2005年08月29日(月) |
Violently Happy |
昼に出かける。と言っても荻窪駅周辺だが。夜働いているので、昼に近所に出かけることが滅多にないのだ。
まずは銀行に寄って、それからカルディへ。ああここ久しぶり。
マンデリンを挽いてもらい、シリアル、レモンカード、ココナツミルク、タイグリーンチキンカレー、マリボーチーズ、バターワッフルクッキーを買い込む。他にもお菓子を大量に買いたいが、太るので我慢。
南口の古本屋でヴァン・ダインとゾラを買う。この店は初めて入ったが、ポケットミステリのレア本にきっちり高価をつけているのが逆に好感が持てる。一冊5,000円を超えるものもある。
古本屋での買物はそれ自体が楽しく、極端に言えば買った本を結局読まなかったとしてもそれでいいと思わせるところがある。
私が買った本は定価の6倍以上。この頃一日数百円で生きている身としては大きい出費だが、本にお金を惜しむようでは生きている価値がない。
パン屋でバケットやライベーコンサンドを買って帰宅。本当に久しぶりのお買物。こんな大量に食品を買うのも久々。
早速挽きたてのマンデリンを淹れる。いい香りだ。
LEO(g)からメール。昨日落ち込んでいた私に、「今はつらいだろうけど、また良い時が必ず来るよ」と言ってくれた。
「今が悪い時とは思ってないよ」と返事。実際こうやって誰かが励ましてくれること自体、恵まれている。
私はこのサイトのprofileの「25 Qestiions from bbs members」で、「今まで生きてきて一番幸せだったのは?」という質問に「今です」と答えている。2003年当時の回答は「信じないでしょうが、今です」だった。事故で顔を怪我し、彼氏とも別れた直後だったが、それでも答えは「今」だった。
私は生きてきてずっと「今」が一番幸せなのだ。(例外は、パニック障害を初めて起こし、それが24時間持続していた'95年の短期間だけだ)
だから勿論、今同じ質問をされても答えは「今」だ。
私は基本的に、寒さや飢えや重い病気から逃れられているだけで人間は幸せだと思っている。世界規模で見れば、それに悩まされている人間が大部分だ。(私は実は、水道の蛇口をひねれば安全な水が出ることすら僥倖だと思っている)
また、今までの世界史を見る限り、一生のうちに全く戦争を体験しない人間が殆どいないことがわかる。今の60歳以下の日本人は異例なのだ。
加えて私は大きな自然災害にあったこともないし、水疱瘡以外の入院もない。お金に困ったこともないし、身の危険を感じるような体験も一度もない。
そして私はビートルズを聴く。そして私はサリンジャーを読む。世の中にはこれらと無縁に生きていく人たちが多くいる。このふたつと共に生きているだけでも、私は恐ろしく幸せだ。
そして私は私自身が好きだ。私自身の体験や記憶を大切にしている。
そして私は私のことを書いている。今あなたがこれを読んでいる。
とんでもないくらい、幸せです。ありがとう。
Violently Happy (恐ろしく幸せ) *Bjork の曲。(1993)
2005年08月15日(月) |
Mommy's alright, daddy's alright, they just seem a little weird |
一昨日から「大丈夫?」というメールが何通も届いている。気分的にダメで返信出来ないものもあるが。一通一通に感謝する。同時に、心配をかけてしまって悪いな、とも思う。
ネット(つまりはこのサイト)を始めて3年、辛いことがあればすぐにネット上に吐き出してきた。今やもう、そのやり方しか知らない。最初は心配されるとただ嬉しかった。今では心配をかけると申し訳なく思う。だから辛いことを報告しつつ「メールはいりません」と書いたりもする。それもそれで我儘だとは知りながら。
でもとにかく、皆ありがとう。
実家に用があって電話した。ついでに母にちょっとパニックのことを話してしまおうかと思っていたら(実は、短期入院を少し真面目に検討していたのだ)、母は仕事で旅行中で、父が出た。
ここでうっかり父を相手にパニックの話をしてしまったんだから、いかに自分が弱っていたかがわかる。
私の父は、東大に入れる学力を持ちながら、王道を嫌うすね者だった為に中央大学に行った。(父に勉強では勝てなかったという、父の親友《東大卒》から聞いた) 今でもその記憶力や計算力には舌を巻くし、知識や教養も深い。「頭がいい」ことが父の自慢だ。現に周り中からそう思われている。実際父と政治や歴史や文化の話などすると、面白くてたまらない。
ところが父は、哲学の話が出来ない。彼には哲学が解らない。
何故なら、父は自分というものが見えていない。(これは母と一緒だ) いや、見切ったつもりで、それ以上省みる必要がないと思っている。そして自分以外の世界に関しては、既に学ぶべきことはないと判断し、解らない全てのものは不必要なものと断定してしまっている。
簡単に言えば彼は、他人と他人の哲学を見下すのだ。
この一点において私は父を、この上なく愚かな人間だと思っている。
結論だけ言うと。私は父と3分もまともに話せなかった。私は弱っていて、喋るスピードが普段の倍ものろかったが、父はその私の話をさえぎり、そこに自分の考えをいきなりかぶせてきた。
私は「もういい。切るわ」と言い、うろたえる父を尻目に電話を切った。
夕方、旅行先の母から電話。何やら声が嬉しそうだ。理由は検討がついた。おそらく父から、「俺じゃ駄目みたいだから、話してみてくれ」と言われたんだろう。(私は電話した時最初に、「これはお母さんに話すつもりだったんだけど・・・」と言ったのだ)
母は、これまた周りに「先生」と崇められる経歴と実績を持つ人物でありながら、一人娘の愛情と尊敬を得られないことを唯一の悩みとしている。だから少しでも、父より自分が頼りにされているなどと思ったら、嬉しくてしょうがないのだ。そのことが、私の体に対する心配より先立つらしい。
浅はかだが、憎めないというか。どちらにしても今は母とまともに話す気力もなく、あちらが勝手に喋る見当違いな励ましの言葉を黙って聞いていた。
(9/5up)
Mommy's alright, daddy's alright, they just seem a little weird (父も母も、違う生物だと思うことにしよう) * Surrender(諦めが肝心) / Cheap Trick (1978) の歌詞。
生後1ヶ月のルカ。抱いているのは元ダンナ。
11時まで18時間寝る。時々ふっと目を覚ましては、穏やかな気分でまた眠りに戻った。復活、といった感じで目覚める。
昨日から体重が2Kg減っていた。何しろまる二日近く食事をしていないし、この30時間は水一滴すら口にしていない。
元気になったと何人かにメールし、安心したと返信をもらう。そのたった1時間後に。
ルカが死んだという知らせ。うちで飼っていた兎。里子に出してしまった子。
携帯アドレス変更の連絡メールを送った時、里親の方から来た返信がルカのことに触れていなかった。嫌な予感がしたから、昨日メールで重ねて訊いてみたのだ。6月に亡くなっていた。
いつも畑を走り回って、前日まで元気そうだったらしい。ある朝起きたら反応がなかったそうだ。
きっと、私にショックを与えると思って、言い出しかねていたんだろう。とてもやさしそうな方だから。
今までありがとうございました。とても感謝してます。
今は、何よりこのことが辛い。
自分で捨てたくせにね。
一度会いに行こうかと考えてた。もう一度抱きしめておこうかと。今回無事だったらすぐに行こうと思ってた。
こういうことはいつも、間に合わないんだね。
泣く。頭が痛いし吐気もする。だけど。
この悲しみはきれいだ。昨日の薄汚さを洗い流す。
ルカ。ありがとう。
Luka (ルカ) *Suzanne Vega の曲。(1987)
2005年08月06日(土) |
Oh, give me a reason to be beautiful |
体調がおかしいのか、この夏は全く暑くない。しかし昨日からうっすら汗ばむ感じがある。*調べたところ、8/4〜8/5は35/27℃、8/6は34/27℃。8/21現在この夏一番の暑さ。 夕べかっちゃんにもらったチョコレートがとけている。見れば室温が32度だ。
ネット注文したゼルダの1stが届く。ずっと昔に売っちゃってたのを、最近bbsでゼルダの話題が出たので、懐かしくなって買い直した。
ゼルダは2ndから先に聴いて、今でもあれが最高傑作だと思っている。その後初めて1stを聴いた時は、そのあまりの粗雑さ・薄っぺらさ・安っぽさに脱力した。(今も「ムーンライト・フライト」のサビなどは、いくら何でもいかがなものかと思う)
けれど何度も聴くうちにだんだんと、そのソリッドな荒さも悪くないと感じるようになった。業務用のダークなブロック・チョコをばりっと噛み砕く感じ。
「真暗闇 -ある日の光景-」が一番好き。がしがし叩くスネアが妙に気持ちいい。2連を入れるだけでリズム・キープが崩れる。ベースが文字通りベースになっている。
色気のかけらもない、ブスな声で佐代子が歌う。このブス声こそ、かつての私が一番出したかった声だ。
10代の女の子たち――自意識過剰なある種の女の子たち。自分の中の「女」に、その「女」を求める男たちに、「女」を陵辱する世界中に反発して、無意味にブスに向かって突っ走る女の子たち。
ゼルダは彼女たちのカリスマだった。
私もそういう女の子の一人だった。何しろゼルダのコピーをしてたんだから。
夜中1時過ぎに地震。結構動揺した。軽い吐気と喉の閉塞感が小一時間続く。
自分が、この辛さを独りで耐えていることが辛い。
Ronnyにメールを送る。「うちの鍵を返して下さい」など何項目かを箇条書きにしたドライな内容。Ronny & Bunnyを解散するので、今後BLACK AND BLUEを含む私のオリジナル曲を演奏しないようにと伝えた。
(8/21up)
Oh, give me a reason to be beautiful (どうして美しくなきゃいけないの) * Reason To Be Beautiful / Hole (1998) の歌詞。
2005年08月05日(金) |
I have no choice |
「もうやだ。またパニック起こしたよ。起こる間隔が短くなってる」
MNに泣きながらメールを打った。お昼に、シャワーから出てきたところでキレた。来ると思った瞬間、「起こすもんか!」という物凄い反発が起きて、無理矢理抑えつけた。息苦しくて窓を開け、それでも駄目で、思わず裸のままドアの外に出そうになった。
MNから返信。「こんなん抱えて生きていくのイヤだわ」という私の文章に対して。
「それでもおれは生きていくしかない。おれには選択する自由が存在しない」
MNは同じパニックを抱えているが、その前に彼は体の自由がきかない。
うんうん。ごめんね、甘えたことを言って。やわらかい涙が出る。私はそういう風に言ってほしかったんだ。
出勤前に高円寺の中古レコード屋へ。LP1枚、CDとEPを合せて15枚くらいで7,340円。結構いい値段になった。
最近はまたどんどんモノを手放している。
夜はかっちゃんが初来店。少し前に彼氏と一緒に住み始めたせいかえらく可愛くなっていて、ちょっとムカつくw
しかし、現在は幸せな状況の筈が、またも悩みを抱えていると口にする。この子も私と同じで、一人でじたばたするクセがある。詳細は知らないけど、知らないままでも気持ちは解る。
いいからさっさと幸せになりなよ。ね?
閉店後。電車に乗ったらiPodでレッチリの Can't Stop がかかった。私がこの世で一番好きなもの。
――――ふと気づいたら西荻にいた。高円寺から荻窪までたった2駅なのに、1駅乗り過ごしたのだ。目はしっかりと開いて窓外を見ていたのに、気持ちが完全にとらわれていたらしい。
何だか逆にそんな自分が誇らしいような気分になる。
悔いなし、と馬鹿なことを考えながら、明け方の澄んだ空気を嗅いで、反対側の電車に乗り込んだ。
I have no choice (俺には選択の自由がない) * This Love / Maroon 5 (2002) の歌詞。
2005年08月04日(木) |
I know that you are rotten to the core |
出勤前に高円寺で少し買物。ロック系のポスターの店で、カート・コバーンのポストカードに目がとまる。赤い髪のカートが頬杖をついていて、唇の端が上がっているのが子供っぽい。Ronnyがよくこういう表情をしてるなと思う。
私はコートニー・ラヴが理想なんだから、彼女の愛したカートを好きになっても不思議はないが。
実際彼と結婚したら最悪だろうと思う。ドラッグに溺れてオーバードーズを繰り返し、コートニーがしょっちゅう蘇生処置をしていたという。
最低だ。
世間はカートをカリスマにして、コートニーをあばずれと蔑む。彼の自殺を彼女のせいにし、しまいには彼女が殺したと言い出す。
ふざけるなと言いたい。
私はアーティストのバックグラウンドに興味がないので、彼らについて詳しいことは何も知らないが。ただ、二人の画像はいくらか見ている。カートは、一人の写真ではいつもぎらついた眼をして迫力があるが、コートニーと一緒の写真だと途端にヘタレそのものになる。だらしないほどの表情で彼女を眺めている。惚れこんでしまっている顔だ。同時に甘えきっている顔でもある。
その画像からだけでも彼らの関係が手に取るようにわかる気がする。弱くて甘ったれた男、母親的な愛情に飢えた男が、無条件で抱きしめてくれる女を見つけて、すっかりその心地良さに溺れてしまう。彼女は俺を愛してる、愛してる。俺は彼女といればそれでいいんだ。
そしてその男はダメになる。何故ならもう彼は充たされているからだ。
ふと気づけば彼女は、二人分の人生を背負わされている。彼女が舵をとらなければこの船は沈む。
気丈で明るく頑張り屋の女。一生懸命で、ただの可愛い女。それがコートニー・ラヴだ。全然彼女を知らないけど、その筈だ。
ちぇっ。誰のことを書いてるんだよ。畜生。
何となく眼が離せなくなったそのカードを買って帰り、テーブルの上に飾る。いたずらっ子のような表情がこちらを見ている。
わかってんの?
あんたのせいよ。あんたのせいで彼女は泣いたのよ。ええ、知らないわ。そんなことは知らないけど、でも私にはわかってるの。
私にはわかってるのよ。
(8/20up)
I know that you are rotten to the core (わかってるのよ、あんたなんか最低な男だって) * Boys On The Radio / Hole (1998) の歌詞。
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