鼠小僧白吉のうだうだ日記

2001年09月18日(火) 6年後の週末

ステージの上でライトを浴びて精一杯歌っているその姿は、少なくとも6年前、おいらがよく知っていたそいつとは違う、というよりは6年前より全然輝いていているそいつがいた。

先週の土曜日、新宿のとあるホールまで行ってきた。高校時代の友人が出演する演奏会があるということで、そのステージを聞きに行ったのだ。高校卒業と同時にいろりろあってそいつとは疎遠になってしまって、ここ数年は年に1度会うか会わないかという感じであったのだが、高校時代、特にある一時期はいろいろな話しをしていた。将来について、夢、本当にイロイロな話しをしたし、いろいろとお互いで考えたりしたやつだった。

そいつの歌を聞いたのは過去一度だけ。そいつの家にいったときビデオで見たことがあるだけだ。その後、オペラのバックコーラスにいる姿を見に行ったことはあるが、ま、それはコラースの一員としてのそいつだったから、そいつの歌をちゃんと聞いたのは今回が始めてだ。

おいらが良く知っているそいつは高校時代のそいつ。今、ステージに立って歌っているそいつは、おいらが知っているそいつよりもものすごく素敵なそいつになっていた。そいつが心から絞り出す声に思わず感動しちっまた、そいつの歌う姿を見て、そいつがこの6年どれだけがんばってきたか、そいつの6年を、実際に見てきたわけでhないが、なんか感じてしまった、そんな週末のヒトトキだった。

今後そいつがどうするのか、おいらは知らない。今はそうめったに連絡もとらないし、いろいろと話しをする関係でもないから。けど、歌っているそいつの姿、おいらはめちゃくちゃ好きだ。止めないで続けて欲しい。また、素敵な声を聞かせて欲しい。黒いドレスも素敵だったしさ。

あの日、おいらも、高校時分のおいらも、あの時いたわけだ。あの日、そいつも、高校時分のそいつも、その時いたわけだ。
6年という時間がたって、そいつと良く会っていた、同じ週末の同じ新宿。その6年の、めいいっぱい駆け抜けていたと思わせてくれる6年間を、ああいう形でみせつかられて……
何も見えないただ明るいだけの新宿の夜の空を思わず見上げてしまった、そんな秋の近い週末のひとときでした。

その後、フラ〜っと思い出横町へ。なんかビールが微妙な味でした。



「かたちのない魅力(鈴木彩子)」
月明かり浴びて、少女は大人になる
もっともっと強くて素敵な女性に



2001年09月15日(土) 戦争か! 緊迫、全米擾乱!

炎上する世界貿易センタービル、さらに飛び込む飛行機。映像が変わった、別の炎上する建物、これは……ペンタゴン。

火曜日の夜、テレビの前で次から次へと飛び込んでくる信じられない映像に呆然としていた。今まで見たどんな映画よりもリアルで鮮明な映像がテレビの画面に流れていた。飛行機がビルに突っ込んで爆発する。そして、100階建てのビルが崩れて行く。映画じゃない、特撮映像じゃない、これは現実の映像なんだということが信じがたかった。さらに事態は続発する。ペンタゴンも燃えている。なかなか映像は出てこないがもう一機どこかで飛行機が落ちたらしい。
気がつけばテレビは全局ニュースに変わっている、CNNは「WAR」という言葉が飛び交っている。どこの放送局のアナウンサーも何がおきているのか理解できていないのか、興奮してんぱっている、そしてテレビの前のおいらも全然眠ることができない。
いったい何がおきたのか、いったいどうなっているのか。

事件から数日すぎたが、事件はまだまだ始まったばかりという印象をうけている。ニュースはまだまだ終わらない。CNNのテロップは「AMERICA'S NEW WAR」となっている。大統領の演説にUSAコールが巻き起こる。アメリカは戦争の準備を着々と整えている。ヨーロッパも使ったことのない取り決めを引っぱり出して準備を整えた。そして我が国日本は……

こうした事件がおこってしまったのは非常に残念だ。だがこれが即戦争に繋がってしまうのにはいささか不安を感じる。感情的にヒステリックになるのはとても良くわかるが、もしこの戦争が始まってしまったらとんでもないことになると思っているからだ。
もし戦争が始まれば、これは20世紀初頭の世界大戦なんぞ話しにならないほどの惨事になりかねない。武器がどうのこうのではなく、戦争の概念の問題だ。
これから始まる「国」と「国」との利権争いの戦争じゃない。「西洋的近代文明」と「中東近世文明」の概念の戦争になるからだ。今は対ビンラディンで世界は一致しているが、概念の争いになったとき、いつどこで話しがこじれ戦火が拡大するかわかったもんじゃない。「西洋近代文明」の中ではごく一部の「国」を除き、ほぼアメリカ側につき攻撃に参加するだろう。だが、その「国」という「西洋近代文明」の概念のなかに、その概念に捕われない人が存在しそれらの人々が一斉に蜂起したら、もうそれは第3次世界大戦になってしまう。

少し世界中がクールダウンする必要がある。「戦線布告されたから報復」の前に「事件を起こした犯人を逮捕」することを考えなくてはいけない。テロを許すわけにはいかない、数千人の人々が犠牲になった(その中には我が日本の民も含まれているのだ)ことを見過ごすわけにはいかない。けど、眼には眼をでは事態がくり返されるだけだ。犯人はつかまえなくちゃいけないが、それを対立する概念への戦争に発展させちゃいけない。

日本はたちあがらなくちゃいけない。アメリカの後ろで「そうだそうだ」だけじゃだめでしょう。なんってったって今の日本のトップはコイズミ。小泉が一言言えば世論が勝手についてくるというありがたい状況が出来上がっているのだから、その状況を間違った方向に使わないでほしい。ヒステリックになっているアメリカをヨーロッパ各国をクールダウンさせてこそ日本じゃないか。みすみす戦争をあおっておいて、いざ始まれば何もできません、それで世界から非難ゴウゴウっていういつぞやの状況だけは勘弁してほしい。

さーコイズミよ、一体何ができるかな。どんな政治よりも、一番難しい政治に今立ち向かっているんだ。この政治をくぐり抜けてこそ、本当の大宰相になれるのだから。



2001年09月01日(土) 今井雅之と8月

今井雅之主演・脚本「ウィンズ・オブ・ゴッド」を見てきました。やまない拍手、スタンディングオベーション、涙を浮かべる今井……

早いものでもう9月、この数ヶ月、鼠小僧の時の流れは本当に速くて、8月もあっというまに通り過ぎて行きました。めいいっぱい仕事もした(つもり)けれど、その分、結構遊んだな〜(呑んだな〜)という感じのこの夏。いくつか上げると、金沢に行って、芝居をふたつ見て、結構飲み歩いて……と、そんな感じの8月でした。
今年の夏はとかく世間が騒がしかったような気がします。選挙、景気の低迷、靖国問題……、気にしていなくても耳に飛び込んでくる世間の騒々しい音。特に、日本にとって、8月は「15日」という特別な日が存在するので、余計に雑音が騒々しくなるのではないかと思う今日この頃です。

そんな8月のある日、ある芝居を見に行きました。今井雅之、主演・製作・脚本「WINDS OF GOD」。この芝居を見るのは実は4回目。大学1年の時に見たのが最初で、その時、舞台からあふれるパワーに圧倒され、それ以来再演の度に足を運んでいるのです。
ただ、さすがに何回も見ていると見飽きるもの。今回は観劇の予定はなかったのですが、ふとあるところから聞いた「今井は今回でこの芝居をやめるらしい」という声を聞いて、ならば、ということで4度「WINDS〜」の舞台へ足を運んだのでした。

時は現代、売れない漫才コンビのふたりは交通事故に合う。ふと事故から眼がさめるとそこは1945年8月、場所は神風特攻隊の基地。ふたりは戦時下の日本に、しかも特攻隊としてタイムスリップしてしまったのである。

と、いうストーリのこの芝居。演じる俳優のパワー、ストーリーの面白さ、深刻さ、いろいろな要素に惹かれて、何度もこの芝居を見ているのだけども、今回の芝居は今までみた中で、最高の「WINDS〜」でした。客観的な証拠をあげれば、スタンディングオベーションが起きた「WINDS〜」をはじめて見ました。カーテンコールが終わっても拍手がなりやまない「WINDS〜」もはじめてです。

「神風特攻隊」は志願兵の集団だったそうです。なぜ、死を持ってでしか職務を遂行できない特攻隊に志願する人がいたのか、なぜ、死を持ってしてまで戦う人がいたのか、現代に生きる鼠小僧にはとうてい理解できません。当然、舞台にいるタイムスリップしてしまった二人もそうです。でも、結局最後は二人とも特攻してしまいます。特攻隊という集団に疑問、戸惑いを感じていたふたりが、特攻を志願するようになるまで。
感覚的なものだからか、鼠小僧の語彙不足だからかは不明なんですが、4回目にしてはじめて、舞台にいるふたりの漫才士のその心変わりとともに、鼠小僧も特攻隊の気持ちが、なぜ、彼らが特攻していったのかが、なんとなくわかった気がしたのでした。

誤解のないように書いておきますけど、別に鼠小僧は右でも左でもないし、戦争なんてまっぴらごめん、けんかすらもほとんど経験なしのめちゃくちゃ現代っ子でございます。でも舞台で演じる役者の、その心が、観客席にいる鼠小僧に伝わってきたのです。おいらがもしその時代にいたとしても、絶対に特攻なんてやってません。おいらはいやです。だからと言って、芝居を見て思ったことは、特攻で消えて行った人々を「こいつらはバカだ」と否定できない気持ちなったのです。それどころか、「その気持ち、わかる」と。

鼠小僧白吉がそう感じたのは、役者の熱演のせいだったのでしょうか、それともいろいろさわがしかった8月のせいなのでしょうか。月は移って9月。けど、まだまだ暑い日がつづきますね〜。9月は少し静かに過ぎればと思う、今日このごろです。


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