアキコ が言っていた。
ボクの日記コーナーの絵はどんなのがいいか、と言うので、 強くて格好いいやつがいい、と言ったら変な絵にされてしま った。 ボクが火を噴いている絵だった。 火を噴く犬なんて見たことがないので確かに強そうなのだが、 歯をむいて笑っている顔はあまり格好よくない気がする。
ボクはこんな顔だったっけ?
今日は晴れて暖かい一日だった。 ポカポカのお日さまに照らされて、どろんこになったボクの 庭もすっかり乾いてしまった。
雪の下になった草はみんな枯れてしまうかと思ったのだが、 草は枯れずに元気な葉を広げている。 ボクの庭はまた春らしい庭に戻った。
ボクは庭に生えている草を見ていて気づいた。 今日は久しぶりに影のヤツがくっついているのだ。 雨が降ったり雪が降ったりすると、ヤツはどこかに行ってし まうが、暖かいお日さまがポカポカしている時はいつもボク にくっついている。 暖かくなったとたんに現れるなんて、影のヤツはきっと寒が りに違いない。
今日の夕方、ボクの庭に1羽の鳥が遊びに来た。 黒いサングラスをかけたような顔をした丸っこいやつである。 この鳥は「モズ」というトリらしい。 オスだ、とアキコが言っていた。羽の模様でわかるらしい。
ボクが山に住んでいた時、秋になると木のてっぺんでうるさい 声を出して騒いでいたのはこの鳥らしいが、こんなに近くで見 るのは初めてである。
今日は、何かをくわえて飛んできて、黒い線にとまってそれを 食べようとしていたのだが、線がグラグラ揺れるものだから バランスを失って獲物を地面に落としてしまったようだ。
獲物が落ちたのがボクの庭だったものだから、獲物を取りに降 りて来るかどうかをしばらく考えていたようだったが、ボクや アキコに気づいて飛んでいってしまった。 ボクはオリコウな犬だから落としたものを横取りしたりしない。 遠慮せずに降りてきてくれれば良かったのにな。
おととい、あんなに雪が降ったことがウソのように、ボクの 庭はいつもと変わらない姿に戻ってしまった。 雪が降ったことも遠い昔のことのように思える。
ボクが雪の中を走り回ったせいで、庭はドロドロのぬかるみ になってしまった。 ボクがそのぬかるみを歩いて足をドロドロにしているので、 アキコは服にボクの足跡をつけられるのをおそれて、あまり 近くに来てくれない。
今日も「日記用の写真を撮るよ」と言ったアキコは、ボクか ら少し離れてボクの写真を撮った。 ボクはとびきりオリコウな顔をしてみせて「近づいて来たら どろんこの足跡をつけてやろう」と企んだのだが、アキコは そんなボクの策略をお見通しのようであった。
明日はもっとオリコウなフリをして、アキコに足跡をつけて やろうと思う。
昨日の雪はすごかった。 今日、お日さまが顔を出して暖かくなったのでみんな溶けてしまうか と思ったら、まだまだ溶けないでたくさん残っている。 ひなたの雪は溶けてしまったが、日陰の雪はまだまだそのままだ。
ボクの庭にも隅っこにたくさん雪が残っている。 そして、残った雪の間からたくさんの植物がまた顔を出した。 草のまわりだけ雪が溶けているところを見ると、草たちは気合いで雪 を溶かしたに違いない。
雪の間から顔を出したクローバーたちはお日さまに向かって葉を広げ て「プハーっ」と言った。 みんなで小さい声で「いやー、すごい雪だったね」「顔を出せて良か ったね」と言い合っている。 植物たちのパワーはすごい。
今日、大雪が降った。 カモガワの海の近くはあまり降らなかったらしいが、ボクが住んでいる ところはドカドカ降った。そしてたくさん積もった。
ボクは雪が大好きである。 ボクの庭にもたくさん積もったので、鎖が届くところをグルグル走り回 って、ボクの足跡をたくさんつけた。 ボクの足跡の中から、春の草がうっすら顔を出した。
散歩でも、雪の積もった川沿いの道を走りに走った。 足の裏が冷たくなるのも忘れて、ボクは雪の感触を楽しんだ。 ボスもアキコも一緒に散歩をしたが、二人ともボクのスピードに追いつ くのが大変で、ハーハーと息をしていた。
日が射したらこの雪はまたみんな溶けてしまうのだろうか。 もう少し雪の感触を楽しみたいのだが。
山で散歩をすると、ヤブの中によくこの赤い実を見つける。 これは千両か万両か、もしかしたら十両かもしれないと アキコが言っていた。
お正月に見つけたメデタイ木の実であるが、何両かわからな いのは、ちょっと気になるところである。
ボクは実は数を数えることができるのであるが、この実の数 を数えてみると7つあった。 よって、この木は七両ということにしようと思う。
この木の名前は「七両」、名前の由来は「実が7つなってい たから」、そして名付け親は「三澤源造」である。 三澤源造というのは、わたくしゲンゾーの本名である。
ボクが住んでいた山は、今、小さな花畑になっている。 オオイヌノフグリの花畑なのだ。
この花は毒があるから食べられないが、大好きな花だと アキコが言っていた。 食べられないのに大好きだなんて、珍しい。 きっと名前にイヌがつくから好きなのだろうとボクは考 えている。
山の草むらにゴロンと寝ころぶと周り一面この花にうめ つくされていてとても気持ちがいい。 ボクは山に来るといつもこの花畑でゴロンと寝転がって この花畑を楽しむのである。
ボクが住んでいた山のお隣さんの田んぼには、今、この白い 小さな花がたくさん咲いている。 これは「タネツケバナ」という花だとアキコが言っていた。
どうしてタネツケバナなのかと言うと、田んぼに植える稲の 種モミを水につけて苗を作る時期に咲く花だからなのだそう である。 昔のお百姓さんたちは、この花が咲くのを見て「そろそろ種 モミを水につけて苗を作らなくちゃね」と考えていたのだろ うか。
この花はとにかく棚田いっぱいに咲いて、白いカーペットを 作っている。 種モミを水につけて苗を作る時期に咲くのだから、田んぼを 占領していても安心という訳である。 ボクは緑の稲も好きだが、このままタネツケバナの白いカー ペットを見ていたい気がする。
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