VITA HOMOSEXUALIS
DiaryINDEXpastfuture


2017年12月21日(木) 遠くのメル友

 それでその青年とメールのやりとりが続くことになった。

 彼は東北地方のある県庁所在地に住んでいて、配管工をやっているという話だった。独身で、私と同じようなアパートに住んでいる。仕事は不規則で、工事の日程が押してきたり、故障した箇所の修理だったりすると、深夜にもなり、休日もないことがある。他県にも自分のクルマで出かけて行く。

 最初の話はお互いの探り合いのようなものである。だが、彼が語る自分の姿が本当の姿かどうかはわからない。メル友というのは、そこが多少ウソであっても良いと思う。良いというか、許容範囲なのである。最初からそのようなものとして付き合っている。

 だから、二人の間がぐんぐん親しくなるという感覚がない。しばらく自己紹介のような情報を取り交わした後は、話題がなくなる。「いつ頃ゲイだと自覚しましたか?」とか「付き合っている人はいないのですか?」とか、まるでアンケート調査のような内容になってくる。

 そういう頃に、彼は自分の写メを送ってきた。そして私にも送れというのであった。

 写っていた写真は上半身ハダカである。体はやせていて、斜めの方向を向いている。体毛は薄そうに見える。自撮りなのだろうが、顔はややうつむいている。細い顔である。尖った鼻と細い目が、やや冷酷な印象を与える。髪の毛は固めていて潮騒のように盛り上がっている。

 非常に惹きつけられる顔体かというと、そうでもなかった。では拒否するかというと、そうでもない。私はこの顔が自分の方に迫り、唇を突き出してキスしようとしているところを想像した。この体が私の体に触れ、私がそのゴツゴツした骨格を抱いて絡み合うところを想像した。何とか行けないことはないと思った。

 お返しに自分の写真を送らなくてはならない。これは大変だった。私は自撮りをしたことがない。最初は変な下膨れに写った。心持ち上から撮るか、セルフタイマーで離れたところから撮ることもやってみた。どうやってもうまく行かない。

 私はうつむいてオナニーしているところを撮った。顔は髪の毛で隠れてほとんど見えない。最初はこれで良かろうと思って添付ファイルにして送った。

 彼からはすぐに返事が来た。「すごく感じた」と書いてあった。


aqua |MAIL

My追加