小ネタ日記ex
※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
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月のない夜（デス種／キラとカガリ）。
2005年08月27日(土)
久しぶりに見上げる夜空から星が降ってきそうだった。
夜風に消えずに届いた物音は、テラスの先からだった。
時計を確認し、カガリは執務机を立つ。ここ数日の寝不足の残滓が体にまとわりつき、脚の運びに重さはあったが歩くことに苦はなかった。
鍵を外し、両開きのガラス扉を開ければ私服の弟がひらひらと手を振っている。
「こんばんは、カガリ」
「……お前は一体いつになったら玄関から堂々と入って来るんだ？」
「だって偉そうな人たちが出入りしてて、気まずかったから」
栗色の髪を夜の風になぶらせるカガリの双子の片割れは、穏やかな微笑みを浮かべている。やさしげなその顔で、どのようにこの屋敷のセキュリティを潜り抜けてきたのかカガリは知りたくもなかった。
「残るんだよね？」
キラの問いかけは確認だった。カガリはただうなずいた。
彼が在籍する艦は明日、宇宙へ飛び立つ。そしてキラも再び上がった戦火を鎮めるために宇宙に赴く。
「私は、もう二度とこの国を離れたくないんだ」
「うん、そんな気がしてた」
テラスへ進み出ると、カガリはキラの隣で手摺に触れる。ひやりと冷たい石の感触。頬を撫ぜる風の心地よさは、束の間の安堵をカガリにもたらした。
濃紺の空には幾多の星が瞬いている。平時ならば市街の明かりに隠されて見えないはずの数だ。ほんの少し前の戦闘によって電力の供給が遮断されているからこそ見える圧倒的な星空は、まさに皮肉そのものだった。
「…また離れても大丈夫？」
そうっと尋ねたキラの優しさ。誰とのことを指しているかは、すぐにわかる。
すぐ隣で同じように星空を仰ぐ彼の気配に、カガリは背を丸め、手摺の上の手に顎を置いた。
「私が必要とされる場所と、あいつが必要とされる場所は違うから」
二年前は共にいようと決めた彼は、迷わず宇宙へ共に出るとキラに言ったという。彼もまた、己に出来ることや必要とされることを考えた末のことだろう。
それならば、自分は本国に残り、代表首長として国と国民を支える。カガリにとってもその決断は至極当然のものだった。
「……大人になったねぇ」
「は？」
「二年前のお姫様とは大違い」
くすくす笑うキラに、カガリはむっとした顔を隠さなかった。過去の幼さは自覚しているが、笑われるのは好きではない。
「悪いが、もう姫は引退したんだ」
「へーそっかそっか」
笑いながら髪を乱暴に撫でられ、カガリは思わず振り払おうとしたが、やめた。にこにこ笑うキラの顔は久しぶりで、その笑顔に少し泣きたくなる。
「……大人になって、また会えたらいいね」
背中を丸めたままのきょうだいの髪に手を置きながら、キラがささやいた。
「また一緒にいられるようになったら、もう一回始めればいいよ」
アスラン、気が長いからきっと大丈夫。
頭の上から聞こえる、キラが親友を語る声にカガリはとうとううつむいた。顎を滑らせ、手の上に額を押し付ける。
キラの指の体温が頭皮から伝わってきた。
カガリにとって、アスラン・ザラの存在は特別だった。戦場で出会い、敵対し、最後は共に歩んで恋をした。けれど現実は物語のようには終わらず、一時は永遠の決別さえ覚悟した。
そして今も、彼と一緒に戦いの場所へは行けない。
どれだけそばに居ることを望んでも、それを凌駕する国への愛情と責任がある。
「好きなだけじゃ、だめなんだな」
瞼の裏を過ぎる群青色の髪のひとを思い、カガリは呟いた。
好きなだけでは、そばにいることすら選べない。彼だけを選んで生きることが出来ない。世界には守りたいものが多すぎて、たった一つを選べない。
そして、彼への思慕も捨てきれない。
「しょうがないこと、たくさんあるよ、カガリ」
「………………」
「今出来ることをするしかない。ずっとそうやってきたつもりだけど、『今』が終わってもまた次があって、延々とその繰り返し。根源を断ち切らなきゃ、どうにもならない」
それでも、自分たちは生きなければならないから。
「目指す地平が同じなら、また会えるよ」
たとえそのとき、二人の間にあるものが恋ではなくても。
キラはカガリの髪から手を離すと、満天の夜空を仰ぐ。瞬く星は数え切れないほどの光を地球に届けている。
カガリが顔を上げると、キラの双眸が星のように瞬いていた。目が合ったたった一人の双子の片割れは強く笑う。
「また会おうね、カガリ」
見えなくても、離れても、変わってしまっても。
キラの姿を見つめながら、カガリはアスランを思い出す。
たとえいつかの果てに恋が消えてしまっても、彼を大事に思う気持ちは幾星霜の先でも必ず残っているだろう。
そうしてまた会えればいい、今度こそ隔たりのない二人で。
こらえようのない胸の痛みに目を伏せても、彼の人の面影は消えてくれない。募る愛しさに風化というものはまだカガリには信じられなかった。
しかし、それでも目指さなければならない約束の地がある。
共に語り、夢見た平穏な日々。まだ見たことのないその夢想に思いを馳せるカガリの上に、銀色の星が降った。
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デス種45話あたり（？）から捏造（最近話数覚えてません）。
恋の終わり＝永遠の決別、ではない気がするこの世界。
なので私は別段彼らが離れても、理想を同じくしてそれぞれを思い合ってさえいればそれでいい気がします。…このへんはネオメロ〜でうだうだ書いた気がしますが。
君は僕に似ている。
この曲はキラとアスランであり、アスランとカガリであり、キラとカガリでもあるんじゃないかな、と色々感じることが出来ます。
＞こんな風にしか生きれない
…ぶっちゃけ、あのアニメそんな人ばっかじゃん！ と思う次第です。
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月の見える夜（笛／真田一馬）。
2005年08月18日(木)
惹かれるように白い腕が宙を目指した。
満月の光が何の変哲もないアスファルトに藍色の影を作っていた。
「す…っごい満月ですね」
真田の隣の彼女が、南中の月に向かってその両腕を伸ばした。
草木も眠る丑三つ時と。盆を過ぎた夏の夜は日中のそれとは比較にならないほど涼しく、時折心地よい風が真田のうなじを通り過ぎていく。
「ほんとだな。月ってこんなに明るいもんなんだ」
「真田さん、この時間は大抵寝てますもんね」
プロのスポーツ選手という職業柄、早寝早起きを心がけている真田を知っている彼女は小さく笑いながら月へと伸ばしていた手を下ろした。半袖の服からのぞく白い腕が月光を受けて一層青白く見える。
虫の声がどこかから流れてくる。陽があるうちはまだ真夏日と呼ばれることも多いが、季節の移ろいは確実にやって来ていた。
真田の片手に下げたコンビニエンスストアの袋を揺らす音すら憚られる夜半の住宅街は、家々の明かりが消えて久しい。
「すみません、付き合わせちゃって」
「まあ、今日は起きてたし」
明日夕方練習だけだし、と真田が付け加えると、なりゆき同居人と友人たちの間でうわさされる彼女は少しほっとした笑みを見せた。
「朝コピーして行こうかとも思ったんですけど、忘れそうで」
「いいかげんうちもコピーつきのプリンター買うか？」
「たまにしか使わないなら、もったいないですよ」
「ま、そうだけど」
「すごい月ですねー」
いつになく嬉しそうに満月を見上げる彼女は、月光を受けてますます幼く見える。月にはしゃいだ声のトーンもいつもより高かった。
上を見るあまり遅くなる歩みに付き合いながら、真田はコンビニの袋から500ミリリットルのペットボトルを出してキャップを捻る。歩き飲みは行儀が悪いと教えられてきたが、今夜はそういう気分にはなれなかった。
誰もいない真夜中の道路はいつもと違う顔を見せ、日中の常識を当てはめるのはひどく無粋であるような気がした。
夜の散歩を謳歌している小さな影が、ふと真田を見た。
「横浜の月も、こんな感じに見えました？」
「…ああ、昨日の」
「はい」
真田は昨日の夜七時から数時間、横浜の国際総合競技場にいた。仕事中だったためろくに空を見上げる余裕はなかったが、確かに昨日も月が出ていた。
「出てたけど、普通だった気がする。っていうかライトがきついから、あんまり星とか月とか見えない」
「そうなんですか。そういえば、ナイター試合のときの影ってすごくくっきり見えますよね」
こういう感じに、と彼女は自分に添って伸びた影を示した。平坦な道に伸びる月光の影。
真田は少し考えてみたが、あのサッカーピッチ上でクロスして伸びる電光の影とは、雰囲気が違う。
「夜でも、ボールが見えないと話にならないから多分強くしてるんだと思う」
「なるほど」
些細なことでも生真面目にうなずく彼女の頬に、夜風が髪を散らす。
実際よりも大きくなっている二つの影の身長差。
「…昨日、テレビで試合見てたんですけど、一瞬月が映ったときについ部屋の窓見たんです。そしたらほとんど同じ月で、なんだかちょっと面白かったです」
「面白い？」
「はい」
幼顔に笑みを浮かべ、年下の彼女は髪を揺らした。
「ここと横浜じゃちょっと距離あるのに、同じ月の下にいるのは同じなんだなって思って」
同じ惑星、同じ大地、同じ空の下。とても当たり前すぎて、真田が意識していなかったことを彼女は淡い笑みで告げた。
どこで見ても月は月だと思っていた真田は、思いがけず教えられたことに目を瞬かせた。
「あぁ…そうか、そういや同じなんだな」
「場所が違えば、かたちとかはちょっと違うんですけど」
「でも同じ月、か」
「はい」
一つ一つが職業生命に繋がるチャンスの試合会場の空と、何気ない毎日を過ごす家の窓の外と。
違うものを見て生きてきた二十年を経て初めて会った彼女は、明るい月を見て嬉しそうに笑う。星霜の頃より地球を見守ってきた衛星ひとつで。
次のナイター試合の日に、空を仰いで月を探す自分を予想し、真田はつられ笑いを隠すように満月を見上げた。
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オチが決まらずにぐずぐずになるのはいつものことです…。
えーと、真田くん二日早い誕生日おめでとう、ということで。
去年は狙ってのフライング誕生日でしたが、今年は何も関係ありません。しいて言えば昨日のＡ代表戦からのこじつけ。
時事ネタはそのときを逃すと勢いが失せるので、出来れば当日やりたいものです。ディスカバリーネタとかもう出来ないよ…。
パソ太郎の調子がやっぱり悪く、借り物でネット中なのでたまにしか潜れない感じです。
ftttpとかないからトップに臨時休業の札も出せません…！（まさにそこにある危機）
うひーうひゃーむぎゃー!! …って感じ？
一言フォームのお返事は可及的速やかにこの日記で返させて頂きますので、今しばらくお待ち下されば幸いに存じます（土下座）。
暑中＆残暑お見舞いのメールもしばらく返せそうにありません…。もう嫌だ何なのこの不精どころか超不義理サイト。すみません。本当にすみません。
超法規的措置（違）として、オンの住所がわかる方には直筆手紙にてお返事させて頂いております…。一応書道歴十云年なのでどなたにも読める字で書いてはおりますが、…メールの返事がいきなり手紙ってそんなアンタ、みたい、な。
あ、そういえば先日の地震ではとりあえず目に見える被害はありませんでした。ご心配下さった方々、ありがとうございました。
そして被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
国の中枢の政治から、大地の基盤まで揺れ動く今年の夏。還暦を迎えた戦争終結の夏。
この先一体どうなるんでしょう（自分含む）。
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