Rocking, Reading, Screaming Bunny
Rocking, Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2004年11月25日(木)  let it sleep

店に出勤してみたら、電気が止められていた。オーナーから電話で、「悪い悪い! 俺、今払ってるとこだからさ、後30分くらいでつくから」 だって。
ガス、電気と来たか。次回は水道だわね。あるいは電話か。だんだん何が起きても驚かなくなってきちゃったなあ。人間とは環境に適応する生物なのね。
・・・適応したくないなあ。

女性のお客様がご来店。前に一度いらしているとのことだが覚えがない。思い出しかねていたら、「ところでレッチリと何が好きなんですか?」 と言う。・・・一気に甦る記憶。ああ! 私がハイド・パークのライヴをかけていたら、レッチリを好きだっておっしゃった方ね。はいはいはい!
何とホールも好きだという。話してみたら本当に詳しい。「ここでホールを好きな人に会えるなんて思ってもいなかった」 と言う。私もですw
このお客様の彼に、私が客商売は初めてだと言ったら驚かれた。それどころかこの店に妙に似合うと言われる。・・・実はよく言われます。適応しちゃったのね、私。・・・ちっ。

KS来店。アップジョンで軽くご機嫌だという。くれと言ったら2回ぶんくれた。先にいたカップルに彼から数千円分おごらせ、ついでにチップも13,000円もらった。今日の彼の飲み代は1,000円なのにねw

お客様が皆帰って看板をしまってから、一人オレンジ色の薄暗い店内でスマッシング・パンプキンズの「1979」をかける。最近店では毎日、しかも連続で何度も聴いている。
遠慮がちなリフレインの陶酔。あるかなしかの指先の愛撫。夕暮れに一瞬光ってゴミ箱に墜落していく shooting star。眠い記憶がかりかりと耳の後ろを引っ掻く。――そんな曲だ。
眠い記憶が薄目をあける。かつて私たちは完全にひとつだった。世の中のどこを見渡しても、私たちより溶け合っている存在は見当たらなかった。周りも皆そう言っていた。私たちは一緒に眠り、一緒に食べ、一緒にレオン・ラッセルのライヴを見た帰りに興奮して酔っ払い、一緒に冬のアビー・ロードの横断歩道を渡った。私たち二人とも同じくらい駄目な人間で、二人とも学校をドロップ・アウトし、20代はあまりまともに働かず適当に暮らしていた。時が止まっていて、だらだらと幸せをむさぼっていた。そしてある日私は、彼の未来を叩き潰し、自分の現在をへし折った。
皆が簡単に 「どうして別れたの?」 って訊くのよ。だから私は 「ダンナがアル中だったんです」 って言うの。それは嘘じゃないけど、真実とはほど遠い。私が本当はあなたに何をしたのか、皆知らない。そして知ってる数人の人間は誰も私を責めない。あなた自身も。

眠ってたはずの記憶がぐずりだす。うるさい。黙っててよ。
畜生。畜生。畜生。



2004年11月22日(月)  stands on her own feet

今日はかつてないほどお店が混んだ。何しろ座れなくて帰ったお客が2、3人いたくらい。大宮に引越した阿部さんも久々に顔を出してくれたものの、きっちりひかるちゃんと出くわして、「かなり辛い」と辟易していた。「すみません、辛かったら殴っていいですから」 と私が謝ったりしてw

唯一の一見さんは、トラックの運転手だという金髪の女性。何と 「レッチリ聴きたーい!!」と騒ぎ出す。そんな日に限って持って来てないので(ほとんど毎日持ってるのにぃ!)、「すみません、ホールで勘弁してください」 と2ndをかけたが、代わりになるのだろうかw
相当酔払ったようで、お会計時に財布がないと言うのでトイレに見に行ったら、高そうなでかい財布が見事に便器にはまっていた。こりゃお財布は買替えだわ。「いいの、また稼ぐから」 と、悲しそうにお札をふいて払ってた。
何だか一人で頑張っている感じが憎めないな。また来てねえ。

ホールをかけてた時、Asking For It を聴いたカハトさんが、「これはレイプの歌ですね」 と言うのでびっくり。
Was she asking for it?
Was she asking nice?
Yea she was asking for it
Did she ask you twice?
今までずっと、単に女が男に2回「して」とせがむ歌だと思ってたよ。聞けばレイプの取調べの時の、男の言い訳の決まり文句なんだってさ。"She was asking for it!"(彼女が誘ったんだ)ってね。
さすがコートニー姐さん、半端じゃない。'He Hit Me (It Felt Like A Kiss) '(彼に殴られたら、キスされたみたいに感じたわ)なんて歌も歌ってるし。私みたいなひよっこはとても姐さんの境地には至れそうにありませんが、頑張って姐さんの3歩、いや10歩後をついていきたいです。女もまずは裁判所に呼び出されるくらいじゃないとね、やっぱり。

閉店後、ひかるちゃんのおごりで、HY、カハトさん、阿部さんと5人でカレー食べる。「内臓破裂。医者を紹介します」と書かれた辛さのを取るが、全く辛くない。
ひかるちゃんが阿部さんに車で送ってくれと何度断られてもしつこくせがんでいたので、「やめてね」と一言叱ったら、かなりびびって逃げるようにタクシーで帰った。彼女も一人で頑張っている女には違いないんだけどねえ・・・。



2004年11月18日(木)  and there is nothing I can do

朝、15日の日記を書いていたら喉がだんだん塞がってきて、書き終える頃にはかなりの閉塞感となった。約10年ぶりの舌根扁桃腺肥大の再発か。冗談じゃないわ。無理に考えない。無理に無視して眠る。
起きたら少し良くなっていた。お願い、このまま元に戻って。
実は舌根扁桃腺肥大は、手術(喉を切る為かなり危険)以外に治す方法がない。

店でナタリー・マーチャント(元10,000マニアックス)のライヴ盤を見つけて聴く。ボウイの Space Oddity やニール・ヤングの After The Gold Rush をカバーしてる。私は基本的にきれいで上手な女性ボーカルは苦手で、好きなのは皆クセのあるシンガーばかりだ。この人はちょっと聴くと私が普段苦手な部類に入りそうでいて、聞流すのを許さない芯を感じる。

帰りはまたもHYに中華をご馳走になる。今日は5品も注文された。いや、食べられるけどさw 今日は私体調が悪いっていうのに、つい食べちゃうし。しかしホントいい加減にしないと。



2004年11月17日(水)  submerged under the music in this dark place

半年ぶりに来店したという20代のお客さま。もちろん私とは初対面。
を、相手に、語っちゃったよ、ビートルズを。なるべく押し付けがましくなくしようと思うのだが、つい熱が入っちゃうな、ビートルズは。

ロックにはまったのは3歳でサイモン&ガーファンクルが最初。母のレコード。
ビートルズには10歳ではまった。両親とドライヴに出かけるたびに、カーステレオではビートルズがよくかかった。というか私が常にかけてくれるようせがんだ。帰宅しても私だけ車内に残り、ずっとビートルズを聴いていた。
居間のステレオでは青盤をよく聴いた。何て素晴らしいんだろう、と10歳の私は涙ぐむ。"A Day In The Life"を聴きながら。
歌詞の訳を読んだ。一箇所だけ意味が釈然としない。I'd love to turn you on. 何故これが「僕はあなたを目覚めさせたい」になるの?
家の隣の教会にいたアメリカ人の牧師さんに訊いた。そしたら顔色を変えて 「どこでその言葉を聞きました?!」 と言う。歌の歌詞です、と聞いてほっとした気配。「それは大変悪い言葉です」 としか言ってくれない。
数年後、turn (somebody) on が「麻薬で(または性的に)興奮させる」という意味だと知る。・・・目覚めさせる、か。なるほどねえ。

カハトさんご来店。以前にKSが連れてきたギリシャ人。クラプトンに少し似たすっきりと知的な顔をしている。
今は失業中で、KSに翻訳の仕事をもらっている。お金がないので一杯しか飲めないと言いながら、私にも一杯ご馳走してくれた。

昨日・今日と久しぶりに、BLACK AND BLUEのマスターが私のために編集してくれた形見のCDを流している。お客さまが 「いい曲ばかりだね」 と言ってくださったりする。カハトさんもハーマンズ・ハーミッツなどが気に入った様子。
私は結構色んなロックが好きな筈なのに。このCDの44曲は、優しい感傷的な曲ばかり。私がBLACK AND BLUEでそういう曲にばかり反応しては涙ぐんでたからだ。だからマスターはそんな曲ばかり集めてCDを作ったんだ。

今日はね。私はずっと独りだった。ずっとお客様と好きなロックの話をしながら。それでも何故かぽっかりと独りだった。音楽の中に沈んでいた。



2004年11月09日(火)  very precious to me

Rくんご来店。今日は日本語登録ソフトを持ってきてくれた。土曜〜日曜に22時間メンテを行った際に、私の単語登録を消してしまったのを気にして購入したらしい。律儀なこと。
我家に行ってソフトを入れ、他にも色々してくれて6時に帰る。また寝ないで仕事に行くのね。ご苦労様です。

ところで立派なPCおたくであるRくんは、前に愛用していたPowerbookを買換えに伴い手放す時に泣いたんだという。私もPCへの入れ込み具合からして泣くでしょう?と言われたが。
私は泣かないな。ルカと名づけて我が子呼ばわりしているこのPCだが、その価値は結局メモリにあるわけで、この子の外側はどうでもいい。

というより、私はある時からもうモノには一切執着しないことに決めたんだ。ずっと以前はモノをやたらと大事にしていた。本はきれいな状態のまま保存し、CDケースにも傷をつけないよう注意し、アクセサリーは内側が布のケースにそっと収納した。
それが一変したのは7年前。久しぶりに動物を飼いだしてからだ。兎やハムスターが本をはじめとしてあらゆるモノを囓る。最初はいちいちショックを受けていたが、だんだんと、この子たちに勝る価値のあるモノなんか何もないという心境になっていった。
以来私の携帯電話は、いくら機種変更をしても必ず動物の歯形がつくようになった。「うちの子」の歯形や爪痕がついた携帯は、逆に愛しく見えた。

今では私にとってかけがえのない「モノ」は殆ど存在しない。思い出という付加価値すら滅多にないのだ。
この世で本当に価値のあるものは、大抵かたちがない。そして本当に愛しいのは生き物だけだ。

ルカ。私は自分のPCにこの名前をつけたんだけど。
本当は私の兎の名前。飼えなくなって手放した子。今ではよその家で幸せに暮らしている。
ルカ。今でもこの名前を言うだけで、懐かしい温かさと切なさがこみあげる。
ルカ。おまえが元気でいるんだったら、おまえの写真はいらない。

私は何もいらない。文学と音楽と愛する人たちがいれば、他には何もいらない。



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