Title / Place of peacefulness(安らぎの場所)
◆Thanks◆
 music by Are you
picture by LOSTPIA



思い出の貝殻をお気に入りの小瓶に詰めたら・・・
耳に近づけてそっと・・振ってみてください
懐かしい音が聴こえて来ませんか!?



 
傘をさして 
この道を行く
ポツポツするのは
君の雨(ためいき)
私の雨(ためいき)

傘をさして 
この場所に立つ
戻らない影ふたつ
君の心(つぶやき)
私の心(なみだ)

傘は 
君を知り
私を知る

あの頃

何も聞かないで
優しく覆ってくれた

あの頃 
わたし
当然の事だと
甘えてた

今日の雨
つめたい 
傘 
もうないから



028


君が好き

 

a work by Harmonie






薔薇の匂いが好きと言う
ルーベンスの絵が好きと言う
君が好き

散歩中の犬を見て駈け出す
大好きな映画の看板を
いつまでも見上げてる
君が好き

図書館で待ち合わせ
何も話さない時間を
それぞれ 本の中で過ごし
今度もここでねって言う
君が好き

ローファーに太目のジーンズ
長い髪結わえて
毛糸のマフラー巻きつけて
笑顔ひとつで僕に手を振る
君が好き

いつも君のそばにいて
いつも君を見つめてる
どんな君もみんな好き




*******

Harmonieさんが私のこの詩をご覧になり
ご自身の思い出を重ねられたそうです
学生時代に製作された木のお人形とこの詩を
コラボしてくださいました


027


(うたげ)

 
古き都のこと
美しき姫あり

この上なき歓びを
髪飾りの花色に熨(の)せて
そっと 手鏡に映し

振袖の袂には
みやびな花を一輪
そっと忍ばせながら
優美な夜を酔いしれる

舞い落ちた紅葉(もみじ)
心魅せられて
琴の調べを聴く 
池に流すは 君との縁(よすが)
そっと そばに侍(はべ)らむ

時は瞬きを忘れし
悠久の宮殿に 
白々と朝が訪れる頃
宴は嫋(たお)やかに終わりを告げ
時知らずの姫が 
深い眠りを迎えるだろう



026



***

Ayuさんのイベントを祝して
彼女のイメージを詩にしてみました



天使よ・・・優しき父のまなざし

 
光影ろう午後を
少女が遊ぶ

手にする小箱に
ありったけの夢を詰め込んで
手招きする輝きの彼方

守り神は強く君を抱きしめ
消えない夢を祈り続ける

幼子より君に見えし
彼の人の面影を
静かに眼(まなこ)映し
幽玄の世界絶えなく

少女はひとり
曇りなき光を
その目に讃えて
一心に遊ぶ
美しい午後

限りなく優しい目が
永久(とわ)に君を守る



025




***

とても優しげなまなざしが少女を見ていた・・・
(ある方のお子様の写真を見せていただいて・・)




風の歌 / すすきが原

 

 
photo by Pigion





さすらえる 雲海
探し彷徨う  広い海の中
銀色夥しい 天人(あまびと)の衣踏みながら

風ばかりが 道を作り
ただ 流浪びと(さすらいびと)に甘んじる
見えぬあなたは 美しく
銀色を 支配する

見えぬものこそ美しく
聴こえぬものほど尊い
風ばかりがその価値を知る

ひとすじの帯が
高い空から降りてきて
罪深き臣を許す

あたりは一面の銀色の海
許されて静かに心放す夕べ
すすきが原に 
優しい風の歌が響き渡る




*******

S氏とP氏おふたりの
それぞれの曽爾高原のすすき原
幻想的夕暮れ時の写真を拝見した感動



024


落ち陽

 
1音だけキーを落として
もう一度だけ
君の音を聴いてみる

冷静の透明色で
もう一度だけ
君の事を見つめてみる

数秒だけ 
あの日の秒針を遅らせてみる

あの日出会わなければ
この歌は歌わなかった

数秒だけ
あの日の秒針を遅らせてみる

あの日出会わなければ
この絵はこの部屋に架けられなかった

数秒だけ遅れた秒針は
ふたりをすれ違わせ
違った季節が私を包んだだろうか

いいえ
引き返して来たあなたに
きっと出逢っていたはず

落ちた心の汚れを拭いながら
泣き笑いの顔で
君のことを もう一度だけ
愛してみようかと考える

今日の落ち陽を
愛惜しむ(いとおしむ)ように



023


突然

 
さらさらとした雨が降る
渇いた私の心に

前触れは昨日の夢の中
突然空から降ってきた
今も心を濡らし続ける

優しい言葉は要らない
今はただ 
グラスひとつの現実を
静かに受け止めるだけ

ただ
地上に落ちる
その少し前に
教えてほしかった 

渇いた心には
突然の涙は刺激的
優しいキスはもっと邪魔

遠くの距離を
この体で感じていたい

止められない涙が
グラスに落ちる
今だから  


022


だから・・・

 
だから
何も言えない

「いいよ」
懇願されると
出来そうもないのに
あなた好みの顔して
答えてしまう

だから
何も言えない

「好き」
私のほうが
先に伝えた言葉だったね

だから
これだけでいいの

「ありがとう」
この言葉だけで
私ずっと
あなたのこと好きでいられる



021


彼の地にて/ 白サギ伝説 

 

photo by Pigion



それは古(いにしえ)の昔
ふたりが愛を育んだと言う

蒼き湖(うみ)に 心映せば
言葉なき世界が広がる

遙か深く淡き光降り注ぐ
一瞬の羽音が一面の水を叩く

気高き朝 
いまだ誰も踏み入れない世界
白き魂が寄り添い
ふたりの愛を確かめるように
名前を呼び合う

澄んだ世界にその声が
静けさを包み込みながら木霊する

いま ふたりはひとつとなり
永遠の世界へと翔び立つ

いま ふたりは一幅の絵と変わり
永遠の愛を誓う

時代(とき)の波をくぐり 
思いは遙か遠く 彼の地へ
高く舞い上がれ 
夜明けとともに



*******

Pigion氏の写真「サギと島」に
詩をつけさせていただきました


020


ふと・・

 
ふと気づけば 
いつも君のそばにいた
いつも君を見つめてた

ささやくように話す声が好き
右肩を下げた歩き方が好き 
毎日見慣れたあの字が好き  

ふと気づけば
いつも君からの電話待ち
あのドアを入って来る君の姿さがし

春 出逢ったころのまなざしが
夏 ふたりで遊んだ海辺が
秋 一緒に選んだカーテンの模様が
みんな みんな
好きだった  
 
冬 ふと気づけば
君の事でいっぱいになり
何も見えなくなってしまった私と
そんな私をもう
支えきれなくなってしまった
君がいた

いつもふたりでいた場所で
レモングラスのカーテンが
風を許し優しく揺れ

ふたりで聴いたあのテーマが
灰色に溶けて時空を彷徨う

あの暑かった夏は二度と来ない
ぽつんと残る写真立だけが
新しい季節を迎える 

涙の痕は
まだ乾ききらないけれど
ふと思う
今だったらきっとわたし・・・


019


心澄ませて / 朝(あした)

 
色を敷き詰めて
ショパンを聴く朝(あした)
あなたへと真っ直ぐに続く道に
ワルツは褐色に流れ

憂いを帯びた旋律は 
触れない思いを
一層強く描き出す
道のりは 遠く遙か
悠久の深い森に繋がれる

既成の艶やかな音を消して
あなただけの音を探し続ける
秋色の朝(あした)

いたずら天使が 
黄色の葉っぱをかじり
おどけた天使が 
落ちた葉っぱを踏みながら
マンボのステップを踏んでいる

深秋へのプロローグ 
研ぎ澄まされた朝(あした)に
支配されながら
心澄ませて・・・


018


もうひとつの場所になりたい 

 
川を渡って水色の風
君にそっと頬ずりする
とろけて君は
遠い世界へ誘われる

陽さんさん降り注ぎ
紅き樹々の葉さわさわ揺れる

川辺に小さき薄桃花咲き
高き空に小鳥舞う

愛する人
どうぞその場所で
傷ついた羽根を
休めたまえ

誰も知らない遠い国
誰のことばもなく

優しい風音息吹き
ほんわり眠りを誘う 

愛する人
どうぞこの場所で
傷ついた羽根を
休めたまえ

大地も空も
君のために
その場所を授け

わたしは
君ののもうひとつの場所に
なりたい


017

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