2002年10月31日(木) |
This Film Should Be Played Loud |
渋谷でBobとザ・バンドのラスト・ワルツを見てきた。劇場で見るのは2度目だ。
ロビー・ロバートソンが舞台挨拶に来た。すっかりおじさんと化してはいたが、渋くて紳士的。かっこいいなと思ったのもつかの間、ラスト・ワルツが始まると、さきほどとは比べ物にならないほどクールな、26年前のロビーが登場した。
会場の雰囲気は異様である。やたらと外人が多い。1曲ごとに拍手が入ったりする。明らかにラスト・ワルツを何回も見ている人が多いらしく、クラプトンの登場前に拍手が起こったりする。
ところで私の音楽に対する興奮度は人並み外れたものがある。今回ラスト・ワルツを見ていても、一番好きな"Up On Cripple Creek"から始まるザ・バンドの演奏に心底しびれて我を忘れた。ロビーの色っぽいこと、ガースとリチャードの渋いこと、リヴォンのボーカルのうまいこと。リック・ダンコのうねるベースはもちろんのこと、そのボーカルも本当に一級品で、"Stage Fright"の切ないメロディを聴いていると、彼がもうこの世にいないことに胸が痛む。
そこまで心酔したのに────
ニール・ヤングが歌いだした瞬間に世界が吹っ飛んだのだ。ああ神様。ニール・ヤングは何て目つきが悪くて、何てださい格好をしていて、何て歌がへたくそなんだろう。そして、どうして、どうしてこんなに、全身の骨が溶けるかと思うくらいに、いい声をしてるんだろう────
This Film Should Be Played Loud (大音量で上映すること) *Last Waltz(1976)の冒頭の言葉。
2002年10月30日(水) |
It's just a silly phase I'm going through |
昨夜から46時間起きていた。(30時間起きた後新宿のロックバーに行ったのだ) 精神状態は極めて良好だったので、ここから60時間までの間に変化がおきるらしい。2時間寝たら電話で起こされた。これはパターンになりつつあるのか。電話を切ったら爆発的な咳の発作。今までで一番苦しい。
It's just a silly phase I'm going through (今はただ馬鹿げた毎日だ) * I'm Not In Love / 10cc (1975) の歌詞。
2002年10月23日(水) |
Addicted to the shin dig |
ロンドンへの飛行機代を振り込んだら、お家賃が払えなくなった。いよいよ窮乏。英語学校に行って、来月から授業時間を短くしてもらうよう頼む。プールも退会しようかな。コーヒーも西友ブランドにしようかと思ったが、さすがにそれは出来なかった。財布にもらった図書券が一枚あったので、BUZZという音楽雑誌を買う。普段音楽雑誌は全く買わないが、若い頃のミック・ジャガーと目があったので何となく。
ほぼ毎日のようにCDが届く。これの支払いはどうするのだ。考えないことにしよう。中には有難いことにお金を払わなくていいモノ(頂きもの)もある。
レッチリの"Can't Stop"は何だか、この窮乏状態のじりじりした焦燥感にぴったり。苛々するほど攻撃的にロマンティック。ああこの'Dosed'の甘いことと言ったら。
* 実は普通口座のお金がなくなっただけで、この時点で定期預金口座にはまだ350万近くあった筈だ。まだこの頃は、定期に手をつけずに働かなくちゃと思っていたので。(2004,8,26)
Addicted to the shin dig (パーティー中毒) * Can't Stop / Red Hot Chili Peppers (2002) の歌詞。
喘息の発作を起こした。成人してから4、5年に一度の割で、ストレスで出る。水曜の夜にはすでにうっすら兆候があったが、木曜に茅が死んで、いきなり悪化した。吸入器を使うが、何しろ4、5年前に病院でもらった物で、使っていいんだか・・・。
雨が降り始めてからはいよいよ具合が良くない。
60年代に、ボーカルが重度の喘息持ちというバンドがあった筈だ。ロック・ヒストリーか何かのビデオで見たのだが、ステージで1曲終わるたびにボーカルが吸入器を取り出してぜーぜーやっていた。白黒のフィルムで、本気でかっこいいと思った。
そのバンドをネットで検索するが探せない。 「喘息 ボーカル」 と入れてみたら、ハニードッグスというバンドが出てきた。バックボーカルも取るベースが喘息で死にかけたとある。これは探しているバンドとは明らかに違うが、もののついでに試聴してみたら、何と一目惚れならぬ一聴き惚れしてしまった。これはまあ何て私の好み。いきなり好きになることなど、普段はまずないのに。CDが2枚出ていたので両方注文した。喘息の取り持つ縁か。
最後まで普通に生活していた。回し車にも乗っていたし、食欲もあった。夕べ給水ボトルが使いづらそうだったので、私の手から水をあげた。昨日ゴーダチーズを買ったので、茅にもあげようと思って忘れていた。あげられないままになった。
2002年10月15日(火) |
I Can't Get No! |
一晩飲んで、朝の7時半帰宅。投げやりな気分で何故かINUを聴く。ダムダムダム、ダムダムダム。おお、ルカが怒っている。INU嫌いなんだよね、この子。よしよし後でおまえの好きなロビー・ロバートソンをかけてあげるからね。ほんとの話この兎は、先日購入した"The Native Americans"をかけたところ、スピーカーの前に来てうっとりと座り込んでしまったのだ。これまでもケイト・ブッシュやニール・ヤングに反応を示してきたが、今回はまた特別。性格は悪いが、趣味の良い兎である。
I Can't Get No! (やってらんない) * (I Can't Get No) Satisfaction / The Rolling Stones (1965) の歌詞。
2002年10月11日(金) |
Screaming Mimi |
ネットってすごい。チャット用にScreaming Mimiっていうハンドル・ネームを取ろうとしたら「既に取得されています」 って・・・。ハイフン入れてもダメ。あれこれいじくって試し、ようやく取れた。
"Screaming Mimi"は、フレドリック・ブラウンの小説のタイトル(邦題=「通り魔」)から取った。一生忘れられない本のタイトルがあるとしたら、これがまさにそうだ。
Mimiは1フィートの彫刻、裸の処女だ。全身をくねらせて顔を背け、襲撃者に向けてまっすぐに両手を突き出し、大きく口をあいて、わめいている。─―────わめいている。
* この後チャットルームにScreaming Mimi名で入室してみたら、常連達が私のことを誰だか気づかず、来る人にいちいち説明するのが面倒だったので、判るようにScreaming MimiとBunnyを合せて、Screaming Bunnyとした。
つまり、この日記を書いた時点では私はまだ、ただのBunny(兎を飼っていたので)だったのだ。
2002年10月08日(火) |
What is happening to me? Crazy, some say |
日曜日の21時にGRに電話で起こされた。21時半に俊にかけた。23時に切ってしばらくは呆けていたが、そのうち別のことで泣いた。1時まで泣いていたらKatzからメールが入ったので電話した。
それ以来今まで一睡もしていない。
What is happening to me? Crazy, some say (私に何が起こってるの? 普通じゃないとひとは言うけど) *Ordinary World / Duran Duran (1993) の歌詞。
茅(かや。ハムスター)が高齢の為かなり弱ってきている。給水ボトルの位置を下げ、餌を食べやすいものに変える。
この子はうちで生まれた子だ。お嬢さん気質だった母親ではなく、父親に似てお転婆なのだが、体質は母親から遺伝してしまい、不正咬合に悩まされることとなった。なので3週間に一度私が歯を切っている。
茅が冬を迎えずに死ぬだろうということは見ていてわかる。悲しいという感覚は今はない。何をしてあげれらるかの方が大事だから。
5月に繭(まゆ。兎)が死んだ。辛いなんてもんじゃない。引き裂かれるように痛かった。(今だってこの文章を書くのに大泣きしている) この世で一番愛した生き物だった。既に別居中だったダンナに泣きながら電話した。ダンナは茨城の実家から、それまでの最速記録で飛んで来た。あれには感謝している。
それほど苦しい思いをしても、「死なれると嫌だから動物はもう飼わない」 とは絶対に思わない。それではまるで死んだことが悪いことのようだし。大体、人間だって全員死ぬんだから、そんな発想では結婚も何も出来ない。私は現在ダンナが失踪中ではあるが、それでも結婚という体験を後悔してはいない。
ここ2,3日の間に自分が急速に情緒不安定になってきているのがわかる。今茅が死んだら一体どうなるんだろう。
でも、人間は結構強い。私も意外としぶとい。これまでの経験から、一番辛いことは決して他人とは分かち合えないことも知っている。それでも必ず乗り越えてきた。
とにかく今は茅のことを考えよう。この体重30gに満たないお嬢ちゃんが私に与えてくれた喜びは大きいから。
2002年10月04日(金) |
All the people see me as a fool |
お金がなくなってきた。ふふん、いよいよ面白いじゃん。
それでもロンドンに行こうってんだから。人間、本気でやろうと思えば、多少のお金は何とかなるもんだ。
昔はそこらに穴があって、私もよく落ちたものよ / 矢野顕子
このセリフに高校の頃すでにじーんと来てたのに。今、穴を掘ってどうする。ああ、充実するったら。私って、馬鹿だったんだなあ。幸せでどうにかなりそう。
たまたま1993年の日記が出てきたので見たら、今日と同じ10月4日にキンクスのLiveを見てた。厚生年金会館14列目のど真ん中、かなりいい席だ。「人生最高のライヴ」と書いている。曰く、「Lolaをレイ・デイヴィスが歌いだした瞬間、本気で胃がねじれ、頭に血が上り、全身の毛穴が開いた」そうだ。いいなー。うらやましいなー。この年私はキンクスを2回観て、レオン・ラッセルも観ている。一年中働いてないくせに。うらやましー。
All the people see me as a fool (誰もが私を馬鹿だと思っている) *Sensitive / Mick Karn (1982) の歌詞。
ネットのMTVでサマソニを見たら、スジバンがバーさんになっててびっくりした。でもさすが喰えないバーさんて感じ。
涼しくなってきた。嬉しい。コーヒーのがぶ飲みの始まりだ。何たってコーヒーは酒と違ってノーカロリー。体温を維持する(=生きる)ことに何ひとつ貢献しない。よほどストイックでロック。酒飲みは一見ロックっぽいが、腹が出るのである。まそれもジム・モリスンみたいのなら似合うけど。日本人は腹が出たら終わりだ。
日々、ロンドンに行きたい思いが高まる。行こうかなあ。お金なんかはどうとでもなるし。Down and Outなペティコート・レーン、悪趣味の殿堂ケンジントン・マーケット、さくらんぼを1パイント買ってリスと分けるハイド・パーク、子供の宝箱のようなカムデン・ロック、毎日がお祭りみたいなコベント・ガーデン、ロック・サーカスもあるピカデリー・サーカス。
一番いいコースはこうだ。ウォータールー・ブリッジを逆から渡って、チャリング・クロスへ行く。トラファルガー・スクエアでアイスクリームを食べ、チャリング・クロス・ロードのマーダー・ワン(世界最大のミステリー専門書店)をのぞく。そのままレスター・スクエアまで行き、角のオープン・カフェでお茶を飲んだら、コベント・ガーデンまで歩いて、とぼけたパフォーマーを見に行く。
決めた。行こうっと。
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