ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2006年06月29日(木) ふうわふうわ

合歓の花が咲き始めた。それは峠道から見下ろす山肌で。
緑濃い葉の草原に舞う孔雀の群れであるかのように咲き。
いまの頃には雨に。そしてつかのまの陽の光には輝いて。
ふうわふうわとくうきのなかで薄桃色の羽根をなびかす。


職場のはまだ蕾のままだった。淡い緑のつぶつぶがぷちぷちっとしている。
折れた枝はやはりどうしても生きられず。葉は枯れて落ちて丸裸になった。
その姿は冬枯れのあの頃とよく似ていて。哀しいと言うより希望に見える。



そうして日常がまた。とんとんとんと歩んでは。すこしばかり。
ためいきや。苛立ちもまた。あたりまえみたいにぽちぽちと落ちる。

『あってよし なくてよし』と呟きながらタイムカードを押した。
そばで同僚がくすりと笑う。私はちょっとおどけて見せる。ふふふっと。
スキップな気分でクルマへ乗って。ソックスを脱いで素足になるのだった。
そして窓から見えた同僚に。「これあげようか」とつまんだそれを差し出す。

わはわはと笑い声。ああほんとうに愉快だこと。笑ってもらえるってことは。
そして一緒に笑えるってことは。すごく素晴らしい嬉しさだなって思うのだ。


明日もとんとんとん。なにがあってもよし。なにかがなくてもよしでいこう。



2006年06月28日(水) とうとうの夜

くもり時々の雨。のち少しだけ青空が見えた。
久しぶりの夕焼けはとても紅くて。紫の雲が。
どこかからむこうまで。つつつっと遥かまで。


ちょっと想った。あのひとなのかきみなのか。
いまはその呼び名さえも。哀しくてならない。
ひつようとかそうでないとかもわからなくて。


あたしは染まった。とどまれない紅い血色の。
とくとくといつ終るのかしれない果ての道の。
いっぽにほ。ずいぶんと遠い。ずいぶんと空。


ふっきって。ふっきって。とうとうの夜が来た。



2006年06月26日(月) 窓をあけて

朝起きていちばん最初。いつも二階の自分の部屋へいく。
よほどの大雨でない限り窓を開けて。朝の新鮮な空気を。
吸って。ふわあっと息をして。よういどんの準備をする。

時々はぼけっとする。そういえば今朝なんかもそうだった。
ちりんちりんと鈴の音が聞こえたのだ。窓の外は映像みたい。
たちまちはっとする。目がきらきらするくらい心地良くなる。

お大師堂から大橋まで続く堤防の道が。窓の高さと同じなのだった。
白茅と姫女苑が川風に揺れる道を。お遍路さんが歩いて行くのが見える。


わたしはわたしの窓がとても好き。

閉ざしていてはなにも気づかない。

空のきもち風のきもち鳥のきもち。


そしてわたしのきもち。

だから窓を開けてみましょう。





2006年06月24日(土) 言葉ことばコトバ

少しだけ小雨が降って。あとはどんよりと曇り空だった。
ちいちいちいと小ツバメ達が一斉に口を開けているのが。
可愛くてたまらなくて。窓から巣を覗いて微笑むばかり。

実は最初の小ツバメ達は。ある日突然いなくなってしまったのだ。
何者かに巣を襲われたらしくて。とても惨く可哀相なことをしてしまった。

もう我が家はいけないかもしれないとすっかり諦めていたけれど。
すぐ明くる日だった。また二羽のツバメが来てくれるようになったのだ。

今度こそ。どうかどうか無事に巣立って欲しいと願わずにいられない。






休日。このところずっと土曜日の仕事を休ませてもらっている。
おかげですごく寛いでいられるのだけど。少しばかり後ろめたくて。
電話が鳴ったりするとはらはらする。何事もなく夕方になるとすごくほっとする。

今日は気になる近所の音も聞こえず。思う存分、本を読めてよかった。
読み終わってしばらく感慨に浸っていられる。なんだかすごく達成感があった。
作家さんはほんとうにすごいなって思う。書いてひたすら書き終えて。
その感動をぞのまま読者に届けてくれるのだ。それはまさに熱意だと思うのだ。


それからすこうしぼんやりと寝そべって天井を見つめていたが。
ふと思い立って。ある詩人さんの詩集を読み始めたのだった。

声を出して読む。朗読というのかもしれないけど。なんかそうじゃなくて。
ここで休んで。息を吸って。ここで想って。ここから流れて辿り着くような。
そういう読み方をする。そうするとその詩人さんの心がすごく伝わってくる。
ああ嬉しかったんだ。ああちょっと淋しかったんだ。ああいまほっとしたんだ。


書きたいなって思った。とつぜん言葉がいっぱい生まれて来る。
あたしじゃなくてね。それは僕なんだ。僕はねだからね僕だからとか。
あたしだけが知っている僕なんだよって。あたしが言って僕がふふって。
微笑んだんだけど。書けなかった。僕が走り出してとうとう見えなくなって。

行方不明になってしまったんだ・・・。





2006年06月23日(金) 負けたらいかんぜよ

雨が降ったりやんだりの梅雨らしさ。
どんよりの空の下。アガパンサスの花がとても好き。
うす紫って不思議な色だなって思う。
なんだか懐かしいようなこころの奥深いところでそれは。
憬れのような愛しさのような。こころにやわらかく咲く。





ふうっとふっきれてしまったことがあって。
きぶんなめらかできぶんじょうできなかんじなのだ。
すごくとおいところにきてしまったのかな。
そうおもうとすこしさびしくて。でもへいきなんだ。






今夜またバドの日やって。
はっするはっするしたけん。ちょっとつかれた。
20年目の壁や。この壁はなんとしても越えたいけんど。
どうやって越えたらええのか。いまはどうしてもわからん。
みんなどんどん上手くなる。あたしはどんどん下手になる。

なんかもう時間がないみたいでちょっと焦る。
今度生まれ変ったら。中学からバドやろうと思う。
そしたら大人になったらすごいかもしれんもんな。

へこたれるなあたし。あたしに負けたらいかんぜよわたし!



2006年06月20日(火) 不思議だね

にんにくの花はワイン色。ちょっと見は畑の紫陽花みたいなんだ。
ねぎ坊主さんよりのっぽですらっとしていて。しゃきっとしてる。
きっと本人も自分の方がかっこいいんだって思っているだろうな。

梅雨の晴れ間の夏模様。にんにく畑に咲く花は。凛々しくてきゅんと素敵。






あたしはね。どちらかというとたぶんねぎ坊主かな。
とんでもない夏大根かもしれないけどね。ぴりっと。
辛いんだなこれが。まあとにかく花だか根だかあるみたいだから。
よいではないかと思っているんだけどね。

ちょっとね。月の今時分って頃は付き合い難いひとだなって思う。
ものすごく元気だったかと思うと。やたら落ち込んだりもするし。
我ながらご機嫌が取り難いというか。うんざりすることが多いんだ。

だからどうするってことではないのだけど。こうして書いていると。
不思議だね。気分がすごく落ち着いて来るし。楽になって来るんだ。


今夜はこれからテレビだよ。このところ毎週『アテンションプリーズ』

なんか気分よくてね。くじけてもめげても頑張ろうって気になるんだ。



2006年06月19日(月) 歩いて行くんだ

真夏のような暑さだった。ぐんぐんと稲がその青さを光らせて。
風がくすぐるように流れていく。とどまれずどこまでも夏の匂いがした。

夏遍路さんはなんぼか辛いことだろう。腕が真っ赤に日焼けしている。
ふたりともまだ若くて。白装束を肩まで捲り上げていた。もくもくと。
太陽のしたをひたすら歩いて行くのだ。がんばれ札所まであとすこし。






さてと。そうだった。あたしも昨日はちょっとがんばったんだ。
えらかったなあたし。ごほうびにビールをたんとたんとお飲み。

だけど現実はとても厳しい。まるで絞り切れないボロ雑巾のごとく。
汗をたまるもんかというくらいかいて。へなへなで帰って来たのだ。

結果はとにかく頑張った。全敗だったけど精一杯やれたんだと思う。
体力の限界とか思うとそれはそれでちょっと悲しいし悔しいのだけど。

ここまでだって決めちゃいけないって思うんだ。

もうお終いになるもんね。いやだいやだ。あたしはまだ歩いて行くんだ。



2006年06月18日(日) おっはよう

にわとりがけこけこと鳴いている。

窓をあけたらやっぱり梅雨のそら。

でもね。いまトンビが横切ったよ。

つばめもね。すいすい気持ちよく。

それからね。鳩ぽっぽも屋根の上。

朝って好きだな。朝って生きてる。






ぜんぜん眠れなかった。
なんか遠足の前の晩みたいで。
ちょっと興奮か緊張みたいで。

今日はバドの試合に行くんだよ。
いっつもボロボロに負けるから。
今日こそはって思っているんだ。

決して勝ちたいのじゃない。

負けないように頑張るんだ。



2006年06月17日(土) 自己の満足

梅雨らしくあり。しとしとのいちにちであった。
気分的に少しだるだるな感じがするのもよくて。
ひとやすみもふたやすみもしてみるのがよい。


本を読んでいたのだが。どうも気が散っていけなかった。
裏隣の奥様がまたお琴の練習を始めていたのであるが。
ちんとらちんとら。ずいぶんと上手になったなと思うが。
時々間違えては同じ演奏を何度も繰り返すのである。
もういいではないか。先に進みたまえ。最後まで一気に。

さすがの私も苛立ちはじめ。いやいやもともと苛立って。
いたのであろう。裏窓をそっと開けて様子を窺ってみた。

ひとというものは。ほんとうにいろいろであるものだが。
雨にも関わらず。いや雨だからかもしれず窓を開け広げ。
特別な演奏のごとく。あたりにその音色を届けようとする。

なんだかすごく嫌なものを見てしまったような気がしたのだ。

だけど。そのことを夫君に言うと。
そんなもんだぜと。うっとり弾いているんだからそっとしとけと。
あんまり気にするから気に障るんだと言う。

うむと深く考えるまでもなく。彼というひとをまた尊敬してしまった。

たとえばそれを私に言い換えると。
この場をかりて。こうして書いていることにもそれが当て嵌まるのでは。
どのような駄文であっても。読んでくれるひとがいてくれるから。
書けるのである。公開しないのであれば。今の私はきっと書けないと思う。

それは過去に遡っても言えることだった。
少女はいつもノートに落書きするように詩を書いていたが。
恋しい人だけにはそれを読んで欲しいと願ってやまなかった。
その結果。押し付けがましくもなる。それは当然の結果のごとく。

自己の満足というものは。とても奥の深いものなのであろう・・。


だからいけないと私は言えない。

とにかくそっとしておいてあげようと思うのだ。




2006年06月15日(木) きまぐれまっしぐら

雨も風も激しく嵐のような一日だった。
いまはほっと静けさのなかで。少しだけぼんやりと。
なにを思うわけでもなく。ぽつねんと暮れる空を見ている。
濡れている夜風というものはなぜか心地良いものだった。

ああ。もう真っ暗になってしまった。
あたしのスピードと夜のスピードは同じなんかじゃないんだ。


でね。まあそんなことでしんこくぶることもなくてさ。
てきとうに身をまかせているのがベストなんだけどね。


書くことはすごく好きだけど。書かないのもすごく好きだなって。
最近ふと思ったりしてるんだ。まあいいや好きなようにしてるから。



あたしのきまぐれは。もっか絶好調らしい。

まっしぐらにむかうむこうにあすがあるぜ。













2006年06月12日(月) 月曜日だった

今朝目覚めて間もなく。まだ布団でごろごろしていた頃。
地震があった。最初はゆらゆらだったけどすぐにぐらっと来て。
とても怖かった。身構えてああどうしようと思っているまにおさまる。

揺れているとき夫君がおっきな声でサチコの名を呼んでいた。
二階ではサチコが「おとうさーん!」と泣きそうに叫んでいた。
あたしはとにかく。夫君の腕にすがりついていたのだった。

近いうちに必ず。かつての南海地震なみのおっきな地震が来るのだと言う。
確実に津波が襲ってくるから。揺れたらすぐに高台に逃げないといけない。

その時どこにいるのだろう。家族ばらばらだったらどうしたらいいのだろう。
考えれば考えるほど。それはとても恐ろしく不安なことだった・・・。



そんな朝から。また何事もなかったかのように日常が始まる。
平穏がなによりも幸せだと思える。お弁当作ってお味噌汁作って。

月曜日だった。活けられた職場の合歓の木は生きているだろうか?
気掛かりでならず。少し早目に家を出る。お遍路さん二人追い越す。

合歓の枝は。残念ながらかなり弱っていた・・・。
水を吸えないのか。もしや水に漬けたりしたらいけないのか。
ネットでも調べてみたが。合歓の木はしなやかで折れ難いとあった。
手で枝を折ろうとしてもなかなか折れない木なのだそうだ。

でも折れてしまったのだ。それは仕方なくどうしようもないことだろう。

だけど。合歓の木はちゃんとそこにあるのだ。
もはや幹だけになってしまって傷跡を痛々しく晒してはいるが。
その幹のところどころに若い枝が生えているのが見える。
なんだか合歓の木の赤ちゃんみたいだ。ようく見るとちっちゃいのに。
ちゃんと蕾が付いているではないか。よかったあ。だいじょうぶだよ。

咲いたらね。きっと写真に撮るからね。

そしてきみに。真っ先に見せてあげるよ。約束したんだもんね。












2006年06月10日(土) 時の記念日

うす曇りのいちにち。時おり柔かな陽射しがこぼれる。
蒸し暑くもなくて。なんだか無性にカラダが動きたがるのだった。

思い立ち自室の模様替えをする。思い切って古い机を捨てることにした。
サチコの学習机だったのを貰っていたけど。今では乱雑に物を置くだけ。
引き出しの中には。自分なりの宝物みたいなものが押し込まれてあった。
たとえば髪が長かった頃の。ある日ばっさり切ってしまった髪の毛の束とか。
そういうのや。すごくせつなく大切に思っていたのだろう数々の品々だとか。

冷静というか。すごく醒めた気持ちでそれらを手に取り。片っぱしゴミ袋へ。
捨てた。バカみたいと我ながら思ったのだ。どうしてこんなもんをとも思った。
だけどすごく懐かしい物もあった。「ありがとう。さようなら」と言って捨てる。






午後。サチコと買い物に行く。
今日はおにいちゃんの誕生日なので。焼肉パーティーをするのだった。

夕方。ふたりがにこにこ笑顔でやって来る。ちえさん手作りのケーキだ。
五人でわいわいとお肉を焼いて。母のテンションは上がりっぱなしだった。

こんなふうにときどき。楽しいのが嬉しくて幸せだなと思う。


ふたりが帰ると。またし〜んと静かな夜が更け始めたのだった。

わたしは。いつもと変らない。早く眠くなりたいなあって思っている。






2006年06月09日(金) 合歓の木

とうとう梅雨の頃になってしまったようだ。
でも本日は素晴らしく晴れて清々しさこのうえなく。
すうはあすうはあ初夏の風を浴びているのが幸せだなって思った。

ちょっとショックだったのは。今朝職場に着くなりのことだった。
昨夜の嵐のような風のせいで。庭の合歓の木がぽっきり折れてしまっていた。
どさっとそれは落ちていて。見るとたくさんの花の蕾がついているではないか。
あのなんともいえない神秘的であるような。薄桃色の鳥のような花の咲く木だ。

あああおしまいや。なんかもうおしまいの気がするとオババが嘆く。
あたしだって悲しいと思う。でもこんなこともあるのだなって思う。

生かすぜ。なんとしても花を咲かすぜとオババが血迷ったように言って。
あちこちからおっきなポリバケツとか。壊れた洗濯機とかに水を張って。
合歓の木は活けられることになった。咲くだろうか。きっと咲くだろう。


冬枯れの日の合歓の木を想う。空に向かって手を伸ばすように生きていた。
仰ぎ見てはどんなにか希望を。授けてもらったことか。時にはちょっぴり。
せつなくて。なぜかそれはどうしてかせつない姿をしている時もあったのだ。


咲けないのは悲しい。いちばん悲しいのは折れてしまった合歓の木のこころ。

        だからきっと咲かせてあげたいと思う。





2006年06月06日(火) 無題な疑問

今日もうす曇。もわんとしてだるだるしてて。
しんどいようで気のせいのようで。ちょっと元気だった。

そして今日もホトトギス。どうしてどうして鳴くのだろう。
呼んでいるようで叫んでいるようで。応えたくてたまらない。


それから今日も姫女苑。彼女らは群れて並ぶ川辺の堤は花盛り。
グレーの水がつつと流れるのを。さりげなく彩るようにそこに。
咲く。愛しいほどの細く白い花びらの数をふと知りたいなと思う。







そして相変わらず。ちょっと変みたいなあたし。
もしかしたら心境の変化とかいうものかもしれない。
いいことなのか。いけないことなのかちっともわからない。

たぶん。ああもしかしたら。これが歩んでいるってことなのかな。

やっぱりあたしは。いかなくちゃいけないのかな・・。


鳴いているのは誰だろう?  咲いているのは誰だろう?




2006年06月05日(月) のにのに病

午後7時。いま沈もうとしている太陽があまりに紅くて。
きゅんきゅんとしてくる。どきどきとしてくる。急いで。
行かなくちゃって思って。おもてに走り出してしまった。

ちがうんだあの頃じゃない。ちっともあたしは絵にならない。
こういうのを現実っていう。そんなこと解りきっているのに。

だからそれを『のにのに病』と名付けてみれば。ははと笑える。

笑えば。ちょっと愉しい。気が付けば千鳥足。飲み過ぎたかなの今宵なり。





さてと。月曜日だったんだ。
なんか最近。月曜病とかそういうのからけっこう解き放されている感じ。
きっとすごく拘っていたことがあったのだろう。嫌で嫌でたまらなくて。
観念したのかな。よくわからないけど。まあいいかって思っているようだ。

仕事だけじゃなくて日常も。まあこんなもんだろうと思いながら。
とくに悩むこともなく。たんたんと悪くいえばずるずると毎日が過ぎる。

そのずるずるかげんが。良く言えばけっこう潔くて。すぱっと擦り抜ける。
たとえば。しないといけないこととかあっても。ええいと無視したりして。
そのせいで良心が咎められるとか。そんなことあたしの知ったことじゃないと。

思っているのかな。これもよくわからないけど。すごくすっきりと心地良いのだ。
変なの・・ってちょっと思う。だけどさ。そこで拘ってどうすんのさって思える。

なのに。なのになんなのさ。


ふう・・・やっぱ飲み過ぎてるらしいや・・。





2006年06月03日(土) 夫婦割引

薄く曇った空のした。今日は久しぶりに海の道を通った。
真っ青じゃなくて。なんというか薄絹を纏ったような海。

曇り日の海が好きだった。遠い日の記憶がさらさらと波にとける。
あの日誰を想って。あの日何をそれほどに思い詰めていたのかと。

問うことを躊躇ってしまうほど。それはとても儚くて脆い過ぎし日。






『海猿』を観に行った。片道2時間半もかかる道のりを二人で。
昔からあった映画館とかそういうところがみんな閉館になってしまって。
今はとあるショッピングセンター内のシネマホールでしか観られなくなった。
田舎者のおんちゃんとおばちゃんには。ちときついではないかと思われる場所。
案の定。ふたりはそのおっきなイオン高知の店内で迷った。あっちだこっちだ。

でもそういうのがちょっと楽しくて。やっと辿り着いた時には笑い合って。
おまけに夫婦割引というのがあって。どちらかが50歳過ぎてると半額なんだ。
おんちゃんが得意顔で免許証を見せる。私は夫婦ってお得だなって嬉しかった。

でもしかし。次の上映まで2時間近くあった。
そんでちょっと早いけど昼食にして。レストラン街で天ざるセットを食べる。
それから。すごくこれは私的に素敵な時間を頂くことになったんだけど。
とにかくすべてのお店をゆっくりと見たいと言ったら。おんちゃんはお手上げで。
俺はクルマで寝る!と言ってくれたのだ。うんそうしなよそれがいいと妻は言う。

何を買うでもなく。手にとってみたり。ほんとうにいろんなものを眺めた。
こんなにゆっくりウィンドショッピングしたのは初めてではないかと思う。


そしてやっと『海猿』それはそれでとてもよかった。
となりにおんちゃんが座っていることを忘れるくらいよかった。

観終って。おんちゃんの50センチ後ろを歩きながら思う。
肩並べて歩こうとしないおばちゃんを許してねとか思った。


一緒なんだけど一緒じゃない。

すごくそれは言葉に出来ない。きみょうな違和感がそこにあった。



2006年06月01日(木) ひとくぎりふたくぎり

青空な日々が続いていたが。とうとう明日は雨らしい。

初夏らしく。ほととぎすが。トッテカケタカと鳴く声は。
なんだか心がざわざわと動くようでありながら。どこか。
どうしようもないような哀しみにとらわれてしまいそうになる。

道ゆけば姫女苑。白茅のもう綿毛に変ったふわふわにより添って。
あたしはあなたではないのよと言うようにすくっと咲き風に揺れる。

通り過ぎるわたし。立ち止まれないわたし。ひとくぎりふたくぎり。
わたしはいったい。どこにながされていくのだろうか。とおもった。







少しだけまた例のぷっつんな心境になってしまって。
書くことから遠ざかっていた。
漠然と思ったのは。もっともっと気まぐれでいたい。
吹っ切るように自由でいたい。などと思ってみたのだ。

とにかくそうなると。むしょうにカラダを動かしたくなって。
昨夜はしばらく休んでいたバドクラブへと足を運んだりした。
体力的に週2回はきつくなって。無理をすればどこか壊れる。
そんな不安を。ふと気のせいかもしれないと思ってみたのだ。

とても楽しかった。行ってよかったって思った。
だからきっと。どこか壊れるまで続けるのだろうと思う。
なあに壊れたらその時さ。なんて結構楽観的な気分でいる。

その瞬間の汗が。かけがえのないもの。いい汗をかこうではないか。



これからまた。書かない日がどんどん増えるのかもしれない。

           でも。ここにいる。

                   好きにさせといて。






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