プープーの罠
2006年02月22日(水)

アンテナ

知りたいのは"興味がある"
のではなくきっとこうだ、

把握したい

自分の手足として働く者を。



ちょっとしょんぼりしちゃうのはなぜ?

2006年02月15日(水)

村上隆方式

あっ

という間に再び更新の時期。
今年に入ってからは非常に忙しく、
私は一度も苦情を送ったりしなかった。
派遣会社の担当と話すのも久しぶりである。

「最近忙しいみたいですね。」
「えぇ、よかったです。」
「また更新の時期なのですが、」
「更新はしません」
「内容に満足でもですか?」
「えぇ、次に更新すると1年経ってしまうので。」

「1年以上続けた方が 経歴 として有利ですよ。」
担当は、今回は食い下がって来た。
前回は、派遣会社の方からすれば、交渉もしていない
のに派遣先から時給アップを申し出て来て、
説得しなくとも私が受け入れた
ようなものであり、
そして私は、短い間隔の更新の度に
時給があがっていく、
派遣会社としてもオイシイスタッフなのだろう。


有利?

短期がいい
忙しいのがいい
内容はそれほど問わない
とさんざん言っている私が
利を有するのは
履歴書に書くための内容
ではない。

仕事内容にこだわらない
やりがいが欲しいわけでもない

これ以上時給が上がる
と言われても、もう留まる理由はない。



ただひとつ、
左右されるならそれはきっと人間関係だろうと思う。
一緒に仕事をしたい人が見つかったなら、
正社員になることも覚悟できる
のかも知れない。

2006年02月03日(金)

城さん

豆の数を数えるように
私は向かいに座っている人の顔をしげしげと眺めて
1、2、3、4…とほくろの数を数えていた。

仕事帰りに、城さんと二人で飲んだ。

城さんは同じチーム
ではあるけれど
この前の歓迎会も来なかった
のでマトモに話したこともなかった。

この日、彼は何だかむしゃくしゃしていた様子
で、職場の人を手当たり次第に飲みに誘って
いるのを聞いていた
けれど、あまりにも知らない人過ぎて
まさか私にも言っているとは思わなかった。
たまたま帰りが一緒になり
そのまま飲みに行くことになった。

すでに終電の時刻、
オールナイト飲みコースになるのは必然、
このあからさまな「誰でもいい」感、
私は、知らない人と飲むのが好き。

基本的に人の目を見て話す
のが苦手
なので、顔に目印がある人は話しやすい。
この人の場合、数が多過ぎて
今までほくろの存在自体に気付かなかった。
むしろ、ろくに見たことすらなかった
りして。

「ところで、じっと見るのはクセですか?」
と戸惑ったように言われて
「ほくろが多いですね。」
とそのまま答えた。
「浅田さんは全然ないですね。」
「そばかすは多いのですが。」
今度は指を差してひとつひとつ押し数えてみた
けれど、6つくらいでどうでもよくなってやめた。
そういえば私にもひとつ、
付き合った人にしか見えない
ところに、ほくろがある。

城さんは自身を
エゴイスト、
と評した。
自信に溢れているのは傍から見ても分かる。
でも寂しそうなイメージ。
ただ一人カリカリと野心に燃えて、
貪欲な感じがする。

そういうところが、
学生時代の友人達に似ている。
クリエイティブに憧れアートに夢見ていたあの頃。
私がここ数年目を背けているブリリアントなもの達。

良くいえば 夢溢れた、
悪くいえば 青臭い、
と、いったところですが、
コトナカレで無難に仕事をこなし、
極力メンドクサイことを避ける周囲に馴染まずに
反骨的にその感覚を保ち続けているなんて
こういう人こそ
至極 真っ当 な人間
なのではないかという気がして来る。


「浅田さんは仕事早いですけどけっこう荒いですよね。
 ちょっとがっかりしたんですよ。」

あら正当な評価をできる人がこんなところにいた。

「よく見てますねぇ」
「俺、小人が見えるんです。」

30になったばかりの男は臆することもなく言った。

 人の目には小人が住んでいて
 そいつらはその人の性格そのものの顔をしている。
 俺は人の性格は見ただけでだいたいわかるんですよ。

 時々小人がいない人もいる。
 浅田さんのは見えない。
 目の中の奥の奥に隠れていて
 気配はあるのに掴み所がない。
 そういうタイプは
 俺の昔からの友達にも多いです。

この人はおんなじだ。
この人を覆い込んでいるものはフラストレーションだ。
また刺激しあい研ぎすましあえる仲間を探していて、
人事に口出し、つかえない人を切り捨ててきた。
私も周りから見たらこんな風に見えていたのだろうか。

でも、今の私は違う。
消耗して壊れて投げ出した。
同調しても相容れない。



氷点下を記録した明け方、
反対方向の電車同士
お互いが一人で待つ時間が極力短く
なるよう、何本かの電車を見送り
寄り添って待つ。

両手で頬を覆われて
「寒いですか」
と尋ねられる。

 大丈夫ですよ
と答えながら私はまた
ほくろを数え始め、
やっぱり6つ目でやめた。
6つ目は目のすぐ下にあって、
辿っていくと、自然と見つめあう形になる。

少なくとも半日前まではお互いに何とも思ってなかった。

この人が、
私のほくろを見つける
時がいつか来たりするのかなぁ
と、思ったりした。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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