Title / Place of peacefulness(安らぎの場所)
◆Thanks◆
 music by Are you
picture by LOSTPIA



思い出の貝殻をお気に入りの小瓶に詰めたら・・・
耳に近づけてそっと・・振ってみてください
懐かしい音が聴こえて来ませんか!?



風のままに

 

a photo by siki


記憶の中の音が
ひたむきな涙を謳う

嬰児たちが
翡翠の丘に戯れる

編まれた碧草を
一面に敷き詰めて・・・

かの詩集が
風とともに空を遊び

ことばたちは
風に押され 緑を駆ける

寡黙な夢の中で
景色が
雄弁に羽を広げれば

疎らに見えた世界が
記憶の中で融合し
淡い快感が幸せを運ぶ

嗚呼・・・
いま 私は

風のままに・・・
このニュートラルを
カラダ中に
受け止める

風のままに・・・
このミステリアスを
ココロ中に
感じている


111






生命の音・・・蓮華に寄せて

 

a photo by siki

朝一番のひかり浴びて
柔らかな命芽吹く君
清楚な微笑みを見せて・・

人々は心揺れながら
水辺の君の前に立ち尽くす

恥じらいながら口づけし
躊躇いながら話しかける

君の命の煌めきを
あとどれくらい見ていられるの

君は微笑んだまま・・・

私は傍にいて
君の笑みを守りましょう
君の最後のひかりまで
健気な姿この眼に留めましょう

永久に 君を慕い
永久に 君を忘れない 




110


この場所から・・・

 
秋のはじまるころ
萩の花咲く道を
夕焼け染まる空を
白いキャンパスに映そう

ひとつひとつ色を置いて
違う景色を描いてみよう

その景色の中を
新しい靴を履いて
歩き始めよう
後は振り返らずに

ここまでの道
平坦じゃなかったけれど

躓いた涙も
転んだ涙も
すべて
命を満たす水

同じ道はもう歩かないだろう

その道が私をここに誘い

この場所から・・・

新しい道がはじまる



109


八月の夢

 
この道をずっと歩いて
夏の終わりに
海に出合った

白い砂は きらきら帯成し
潮騒は ざんぶり優しく耳を撫でる
心が ふわり飛び翔けた

眼閉じれば
そこは夢の世界

貝殻が色とりどりに遊ぶ
海鳥が夢を乗せて舞い上がる

沖の船が白い帆を揚げる
バグパイプの音が聴こえ
赤いタータンチェックが揺れた

遥かな国が影を映し出す
シマウマのあくび
南国の踊りに美酒を酌む男たち

色を魅せ音を集めて・・・
夏が往く

時を止めれば
そこは夢の世界

世界中の愛に頬摺りし
世界一の愛を見つけよう

もう少し
ここで羽を休めたら
またゆっくり歩き始めよう

いつかきっと
君の場所に辿りつけるように



108


無情の波

 
冷たい波が
わざとらしいリズムで
打ち寄せる

すべての想い出を攫(さら)って
遠い海へ連れ去ろうとするのか

舟はすでに沖に漕ぎだし
波打ち際の私は
透明のまま置き去りにされた

打ち寄せてはひとつ
押し返してはひとつ
想い出が白く泡に変わっていく

聖らな月が
冷酷に輝きながら
暗い海に落ちた

君は振り返ることもなく
遠くとおく 小さくなって
波とともに
知らない海へ帰っていった

私は立ち尽くしたまま
今日も
見えない舟を追いかけ

波は無情の声で鳴きながら
いつか
この海を灰色に染めていく



107


I Miss You

 
この道は
あなたに続く道だった

何度も なんども
歩いて通った道

秋、プラタナスの下を
風と歌った

冬、ジャズを流して
風とステップ踏んだ

春、シャボン玉吹いて
風と夢を運んだ

夏は・・・
どこに行けばいいの
風が空しく泣いた

この道はもう
閉ざされた幻
遠く風が舞う
帰らぬ時が舞う

I Miss You・・・




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