2008年01月31日(木) |
ざわざわとかざらざらざらとかぐるぐるとか |
よく晴れた朝。いつもの峠道をのぼりつめたところで。
キツネに会う。最初は犬かと思った。でも尻尾が長い。
キツネがきょとんとしていた。そうして大急ぎで駆ける。
私だってきょとんとしていた。だって初めてだもんなあ。
そっかこの山にはキツネが棲んでいるんだなあ。タヌキ。
イノシシ。猿だって鹿だっていそうな気がする。うさぎ。
そう思っただけで嬉しくなる。なんだかわくわくとする。
こんな朝がいい。いっぱいの命が息をしている。感じる。
ずっと平穏でいたくて。波風をたてたくはなくて。今日も。 ざわざわとかざらざらざらとかぐるぐるとかをなくしたい。
そう思っていると。自然とそういう心構えのようなものができる。 うん。なんだってそう。いつだって自分次第なのかもしれないな。
でもちょっとだけ思うようにいかないこともある。たとえば今日。 寝耳に水みたいなことを知らされて。まさかそれはないだろうって。 かなり焦った。でもほんとみたいで。すごいすごいショックだった。
どうして?って思う。どうしてもこうしてもないことなのに。それが。 あたまから離れない。いかんいかんってもうひとりの自分が叱ってる。 晩御飯食べていても。お風呂に浸かっていても。今だってこんなだし。
でっ。とにかくスイッチをと。手探りしながらこれを書いているところ。
もう少し。なんとなくだけど。もうちょっとでそのスイッチに触れそう。
キリカワリマス。ソコカラガアシタデス。いまちょっとほっとしました。
2008年01月28日(月) |
まな板の上のお魚のきもち |
朝からずっと冷たい雨。しょんぼりしょぼりと雨粒が。
ちいさな春に降りかかる。ほっとしたり哀しかったり。
いくつもいくつも巡るものに。無防備ではいられなくて。
身構えてみたり逃げようとしたりしてひとは生きている。
のほほんとした雨になりたい。そうしてさらりと流れたい。
昼間。職場にまた嵐のようなひとが険しい顔でやって来る。 朝の連ドラ『ちりとてちん』風に言うと。まさに『天災』だ。 天災だからしょうがない。忘れていたから来たんだなと思う。
まあなるようになるだろうと。まな板の上のお魚のきもちになる。 けれどやはり少しは焦る。痛くないようにさばいて欲しいなと思う。
病み上がりの相棒がいつになくしょげていて。後ろ髪を引かれつつ。
帰る。「ありがとう」って言ってくれた。とても優しい声だった・・。
これまでずっと求めすぎていたのだろう。もうじゅうぶんだと思う。
そう思うと母ほどありがたいひとはいない。だけど私はいつだって。
「ありがとう」って言えない。照れくさくってどうしても言えない。
まな板の上のお魚二匹。ようく見ると良く似ているとひとは皆言う。
そう言われるのがとても嫌だったけれど。そのきもちが薄れていく。
救えるものなら救ってあげたい。海へ還してあげたいなあと思った。
2008年01月24日(木) |
こうやってなあ。こんなふうに。 |
ひゅるひゅると木枯らしのいちにち。久しぶりの青い空。
北風小僧のかんたろうが口笛を吹いている。うまいだろ。
ねえ俺ってさすがだろって。得意げに駆け抜けていく空。
冷たさをあたたかいのでくるっとして。手のひらにのせ。
かんたろうに届けてあげたい。彼はきっとお腹ぺこぺこ。
ひとくちでぱくっとして。もうひとっ走り行ってくるぜ。
山をひょいっと谷をするっと海にざぶんと。どこまでも。
今度会う日の約束はしない。会えた日がきっとその日だから。
昨夜の残りの豚汁に。またおうどんを追加して煮込みうどんにする。 仕事がお休みで。暇をもてあましていたらしいサチコが。これだけ? 何か作ろうよ。これだけじゃあんまりだよって。呆れ顔で言い出し。 冷凍室にギョーザを見つける。これ焼くよって手際よくやってくれた。
相変わらず質素な夕食だけど。三人揃って一緒に食べるの久しぶりで。 嬉しい。たまには付き合ってやるかと言って。サチコもビールを飲む。
『あんず』うちの飼い犬の話しになり。今日も昼間むだ吠えがひどくて。 犬小屋に閉じ込められていたらしい。夕方の散歩の時間までずっとで。 なんぼか窮屈だったことだろう。彼が入り口の戸を開けてやるとすぐ。 跳び出してきて。屈伸運動をしたという。こうやってなあこんなふうに。
食卓のイスから立ち上がり。彼がその真似をして見せてくれたのが愉快。 「もう怒る気にもならんよ」って笑う。屈伸運動をしっかりしてから。 「さあ散歩行くわん」って顔して澄ましていたという。さすが『あんず』
だけどお散歩はやはりほんの少し。以前のコースはもう駄目っぽい感じ。
我が家の末娘だった子が。いつのまにか長老になった。
老いることはすこしせつない。でも生きることは楽しいかな?あんず。
2008年01月23日(水) |
ああもうこうなったら私をぶって下さい。 |
降り続いた冷たい雨がやみ。ほんの少し空が明るくなる。
ほっとする。お陽さまに会いたかったなって嬉しくなる。
けれどつかの間。また灰色の雲がどんどん流れてきては。
空はいつだってそこにある。思うようにいかないことを。
どんなに望まれても。こうなんだよって教えてくれる空。
豚汁を作る。汁っていうより鍋だ。いろんなもの入れて作る。
ゴボウとか大根。シメジ。お豆腐。モヤシ白菜白葱春菊うどん。
そして食べる時にお好みでキムチ。私はもちろんキムチのキモチ。
からだがぽかぽかあたたまる。幸せだなあって思う。おいしいの。
晩酌はお休み。今夜はバドの練習日だから。ぐっと我慢しておく。
でも。バドに行く寸前にちょっと大変なことになり。しかたなく。 断念する。アレがアレだった。ほんとうにすごいことになってて。 自分でもびっくりして顔面蒼白になった。いったいどうしてかと。 不安にもなる。でもケセラセラ。こんな時こそケセラセラだなあ。
ほんとは身体を無性に動かしたい。へとへとになるくらいのムチが。
欲しい。ああもうこうなったら私をぶって下さい。今はそんなキモチ。
彼はキムチのせいだろうって笑う。男なんて何も知らないくせに。 おまけに。今夜は禁酒だともいう。男なんてほんとにもう嫌いだ。
灰色の雲なんか吹き飛ばしてあげよう。おおきくおおきく息を吹く。
思い通りにいかない空なら。太陽の気持ちにだってなれるのだから。
おいおい。その雲邪魔だよ。太陽には月の友がいて星の仲間がいる。
きみはそのことをもっと知るべきだ。でもきみだって雲になりたい。
そのことをいちばん知っているのが。太陽なのかもしれないよね・・。
2008年01月21日(月) |
ため息ひとつ聞えず。雨だれの音ばかり。 |
雪にはなれそうにない雨がいちにちじゅう降っていた。
いつもの山道。民家のすぐそばの田畑に案山子さんが。
今日は透明のレインコートを着ている。守りつづけて。
去年の夏からずっとそこで。じっと動かず守っている。
だからこそ守ってあげたい。ひとの想いを着た案山子。
職場で。とてもたいくつだと言う常連さんが来ていて。 仕事の手を休めては。あれこれ世間話のお相手をする。
そしたらちょうど来店のお客さんが。そのおじさんの。 同級生らしく。おお久しぶりやなあとふたり微笑んで。 一気ににぎやかになった。きみとか僕とかは言わない。 「わりゃぁ」とか「わし」とか。声もだんだん大きく。
世間話どころではないようなその話す内容といったら。 「わしは7時になったら眠とうていかん」 「なによ!われも年寄りになったにゃあ」 「わしらあ毎晩11時まで起きてテレビ見よるぞ」 「なによ!わりゃぁえらいのう!たまげた」
てなぐあいで。あげくのはてには。お互いをののしりだす。 「われは銭があるけん、なんぼでも電気使うたらえいわや」 「われやち貯めちょるくせに、使い方を知らんがよのう!」
おおそうよそうよ。わっはわっはと顔見合わせて大笑いする。
まるで漫才だなこれは。でもなんだか微笑ましい二人だった。 これが『朋輩』っていうのだなって。ぶつかってぶつかって。 何だって言い合って。でも何を言われても腹を立てたりしない。
「いかん、もう相撲が始まるぞ」ってやっとお開きになり帰る。
あとはし〜んと静か。ため息ひとつ聞えず。雨だれの音ばかり。
2008年01月19日(土) |
出せない手紙を書きました。ここから北へ。 |
朝はやはり寒くて。口癖のようにそう呟いてしまう。 けれど。極寒の地方に比べれば随分と暖かいのだろう。
ぬくぬくとしながら。それはとても恵まれている冬だ。
朝刊に菜の花の写真。こちらはもうそんな頃になりました。
それでも足が冷たくて寝付けず。靴下を履き湯たんぽです。 ぬくぬくとし過ぎてますね。ほんとうに甘ったれた奴です。
でもおかげでぐっすりと眠れます。寝酒も相変わらずですが。 以前のようにぐでんぐでんになるほどは。飲まないでいられます。
朝もちゃんと五時に目を覚まします。時々は夢を憶えていて。 この前なんか。クルマで自動販売機を壊してしまった夢です。
それから時たま空を飛んでいる夢。まっさかさまに落ちましたよ。
芸能人の夢も見ます。最近では大沢たかお。隣に寝てくれてました。
夢って不思議ですね。夢ってどうして見るんだろうって思います。
仕事は。年が明けてからまあまあです。母もだいぶ元気になって。 今日なんか。ちょっと威厳を見せてました。じょうとうだなって。 苦笑いと安堵が半々です。どんどん元気になることを願っています。
毎日を親孝行だと思うことにしました。仕事をしながらの親孝行。 そう思ったら不思議と腹も立ちません。苛立ちも一気に消滅です。
なんだって気の持ちようですよね。ちょっとお利口になりました。
おやおや気がつけば自分のことばかり。ついつい話してしまって。 ごめんなさい。いつもそうですね。あなたのことを知らないまま。
じゃあまたねって。むかしからずっと私の悪い癖かもしれません。
それぞれの冬です。だけどもしかしたらどこかで繋がっているような。
そんな気がしてならない日々です。どうかきっと元気でいてくださいね。
願いつつ祈るように。毎日空を仰いでいます。
2008年01月17日(木) |
あのこも見つけるといいな。ちいさな春。 |
朝の山道。白い山茶花はもうほとんど散ってしまって。
わずかにひとつふたつ。冷たい空気をものともせずに。
凜とある。ひとつふたつ。花びらは儚い命の生きた証。
颯爽と歩くひとは。赤いリュックを背負ったお遍路さん。
まだとても若い女性。ただひとり歩く。まえへまえへと。
もうすぐ民家が見える頃。きっとほっと息をするだろう。
追い越していく。私はいつだって追い越して行くばかり。
そのことがふっと後ろめたくもある。だけど行くしかない。
民家を過ぎるとまた木々の山道。雀色の田んぼが見えると。
ひとが恋しい。ひとに会いたいと思う。でも誰も見えない。
もう少しもうすこしといつも思う。さっき追い越したこと。
もう忘れている。じぶんだけ急いでいる。いつだってそう。
その枯野のような田んぼにそって。梅の木が植えられている。
はっとして思わずブレーキを踏んだ。ちいさな白いのがある。
もう梅の花が咲いたのだ。昨日も通った道なのに気付かなくて。
だけど今日だからと思う。きのうより一歩進んだのに違いない。
あのこも見つけるといいなって。追い越した若いひとを想った。
それぞれの道に。きっと来る春だから。冬は厳しくあるのだろう。
寒さなければ花は咲かず。ちいさな春はひとに逢いたがって咲く。
2008年01月14日(月) |
猫になりたい。猫ならばとおもう。にんげんのこころ。 |
きょうは猫。とろりんとろりんと炬燵でまあるくなって過ごす。
どんよりな曇り日。どこかで雪が降っている。そんな匂いの空。
ずっと一緒にいる猫の彼氏は。戦争の洋画を飽かずに見ていた。
英語とドイツ語らしい声のなか。猫も時々顔をあげてにゃあと。
興味なさそうな声を出す。痩せ細った捕虜。無残な亡骸。ああ。
見てしまったあとはとても苦しい。いやだにゃあって呟くねこ。
これは実話だからなと彼が言う。目を反らせてはいけないのだ。
ゆうがた。彼は犬と散歩。ほんの5分で帰ってくる。どうして。
数日前から飼い犬の様子がおかしいらしい。いつもの散歩道を。
どうしても行きたがらないと言う。尻込みをして進もうとせず。
おしっこさえしたら家に帰ろうとする。体調が悪いのかなあと。
心配していても。晩御飯はいつも通りにがつがつとよく食べる。
いちど話しをしてみたいとつくづく思う。その訳を知りたいと。
猫になら打ち明けてくれるかもしれない。猫ならばと猫は思う。
さあ。もう猫ごっこはお終い。にんげんって忙しいものだなあ。
お昼の食器はそのままだし。お風呂だって洗ってないんだもん。
すきやきを作る。やたら白菜の多いおうどん入りのすきやきを。
熱燗ちびちびしながら。おうどんばかり競い合うように食べる。
ふたり大相撲を観ながら。朝青龍はどうしても好きになれない。
負けた。というよりやっつけてくれたので嬉しい。手をたたく。
にんげんはどうして驕るのだろう。にんげんは時にみぐるしい。
けれど憎めない。にんげんどうし理解しあうのは難しいけれど。
夜になりいちだんと冷える。わたしはまたふっと猫になりたい。
2008年01月12日(土) |
ささやかなの。ちいさいの。まんまるいの。やわらかいの。 |
朝のうち。昨日の忘れものみたいな雨がぽちぽちと濡らす。
仕事をしながら空ばかり見ていた。晴れたらいいなって空。
そしたら少しずつ明るくなる。よしよしその調子だよって。
空。お陽さまのにおいが好き。なにかが生まれてきそうで。
待ってる。そのなにかのことを見つけてあげたくなる。空。
そうしてぽかぽか。春みたいな陽気になる。きっとこれだ。
ちいさいの見つけた。まんまるいの。やわらかいの。空に。
息子君からメールきて。晩飯を食べさせてくれって言う。 ええっ!ってちょっと嬉しい。たまにはそういうの好き。
ハンバーグ作るよって返信する。あいつ好きだもんなって。 そわそわしながら家路を急ぐ。ちょっと有頂天な母だった。
でも思い出す。昨夜サチコと約束したこと。鶏の空揚げを。 食べたいと言って。明日作るよって言ったこと。楽しみに。 仕事がんばっているだろうなって思う。そうじゃなかったら。 がっかりするだろうな。お兄ちゃん優先なのかって怒るかも。
よっし!こうなったらどっちも作ろう。やれば出来るだろう。 大急ぎで買い物をして帰り着く。腕まくりをして頑張る母だ。
居酒屋のカウンターみたいに。おとこふたりが晩酌している。 なんだか懐かしい光景だった。ほのぼのと嬉しくてならない。
出来ました。ハンバーグを盛り付け。空揚げは熱々さあどうぞ。
久しぶりやなあって若い男のほうが言う。なんかしみじみ言う。 おお!うん!ってちょっと老けてる男も言う。照れくさそうに。
元旦に会ったばかりなのに。なんか違う。こういうのが特別だ。
サチコが車庫から駆けてくる足音。空揚げだカラアゲダって音。 テーブルを見るなり歓声をあげる。きゃーって叫ぶ。すごいって。
大げさだけど。我が家にとってはご馳走。いつも手抜きの母だもん。
食べ終わったサチコに訊く。「馬は勝ったろうかね?」
「そりゃあ牛は負けたよ〜」ってサチコがすぐに応えてくれた。
どんな日もあるけれど。こんな日が宝物だなって思う。
ささやかなの。ちいさいの。まんまるいの。やわらかいの。
2008年01月10日(木) |
過ぎる。すぎる。どこまでだって。 |
朝の道。この冬いちばんではないかと思うほどの霜が。
山里をすっぽりと包みこんでいた。峠を越えて最初の。
民家のそばに。いまだ鈴なりの柿の木がある。小粒で。
ちょうど親指と人差し指でつくる輪くらいのおおきさ。
そんな柿色の向こう側。田畑は目を瞠るくらい白くて。
どきどきするくらい白くて。ふっとせつなさを感じた。
あちら側からこちら側に旅してきたようなそんな気持。
引き返せない恋路のような。ここなのだと思う哀しさ。
そうして菜花の道をいく。緑のうえに載せられた黄色。
そのかんむりも霜色になって。静寂に魅せられている。
そっとしておいてあげたい。誰も触れてはいけないと。
思う。語りかけてはいけない沈黙の白だ。息がとまる。
過ぎる。すぎる。どこまでだって私は過ぎて生きたい。
母が私の言うことを素直に聞いてくれない訳が。 今日。なんとなくわかったような気がした。
無理をしながら仕事をしようとする。今日でなくても。 いいことも今日しようとする。苛立ちが伝わってくる。
優しく声をかければかけるほど。逆らう。聞き流している。 頑固だ。とても強情だ。しんどいだろうに。しんどいって。 言って欲しい。帰って寝るからって素直にそうしてほしい。
もしや。彼女は独りでいるのが心細いのではあるまいか。
どんなに体調が優れなくても。ここにいたいのかもしれない。
「今週頑張ったら日、月と連休やね」そう言うと。
一瞬目を輝かせた。「月曜日休み?ありゃほんまや」って。
やっと笑った。「火曜日から本番やね」そう言うと。
ほっとしたように。またにっこりと微笑んでくれた。
2008年01月08日(火) |
おかあさん。おかあさん。おかあさん。 |
おぼろがかった朝の太陽が。枯野を照らすようにそこにある。
ひと形のような草は。背高泡立ち草の枯れ果てた姿だけれど。
人が野を彷徨うように。ひとりふたりと寄り添ってたたずむ。
静まった影絵が息をしている。水蒸気の涙がきらきらと光る。
決してみすぼらしくはない。こんな美しい朝にであえた事を。
誇りに思う。枯れていけもっと枯れていい。光の声が聞えた。
明けて八日。昨日から本格的に仕事に取り組む姿勢で。 出勤をしたものの。相棒が来ない。病気だということ。
相棒。実は私を生んでくれた母親でもある。今年70歳。 職場では『専務オババ』と呼んでいる。ハハデハナイヨ。 いまだ老眼鏡の世話にもならず。事務は何だって出来る。 おまけに整備士免許も持っているから驚き。すごい女性。
優しい時はめったになくて。いつも厳しい。言葉も荒い。 だけど。メダカを飼っている。我が子のように可愛がる。
オババがいない。なんかほっとする事務所。気が抜ける。 昨日から仕事が手につかない。ついついおさぼりモード。 一人でも忙しさを感じない。むしろ手際よくこなせるよう。
だけど。母親なんだなって思う。病気って風邪なのかな・・。 ちょっと心配にもなる。お見舞いに行こうかと思ったけど。 家を知らない。数年前に引っ越してから行ったことがない。
ちょっと愕然とする。こんな母娘がいてもいいのだろうかと。
お昼休みに携帯に電話があった。病院で胃カメラをのんだって。 急性の胃潰瘍だということ。熱もあり食事も喉を通らないって。
ああ。お母さん・・って思う。
おかあさん。おかあさん。おかあさん。今日はずっと想った日。
だいじょうぶ。寝てたら治ると。お母さんは言った・・。
2008年01月06日(日) |
あっぷっぷのわたし独り |
ひとりごと。朝からずっとひとりごとの日曜日。
あっまた言ってるって思う。じぶんが可笑しい。
お昼。ラーメン食べようかな。うん美味いなあ。
夕方。ビール飲もうかな。はあこれも美味いな。
よっこらしょって言って。ちょっとトイレって。
言って。笑点を見ながら。チキンナゲット齧る。
ああなんか陽がながくなったなって言いながら。
飼い犬に餌をあげに行く。たんとおたべよって。
ひとりのテーブルで手巻き寿司をふたつ食べる。
お茶代わりに焼酎を飲む。はあ幸せって言って。
明日の朝のお米をとぐ。タイマーよし!とかも。
言って。さあお風呂入ろうかなって入浴剤とか。
やっぱラベンダーはえいなあってお湯につかる。
ひとりぼっちもいいもんだなってつくづく思う。
なのに。サチコ今日は何時まで仕事なんだろう。
彼は9時には帰るかなって思う。し〜んとした。
部屋の鏡のまえで。栄養クリーム顔に塗りつつ。
にらめっこしてみる。あっぷっぷのわたし独り。
明けて五日。ゆっくりがいいと思うだけおもっては。 とんとんととんと日々が。自分より先を歩いている。
うしろから見ていると。やはりついていくしかなくて。 立ち止まってみると。置いてきぼりにされそうになる。
どこに行くのだろう。せめて口笛の似合うような道なら。 スキップしながら行きたいなって思う。らんらんらんと。
昼間。春みたいに暖かくなって。飼い犬が壁にもたれて。 とろりんとした目でうたた寝をしていた。アンちゃんって。 その名を呼ぶと。起きてるよ寝てないよって顔をしながら。
遊んでくれるのかなって期待しているのがわかる。ふふふ。 寝惚けたようなその顔が可愛い。でも遊んではあげなかった。
なあんだつまらないなの顔で。また陽だまりさんと仲良し。 そこだけ時間が止まっているみたいに。彼女はなあんにも。 思い煩うこともなさそうだ。鎖のことなんか気にもしない。
その白くなったまつげを見ながら。老いることを少し思う。
走れるだけ走らせてあげたい。鎖をはずして野を駆けさせて。 あげたい。全速力で海まで行けるかもしれないな。いまなら。
けれど。彼女は何も言えない。文句ひとつ言えない。願いが。 きっとあるのだろうにと思う。だけど頭を撫でてもやらなくて。
そこにいるねって確かめるように。陽だまりの彼女を見ていた。
2008年01月02日(水) |
すくっとすくっと前へ |
新年も明けてふつか。朝の窓を開ければ川向の山々は。 雪の景色にきらきらと輝いている。まぶしい朝の光に。
すくっとする。身もこころもここにある。ささやかに。 いっぽ二歩と。確かめる術をなくしていても。ここで。 ここからまた日々を重ねていくのだと思う。ぼちぼち。 ゆっくりでいいから。転んでもいいから前へいきたい。
雪模様の元旦は。例年のごとく親族みな我が家で集う。 甥っ子姪っ子すっかり大きくなり。なんだかしんみり。 どんちゃん騒ぎをするでもなく。静かな宴会となった。
夜やっとお開きになり。後片付けが終わるとぐったり。 これだけはちゃんとしなくちゃもやはり疲れるものだ。 でも。そのおかげで始められる一年だからと思いたい。
今日は風もなく穏やかに晴れる。ここ数年怠らないでいる。 初詣に行く。隣町の延光寺。四国霊場の39番札所である。
いつも気の進まない彼も。今日はしっかり手を合わせていた。 目洗い井戸のことを教えてあげたら。私より先に歩き始める。 その水で眼を洗わないとって言ったのに。冷たいからいいとか。 言うことを聞かない。でもいつになく真剣な顔を垣間見た瞬間。
ずっと病気がちで。昨年から眼の病気にまでなった。どうか。 健康を授けてください。どうか無事に毎日を過ごせますように。
そうして。彼をクルマで待たせ。私はちょこっと山登りに行く。 お寺の裏山が『ミニ八十八ヶ所』になっていて毎年巡っている。
雪の湿りが残る羊歯の道を。赤い寒椿の咲く山道をひたすら歩く。 急な上りもあれば足を滑らせそうな坂道もある。不思議なことに。 すこしも疲れない。息切れもしない。とても清々しく好きな道だ。
しかし。今年もまたしくじってしまった。どうしてなのだろうか。 八十八個持っていたお賽銭が。今年も十二個余ってしまったのだ。 最後の仏様の前で。そのことがショックでならずしばし呆然とする。 確かに順番通り手を合わしたのに。腑に落ちない。納得できない。 まあいいかでは済まされない。今年こそはって思っていたからよけい。
よっし!と決意し。すぐさま踵を返し一番を目指して引き返し歩く。 確かにあった。どの道も確かに通った道で。八十八ヶ所ちゃんとある。
不思議でならないけど。仕方ないなあってやっと諦めてクルマへ急ぐ。 待ち兼ねていた彼が言う。「お賽銭百個持って行ったんだろう」って。
はははって苦笑い。そうかもね。それはあり得ることだよって思った。 来年はお賽銭に番号書いて行く。そうすることでちゃんちゃんとなる。
帰宅した午後。姑さんが土間で転んで怪我をする。足が腫れて痛そう。 彼が病院へ連れて行くことになり大騒ぎ。幸い骨折ではなかったけど。 しばらくはじっと安静に寝ていなければいけないそうだ。畑仕事とか。 ちょっとお休みしなさいってことかなって。みなで宥めては寝かせる。
私がお参りをしくじったせいかもって。ちょっと不安にも思った。 去年は私が救急車で運ばれたり。一月二日はどうもいけないようだ。
気を取り直そう。どんな時もあるのだもん。災い転じて福となすって。
今年もそう信じていこう。転んでもいいのだ。すくっとすくっと前へ。
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