2005年02月28日(月) |
明日も晴れるんだなあ |
青く澄んだ空ときりりっと吹く風と。如月の思いはいずこへの月曜日。
すごく嬉しいこともあれば。なんだか・・ちと苦しいこともあった。 でも夕暮れ時になれば。嬉しいことのほうが夕陽になって輝いていたから。 明日も晴れるんだなあって思うと。やたらと幸せな気分になれた。
ながく生きていると。だから生きるのは楽しいなあと思える。 どんな時もどんな日もあるけど。そのあれこれのおかげで心が。 ふくらんだりしぼんだりしては。いろんな姿になって愉しませてくれる。
愉快な人生。なんだっておっけい。まだまだこれからいっぱいだから。 焦ることはあるまい。ながい目で自分の姿を見つめていたいなと思う。
今日の自分。嬉しくても浮かれポンチじゃなくて。 苦しくても。ぜんぜん辛いとは思えなくて。
せつないこともあるけど。涙も出やしないし。 まあ・・こんなもんだろうと思うから。素晴らしいことなんだなあ。
終った。今日いちにちが終った。
なんともいえない達成感で。いつものように酒を飲み。 ひたすら寝ることばかりを考えておりまする。
青空と洗濯物と降り注ぐ陽射しと。すこぅし冷たい風と日曜日。
午前中に家事を済ませ。午後はまた庭のクルマの中で過ごす。 トレーにコーヒーカップをのせて運びながら。なんだか可笑しくなって。 くすくすと笑い声を発した。こんなことしてる私ってすごく珍しい人かも。 おまけに庭に出る時「行って来ます〜」と言うから。茶の間で夫君が。 「おぅ〜」っと応えてくれるのも面白い。すっかり私はこれでおっけい。
でね。しばらくは真面目に本を読みながら。ふむふむと考えてみたり。 何かの参考書みたいに蛍光ペンで線を引きまくったりしてるんだけど。 だんだんと頭がぼんやりしてくるんだ。あくびが出てきたらもうアウト。
だから寝ちゃう。何度だって言うけど。ほんとにこれが至福の時だから。 邪魔するやつは愛犬くらいかな。今日はやたらと吠えまくって煩い奴だった。 もうもう・・の気持ち。でも、まっ・・いいかの気持ち。どんな時もあるさ。
早目に夕食の支度。頂き物のイノシシの肉と大根をじっくり煮込む。 それから炊き込みご飯とほうれん草のお白和え。笑点が始まる頃出来上がり。
日曜日の晩酌はやたらと美味しい。熱燗と焼酎のお湯割りでほろほろと酔う。 食器洗いも苦にならず。鼻歌も出るし。もはや完璧な上機嫌が嬉しいものだ。
そうして早目にお風呂に入り。さんまのからくりTVを見るのが楽しみ。 やたら笑える。笑っている自分っていうのがまたたまらなく好きだったり。
そして次は義経。これは泣ける。胸が熱くなりこぼれる涙はいつも美しい。 そのように泣ける自分っていうのも。またたまらなく好きだったりするから。
今日はすごくいい日だったなあ・・なんて思うのだ。
これにてらくちゃく。あとはぐっすり眠るだけなり。
「今日は良い天気だけど。風が強くて冷たいです。」 昼下がり。ただそれだけのメールを送る。
ずっと一方通行で。たまに返事が来たりすると。なぜか戸惑う・・。 そうして毎日続けていることを。ぷっつりお休みしたくなる。 すると今度は向こうから。たて続けにメールが届き始める。
そうさせるわけにはいかないから。また毎日続けようと決心する。 私は喜んだり嬉しがったりするわけにはいかない。それが私の意地なのか。 発信元は常に私でなくてはいけない。与えてもらうわけにはいかない。 へんなプライド。強情で素直なんかじゃない。どうしてもそうでありたい。
だけど。それがすごく優しい言葉だったりすると泣ける。 そんなんじゃないっていつも思うけれど。壊れたみたいに涙があふれる。
求められていることを誇りに思う。だから決して求めたくないと思う。
しょぼしょぼしょんぼりな雨のいちにち。
空と私だけならいいな。しょんぼりしているのが。
精一杯ってむつかしいね。どうしようも出来ない時ってあるもん。
でも。無理しないで。自分に出来るだけのことをしてみるって。
すごく大切なことだと思うんだ。それが精一杯ってことなんだろうな。
いっぱいいっぱいの時って。しんどいね・・・。
ほらほら。もうそれ以上は無理。だからここらでひと休みだよ。
ぼんやりしていると。不思議と穏やかな気分になれるから。
おいとけることはおいとこう。あしたもあさっても。未来もあるからさ。
うららかで。それは春のようないちにちだった。
『不機嫌は最大の罪である』誰の言葉だったのだろう・・。 思い出せないけれど。その言葉を肝に命じた時のことは忘れてはいない。 つもりだったが・・。
職場にオババの知り合いだという生命保険会社の女性が訪ねて来て。 そのひとが。私とは初対面だというのに。やたらと馴れ馴れしくて嫌だった。
アンケートを書いて欲しいと頼まれて。仕方なく書くことにしたが。 家族の生年月日や勤め先もとか言われて。ますます不愉快になってしまう。
ここはオババの顔を立ててと。いつもならにっこり微笑むのであるが。 どうしても笑顔になれず。なんで・・個人情報を見ず知らずのひとにと。 すごく気が重く。とりあえず謝ってから。自分のことだけ書いて渡した。
それから仕事がいかにも忙しいふりをして。そのひとを無視しようとした。 オババとそのひとが世間話やら。噂話やら始めて。ますます不愉快になる。
つんつんつんの顔。すごく嫌いなわたしの顔のことを。私は知らない。
やっとそのひとが帰りそうな気配にほっとしていたら。 そのひとが私のそばに来て「どうもありがとう」って言った。 そして。ほんのお礼だと言って。ハンドタオルをくれたのだ。 オババにはなくて。なぜか私にだけそれをくれたのだった。
可愛いくまのプーさんのタオル。ああ・・「ありがとう」って言わなきゃ。 なのに私ときたら。嫌になっちゃう。つんつんつんが直らないままだもん。
営業の仕事はほんとうに大変。その日どこに行って誰にアプローチしたか。 会社へ帰ったら上司に報告書を出したりしないといけないのだろうな・・。
悪いことをしたなあ・・って思った。全部書けなくても、せめて労ってあげたら。 そのひとも気持ち良く帰ることが出来たのだろうに。
私だったら・・今日はなんだか悲しい日だったなあって思うだろう。 知り合いを頼るしかなかったのに。あの事務員さんすごく不機嫌だったなあ・・。
また会える日があるかもしれない。
その時は「この前はごめんなさい」って言おう。 それから可愛いタオル「ありがとう」ってちゃんと言おう。
思いがけなく雪がふった日。だけどそれは真冬ではなくて。 なんだか何かが始まるような。予感のようにふる雪だった。
わくわくとしながら。そうしてやがてゆっくりと太陽がこんにちはすると。 穏やかなきもちで空を仰ぐ。真っ直ぐになって貫く想いが。光になっては。 飛んでいく。どこまでだろうとどこへだろうと。行ってらっしゃいのきもち。
夜になると。あたりまえのように静か。 想いは。行ったきり帰って来ないから。 そのほうがずっと楽だなと思う。
あんなことも。こんなことも。どこかで眠っているだろう。 すやすやと寝息をたてて。明日のことなど思いもしないで。
ぐっすりぐっすりおやすみなさい。
北風さんがいちにちじゅう自由気ままにはしゃぎまわる。 ぐるぐるぐるぐるしていると。すってんころりんしちゃいそう。 それでもすごく得意顔。見てろよ〜って言いながら。川を海みたいに。 そしたら。白波がいくつもいくつも。カモメみたいに川面をすいすい。
春を待ちわびるこころで。そんな冬の風のことが。すごく好きだなと思う。
そして。今日は髪を切る。さっぱりと。とてもいい気持ちになった。
朝からずっと降り続いていた雨が。夕方になりぴたりとやんだ。 そうして風がひゅるひゅると強く。一気に空を千切るように吹いて。 なんだか恋しいような夕陽が見える。ああ明日はきっといい天気だ。
そうしてほっと。こころからくつろいで飲む晩酌は美味しいもんだね。 心身ともにくらげちゃんになって。ふにゃふにゃだらしなくなるのも。
最近ね・・すごく自分に正直になってみたけど。 自分って。ぜんぜんいい人じゃないなあって思う。 誠実だとか。真面目だとか。そんなのちゃんちゃら可笑しいよって思う。 言っとくけどね。善人じゃないからね。だからと言って極悪人でもないよ。 まっ・・そこらへんテキトウでいいんじゃないかな。決めるな!って言いたい。
だからさ。それがあるがままに生きるってことだと。そう思うわけよ。
うむ・・今夜のくらげちゃん。なんか変? まっ・・いいか。いつもゆらゆら海で静かに揺れてるなんて。そんなん知らんわ。 くらげだって。鮫とか来たら暴れるかもしれんし。すばやく泳いで逃げたるわ! おまけに。なんたって刺すからね。毒だってあるんだからね。かっこええなあ。
はぁ・・これだけほざいたら。めっちゃええ気持ちや。おっし!の気持ち。
よう言うたなあ。えらいなあ。今夜のくらげちゃん花まるや〜
このところずっとぼんやりとしている空。 木の芽起こしの雨が降りそうで。降らなくて。
すこぅし風邪気味。めったにひかないのにたまには風邪。 ちょっと体調がすぐれないと。びみょーに不機嫌になったりする。 なんでもないことに苛々したり。たとえば洗濯物が乾かないとか。 「もうもう!」って牛みたいに咆えている自分って可笑しいなと思う。
おまけに憂鬱。これもまたなんでもないことなのに落ち込む。 すごくすごく嫌な気分。「なんじゃこりゃ!」って可笑しくなるけど。 まっ・・たまにはええのじゃないかな。面倒見てやるよって思う。
それからすごく怠け者。あれこれ家事ってるのってしんどいもんだね。 お弁当作るのもめんどくさい。厚焼き卵なんかぐちゃぐちゃになるし。
仕事なんて。もっとめんどくさい。電話が鳴るのも煩くてたまらない。 お客さんに愛想笑いするのも嫌だね。顔が引き攣ってしまうじゃないか。
はぁ・・嫌な事いっぱいで愉快。愚痴ってぐちぐち言うのも楽しいなあ。
2005年02月14日(月) |
空まかせ風まかせ波まかせ |
すごく暖かでほっと空を仰いでみた一日。 明日からずっとお天気が悪そうだけど。一雨ごとに春がきっと。 だから。空のご機嫌のままに。のほほんと日々を送りたいなと思う。
あれこれ。少しだけ気掛かりな事がまたあり。 考えないでいようって思っても。すぐに引き摺り込まれちゃう。 だけど以前のように。もがき苦しむほどのことでもなく。 とりあえず置いといてって思いながら。時を待つことに専念している。 待てば海路の日和ありって言うもの。空まかせ風まかせ波まかせしちゃおう。
さてと・・じゃあそのようにしながら。
本日は2月14日。気付けばもう3年も今のHPを続けてきたらしい。 必死になって。どうしてもこの日でないといけないって決めて立ち上げた。 今思えば少し愚かで。でもそれなりの祈りを込めて無我夢中だった頃のこと。
時が経ち。その頃、異常なほどに執着していたとあるひとは。 今はどこでどうしているのやら。消えるってことが簡単に出来るネットの世界。 悲しくて遣り切れなくて。追い求め泣き続けた日々が。私にもあった・・。
そうして学んだこと。今はそれをほんとうに大切にしている。 ささやかでも在り続けたいと願う気持ち。ひっそりと静かに心穏やかに。 待つこともなく望むこともなくして。ぽつんとそこに在るということ。
青空には微笑を。風が吹けばゆらゆらと。波がくれば身を任せ。 どこへいくやら。どこまで辿り着くのやら。なにもなにも知らない『わたし』
ずっと曇り空で風がとても冷たかった。 でも。たしかに春が。ゆっくりと少しずつ春の匂いを感じている。
道ゆけば菜の花。ひとつ見つけたらまたあちらにもひとつ。 やがていちめんの菜の花を見つけられることだろう。 めぐるめぐる季節。こうして生きながらえながら。また出あえる春の喜び。
今日は嬉しいことがあった。 それはとても思いがけないことだった。
信念などと偉そうなことをずっとほざき続けていても・・ いつだって不確かで。崖っぷちだったように思う。 確かめるすべがなかった。でもそれでもいいとずっと思っていた。
貫くこと。自分に出来る精一杯のこと。誇りをもって在り続けたいと思う。
どんよりと曇り日の朝。でもかくじつに太陽は昇り始める。 濃くグレーな雲だからこそ。突き破ってみたいのかもしれない。 そして精一杯の光を。水辺の町のその流れる川が海になる場所に。 零れ落ちるのを見た。まるで空から後光が射しているようだった。
そうして通るいつもの道。何かに打たれたようになる。何だろう? その瞬間から消える。気だるさと。言葉に出来ない靄のような気持ち。
さて仕事。「今日もぼちぼちやな」それが最近の口ぐせ。 とにかくまあるく。少しでも角を見つけると撫でてあげることにしている。 専務オババはすっかり餡子化してしまい。今日はついにもう腐ったと言う。
私は黄粉だから腐らない。それだけが私のとりえだと。結構な自信もある。 であるからして。今日からせっせとオババの餡子を取り除く作業にかかる。 逆らったり歯向かったりするが。その方が返って遣り甲斐があるように思う。
もういちどまるめてあげよう。そうして今度は黄粉をまぶしてあげよう。
絹のようにやわらかな雨が降り続けている。 春雨じゃ濡れて行こうみたいな雨だこと。
ついさっきまで。いつものバドクラブで汗を流していた。 肩の痛みもどこへやら。はしゃぎまくって楽しいひと時。 身体を動かしていると。ほんとうにすっきりといい感じ。
とりあえずのところ。今夜は特に思い悩むこともなく。 のほほんとしてぼんやりと。ただ眠くなるのを待っている。
熱いミルクに焼酎を少し入れたのをちびちび飲みながら。 あれこれをしゃっとあうとしていられる時間もよいものだ。
かんしょうされるのはいや。あれこれくちをはさまれるのも。 ああだらこうだらとやかく。まっすぐにむかってくるひとがにがて。
だけど私だって誰かにそうしてしまう時があるなあって思う・・。
どんよりと曇った空を眺めては朝。雨なんだな・・と思っていたら雨になった。 いつもの雀達の声が聞こえないと少し寂しくもあり。早起きしてみんな一斉に。 どこかあちらか向こうの方で。ちゅちゅんと戯れ遊んでいるのだろうなと思う。
いつもの国道のガードレールにトンビが二羽。やけに鋭い目をして止っていた。 そしたら中央線のあたりに動物が死んでいた。イタチのような茶色いかたまり。 まともに見ることが出来ず。息を止めるようにして通過しようとしたその瞬間。 トンビがすごい勢いで目の前を横切って行った。もう少しで激突しそうだった。 吹っ切って走り抜ける。なんだか嫌な朝だなと思う。山道へ入るとほっとする。
ぽつぽつとフロントガラスを濡らす雨。山の緑は雨を喜んでいるようだ。 私も。雨ならば雨の気持ち。無理に晴れることはしないで濡れていたい。
そうして仕事。相変わらずのあっぷあっぷな状態。 最近それがやたらと面白くてたまらない。緊迫しているのも愉快に思える。 次は何だ!さあかかってこい!と思いながら開き直っているのかもしれない。
専務オババが言うことに「もうもう・・体から餡子がはみ出そう!」 潰された鯛焼きか大判焼きか知らぬが。ひじょーに面白い表現であった。
でっ・・わたくしがそこで一曲。 「おはぎがお嫁に行く時は〜餡子と黄な粉でお化粧して〜」 それを手拍子つきで歌ったら。やたらとうけて大爆笑となった。
みんな笑顔。それは何よりも嬉しいこと。 平穏無事がいちばんだけど。平穏でなくても無事な日がたくさんあるものだ。
おはぎがお嫁に(わらべ歌)
気温が一気に上がり。三月上旬並みの暖かさとなった。 地区では『芝焼き』の行事があり。空はまるで春霞のようになる。 田畑の害虫駆除のためらしいが。初秋には『虫供養』の行事もある。 そうしてその折々。季節を感じさせてもらっているのだなと思う。
ほんわかと暖かな日曜日。今日ものんびりと過ごすことが出来た。 例年なら家業の川仕事に追われている時期。すごく楽をさせてもらっている。 この冬の海苔養殖が全滅になったのを機に。もう廃業することになりそうだ。 二人で23年頑張った。しんどかったけどその苦を誇りに思えていたから。 もうじゅうぶんだよ。えらかったんだよと。誰よりも夫君に言ってあげたい。
そうして頂いている日曜日。午後はまたクルマの中で過ごす。 今日は家の中より外の方がずっと暖かだったから。陽だまりがいい気持ち。 少し本を読んでいるうちに。例のごとく眠気がおそってきてお昼寝となった。 うとうとと。だらりんとして。それはほんとうに至福のひと時なのだ。
そしたらまた携帯が鳴っている。これは夢ではないとその時は思う。 なのにまたこの前と同じで、目をしっかりと開けることが出来ない。 でも今日はちゃんと出ることが出来た。はいもしもし?って声も出た。
「おお!みか!」それはやっと出てくれたかって声で。すごく弾んだ声。 弟のことをすごく気にしている様子で「どうだ?変わりないか?」と問う声。 「それがね〜あ〜でね〜こ〜でね〜」私も一気に弟の近況をしゃべりまくった。
「そうか・・・」その声はそう言うと。「また電話するからな」って切れた。 ぷつんとじゃなくて。急にし〜んと静かになって。途切れてしまった。
はっとして。やっと目を開けたら。手に持っていたはずの携帯はなくて。 無造作に助手席に転がっている。慌てて着信履歴を見たけど・・やはり夢。
夜になり。弟に電話する。とても能天気な奴でいつもあっけらかんとしている。 でもすごく困った時には。辛くてたまらない声を出すから。なかなかやる奴だ。
「お父ちゃんから電話あったよ」って言ったら「ほんまかぁ!」とびっくり。 今夜はしっかり遺骨に手を合わせ、心配せんでもええよって言ってあげてよ。
天国からの電話。それは懐かしくそれはありがたく。 私も遺影に手を合わせ。「お父ちゃんありがとう」って言った。
はぁるぅはぁなぁのみぃのぅかぜぇのさむさやぁ。
このうたけっこう好きなのですが。 今日は少し寒気が緩み。午後はぽかぽか日和になった。 暖房の効き過ぎた職場で。机にばかり向かっていると。 なんだか息が詰まりそうになる。空気が不味いそんな感じ。
ちょっとだけ庭に出てみる。ねむの木の下に小さな紅梅の木。 ふっくらと膨らんでいた蕾が次々に咲き始めている。 今日よりも明日。そんな楽しみがあるから。仕事も好きでいられる。
梅の花って笑うんだなって思う。見ているとなんだかくすぐったくなる。 そしてにっこり。笑顔で仕事が出来るなんてありがたいことだなあって思った。
サチコと豆まきをする。
「おにわ〜そと」でちょっとだけ庭に豆をまき。 「ふくわ〜うち」で口をあんぐりあけてポリポリ食べるのだ。
その豆が犬小屋のあたりにも転がっていって。 あんずが「なんだ、なんだ!」と飛び出して来た。 そしてまるで鳩ぽっぽみたいに。豆をついばむというか。齧るというか。 せっせせっせと食べているのが。楽しくてたまらなくていっぱい笑った。
残した豆で。ひとりこっそりビールを飲んだら。 やたらおかしくへろへろに酔っ払ってしまう。
酔い覚ましに桜餅を食べた。今日スーパーで半額やったのを。 賞味期限が今日までやったので。ついつい二個も食べちまった。 葉っぱが本物らしく塩気があってすごい美味しかった。
それからしばらくぼんやりしていたら。だんだん眠くなって来た。 あれこれほんまにどうでもええわとか思うし。しんどいなあって思うし。
こんな夜は。さっささっさと眠るべし!
目覚めるといちめんの銀世界。その純白に心を奪われるような思い。 雀が。たぶんいつもと同じ雀達がさえずっているのだけど。それが。 いったいどこにいるのやら。窓を開け広げて「ほ〜い ほ〜い」と。 呼びかけてみたりした。雀はただただちゅちゅんと鳴いているばかり。
庭に出て積もった雪に手をつっこんでみたら。20センチ位の深さ。 南国ではこれが大雪。ほんとうにこれほどの雪を見たことがないくらい。
周辺道路の殆どがチェーン規制で。家族全員自宅待機となった。 バスも鉄道も運休らしくて。学校も臨時休校になったようだ。
おかげでのんびりと過ごす。まるで時間が止ったような気さえする。 朝から何杯コーヒーを飲んだことか。とても贅沢な時間に思えた。 そのくせため息が出る。ぼんやりしていると心がむずむず痒くなるみたい。
長靴を履いて少しお散歩をしてみた。堤防の土手を。ほこほこした雪を。 一歩一歩踏みしめるように歩いていると。雪にも香りがあるように思う。 なんて表現すれば良いのか。息をするたびに胸にきゅきゅっと伝わる匂い。
思わず深呼吸をしながら。また歩く。振り向けば私だけの足跡が見えた。 そうして見つけたのは。季節外れの野あざみの花。雪あざみと呼んであげたい。 葉も茎もすっぽりと雪に埋れている。なのに花だけがそこにぽつんと咲いて。 綿帽子似合うかな?と首をかしげて問い掛けているようだった。 なんて愛らしいのだろうと。胸が熱くなる。会えて良かったなあって思う。
昼下がり。ゆっくりと太陽が見え始める。雪がきらきらと眩しく光る。 ぽとんぽとんと雫になって。雪が少しずつ落ちていく音は。少しせつない音。
残り少なくなった雪を。惜しむように。我先にとその場所を見つけては。 近所の子供達が歓声をあげている。土手を滑って遊んでいる姿に心が和む。 それはそれは楽しそうで。子供の頃にそうしたことを懐かしく思い出した。
もうすぐ立春。雪あざみに光り降り注ぐ時を待ってあげよう。 咲きたくて咲いてみた。その草むらの。その場所で。生きていると。 思いがけないことにはっとして。また空に向かって咲けるのだろう。
朝から時々雪。時々晴れては。また雪の一日。
午後3時を過ぎた頃から。それが一気に激しく降り始めた。 どかどかという感じで。まるでTVで見る北国の町のように。
雪道の運転はやっぱ怖い。すごいびびるし勘弁してくれよの感じ。 川沿いの道ほど怖く。吹雪みたいに一寸先が見えなくて焦りまくった。
無事に家に帰りつくとほんとうにほっとする。 何よりも子供達がふたりともお休みだったのが幸いだった。 サチコはずっと安静にしていた様子。息子君は雪を喜びはしゃいでいるし。
ただ・・「早目に帰らせてもらえよ」と私に電話をくれた夫君が帰らない。 心配になり電話してみたら、渋滞に巻き込まれて身動き出来なくなっていた。 いつもなら10分で帰れるところ。今日は一時間半もかかりやっと帰宅する。
その彼。晩酌しながら「子供らが休みでほんまによかったなあ」って。 その笑顔は。なんだか今まで見たことがないくらい優しい顔をしていた。
夜が更けて。しんしんと静か。そっと窓を開けると雪の精が眠っているみたい。
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