プープーの罠
2005年10月07日(金)

星の下、灯台よりも暗く

そしてまた何故か私は
遠巻きに八木君を眺めに行く。

わざわざ呼んでくれる八木君も何を考えてるか分からないし
いちいち行ってしまう私もまた何を考えてるか分からない。

定時で上がっても開演時間には間に合わなくて
すでに始まり爆音が漏れる受付で、
大声で名前を告げる
のをあきらめリストの名前を指差し、
関係者席の説明を曖昧に聞き流して私はフロアに行った。

規模が小さいゆえの、
ステージ上とフロアの近さは
見に来る女の子に、割とリアルに
 お 近 付 き で き る
可能性を感じさせ、
東京ドームの2階席からラルクを眺めるのとはわけが違う。
ゲストはあからさまにじろじろと観察され値踏みされ
たところで私はこれといった関係なんてものはない。
だからゲストステッカーを貼らない。
そして関係者席などなくてもフロアは空いているし
有名人が来るわけでもなく、ただの"身内"しかいないのだ。
(そしてこの身内が誰よりもニガテなのであった)

9割方女の子な観客は一様に背が低く
一番後ろにいようが私は頭一つ完全に飛び出て
それほど高くないステージにいる八木君が腰までよく見える。

不意に八木君がこっちを見た。
見てる?目が合ってる?
見極めがつかないまま私から逸らす。

見つけた
という顔をした
ような気がした。
そもそも八木君が客側に目を向けたのを初めて見た。

ん?
何で
こんな
ファンにありがち
なことを私は思ってる
んだ?

でもそういうことなのかもなぁ。
八木君にとって私は
他の誰のファンでもない確実な
自分のファン
であり
ファンは会場にいなければ存在が分からない
から呼ぶのかも知れない。

しかし同時に
すべてのライブに呼ばれるわけではなく
集客がそれなりにある
とあらかじめ見込めるもの
だけを選別している気配はあり
つまりイイトコだけ見せる。


1時間もしないうちに彼らの出番は終了、
ステージに最後まで残るくせに
呼び掛けるお客さんに見向きもせず手も振らず
すぅと無視して袖に帰る。
彼は目立ちたがりのテレ屋さんだから。
八木君が引っ込んだのを見届けて
私はさっさと会場を出る。
他のバンドやらセッションやらがあるらしかったけど
そんなものはどうでもよかった。

実物を見ると気が済む

というかきっと
泣きはらすほど会いたかった
彼はもう過去
の思い出にしか存在していない
ということに気付くんだ。




そんなことまたすぐ忘れるんだけどね。

2005年10月05日(水)

ラジオの時間

異動があって以来、何かと
"トイレの井戸端会議"に巻き込まれるようになった。

 Eチームリーダーのしょげっぷりを見たら
 はじめ浅田さんが辞めるのかと思いましたよ。

新入社員の女の子が、
オバサンのような口調で楽しげに話してくれる。
根っからのウワサ好きな子なのか、
ギリギリまで発表されない公式な人事異動は大方
この子からラジオのように傍受していて、
私のことを妙に大げさに吹聴しているのもまた
どうやらこの子らしい。

この前の実力テストの結果を受けて
他のチームから本格的に引き抜きがかかってしまい
手放したくはなかったけれど
引き止めておけるだけの案件がなくてとられてしまった
とのこと。

Eチームリーダーは派遣の評価が厳しいらしく
今いる二人はクビにするらしい。

私からみたところでは二人ともごく普通であり
勤務態度が悪いわけでもないし
特に申し分ないように思う。

だったら須貝さんの方を是非切るべきだ。

ともあれEチームリーダーの
派遣の理想像実写版
として私が君臨してしまったらしく、
ますます評価基準が厳しくなった模様。
派遣を選別するのも結構ですが、新人教育でもしたらいいのに。
多分クビになる二人よりできないと思いますよ。

優秀な派遣を見つけたところで所詮刹那的なものなのだし
ねぇ。

2005年10月04日(火)

ミキルスキル

前のチームの女の子に初めてランチに誘われ、
彼女、今月で辞めるらしい
ということを私はうっすらと聞いていた。

彼女は新卒入社で1年半目、2年生だ。
まだまだひよっこ
ぶりたい時期なのに社員の回転が早い
ゆえに押し上げ式にすでに古株となり
教えなければいけない立場に回っているのが不服らしい。

この会社のベルトコンベア式の仕事運びでは
キャリア
というには潰しがきかな過ぎる
ことしかまだ身についていないだろうに
会社を見切るのは少し早すぎる
ように思う一方で、
キャリア
となってしまう月日をここで過ごしたところで
スキルはきっとそう変わらないのだから
早く転職するのも利口なことではあるとも思う。

2005年10月03日(月)

ヒステリックとパニック

チーム異動から数日目。

急すぎてクライアントへの挨拶も間に合わず、
まずは須貝さんのフォローと言う形で
この仕事にフェードインしていくことになった
わけです

が、

何なんですかこの仕事のできない人は(´д` ;)

まぁこの人に任せておけないと判断したからこそ
私がそのポストに送り込まれたわけですが
しかしひどすぎる。

その仕事ぶりは
同時にふたつのことをしようとするとフリーズする。
作業中に進捗を聞こうと声をかけるとパニックを起こす。
1時間前に自分がやっていた作業を覚えていないのか
たった1ファイル修正しただけなのに、
漏れがないように全10,000ファイルを逐一修正したかどうか確認する
(なんてことをするから修正した肝心のファイルを送り忘れる…)。

修正データを圧縮してメールで送る
だけのことに実に
12時間かけ
た上に間違えるという具合。

初っぱなからワタクシ
ヒステリックな人全開です。
人を教育するのは割と慣れている方だ
けれど、しかしこの人、救いようがないというか、
どうやっても全否定するしかない。

ア ナ タ ム イ テ ナ イ デ ス ヨ

…お手上げです。

索引
「プープーの罠」 written by 浅田

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