2005年09月26日(月) |
I'm your fool |
もうあれから3週間もたつというのに。ときめきが少しも色褪せない。
これは恋よ。紛れもなく恋。ジャケットのデザインはまさしくハートマーク。
あの9/6以来、仕事以外では99%これしか聴いていない。
フー・ファイターズの4thアルバム「One By One」
特に最初の4曲にめろめろだ。流れも素晴らしくて、順に聴くことで良さが何倍にも増幅する。
1曲目「All My Life」は、とにかく導入部がおそろしくかっこいい。全体にメリハリがきいていて、抜き加減も絶妙。
2曲目「Low」―――ああこれぞ私を恋にぶち込んだ雷の一撃。散弾の爆撃。何て甘い甘い声。
3曲目「Have It All」、イントロのギターが何という快感!と思っていたら
4曲目「Times Like These」でその進化形のようなギターリフが、甘くとろけながら7拍子にのせて迫ってくる。
この音は世界を彩る。これが恋でなくて何なの。
(10/9up)
I'm your fool (あなたにめろめろ) * Best Of You / Foo Fighters (2005) の歌詞。
2005年09月22日(木) |
It's getting harder and harder to breathe |
多い。軽度だが回数が多い。まただ。またシャワーの後だ。また玄関のドアを開けて息をついた。
またパニック。
以前に電話秘書会社(タクシーに乗るとよく広告が入っている最大手)に勤めている時、勤務中に過呼吸で倒れ、救急車で運ばれた子がいた。息が出来ない―――息が苦しいっていうのは、想像するだけでぞっとする。太宰治はよく入水自殺なんか出来たもんだ。
最近のパニックは――Ronnyに電話したあの時以来――時間や程度で言えば軽いのだが、体に来る。頭がくらくらしたりする。一番怖いのは、息苦しいような感じだ。
今はまだただの閉塞感で済んでいる。
お願いだから。このまま、気分で終わって。
It's getting harder and harder to breathe (だんだん息苦しくなる) * Harder To Breathe / Maroon 5 (2002) の歌詞。
なかむらさんとダンナ様がご来店。なかむらさんのリクエストでデヴィッド・ボウイを、ダンナ様へのウケ狙いでフランク・ザッパをかける。
今日はダンナ様がご一緒だから、ウォッカをショットで9杯に抑えるなかむらさん。(いつもはボトル1本あけちゃうからねw)
今年入籍は済ませたものの、式はまだのなかむらさん。ようやく来月下旬に披露宴だという。ご招待されたので行くことにした。出席者に独身女性が品薄だというし、男性は経済力のしっかりした方が多いというから、これはせいぜい頑張らねばw
一日数百円で暮らす身にとっては、披露宴の会費も大きい出費ではあるが。人間たまには贅沢も必要だ。
最近貧乏臭い生活が続いていたし。当日はお洒落して、華やかな気分にさせてもらおう。高い服もどうせ着ないからとかなり処分してしまったけど、安いワンピースを高い宝石でごまかして行こう。久々にお化粧もしよう。
楽しみだわ。
今日はオーナーが飲みに来てくれたので、仕事上のことで前から気になっていた件を相談したら、色々親身になって意見してくれた。
オーナーと話していてしみじみ思ったが、私はどうも、あらゆる人間関係を区別せずに、全て深く関ってしまおうとする傾向がある。
で、原因なんだが、これは文学の悪影響ではないか。
谷崎潤一郎の「卍」、カトリーヌ・アルレーの「地獄でなぜ悪い」、ジョン・アーヴィングの「158ポンドの結婚」、ポール・オースターの「Ghosts」を含むニューヨーク三部作、パトリシア・ハイスミスの「ふくろうの叫び」、全て異常な人間関係――他人同士や複数の人間の癒着を描いている。文学にはこういう、通常では発生しない濃密な人間関係が頻繁にあらわれる。
思えばRonnyと私があれだけの速度と密度で結びついたのも、同じようなことかもしれない。
最近昔の日記(一時期、ごくたまに書いていた)をPCに入れているのだが。18歳の頃の日記にこう書いてあった。
「小説が私に与える毒には、充分気がついている。でも、取り上げられたらきっと、生きていけない」
・・・ああ、はなからわかってはいたのね。忘れてたわw
Opium (阿片) *ジャン・コクトーの著書。(1930)
昼に近所で本を売り、また買う。ミステリー2冊に、谷崎潤一郎を2冊。
谷崎を読んでみてほっとする。ようやく不倫の話じゃないわ。
8月半ばからの読書は、何かに憑かれたんじゃないかと思うくらいに、次々と不倫話ばかりだった。
ポール・オースターの「リヴァイアサン」、ボアロー&ナルスジャックの「野獣世代」と「島」、クリスチアナ・ブランドの「自宅にて急逝」、マーガレット・ミラーの「まるで天使のような」、全て、本筋ではないにしても不倫のからむ話ばかりだ。
Ronnyとつきあっている間は読書する時間があまり取れなかったから、気力を必要とするフィクションを読む割合が減っていた。なので余裕の出来た今、ミステリー関係を立て続けに読んだのがいけないのか。しかし「犯罪」と言えば「不倫」というわけでもないだろうに。
実は谷崎も「犯罪小説集」という変わり本なのだが、こちらは愛憎のもつれは出てきても不倫は登場しない。通常なら谷崎こそ不倫はお得意の筈だけど。
ああしかし世の中って、よほど不倫が溢れているんだねえ。
7月に読んだ伊坂幸太郎の「ラッシュライフ」にも、夫と愛人が妻を亡きものにしようと企む話が出て来たっけ。ありふれた設定ながら、当時の自分としてはその発想にびっくりした。奥さんを殺して何が嬉しいんだろう。別れればいいじゃない。ああでも別れると慰謝料を取られるのか。
そう、不倫が薄汚いのは、妻と愛人と二股かけるからじゃない。金が惜しくて離婚しないからだ。
「愛したひとが、たまたま結婚していただけ」と寝言を言う世間の女の子たちへ。
問題はそこじゃない。愛が発生した時の状況はどうでもいい。問題は、それからどうするかだよ。
(10/4up)
それから *夏目漱石の著書(不倫話)。(1909年)
2005年09月10日(土) |
I'll never look into your eyes...again |
朝、閉店後にFP(vo)と新宿へ行った。詳細は省くが、要するにBLACK AND BLUEのマスターの追悼だ。
そのまま朝っぱらから飲みに行った。新宿には24時間開いている飲屋があって、平日の朝7時に「満席です」と断られたこともある。(今日だって危うく断られかけた)
別の人と昼食の約束もあったが、またにしてもらって飲み続け、お茶して、16時帰宅。
1年前の今日、彼が自分のbbsの書込みのBGMに選んだのは、ドアーズの"The End"だった。
I'll never look into your eyes...again (もう二度とあなたに会えない) * The End / Doors (1967) の歌詞。
2005年09月09日(金) |
Black And Blue |
marikoさんご来店。夏の薄着は初めて見たけど、あまりに活発美人な印象で、別人かと思ったよ。
ローリング・ストーンズをかけて。「このアルバムね、Black And Blueってタイトルなんだ」と言ったら、涙ぐんでた。
私の今日の服装は、黒のタンクトップの上に黒のレースのブラウス、黒いパンツ、黒いサンダル、アクセサリーや下着まで黒。
去年と同じ、自己満足よ。
日付が変われば、午前3時になれば。
BLACK AND BLUEのマスターが亡くなって、まる1年になる。
(9/30up)
Black And Blue *Rolling Stones のアルバム。(1976)
一昨日からずっと雨。お客も少ないので、一人でフー・ファイターズを聴く。珍しく、コーヒーを飲みつつ煙草を吸いながら。(普段私は「お酒とロックあり・食物なし」の条件下でしか煙草を吸わない)
昨日の出勤中。電車が高円寺駅に滑り込み、ドアが開いた瞬間に、突然恋に落ちた。
曲をシャッフルしてあるiPodから、イヤホンを通して爆音で降ってきた、フー・ファイターズの'Low'
CROSS ROADで初めてちゃんと聴いたフー・ファイターズ。CDは'One By One'。最近お客に「これよくかけてるね。大好きでしょ」と言われ、え?そうかしら、くらいに思っていたが。
数日前からiPodに入れておいたら、初めて'Low'がかかったのだ。素敵素敵素敵素敵。背骨を直撃されたみたい。
この声。臆面もない甘い囁き。ベッドの中をそのまま持ち出したような甘えた声。
You'll be my passerby. I'll be your new one that pass through.
歌詞がみぞおちに食い込む。腰が抜けそう。
店に着いて、また'One By One'をかけた。うっとり。
それ以来ずっと'One By One'を聴いている。ふと気づくと、声に魅せられていると思っていたのが、実は幾重にも織りこまれているギターの音が快感なんだとわかった。
弾いているのは、元々はドラマーのデイヴ・グロール。
見た目はあんなに粗野なのに。なんて甘い。
* クリス・シフレットを完全に無視していますが、ご勘弁をw
Low (粗野) *Foo Fighters の曲。(2002)
2005年09月05日(月) |
Funny but it seems that it's the only thing to do. Run and find the one who loves me |
出勤準備中にパニック。軽いが。いや、軽いのか? とにかく無理矢理押さえつけてママ(友だち)に電話する。これまでパニック中にひとに電話したのは2度だけ。2003年に彼氏と別れたのをきっかけに5年ぶりに再発した時と、今年の7/3にRonnyにかけた時。
ママには一旦パニックが治まった瞬間にすかさず電話し、明るく「パニック起こした」と話した。「悪い。ちょっと喋ってて」って。しばらく話したら落ち着いた。
これを実際に見たことがあるのは、両親と元ダンナだけ。ひとには絶対に見せないわ。
いつか。誰かが現れる。これを見せてもかまわないと思える相手が。そのひとが私を救ってくれる筈だ。
いえ。嘘だね。そんなことひとかけらも信じてない。私がこれにつぶされるのが早いか、私の寿命が尽きるのが早いか。今後の人生はその競争だ。
これは死ぬほど苦しい。これから逃れる為に、死んでしまいたいくらい。なのにこれは恐怖症だから。これが起きた時には、死ぬなんて怖くて出来ないんだ。
いえ。私はやっぱり信じている。いつか誰かが私を救う筈だ。
だからなのかな。惚れっぽくて、すぐに勘違いする。今度こそ、この人こそ、私を愛してくれる筈だって。
猫ちゃんご来店。よく来て下さるのだが、何故か雨の日が多い。あと月曜も。今日はまさに雨の月曜だし。
雨降りの日はお客が少ないから、来てくれると有難くて印象に残るんだよね。
Funny but it seems that it's the only thing to do. Run and find the one who loves me (おかしいけど、いつもただ、愛してくれるひとを探してばかりいる) * Rainy Days And Mondays(雨の日と月曜日) / Carpenters (1971) の歌詞。
2005年09月02日(金) |
May this be love or just confusion born out of frustration wracked feelings |
朝、ワイト島フェスティヴァルのDVDを見る。
1970年は音楽的には一番好きな年だ。けれどこの当時の若者たち―――ヒッピーの残党には我慢がならない。ヒッピー・ムーヴメントは1967年を境に下火に向かったと聞くが、ならば'69年のウッドストックは、彼らに大規模な同窓会の機会を与えたのではないか。それに味を占めた結果、'70年はロック・フェスティヴァルが流行りとなった。
そしてこのワイト島でもまた、気狂いじみた騒乱が起きている。会場を囲む塀の外にキャンプを張り、タダで入れろと騒ぐ群集。(ちなみに音は外側にいても聞こえているし、どうやら高台からはステージも見えている)
ワイト島は現在でも、ロンドンから1時間半のポーツマスから船で行くしかない。当時はもっと交通が面倒だったろうに、わざわざそこまで来ておいて、わずかな入場料を惜しんで、主催者を「資本主義の犬」呼ばわりする。マリファナでラリることと瞑想の区別もつかず、狂信的左翼にすらなれない、集団暴動を起こす「平和主義者」たち。
結局このフィルムの主役は「暴動」。
音楽はジミ・ヘンドリックスから始まる。以前に私がジェフ・ベックのライヴ・レポの中で三大ギタリストのことを書いた時、「ではジミヘンは? ジミヘンのことも書いて下さい」とある人に言われた。(ブラックが苦手な私は、ジミヘンも数曲知っている程度だった)
以前書いたのはこうだ。「ギター職人クラプトンは、ギターを弾いて世界に貢献する。芸術家ジミー・ペイジはギターで世界をつくりだす。ジェフ・ベックにとっては、ギターが『世界』だ」
今回このDVDでジミヘンをじっくり見聴きしてみて思ったこと。
うわあ。この人は、「ギター」だ。
(だからといってジミヘンが他の3人より上という意味ではない。それは牛と革ジャンとどっちが偉いかというようなものだ)
フーが凄まじかった。フーの良さは、映像を見てこそよくわかる。
キース・ムーンを知るまでは、ドラムというのは当然バンドの中心となって、バンドの音全体を引っ張っていくものだと思っていた。ところがキース・ムーンはまるでドラム・セットごと前へ前へとずり出して来そうなほど上ずっていて、逆にボーカルに合わせていながら、なのに恐ろしく自分勝手だ。
見事な指さばきのジョン・エントウィッスルは、地味で冷静でよどみなく見えながら、やわらかいシルクのような異常さを発している。元気印のピート・タウンゼントはベースを叩きつけるかのようにギターを弾く。・・・こんなインパクトの強いメンバーに囲まれては、そりゃロジャー・ダルトリーも、フリンジびらびらの衣装つけるわ。(それでも負けてるけどw)
フリー。一番大人びた格好のアンディ・フレイザーは、この時18歳(ああ可愛いっ)。しかし、前歯の欠けた浮浪者っぽいポール・ロジャースもまだ20歳(ああおっさん臭いっ)。
渋いテン・イヤーズ・アフター、何とも可愛らしく胸に迫るジョニ・ミッチェル、ただ可愛いだけのようなジョーン・バエズ、独特の切れ味の良いリズム感でたたみかけるジェスロ・タル。
それらの面々の中にあって、一番燦然と光り輝くというより燃え上がっていたのが―――――
エマーソン, レイク&パーマー。
これがデビュー・パフォーマンスだというEL&P。この迫力。このエナジー。緊張感。この美しさ。グリーン(青臭い)の美しさ。
グリーンな筈で、この当時、キース25歳、グレッグ・レイク21歳、カール・パーマーにいたっては19歳。
デビュー当時のEL&Pは美形揃いだが、そんなことは抜きにしてこのパフォーマンスは見る価値がある。
軽く興奮したキース・エマーソンがそわそわとせわしなく動いているのが、ありあまる才能と情熱を身内に秘めかねているようだ。オルガンを傾けて手元に引き寄せ、逆から弾き、それを飛び越えてまた弾く。この、5秒でそれとわかる、「キース・エマーソンの」和音。
フィルムの終盤で、ついに主催者は、塀の外の連中をタダで入れることに同意。その瞬間に多額の借金を背負う身となった主催者が、観客に向かってマイクで言う。"We've lost everything. But when I say 'everything', I only mean money."
彼は言う。僕らは無一文になったが、かまわない。大事なのは君たちがそこにいて、僕らがカネで提供できる以上のものを君たちに与えたことだ。どうか愛と平和を胸に抱いて家路についてくれ。
そして彼は両手を宙に向かって突き上げる。ピース。
―――開き直りか、或いは怒りの余りに錯乱したかと思えるような発言だが。
私はわかる。これが本気だってこと。ひとは、他者に向けての怒り、苛立ち、失望、悔しさがあまりに大きいと、えてして最後はこうなりがちだ。許しがたい相手を許すと決めた時、ひとはエクスタシーに似た気分を味わい、壮絶なカタルシスの中で涙を流す。
ひとはそうやって、とてつもないダメージから自分を救う。
ドアーズは何故、全ての騒乱から離れたところに立っているんだろう。
この超然さが気に入らない。ジム・モリスンは、既に半分この世にいないように見える。
実際彼は約10ヵ月後に死んでしまうのだが。しかしそれを言えば、ジミヘンはこのわずか19日後に死ぬのだ。
(9/21up)
May this be love or just confusion born out of frustration wracked feelings (これは愛か、それとも社会に見放された不満からくる混乱か) * Machine Gun / Jimi Hendrix (1970) の歌詞。
2005年09月01日(木) |
So won’t you listen to what the girl said |
bbsを再開。8/25の3周年記念で43時間あけたのを除けば、19日ぶり。
出勤前に高円寺でCDを売る。23枚で11,000円になった。嬉しくて、インド雑貨屋でキャミソールワンピースを買う。
Orangeに寄ってAround The Worldを一杯もらう。このカクテル、内容がジン、ミント、パイナップル・ジュースで全部好きなんだけど、選んでいる理由はただひたすらレッチリの曲名だから。実際Sad Cafeに勤めている時、「アラウンド・ザ・ワールドを」とオーダーされ、何の疑問もなくレッチリをかけようとしたことがあったっけ。ちなみに周りの客も全員そう思い込んでいたというw
スナックのお勤め帰りの女性二人がご来店。一人は23歳なのだが、この子が音楽の趣味は渋いし(クラッシュ、ピンク・フロイド、トム・ウェイツなど)、よく理解している。会話も普通の若い子の口調なのに、聞けば言葉使いも話の筋もしっかりしていて、非常に世慣れた独自の意見を言う。要するに頭がいいんだなあ。すっかり感心。
キャバクラ勤めもしているというこの子が、辛口の男性批判を繰り広げる。たまたまストーンズの新譜を持ってきていたRくんが横で固まっていると思いきや、いきなり彼女がRくんに「よく聞いといて?」とふったので笑った。「お兄さんいくつ? ちゃんと聞いといてね」
私も「うんうん。聞いといたほうがいいよ」と言う。完全におびえうろたえるRくん。はは。でも真面目にこの子の話はためになるよ。
(9/19up)
So won’t you listen to what the girl said (その娘の言うことを聞きなよ) * Listen To What The Man Said / Paul McCartney and Wings (1975) の歌詞。
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