プープーの罠
2005年08月25日(木)

月日は流れ

10月末で今の職場も半年になる

ので、また辞めて別のところでも探そう
かと思っていたところ、
 「更新契約を3ヶ月単位にしてくれないか」
と打診があったとのこと、
この会社では通常、派遣契約は1ヶ月単位で
正社員が見つかれば首を切るシステムであり、
しかしすでに9月末までの契約は済んでいるので
10月末までは残り1ヶ月です。
 「今のままで」
と返事をしたら直属の上司から呼ばれて直接
 「10月末で辞めたいと聞いたけど
  何か不満はあるのか」
と尋ねられ、私は
 「短期で転職するために派遣でやっているので
  職場自体に問題があるわけではない」
と応え、上司は
 「スタンスは解った
  でも続けて欲しい」
と言った。

そして私は派遣会社に伝える。
 「時給が上がるなら3ヶ月、
  だめなら予定通りあと1ヶ月
  ということでお願いします。」
 「いくらくらいですか?」

私の答えた金額を担当は大きな声で繰り返し、
 「それは非常識です無理です」
半ば呆れ声で言われた。

あの上司が私を手放すワケがない

という自信はあった。
後釜が決まったので首を切られた派遣男
の後釜であるはずの男は初日に挨拶をしてそれきり来なくなった。
私の知ってる限り、とにかく派遣に恵まれない。

ただ、大きいゆえに融通の利かないこの会社の仕組みが
20数名いる派遣社員の中の
一人の昇給を認めるものだろうかとも思った。

上がらなければ予定通り辞める
上がったらラッキー
どちらにしろ私にリスクはない。

そして私の希望はすんなりと通った。

まぁ、もともとが安めだったので前の水準に戻った
程度ではありますが。
正社員の昇給は年に一度、一律で上がる。
正社員であればまだ研修期間扱いとなる5ヶ月目
にしてその3倍の額の昇給を果たす。
定時でそれなので
残業をしたらさらに高い。

さぁ正社員のメリットとは?

2005年08月15日(月)

眠れる山羊を起こさぬように

メールをすればすぐに返事が来るようになり、
向こうから送られて来ることも、
受信フォルダの最新6件が
すべて八木君になることも。
けれど、まだ知人フォルダからは分離しない。
友達になることを拒否している
のは本当は私の方なんだ。

彼とは恋愛がしていたい。

友達になれば付き合いは細く長く永遠に続く
かも知れないけれど、多分それじゃいやだ。

振り出しからまたやり直す。
まだまだ序章に過ぎない。
緩やかに順調に進めば10月の真ん中に変化がくる。

皮肉なことに私達はこのまま
お互いがお互いである限り
うまくは行かないしまた
まったく同じことを繰り返す。

でもこれで終わったらきっと
私もうまいことキリを見つけられる。
終わらせるために繰り返す
のかも知れない。


夏が折り返し地点に差し掛かる。
愁は秋の心と書く。
夏が終わって秋が来る時
夏に浮き足立ってた心が沈む。

私はその心の隙間をしとやかに狙い
少しずつ充満させていく。
喪黒福造のやり方 である。



最後にどーん!てならないようにしないとね。

2005年08月10日(水)

お気楽ご気楽

今の職場は日報というのがある。
前にもそういう職場はあったけれど
今の方が完全にシステム化され管理されている。
案件ごとにコードがつき
内容別に時間と数量を記入、それをもとに
仕事の効率と単価を割り出しているらしい。

その日報には、コメント欄
というものがあり、あるからには
何か書いた方がいいのかしら
と、時々独り言めいたことを書いて
みたりしていたのですがどうも
チームリーダーが読んでいる様子。
書いたことに対していちいち
とても俊敏に善処してくれる、
たとえば
『外は暑くなってきたけど室内は冷えていて温度差がある』

だから何だ?
という程度のことに対してまで
 「今の席は寒いですか?
  クーラーが直撃するとかであれば
  席を移動しますか?」
と聞いてくれちゃう。
いやいや、そういうんじゃないです。
夏になったなぁと思っただけです。

ので、余計なことを書くのはやめた
反面、図に乗って言いたいことはいろいろ書いて
いたらどうもリーダーどころか
社長 はじめ 管理職クラス全員が読んでいたらしい。
すごいな、100人クラスの従業員の書いているものを
毎日全部全員で見てるんだろうか。

そしていただいたのは
 『企画営業までできる能力がある』
との評価。

コピーも
お茶汲みも
電話応対も
打ち合わせも
免除され、作業を中断される
事柄は何もない中で言われた
ことだけをやって不満があった
ら文句を垂れれば、その解決を求められ
るのは社員であり私にリスクは何もない。

完全なる傍観者
だから言いたいことをいう
だけで良いのであり、
そういう点ではご多分に漏れず、私も
無責任の開き直り
の上に成立している有能なのだ。

何だか複雑である。

2005年08月08日(月)

The Asada(ジ・アサダ)

いっしょにごはんを食べていた
派遣のおばさんがクビになって以来、
昼食はひとりでぶらぶらと食べに行っているのですが、
(社員の人は何故かいつもコンビニ弁当ばっかり)
ひとりゆえにすぐに食べ終わってしまい、
そうするとコンビニでお菓子でも眺める
くらいしかやることがない。

そんなある時
ふと女の子が寄ってきて
 「浅田さんですよね?」
と声をかけられ、その風情はサインか握手でも求め
てきそうなキラキラの笑顔。

首からかけているIDカードは私とお揃い
なので多分同じ会社の別フロアの人
だろうとは思ったものの、私的には
全然知らない。
仕事で関わった覚えもない。

「お疲れ様です。」
と、とりあえずヒナガタ愛想笑いで挨拶を返すと
遠巻きに様子をうかがっていた
らしき他の2,3人の女の子が
わっ
と寄ってきて、キラッキラに囲まれ
たら私はひたすら狼狽するしかなく、

「何で名前知ってるんですか。」
と、問えば
「私達、実は影で"ネエサン"と呼んでるんです!」
と、答えられてますます狼狽するしかなく。

それは
イイネエサン?
ワルイネエサン?
(マシュー風に)


どうやら、私の配属されているチームの
リーダーは相当吹聴したらしく、
社内で『なんかスゴイ人がいる』とウワサになっていて
何かと私が話題に出る時には
連体詞が つくらしい。

あの浅田さん」

そんなわけで
忙しくてスピードを要する案件があると
別のチームからでもご指名をいただくようになり、
よく言えばひっぱりだこ
悪く言えばたらい回し状態。

そして、時々別フロアの女の子から
お菓子の差し入れが届きます。
なんかスゴイ お菓子が好きな 人
みたい。


けっこう楽しい。

2005年08月02日(火)

色 香る

以前も少し書いたように思いますが、
今の職場は前の会社ともやりとりがあり、
時々知っている名前を耳にする。

 「手が離せないから代わりに対応してくれます?」

とチームの人に手伝いを頼まれて
相手先から送られてきた指示のメールを転送
してもらったらその差出人欄には見覚えのある名前、
オブリークの彼、
八木君と同じ香水をしていた、前の会社の人でした。

2月になる前、私はこの人に 失恋 をしたのだった。

転送してもらったメールの
文体にあの穏やかな雰囲気が
漂っていて、今でも時々
色っぽい人だったなぁ。
と、思ったりします。

派遣社員は外部とのやりとりができないので、
私がやるのは 作業 だけで連絡は正社員のお仕事。
私がやってるということを
相手が知ることはありません。

2005年08月01日(月)

BLUE MONDAY

先日オオサトさんに会った

時に
「車を買ったから再来週にドライブに行こう」
と言われ、
「あぁその日フジロック行きたいんですよね」
と行きもしないのにまるで予定に入っている
ような口振りではぐらかした

つもりだったのに一緒に車で行くことになって
いたのを知ったのがその前日。
皮肉なことに当日券が出た。

毎年観たいアーティストがとっかえひっかえ
来日していて行きたいと思い
つつも行く気があまりなかったフジロック、
何故行かなかったかといえば、
別にロック全般が好きなわけではなく、
たかだか1,2アーティストを観るにしてはやたら高く、
電車で行くにも実に不便なところであり、
泊りがけで行くにも
 苗場プリンスって一泊いくらですか?
という具合で、そんなに出費をかける
ならモルディブにでも行きたいところ。
極めつけに私はお祭り騒ぎが性に合わない。
バイタリティが要りすぎる。

だがしかし アシ があるなら話は別です。
電車の時間を気にせず日帰りができる。

とはいえ、目当てを観てから帰るとなると
家に着くのは早朝(しかも週明け)、

「奥さん大丈夫ですか」
「奥さん出てった」

あぁなんだそういうことか。


八木君が行くのは聞いていて、
聞かなくとも毎年のこと
なので行くだろうなとは思っていた
けれど
私のお目当ての後に
彼のお目当てが出るらしかったので、
ニアピンの可能性大。
はち合わせてあからさまに逃げられたら悲しいので
あらかじめ知らせておこうとメールをしておく。
と、すぐさま返ってきたメールには

『ゴゴイチでもう帰る』

 お前、逃げる気だな。

まぁそれはそれで結構。
家を出発する頃、八木君から
『家に着いた』
とメールが入りそれはコミュニケーション
のためではなく意味合いとしては

 もう僕帰っちゃったもんね残念でした。

という子供っぷり丸分かり。
お前の考えてることはすべてお見通しだっ!
私は

 君がいなくても全然無問題

的返信をする。
気持ちとは裏腹に見えて、八木君と私
のやりとりはだいたい そんな 感じだった。

そう、普通に戻ってる。
突き放し合い、すね合い、かと思えば
文脈を無視した変なところに
ハートマーク
を埋め込んだりする。
私は逐一その 意味 を邪推せずにはいられず、ところで
オオサトさんの部下がフジロック休暇を取ったらしく
つまり私のかつての仕事仲間でもある。

 「はち合わせたら何て言おうか。」

会ったところで隠さなければいけない
ような ヤ マ シ イ コ ト など何もない
のだけど
私も森君に言っていない。
言うほどのこともない。

オオサトさんもウサギ男なんだ。
奥さんが 旅行かなんか に行って
家を空ける時に一人で家に残る
のが寂しくてそういう時に私に会う。
私は夜遅くまで飲むのにも付き合う


な人間であり何も
求めないし機嫌を取る必要もない、
時間の穴埋めには調度いい。

これは不倫ではない。

けれど、この状態で八木君と会ったら
多分とてもよからぬことだとも思う。
でも

 やっぱり会いたかったなぁ。

なんて、土砂降りの山中で上の空
に思っていたら、寂しがり屋 八木君から
うさぎちゃんなメールが届き、
あぁ彼は心の
シャッターを開けてこっちを見てる。

索引
「プープーの罠」 written by 浅田

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