私の音楽日記

2007年06月24日(日) 『for RITZ』  岡崎律子  2004.12.9

岡崎さんの生前ラスト・ラスト・レコーディングなのでしょうか。
どういう状況でのレコーディングだったのかははっきりとはわからないけど、なんて美しい命の輝きに満ち溢れた珠玉の名作なのでしょうか。
まず、歌詞カードが美しく輝かしい。
きれいな絵本のようになっていて、最初は晴れている、次には曇り、雷が鳴り響き、大粒の雨、大雨、水溜り、傘の花が咲き、レインシューズが並び、その後水溜りはキラキラと輝きだす。
雨粒はあさつゆのように光り、大きな虹が空にかかる。
そしてお日様がさんさんと再び輝く。
そんなささやかな物語を歌詞カードに託している。

岡崎さん、ありがとう。どの歌も素晴らしく命の輝きにあふれています。
報われない思いも、二度と振り向かない人も地図の無い道も全部生きてる証です。
歌詞がなにより素晴らしくて、生きる強さや生まれ落ちた歓びなどが生の言葉で響いてきます。

そして曲、アレンジもバラエティに富んで素晴らしい。
ボサノバであったり、シャンソンであったり、岡崎さんの独特の声を壊さないアレンジの数々。
岡崎さんの歌を聴いて私は改めて音楽の持つ力の強さを再認識しました。
そして何より岡崎さん自身の強さに言葉もありません。

   ごめんね お別れが突然で
   今は ちょっとね 寂しいけど
   かなしみじゃないの
   いつか ちゃんと思い出になる


   約束 お願いはひとつだけ
   生きて 生きて
   どんな時にも なげてはだめよ
   それは なによりチャーミングなこと   

    「I'm always close to you」 作詞 岡崎律子



2007年06月17日(日) 『run』  TULIP  2007.5.30

チューリップのラスト・オリジナル・アルバム。
今年のツアーで完全に解散するチューリップのラスト・アルバムは二枚組。
正直なところあんまり期待してなかった。
が、DISC-1を聴き始めてびっくり。
なんというかチューリップのセカンド・アルバムを聴いているような錯覚に陥った。
もちろん音はきれいになり、財津さんのボーカルも落ち着きが増し、姫野君と上田さんの声にはすこし曇りもある。
が、基本的な音とその姿勢はセカンド・アルバム「君のために生まれ変わろう」のあの音を彷彿させた。
上田さんと姫野君は最後のチューリップの舞台を伸び伸びと歌っていて、そこには今までの軌跡が見えるようだ。
「明日のクライシス」で財津さんは「未来はたちまち 今日になるから 目の前に来るから」だから「何かを始めよう」と
まるでこのバンドの終わりは、次の始まりなんだと言いきかせるかのようだ。
「自分に素晴らしい」という曲には財津さんのこだわりが大いにある。
「自己満足でいい 自分を信じて 自分の価値は自分で決めるのさ」 と歌っている。
若いときの私ならばこれを聴いて、そうか、自分の好きなようにやっていけばいいんだと単純に思っただろう。
でも、この言葉、この曲は35年間ファンのために、ファンの喜ぶ歌を作り、それでもファンやマスコミから批判を受け、なおかつ曲作りとライブとファンを大事にし、気を使い葛藤しつづけた財津さんだからこそ書けた歌だと今は思う。
ただ回りのことを気にせずに自分勝手に生きてきた人の言葉ではない。
若さの残る言葉の中に深い円熟味が隠れている。
自分勝手に生きることと自由に生きることの違いがこの歌からは聴こえてきた。
DISC-1のラストの姫野君が歌う「Rainbow」はなんで杉真理作詞なんでしょう。
今までメンバー以外の作詞ってあったのかな。
しかもラストの曲だなんて意味不明。
財津さんの声はまだまだつやつやで若い。しかし深い。
でも、いくらなんでも財津さん「天使になるから」は聴いててこっちが恥ずかしいですよ。
本当にわっかいですねえ。でも、歌詞をよく読んでみるとただの若さではないこともわかるけど、やっぱりこれは私は恥ずかしいです。

DISC-2は財津さんのソロ・アルバム。
最後まで聴いてみて、なんでTULIPの初期のアルバムに聴こえるのかわかってきた。
アレンジです。アレンジ。
時に荒削りに、時にシンセで宇宙に連れて行くかようなあのチューリップの独特のアレンジ。
あと、まるで弾き語りかなと思えるようなシンプルなアレンジ。
アレンジがあの頃のチューリップなんだ。
DISC-2の方はそれは深い人生を歌い上げる財津さんの若く深い声が心に沁みてくる。
「すべては忘れた」「見えないものも信じられるさ 愛が信じられるなら」は過去との惜別こそが未来だと感じられる。
ラストの「たった一日で君との永遠が見えたんだ」は私にはちょっと不可解で同じような気持ちにはなれない。

でも

  生きてゆくことが 何故か下手くそで
  前向きになんてとても なれやしない

このフレーズには参ってしまった。
前向きになるなんて私には難しすぎる。
財津さんもそう思うのかなあって恋しい気持ちになったよ。

チューリップのラスト・ライブのチケットとりました。
楽しみです。



2007年06月13日(水) 『時のないホテル』  松任谷由実

先日、BSでゆずの「Golden Circle」を見た。
サプライズゲストとしてユーミンが登場し、ゆず、寺岡呼人、桜井和寿と夢のような共演。
ここで「セシルの週末」が歌われた。
この歌はすごい名曲とかすごいインパクトを感じるわけではないのに、なぜだか今でも心にひっかかっている歌だ。

  窓たたーく かーぜの そらみみでしょうか

テンポがよくて、お天気の良い日には口づさんだりする。
両親が忙しくて今まで淋しくて不良になりそうになったけど、これからは彼といっしょに生きていくというハッピーな歌だ。
当時はとてもおしゃれな歌だった。
「セシル」という名前もおしゃれだし、サビの英語の部分もとてもさらっとして嫌味なくおしゃれな歌だった。
この歌を桜井さんとユーミンが一緒に歌ったけど、高校1年の私の娘もこの歌好き!と喜んで見ていた。

それをきっかけに何年ぶりかでこの『時のないホテル』を聴いた。
「セシルの週末」はもちろんのこと「時のないホテル」の機械で作ったような声、「Miss Lonely」「コンパートメント」など異国情緒豊かで外国人の恋愛を歌っているように聴こえる。
「ためらい」という歌だけ平凡な恋の歌に聴こえる。
たしか当時この歌はピンク・レディーの増田けいこさんがソロで歌っていたと記憶している。
6曲目の「よそいき顔で」を聴いていたら、なんだかあまりの懐かしさに涙があふれた。
私は昔を懐かしがったりしない人なのに、何なんでしょう。
「よそいき顔で」「5cmの向う岸」を聴いていたら、なつかしい気持ちが止まらなくなってしまった。
そして、そしてラストの「水の影」。
これって地味な曲ですが、私の中では文句無く名曲中の名曲。
これも聴くたびに涙がでる。
なんど聴いても慣れない。胸にじーんと響いてくる。
たぶん一生この曲には泣かされるのでしょう。



2007年06月07日(木) 『君とのDISTANCE』  ZARD  2005.9.7

まさかこのオリジナルアルバムが遺作になるなんて誰も思わなかっただろう。
捨て曲なし。
ZARDらしい前向きなストレートな歌はもちろん素晴らしいが、それ以外にもワルツの「月に願いを」やものすごく複雑なメロディーの「君と今日の事を忘れない」。
テレサ・テンに書いた「あなたと共に生きてゆく」。
私の大好きなFIELD OF VIEWに書いた「Last Good-bye」などバラエティに富んだ名曲ぞろいになっている。
「月に願いを」はささやくようなワルツ。
ZARDの曲ではこのような曲は珍しいのではないだろうか。
「今日はゆっくり話そう」はしっとりした歌のように聞こえても、どんどん盛り上がり、後半ハードロックになっていく。
なかなか面白いアレンジだ。こんな曲もそうそうないと思う。
「Last Good-bye」はFIELD OF VIEWが歌っていたときもすごく好きだったけど、ZARDバージョンも聴けてとてもうれしい。
けど、なんて皮肉なんだろう「Last Good-bye」とは。
ZARDらしさといえば「星のかがやきよ」と「夏を待つセイルのように」だろう。
「夏を待つセイルのように」は聴いていると目の前に海が広がってくる。
「君とのふれあい」は何を思って書いたのでしょうか。
私も思い入れが強すぎて何度聴いても辛くなる。
ラストの「君と今日の事を一生忘れない」の複雑なメロディーを聴いていると、感動と期待が広がって、本当にこれからのZARDが聴きたかったと痛切に思う。
かわいそうで仕方がない。せめて病気が治ることを祈ったり、励ましの手紙を書きたかった。



2007年06月05日(火) DVD『Le Portfolio 1991-2006』 ZARD 2006.10.25

改めてZARDのプロモ集のDVDを見た。
きれいだ。泉水ちゃん。
どの映像もきれい。声も美しい。
ノンストップで42曲のPVと時々フォトも混ざっている。
私は歌では96年、97年頃が一番好きだ。
「Don't you see」の海外映像は絵葉書のように素敵だし、「息もできない」のスポーティーな泉水ちゃんも輝いている。
「運命のルーレット廻して」の凝ったつくりも楽しめるし、「GOOD DAY」の絶望的な燃え方もGOOD!

「明日を夢見て」が一番好き。息を呑む美しさだから。
このDVDの映像では最近の2002-2006年のパートが一番好きだ。

  明日を夢見て 強がっては
  夢の入り口に やっとせっかく立ったのに
  誰にも 言えないことがあっても
  皆それぞれだけど
  お互いを思いやりながら 生きている

    「明日を夢見て」  作詞 坂井泉水

泉水ちゃん、苦しかったことでしょう。安らかに。
天国でもさわやかに歌を歌ってください。


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