セミたちが弱ってきた。あっちこっちにコロコロと転がっているセミだったものたち。一晩中弱った声を聞かせてくれてたベランダのセミ。朝早く見たら上向いて手を…手足をごにょごにょしていて、「くたばるならお願いだからよそへ行って」と一応お願いしてみた。締め切った硝子のこっちから。
だって、セミって物体になっているのかと思いきや、いきなりぶぶぶぶぶぶ…と飛んでびっくりさせるんだもの。油断大敵。しばらくして見たら、じっとしているので、靴べらでちょいとつついてみた。動いた!屋内退避!。
空も飛べなくて、木につかまることもできなくて、賑やかしく羽根を高らかに鳴らすこともできなくて、セミは空を見上げて何を思うのかしら。「俺、もうあかんわ…。けど彼女も見つけたしエエ人生やった…」と思いながら空を見ていてほしいと、この季節になるといつも思う。
夏の終わりはなんとのう、さみしい。
|