2005年07月27日(水)
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ホワイトバンドをしている人を見掛ける と、何だか引っ掛かるものがある。
対価を払って物品を手に入れている以上、 それは普通の買い物と何ら変わらなくて そこに寄付金がいくらか上乗せされている にしてもそれは同じことだ。 ネームバリューだけでバカ高い価格 設定がされているものなど溢れ返っている。
(というのは別にしてもどうやら ホワイトバンドに寄付金 というものはそもそも 含まれていない らしい。)
そうしたワッカを腕につけて 歩きタバコをしたり 混んでいる電車でのけ反って座っていたり。
つけたからには 善行をする 善人 でいるべき とは言わないが、せめて人に迷惑をかける のはやめてほしく、遠くの国の貧困の前に 目の前の日本人を思いやれないものなのか などと思ったりするわけですが、 買って身に着ける だけ という、まさしく フ ァ ッ シ ョ ン で完結しているように思う。 ホワイトバンドは免罪符でも善人の証でもない。
けれど、 そんなものを買うよりコンビニの募金箱に入れた方が確実 なんて言いながら おつりをしっかり財布にしまって帰る私 よりは何倍もマシかなとも思う。
ホームレスに毛布を配る という行為を、私は良い ことをしているとは思わない。
まぁ、こういう 『善意・慈愛・ボランティア』 なるものは 政治・宗教 と同じ類で 結局は自己満足とエゴ なのだろうなと思っていますので この点において考え方が違う人はきっとどう しても歩み寄れない相容れないと考え、 多くは胸のうちに秘め ておいた方が世の中は平和になると思い つつも、あえて触れてみた次第です。
ピース。
2005年07月25日(月)
Dear my faraway.
八木君観戦2回目。
着いた頃にはもう始まっていて、 この前の倍くらい人が入り、 縦長のライブハウス、ステージまでの距離も倍、 一番後ろからちょっと背伸びして覗いて みれば、タトゥーが増えていることに気付く。
先日見た時から10日ほど経過し それなり と形容した彼らの音楽活動はこの場で 明らかな"形"になっていて 気が付けばのめり込むように見ていた。 そして我に返った私は深々と思い知る。
彼 は とても 遠い ところ に いる
終わったら逃げる ように一目散に走って帰った。 ちんたらしてたら泣きそうに思えた。
音楽活動なんて、 やめちゃえばいい のに。
2005年07月20日(水)
テカテカネオン
いつもより少し だけ早く仕事が終わり、 少し というのはいつも終電 なのですが、その1本前で帰れる程度の、
そんなタイミングで オオサトさんから連絡がきて 「タカさんと飲んでいるからいらっしゃい」 とのこと。 私は今しがた通り過ぎたひとつ 前の駅に終電で戻り、指定されたバーへと出向く。
タカさんとはオオサトさんの元同期であり 森君の師匠であり、私は面識はなかった けれど名前はよく耳にする存在であった。
この人はナチュラルに イケメン という語感の似合う 端正な顔とさわやかな笑顔の 好青年といった風情で さっきまで飲んでいたらしき居酒屋で隣りに 座っていた男連れの女の子に連絡先を渡した のにまだ連絡こなくてガッカリ〜 なんてことをさわやかに話していて けれど森君から聞いた話ではこの人は既婚者だ。 オオサトさんがごく当たり前で健全 なことのように私を口説いてくるのは この人に感化されてるのだろうなと思う。
「ずっと君に会いたい会いたいって言ってたのよ、オオサトは。」
割り増しされた表現だというのは感じても 本当のところオオサトさんがタカさんに 私のことを どう 伝達しているのかはまったく分からない。
「あぁ、そうですか。」
と答える私をタカさんは奇妙な面持ちで眺め、 終電も終わったような時間にバーまで出てくる くせに、ハスッパで色気もない私は少なくとも彼 の定義している『女』から大きく外れている らしく、しきりに 「二人はどういう関係なの?」 と聞いてくる。
何もないですよ
と言ったところで返って イミシン になる ようなタヌキっぽい空気、 終電がなくても気軽に来るのは歩いて帰れる距離だから。 完全に『男』と『女』をすべての前提にしているような タカさんの思考回路と発想はあっという間に面倒になり、 私はバーボンの氷を爪先で転がしながらただ ニカリ、と笑っておいた。
タカさんは結局 オオサトさんと私の関係 について結論づけられなかったらしく、 果たして二人きりにしてよいものかそれとも いつまでもいるのもヤボなのか、 ジブン的ポジションも決めあぐね、 結論として まぁどうでもいいかな 的に そして自分の飲んだ分とは別のお金をそっと オオサトさんに忍ばせ何かを耳打ちして帰って行った。
「そうだ俺30になったのよ。」 「あら、オッサンですね。」 「前、『男は30から』って言ってたじゃない。」 「そうでしたっけ。」 「『20代なんてカブトムシでいえば幼虫だ』って。」 「そんなこともあったような」 「俺、もう"大人の男"になったんですよ。」 「それはおめでとうございます。」 「だから、ホテルに行こう。」
ひとしきり近況を話し、 少しできた沈黙の後に思い出した ようにオオサトさんはそう言った。
「やですよ。」 「あ、そう。」 そこで会話は途切れ、 ひとつ席を空けて座っている他の客の きゃらきゃらとした笑い声だけが聞こえる。 ちらりとそちらに目をやるとシナをつくり ながら野次馬的にこちらを興味深そうに眺めている お じ さ ん と目が合い、ウインクをされたので ニカリ、と笑っておいた。 この店は2丁目にある。
傍から見たら気まずい沈黙 なのかもしれないけれど、 たいていこんな状態。 もくもくとお酒を煽る私を 横で眺めているオオサトさん の図。
私は無口であり、 人見知り おとなしい とよく言われますがそれは少しハズレていて もっとシンプルにただ単に オモシロミがない人間 なだけであり、さらに オオサトさんといる 時はまったくもって気を遣う必要がなく 必要がないならますます話さない。
オオサトさんという人は、 綺麗事を並べ立てて下心を隠し込む のではなくむしろ 下心を隠す気もさらさらないけれどそう いう面においてもやはり 口先だけ な感じで 食い下がってきたりはしないし無理強いもしない。 本当のところ何を考えて いるのかわからないしまたこの人も 自分の深層を苦もなく押し殺せるタイプ だと思う。
それはまた違う種類の安心感を私にもたらす。
2005年07月13日(水)
時にそれはアルトラなものである。
八木君観戦(?)第1回目。
「のっぴきならねぇ用事がぁっ!!」
と、有無を言わせず定時キッカリにあがり、 いざ会場に向かいましてしかし 間に合い過ぎたりしたので ひとつ前の駅で降り、通りすがら何となく買った ガレットをモガモガと食べながらチンタラ歩いてみたり、 20代も半ば過ぎのレデーが何やってんだかですが、 いざ会場についた時、入り口は閑散としていて どうやらもう始まっているようだった。
入り口でぼそぼそと名前を告げ ゲスト確認をしてもらい階段を降りていく と、楽屋から出て来た八木君にばったり出くわし、
「あぁこんにちは。」 「あぁどうも。」
そして私はフロアに、彼はステージに。 とても"知人"的会話である。
ドリンクチケットを薄ーいアルコールと交換して それをちびちびと嘗めながら遠くから眺めてみる と言ってもとても狭くて困ってしまう くらいよく見えるのですが、 あぁ彼お気に入りのシャツを着て カッコつけてはります。 かっこつけない時の方がかわいくていいのに。
フロアを見渡しても知ってる人は誰もいなかった。 ゲスト名簿に並ぶ名前を見ても 知ってる名前は見つからなかった。 トールさんも○○君も。
つまり"知人"を一同に呼んだのではなく "私"を呼んでくれた ということになる。
君は何を考えている? 私の顔を見たらぐっすり眠れたりするの? 思い出を思い出して泣いたりするの? それとも私が君の顔を見て 思い出を思い出して泣けというの?
仕事の合間にやっている趣味のような音楽活動も もう2年近くもやればそれ なりにカタチになっているもので、 見るのは1年ぶりくらいですがそれ なりにファンも増えたご様子。
横にいる女の子達がサインをもらったと見せ合っていて、 まぁサインなんてするようなご身分になっている。 きゃあきゃあと喜ぶその子達の手 にあるものをそろーりと覗きこんで 見れば確かに八木君の名前が八木君の文字で、
それ領収書のサインとおんなじ!
2005年07月10日(日)
派遣男
同じチームに新しい派遣社員の男性が入った。
2日目 どうも通勤電車がおなじ だったらしく前を歩いているのが見えた けれど私は声をかけずそれは 話したことがない からというよりは 彼は派手なポロシャツを着ていて、 初日もポロシャツだったけれどうちの会社は スーツが社長命令 なのでまさか私服で来るはずはない、人違いだな と思ったから だったのですが その派手な人は会社のビルに入って行った。 人違いではなかったらしい。 ちなみにそのハデ度は 蛍 光 黄 色 の ポ ロ シ ャ ツ であります。
しかし私が席に着いても 先に行ったはずの彼の姿はなく、 定時から十数分遅過ぎてようやく現れた時 彼はスーツを着ていた。 彼はトイレで着替えたらしい。 まるで就職活動の学生だなと思った。 それよりも彼は 入社2日目にして遅刻 をした。 私はびっくりした。
トイレで着替えるにしても 着替えるならその分早く来たらいいのに というのはとりあえず置いておき、 いざ就業するまでまさか制作業務でスーツが義務 だとは知らなかったのだろうし スーツを1着しか持っていない からなるべく汚さないようにしている のだろうなと思った けれど。
1週間目 休日をはさんでも彼は シャツ一枚買い足した様子は なく スーツ、シャツ、ネクタイ、 毎日同じものを着ていて やはりトイレで替え続けている。 (そして遅刻は日に日にひどくなる)
この仕事を続けるつもりはまるでないらしい。
それにしたって、 こうもふてぶてしくできるものなのか?
10日目 あまりに驚いたので違うチームの人に話してみたら 「あぁうちのチームの派遣もそうだよ。 いつもそんなだからもう午後出社って認識。」
ハナからもう ソンナモノ 扱い。
2週間目 派遣男は言った。 「前の会社は11時からだったんですよ」 …うん? なぜいまだに前の会社の時間割りで動いてるんだおまいさんは? しかも衝撃の一言 「社員登用を前提にして派遣をしている」 というのだからまたびっくり。 それで 「もっとクリエイティブなことがしたい」 とは非常におめでたい。
派遣社員 には責任がない からといって無責任でいいわけはない。 派遣社員 というのが世間一般であまり よい評価を受けていない のは分かっているつもりだったし その上で それでもデキる と評されてきたのは、私 がすごいのではなくて比較対象がひどすぎるんだ。 悪い評価に甘んじてその型にわざわざハマリコム人の多さ。
なんてゆうか、 すごく残念なことだと思った。
2005年07月05日(火)
星は出会いを示唆し、
彼から与えられた機会は2回、 まぁ多分こちらから一方的に姿を眺めるくらいで 話したりはしないのだろうけれど
ゼンマイの切れたおもちゃ のように自分の意思と関係のないところで 動く術を失いたたずみ続ける私を 倒す なり 壊す なり 仕舞う なり また動かす なり できるのは自分以外の誰か、 それも今のところは八木君のみ だけど彼は そのまま置いてきぼりにして そのまま忘れてしまっていた。 正確に言えば わざと隠れて見えなくなった私を彼は 探さなかった。
月日は流れ私は 職場が2回変わり、 家も引っ越し、 髪の長さも倍くらいに伸びた。 私はまた動くことも壊されることもなく このままじわじわと風化していくのだろうなと そう整理がつきかけていた矢先のメール。
私じゃなくてきっと彼 の中で何かが動いた。
幸か不幸かそんな時に限って仕事はヒマで ぼんやりと1日中 八木君のことを考え続け、 定時に会社を出るも、まっすぐ帰る気になれず いつもの本屋に立ち寄り、 欲しい本を見つけた後、ぐるりと店内を見て回り、 何してんだろう、やっぱり帰ろうか と駅に向かう。
信号がぎりぎり点滅を始め、余裕で渡れる短い横断歩道 だったけれど私は一歩出しかけた足を引っ込めて止まり、 目の前を横切る車を右から左に目で追い そのまま右から左を向いた。 そしたら私の横に八木君が立っていた。 ぼわんと唐突に現れたみたいにそこにいた。
声を掛けたら びっくりした顔がかわいい。 外向けの顔 だったけど少なくとも警戒して壁を立てた気配はなかった。 信号が変わるまでの短い間少し話した。
それだけだった けど私は。
2005年07月04日(月)
なくしたボール
ほどなくしてメールはぱたりと止んだ。
もともと無精者のワタクシ、 さして使用頻度の高くないケータイ、 放っておけばいつまでもメールフォルダは その名前で埋まりっぱなし。 個別フォルダに分類します。 やりとりがよくある人は個人名のフォルダ、 そこそこの人はグループ名、 知らない人はその他です。
順調に振り分けて行くといつも最後に残る のは八木君のメール、
ケータイを新しくしてから数回、 もう手応えを求めてはいないけど 時々発作的に、出さずにはいられなかった お茶のお誘いとか に事務的に返されたメールの返信達は どう分類すべきか というより分類される べき フォルダに 私はささやかに抵抗を示し、未分類 となっている だけで
とはいえ、整理したはずの受信フォルダに 何ヵ月も前のもの、しかも甘味ゼロの内容、 というのも何だかものすごく居心地の悪い感じで 私はその様子をしばらく眺めて ようやく分類する。
知人フォルダ。
かくして受信フォルダはまっさらなカラッポになり 同時に私の中でも何かがぽっかりと空いた。 気持ちの問題。
せめて友達くらいにはなりたかった なぁと思いつつ 彼の性格的にそれがムリ であろうことも悲しいかな痛いほど知っている。
帰ってきたらそこら辺に放り投げておいて 寝る前に充電器に差すだけのケータイ、 充電が切れたって、ほとんど差し支えはないのですが、
その時、メールランプが点灯していた。 八木君からであった。
あぁ私の電話番号は消されてはなかったのか とか 電話番号変わってないんだ とか 思うことはいろいろ。
唐突な近況報告とお誘い、 デジャヴュのようなメールの内容、 彼はボキャブラリーが少なくてそのくせ独特なのですが そう、ただの知人でしかなかった頃 同じ内容のメールをもらったことがある。
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