2006年07月31日(月) |
そしてふかくためいきをついた |
今日も炎天な日。ときどきおっきな雲が流れて来て。あたりがにわかに。 薄く暗くなる。すると。どこからかあの声が聞こえて来るのだ。るるる。 るるるるると。河鹿が鳴く声が山里に響く。なんてせつなくもの悲しく。
誰かを呼んでいる。誰かをさがしている。誰かにあいたくてたまらなく。鳴く。
いまもこうして夏。ずいぶんと遠いところまできてしまっても夏だったなと思う。
あの日。しゅう先輩はどんな気持ちでバイクを飛ばしてきたのだろう。 どれくらいそばにいて。いったいどんな話しをしたのだろう。思い出せない。 もしかしたらすごく困った顔をしていたのかもしれない。どうしようって。 どうすればいいかずっと考えていたのかもしれない。どうしようもなくて。 なんどもなんどもきすをしたんだ。ときどきふるえてそしてすごくやわらかく。
秋が来て冬が来て。春には遠いところに行ってしまった。 ぷっつりと。それはほんとうに約束を果たすかのような別れだった。 モウアワナイ。モウオワロウ。それがふたりの約束だったのだから。
そうしてまた夏。思いがけないことがおこる。しゅう先輩は約束を破った。 あの日。あの喫茶店のどこの席に座っていたか。どんな顔で待っていたか。 あたしは今でもよく憶えている。白いTシャツを着てた。やあって手をあげた。 もう駄目かな?とか。もう遅いかな?とかあたしの好きだった笑顔で首を傾げて。 座ろうとしないあたしを見上げるように言ったんだ。指先で前髪を掻きあげては。
そしてふかくためいきをついた。あたしは逃げるように帰った。ごめん・・って。 言ったかな。もしかしたら言わなかったかもしれない。胸が張り裂けそうに痛かった。
それが。あたしが憶えている。最後の。しゅう先輩だ・・・。
あたしはそれから。どんどん。まるで濁流にのみこまれたように。
流れていったんだ。
2006年07月30日(日) |
さっきまで白かった月が |
いまは陽が沈む頃。うっすらと紅い空に白い三日月が見えている。 そして蝉時雨。止みそうで止まなくて。また思い出したように鳴く。
犬が吠えている。お向かいのチャチャのようだ。 猫みたいにちっちゃかったのがずいぶんおっきくなって。 同じ柴犬のせいか。うちのあんずとよく似た声で吠える。
あんずは。この前9歳になった。人間だと63歳位かなと思う。 朝晩のお散歩は大好きだけど。帰るとすぐに寝てしまうのだった。 晩ご飯を持って行くと。寝ぼけたような顔をしてぐったりとしている。
ドックフードに鰹節をまぶしたのが好きで。ずっとそうしていたけれど。 最近はどうも食欲がなくて。餌を見ても「ふん・・」ってそっぽを向く。 その顔はちょっと憎たらしくて。なんだかすごく我儘な子供のように見える。
食べたくないのなら勝手にしなさい!と私もついつい厳しい母のようになる。 怒っても無視する。ああ勝手にするわんとその顔がまたまた憎らしくなるのだ。
それが。鯖の南蛮漬けだ。それはかれこれ4日前の我が家のおかずだったのだが。 あまり脂がのっていない鯖だったので。不評につき随分と残ってしまったのだった。
捨てるのも惜しく。身をほぐしてあんずに食べさせてみたところ。それが好評。 匂いでご馳走だと思ったのか。寝ていたのが跳び起きてガツガツとよく食べる。
甘酸っぱい匂い。犬も夏は酸味が欲しいのかな。お酢と犬ってちょっと意外だった。 もしかしたら冷やし中華も食べるかもしれない。なんだかちょっと楽しみな感じ。
そうして猛暑ないちにちが。ゆっくりと夜になっていく。
さっきまで白かった月が。ひとかけらの檸檬みたいに光っている。
雨ばかりだと太陽が恋しいと言って。日照りが続くと雨が恋しいと思う。 ひとってそんなもんのようだ。現状に満足するのが苦手なのかもしれない。
連日35℃を越す猛暑が続いている。いささかくたばり気味のこの頃であった。
そんな真夏。山里ではすっかり稲が実り。早くも稲刈りを始めた農家もある。 青くゆらゆらと若き緑が目に鮮やかだった頃。それはついこの前のように思う。 なんだか時が急ピッチで流れているようだ。自分も確かにそんなふうなのかな。 よくわからない。どんなふうに流れてきたのか。気がつけばいつもそこにいる。
そしていつかいなくなる。いつかわからない。そのことがすこし不安だった。
だから。いまが夏って。ほんとうにありがたいことなんだなって思っている。
チエさんの実家から鰹が届いた。気仙沼から届いた鰹らしかった。 ここいらの魚屋さんでは見られないようなとてもおっきな鰹だった。
でね。またまた台所で悪戦苦闘。丸ごと一匹という鰹を捌くのは大変なんだ。 まずは三枚にしようと頑張ったが。骨についている身がもったいないほどで。 あらまあという結果になってしまう。でもその身を庖丁でこそぎ落としてみると。 ネギトロのマグロみたいになった。ちょっと味見。そこで冷えたビールをごくり。
あたしはほろ酔った時にこそ気合いが入るんだ。おっし、お刺身を頑張ろう! 青紫蘇を添えたお皿に。ちょっとぐにゃぐにゃになった切身を並べて出来上がり。 サチコはせっせとニンニクをスライスしている。夫君はお箸でお皿を叩いている。
あいよ。ほらよ。そんな感じで。今夜の食卓は鰹で酒盛りとなりにけり。 なんかすごく週末だあって雰囲気で。テンション高く。そのご機嫌が嬉しく思う。
街では。市民祭で。今夜は提灯台のパレードが練り歩いているのだけれど。 飲酒な一家は出掛けられず。もうすでに祭りのあとの静けさであった。
かくして。夏の夜がそれらしく更けてゆくのである。 ちゃんちゃんとな。
2006年07月27日(木) |
ああ。なんだっけなあ・・。 |
どうやら梅雨が明けたらしかった。その日からずっと晴天が続いている。 灼熱という言葉がよく似合う。くらくらするくらい暑い。そして入道雲。 そして蝉の声。陽が沈むとほっとする。夜風と約束を交わしたかのように。
夜が愛しい。
とくになにをということもなく。とりとめもなくまた書こうとしている。 なんのためだろう。なんになるのだろうと思えばむなしくなってしまうのだが。
まあよいではないか。こだわるほどのことでもなかろう。
でも。
のほほんとか。あっけらかんとか。ごく自然にっていうのは結構むつかしいな。
むしろこうしているうちにそれに近づくって成り行きが好きだなって思うんだ。
今日嬉しかったこと。今日ちょっと嫌だったこと。ああなんだっけなあって。
思っているまに。あくび出ちゃうのがいいなあって思うよ。
2006年07月24日(月) |
このままじゃいけないこと |
今朝は少し青空が見えて。ほっと嬉しい気持ちになれた。 なんだかふっと日曜日の気がしたんだ。だから仕事とか。 ちょっと嫌で。でも行くんだってふっきって出掛けて行った。
「おはよう」って笑顔が好きなんだ。好きな自分になりたいなって思う。
そうして。今日もとんとんとん。はふうの気持ちで家路を急ぐ。 大橋を渡って方向指示器を左に。堤防の道をいつも通るんだけど。 今日は行政管理の草刈作業があったようだった。休憩所のある場所。 そこを重点的にやってくれたらしく。草ぼうぼうだったのがすっきり。
でもそこには。ほんとうに悲しくなるくらいのゴミの山が残されていた。 実はずっとそのことが気掛かりでならなかった。5月の連休の頃からだ。 すぐ近くにコンビニが出来たせいなのか。ベンチでお弁当を食べてポイ。 空き缶もポイ。ペットボトルもポイって。それがどんどん溜まっていたのだ。
地元の人たちにとっては散歩道。気にならないひとがいないわけがなかった。 でも。みんな見て見ぬふりをし続けて来たのかもしれない。誰かが片付ける。 私は。なら私がやろうと思ったのだ。でも夫君に止められた。よけいなこと。 するなって言う。おまえが出しゃばることはないと。結局イタチごっこなんだ。 ゴミを拾ってもまた捨てられる。いつまでたってもその繰り返しなんだぞって。
それが事実だとすると。ほんとうに悲しくて情けないことだなあって思った。 だけど。そういうもんだなあって思い込んでしまうことも情けない気がする。
夕食後。あたりが薄暗くなってきて。今日こそはって思った。 早目に帰宅していたサチコも。一緒に行こうと言ってくれる。 夫君は。きみらの好きにしなさいって。言ってくれたのだった。
おっしサチコ行くぜ!ゴミ袋と火箸をさげて目的地へと向かう勇ましい母と娘。 休憩所には。きっとここでひと休みしたのであろう。お遍路さんの書置きがあった。 板切れにマジックで「ゴミを捨てないで四万十川が泣いています」某遍路より。
どんなにその日の川の流れが雄大で。どんなに川面がきらきらとまぶしくても。 歩き疲れたこころを痛められたことだろう。ほんとうに申し訳なく思うばかり。
あっという間にひと袋出来た時だった。バイクで通りがかった人が駆け寄って来た。 地区の役員をしている人で。気持ちはよく解るけれど止めて帰るように言われる。 管理している行政に電話してあるから。もうだいじょうぶだからと言ってくれた。
確かにイタチごっこになるのだろう。でも一度きちんと綺麗にしてみようって。 それでも駄目なら。また綺麗にすればいいんだって。そうするしかないよって。
みんな。みんながこのままじゃいけないって思っている。 見て見ぬふりをしているようで。みんなが心を痛めているんだ。 なんかそれを聞いて。すごくほっとしたのだった。
とぼとぼ帰りながらサチコが言う。
ひとってね。いけないって言われたらよけいにしたくなるんだ。 だから捨てないでって言ったら。きっとまた捨ててしまうんだよ。
「いつも綺麗にしてくれてありがとう。四万十川が喜んでいます」って。
サチコがポスターを作ってくれることになった。
今日もどんよりの空模様。気温が少し低めなのか幾分過ごしやすく思った。 洗濯物は除湿機でよく乾く。びっくりするほどタンクに水がいっぱいになる。 ほんとうに不思議なモノだ。こんなの発明したひとはすごいなあって思うのだ。
午後はゴロ寝でまた本を読みふける。そして少しだけウトウトと眠りこける。 ゆったりと流れる時間。これが至福のひとときでなくてなんだろうと思うのだ。
けっきょく夕方までそうする。買い物に行かなくてもいいように昨日のうちに。 うなぎの白焼きを買っておいた。フライパンを使って照り焼き風にするのだ。 そしてぬくぬくご飯にのっけて『うな丼』の出来上がり。我ながら旨いんです。
お兄ちゃん好きだったよね・・って。なんかすごく過去の人みたいに言って。 かといってアパートまで届けてあげようともせずに。三人でガツガツ食べる。 実はチエさん。うなぎが苦手なのだそうだ。ならしょうがないねの結論となる。
四万十川といえば天然うなぎなんだけど。すごい高値でとても買えない。 子供の頃には素人でも手軽にそれが獲れたのだ。竹で編んだ筒のようなもの。 ここいらでは『ころばし』って言うんだけど。それを川底に沈めておくのだ。 うちの母親がそれを趣味でしていて。学校から帰ると炭火でうなぎを焼いていた。 丑の日じゃなくても。今日もうなぎかというくらいそれが食卓にのったのだった。
母はうなぎをさばくのも上手だった。にゅるにゅるしてるのをぎゅっと掴んで。 尖ったキリで頭のところをグサッとして。まな板のうえのうなぎをしゅしゅっと。 子供心にすごいなあって思ったものだ。さばかれてもうなぎはピクピクってする。 なんかちょっと残酷で可哀相な姿だったが。うなぎはやはり美味しいモノだった。
でね。これはつい先日のことだけど。その天然うなぎを一匹だけ貰ったのだ。 チエさんの友達が魚釣りに行ってたら。たまたまうなぎが釣れたのだそうだ。 貰ったけど困っちゃってと届けてくれたのだ。ありがとうって冷蔵庫に入れとく。
そして。おっしと料理することにしたのだった。うなぎはほぼ仮死状態であった。 子供の頃を思い出す。母がしていたようにやればいいんだと肝に命じて。いざ!
しかし間もなく。うなぎが暴れ出した。とても素手では掴めないありさまとなる。 まな板の上から流しへと逃げる。きゃあきゃあ叫びながら必死で捕まえようとする。 そして。俺に任されても困るもんねの夫君が助けに来てくれたが。いかんせよ。 この男というモノも頼りないものなのであった。刀みたいに庖丁で切りつけたが。
ついに。もういい。食べなくてもいいからなんとかしろよとか言い出す始末だった。 私だってそう思う。こんなにも生きようとしているものをどうするって言うのだ。
やっとやっとビニール袋の中へ追い込み。泣きそうな気持ちで外に駆け出した。 堤防の石段をはあはあ駆け上がる。そしてまっしぐらに川辺へと辿り着いた。
うなちゃんは首の付根に傷を負っていたのだが。その姿はまさに水を得た魚だった。
きもちよくからだをくねらせながら。すいっとすいっと川底へと消えていったのだ。
あの傷はもう癒えただろうか・・・今日はふと。あのうなちゃんを想った。
今日も梅雨の空。やまない雨はないのだからと思うことにしている。 幸いなことに水害もなく。田んぼの稲穂が日を増すごとに色づき始め。 どうかこのまま無事に収獲をと願わずにいられない今日この頃である。
土曜日であったが。少し気掛かりな仕事が残っていて職場へ行く。 するといきなり交通事故の知らせが入り。一気に慌しくなってしまった。 クルマは横転してめちゃくちゃだと言うし、救急車で病院へ行ったと言うし。 つい先日、自動車保険に加入してくれたばかりのお客さんだったのだ。
現場から引き上げて来たクルマは無惨で。中を見ると赤いモノがいっぱい。 血だと思った。なんぼか大怪我をしていることだろうとすごく不安な気持ち。 でもようく見ると。それは粉々になったスイカだったのだ。あらまあの感じ。
お昼前になって。そのお客さんが病院から帰って来てすごくほっとする。 シートベルトのおかげで無傷だったそうだ。ちょっと腰を打ったらしい。 いつもとかわらない穏やかな顔で。スイカは見事に割れたなあと笑い話も。 そしてさっそく新車を買ってもらうことにもなった。なんか申し訳ないような。
ほんとうにお客様のおかげで。会社は救われているんだなあとつくづく思った。
そして一段落したところで。帰ろうかどうしようかと迷っていたのだけど。 オババが「帰ってもいいよ」と言ってくれたので。午後から休むことにした。
そうだ。今日はサチコもお休みだから一緒に買い物行くかもしれないと思う。 そしたらまっすぐ家に帰ろうとサチコに電話してみることにしたんだけど。 サチコはなんかふざけた声で。「みかさん?みかさん?」って私の名を呼ぶ。 「はいはい、みかさんよ」と母も少しふざけてみる。サチコがくすくす笑う。
もう、いつまで笑ってるのよ。買い物一緒に行くの?どうすんの?って。 しまいにはちょっと苛々しちゃってまくし立てるようにわめく母だった。
そしたらね・・サチコがね・・「サキコだよ」って言う。 そこではじめて。みかさんは間違い電話をしていることに気づいたのだった。
サキコちゃんは。まあなんというか・・ボク的のモト彼女なんだけど。 結婚して。去年赤ちゃんが生まれたんだ。それからずっと会うこともなくて。
ああとても懐かしかったよ。愉快だよね。こういうのもたまにはなくちゃね。
静かな雨が降ったりやんだり。そんな日に見つける向日葵の花。 せいたかのっぽですこし首を傾げては。どこか真っ直ぐに何かを。 見つめているのだけれど。うるうるとおっきな瞳から雨粒がぽたり。
落ちる。
通勤途中。今朝もオクラのおんちゃんを見かけた。 どんなに悪天候でも。オクラの花は毎日咲くのだそうだ。 そうして実がいっぱいなって。それがどんどん育つそうな。 おっきくなり過ぎたら売り物にならなくて。だからとにかく。 毎日せっせと摘まなくてはならない。とんがり帽子みたいに。 オクラは空向きに実をつける。なんだか可愛らしい姿だこと。
職場に着きそろそろと仕事を始めた頃。そのおんちゃんがやって来た。 「ほれ、食うか?」と言って。机の上にどさっとオクラを置いてくれる。 雨のせいかそれはいつもよりピカピカ光っていて。瑞々しさこの上なく。 遠慮なく笑顔で頂戴する。今朝も見たよって言うと。にこにこと嬉しそう。
実は。ほんとうは思い出してはいけないのだけれど。私はこのおんちゃんが。 苦手だった。上得意さんで大切なお客さんなんだけど。時々すごく嫌いだった。 小言とか嫌味とかそういうのじゃなくて。なんていうか奥歯に物が挟まったような。 それがたまらなく気に障ることが多かったのだ。そうしてそんな自分自身が。
嫌だった。なんとか好きになれないものかとずっと悩んだりもしたのだった。 だけどそれが思うように出来なくて。逃げるようにトイレに隠れたこともある。
このところずっと毎朝。おんちゃんを見かける。 どしゃぶりの雨の日だって。いっしょうけんめいオクラを摘んでいるんだ。 すごいなって思う。えらいなって思う。なんか日に日に尊敬するようになった。
とても不思議な気持ちだった。今朝は心から微笑むことが出来たんだもん。
いってもどって。また梅雨の空となりにけり。 時々は激しく降り静かになるとほっと安堵する。 雨というものが。とても怖くなってしまったのだ。
近況というか。書き残すほどのことではないのだけれど。 最近少しだけ生活習慣に変化があらわれてきたように思う。
自室にこもる時間がすごく少なくなったことだ。 さっさとドアを閉めて出て行く。そこは茶の間だったり。 寝室だったりで。とにかくよくテレビを見るようになった。 今まで見たこともなかった番組を見て大笑いしていたりもして。 時にはそれが退屈に思えて。お子様時間に寝てしまうこともある。 寝酒がなくても眠れるのだ。そのことに我ながら感動もしている。
ひとり。それは自分にとってすごく大切な時間だと思っていた。 書くときも読むときも想うときも。閉ざされなければとずっと思っていた。
不思議なスイッチが入るのだ。そのスイッチを押しているのが自分だった。 なら押さない。だとすると。書けない。読めない。想えない。となってしまう。
今のわたしにとって私は。少しつかみどころがなくてちょっとあやふやで。 だからといってどうすべきかとか。考えるところまでいかずにふらふらと。
しばらくはそれを愉しみながら日々を送るのが。きっと最善だろうと思う。
じぶんらしさとはなんなんだろう?
ありのままとはどんなふうだろう?
2006年07月16日(日) |
海を見ているとなんだかすごく |
今日も真夏日。抜けるような青い空から太陽が。 なにかをすべてを射るように。まっしぐらの光。
そしてまた衝動が起こった。
あてもなく。西へ行くか東に行くかと迷いながら南へ行く。 旧国道は遍路道だ。道が広くなったり急に狭くなったりしては。 人家があるところにはお遍路さんをお接待する民家があったり。 とてものどかな田舎道だった。そして潮の香。海が見え始める。
足摺岬は思ったよりも観光客が多く。駐車場が満車状態だった。 木陰のあちらこちらに路上駐車が目立つ。殆どが県外ナンバーだった。 悪路をはるばる来てもらって。なんだかとてもすまない気持ちになる。 この辺鄙さが魅力なのかもしれないなと。運転している彼は言うのだった。
混雑している道をくぐり抜けて。あらあらという間に足摺岬が遠くなる。 今度は西だ。海岸沿いの道を西へ西へと進む。真っ青な海だ。くらくらと。 気が遠くなるような海を眼下に見る。ああ来てよかったなあって思ったのだ。
海を見ているとなんだかすごく胸が熱くなったりするものだ。 懐かしいような。それはとても言葉にできない不思議なひと時であった。
2006年07月15日(土) |
きっかけは。いつもふいにやってくる。 |
ずっと不安定さを弄んでいたような空が。一気に。 もう何も思い残すことはないかのように。晴れる。
そうしてこれが約束だったのだろうか。うだるような猛暑にみまわれて。 すこうしとまどい。すこうし辟易としながら。その真っ只中に身をおく。
まいとしそうして夏だった。夏は嫌いではないけれどちょっと苦手で。 活動するということに臆病になってしまったりする。ものぐさな感じ。 ついつい引きこもってしまうのだ。なんとか暑さを凌ごうとしながら。
けだるくて。なにもかもどうでもよくて。あまりほめられないじぶんとか。 そういうのになれっこになってしまうのが。あたしの夏のように思うのだ。
きっかけは。いつもふいにやってくる。それをあたしは衝動とよんでいる。
行ってみれば。好きでたまらない。夏の海をそこに見つけた。
不安げな空からときどき小粒の雨が落ちる。 いそいでいそいで駆け抜けるそばから光が。 またいそいでいそいで降り注いで来るのだ。
かわりばんこもよいものだ。雨粒がきらきらと眩しい。 洗われたような空の青さは。どきどきと恋しいほどだ。
木槿(むくげ)は一日花。 夜明け前に咲き。夕方にはしぼんでしまうそうな。
儚さをつぼみにたくす。雲のように今日は咲いていた。
『それがしもその日暮らしぞ花木槿』 小林一茶
まるで墨汁を流したかのような空。そしてときどき泣いてしまう空。 そんな空に。のうぜんかずらが咲きました。むくげの花も咲きました。 そしてもう稲穂が。そのつぶつぶがすこうしづつ色づき始めたのです。
こくこくと夏。なにも変らないと思っていた我さえもどこか不思議と。 心境の変化なのか。単なる心変わりなのか。気紛れなのか知りません。
が。微妙にこくこく動いている気配を感じずにはいられないこの頃です。
いまは心地良くやわらかで。 いまはなんとなくまるくて。
もしかしたら無気力かもしれず。 責める事も咎める事もなくなって。
ちょっとまっしろな感じなんです。
ぽかんと口を開けるみたいにして。 こころを開け広げてみるんですが。
ふり込んでくるのは雨ばかり。
ただただ雨ばかりのこの頃でした。
ああ傘もささずに濡れて濡れて。
あたしは何処へ行くのでしょうか?
2006年07月05日(水) |
ごめんなさいとありがとう |
夜明け前。ものすごくどしゃぶりの雨が降ったそうだ。 あたしは。とてもぐっすり眠っていたのか知らなくて。 知らないくせに。すごい雨だったねえとか言ったりして。
あたしというひとは。けっこうてきとうなひとなのかもしれない。
ごめんなさい。もしかしたらほかにもいっぱいてきとうをしてるかも。 とりかえしのつかないこととかあるかもしれなくて。ああほんとうに。
ごめんなさい。
今夜サチコがね。いっしょうけんめい作ってくれたんだよ。
母子地蔵さんだよって。ありがとねサチコ。
2006年07月04日(火) |
諦めないで負けないで |
朝はすこし青空であったが。すぐにどんよりの曇り日となった。 憂鬱を連れたまま仕事に行ったのだが。ゆっくりと開き直ると。 ゆううつなんてものはどうってことなくて。気の持ちようとか。 その気になれば。気というものはさらさらと流れるものらしい。
帰宅してすごく嬉しかったのは。例のツバメの親子たちだった。 子ツバメ達が今日。生まれて初めて飛ぶことを覚えたらしくて。 その姿といったら。ちょっとやってみたけどやっぱこわいよう。 そんな顔をしているのもいれば。えへん!飛べたもんねの顔も。 お兄ちゃんやら弟やら。お姉ちゃんやら妹やら。末っ子の顔も。
親ツバメが餌を運んでくる。でも巣までは持って行かないのだ。 すぐ側で「ほうれほうれここまでおいで」と誘っているようだ。 するとお兄ちゃんが真っ先に飛び立つ。後は我も我もの大騒ぎ。
まるで鬼ごっこをしているように親ツバメを追いかけて行くのだ。 飛んで飛んでお母さんかなお父さんかなの止まった所に行けたら。 よしよしえらかったねえって餌を食べさせてもらえるようだった。
くすん。お腹空いたよう。まだそんなに飛べないよう駄目だよう。 そんな子は知りませんからね!その厳しさ。そんな親の愛の姿を。 垣間見たようで。胸がすごく熱くなった。諦めないで負けないで。
すぐにいっぱい飛べるようになるんだよ。
そして自分で餌を見つけて。おなかいっぱい食べるんだよ。
2006年07月02日(日) |
今日はとてもいい日だったよ |
夜明け前から風がさわがしく吹き荒れて。やがて雨と雷の朝となった。 さすがにツバメ達もじっとしている。巣の子供達は押し合いへし合い。 ずいぶんおっきくなって負いかぶさっているのやら。お尻を突き出しているのやら。
そんな巣の側で親ツバメが。たぶんお母さんらしいのが「これこれ」って。 静かにねって宥めるように見守っている。なんとも微笑ましい親子の姿だった。
巣立つ日が近づいているようだ。無事に育ってくれてほんとうに嬉しく思う。
一気に走り抜けたような嵐だった。午後は嘘のように静かにうす曇の空となる。 年に一度の『先祖祀り』の日だった。毎年7月の第一日曜に決められていて。 法事みたいでそうではなくて。ご先祖さんを敬い。とにかく飲もうぜという。 親族の集いのようなものだった。飲む量は半端ではなく。先祖代々酒好きらしく。 血を分けた者達が和気藹々と楽しく飲んでしゃべって。心地良く酔って解散だった。
参加するたびに。嫁げてよかったなあって思う。 みんなみんな縁のある人達ばかりなんだなあって。ちょっと感動したりする。
今日はとても。いい日だったよ。
2006年07月01日(土) |
ぽつねんとぽつんとあたしの色 |
蒸し暑さはこの頃ならではでよしとする。空がまぶしかった。 青くはなく。うすい膜に覆われたような地上で。目を細める。
不確かさは。これでいいのだろうか。このままでいいのだろうかと。 ときに不安で。信じたものさえも見失うかのように包み込むものだが。 そのカタチというものは。むしろそのほうが理想的であるかのように。 投げるには掴みどころがなく。捨てるには未練がましく。ただただそこに。 ぽつねんとあり続けるのが。よいと。思ったのではなくそう決めたのだった。
わたしはいまが心地良い。いまこうして在ることが心地良い。 書けるということは。ほんとうにありがたく幸せなことだと思っている。
ぽつんと落ちたその日から。
あたしはしみにだってなれる。
どんなにごしごし荒くされても。
あたしの色は消えはしないんだ。
ああこれがきみなんだねって見つけてくれて。
ほんとに。ほんとにありがとう!
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