僕らが旅に出る理由
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2008年10月01日(水) My Only London - すべての人に音楽を

私はいわゆるJ-POPも洋楽も聴く、というか、あえてどっち派だというほどにも音楽に詳しくないんだけど、ロンドンではやっぱり洋楽をよく聴いた。ロンドンでJ-POPを聴いても合わないなぁと思うことがほとんどだったので。
これは合うなと思ったのは、宇多田ヒカルの「travelling」とMr.Childrenの「フェイク」。え、2曲だけ?^^;

aikoの曲はやっぱり、深夜にコンビニの明かりがこうこうと灯っている通りがあるような日本で聴くのが一番だ、と思うのと同じで、ColdplayとかOasisとかRadioheadとかはロンドンの曖昧な天気がよく似合うと思う。晴れでも雨でもない、昼でも夜でもない、どんよりした空気が。

私が新しい音楽の情報を手に入れるのは、もっぱらラジオだった。
朝、目覚まし代わりにラジオをかけて仕事に行くまでの時間、または休日は日がな一日、音楽番組を聞いていた。そこでいいなと思ったことは、どのラジオ局も新旧取り混ぜて曲を流すこと。つまり、1曲の寿命が長い。

新曲もかけるし、10年くらい前の曲もかけるし、3か月前に流行りまくった曲もかける。「今、この曲かけるとダサいよね」っていう感覚はないようだった。それよりも、今朝のさわやかな雰囲気にはこの曲、雨だからこの曲、っていう風に、雰囲気に合えば古い曲でも、今飽きるほどかけ倒されてる曲でも、かける。っていう感じだった。私ぐらいの、流行を追う事にも興味がなくなってきた(というかもとから余りないけど)年齢の人間には、そのテンポが心地よかった。

いつだったか、イギリスのラグビーチームが世界で優勝したことがあった。
それは史上まれに見る快挙だったようで、ロンドン中が湧きに湧いた。(私の記憶では2005年の出来事だと思っていたけど、今調べたら2003年のワールドカップ優勝だったらしい)
優勝した夜、私たちはロンドンのパブにいて、週末だったのかな?いつものようにビールの匂いと人々の喧噪にもまれていたのだが、ふいに店内にQUEENの「We are the Champion」が流れた。
有線だったと思うのだが、有線もその夜のために気を利かせたのかも知れない。
その曲を聞いたとたん、それまでバラバラに談笑していたイギリス人達がわっと盛り上がり、一斉に「We are the Champion」を歌い始めた。
そのシーンは結構目に焼き付いている。

彼らの誇らしげな顔に歓喜の表情が浮かび、一瞬パブの中がひとつになった。
私が感心したのは、たいていの人が「We are the Champion」の歌詞をちゃんと歌えていたということだ。そこには老若男女さまざまな人がいたのに、みんながある程度、ちゃんと歌えていた。
日本でこれだけ年齢層がばらばらの男女が、ひとつになって歌える歌ってあるだろうか、と思った。

QUEENがイギリスのバンドだというのが、またしびれる。完全自前じゃないですか。自分とこのバンドの名曲で、自分とこのチームの勝利を祝う、って、カッコいいよなぁ。

そして、そんな風に広い層に浸透させるには、あのラジオのありようも関係してるのではないか、と思った。つまり1曲を長いスパンでかけ続けることだ。だから、そんなに音楽に関心がない人でも、ある程度そらで歌える。歌詞がシンプルだというのも助けになっているだろう。日本の歌詞は同じサビでも歌詞を微妙に変えたりして、それがアクセントになって私たちもそれを楽しんではいるのだけど、なんとなくしか知らない人は絶対そこで間違える(笑)

それぞれに良さはあると思うけど、みんなと一緒になって歌えるのって楽しいなとは思う。踊るのと同じだね。そういえばどっかの店でカイリー・ミノーグの「In your eyes」が流れた時に、ブリジット・ジョーンズのようなふっつーの女の子が彼氏と踊りながら、サビの「It's in your eyes〜」のところでおそらく即興だろう、相手の眼をビシっと指差して挑むように見つめ、そして笑いながら踊ってるのを見た。なんかいいなぁと思った。
私がin your eyesの歌詞を覚えておんなじことしてもきっと何かが違う。
どうしたらあれと同じくらい楽しく踊れるかなぁ、日本の曲で何かあるかなぁ、と考えたけど、何も思いつかなかった。


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