僕らが旅に出る理由
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2008年09月12日(金) My Only London - ロンドンの美術館

今回はなんだか観光案内みたいだけど、私はロンドンの美術館が好きだった。
なので、訪ねた美術館の思い出ノートを作ってみる。

私は美術館によく行ったけど、実はそんなにアート好きというわけでもありません。
画家や美術史もそんなに詳しくないし。
でもお散歩の途中に寄ったり、少し休んだりするのに美術館は最適な場所でした。
考え事に耽るにも。

ロンドンでお金を払わず、しかも雨露凌げて静かに落ち着ける場所って、そうはないのよ。

【テート・ブリテン】
私がロンドンで一番好きだった美術館。場所もテムズ川沿いピムリコという、ビクトリア駅の少し南の住宅地のような中にぽつんと立っていたので、美術館に来る人以外あまり観光客もいなくて落ち着いていた。
むろん、無料。巨匠の名画が無料!これがロンドンの美術館の堪えられないところ。まぁ、略奪の歴史だと悪口言う人もいるんだけど、無料が私のような庶民に有り難いことには間違いない。
ここの売りはもちろんターナー。昔はターナーの、ぼけぼけして境界のよく分からない絵が苦手だったんだけど、30過ぎてからしっくり来るようになった。あの色遣いはとても優しくて快い。
ロンドンの美術館は、古くて高価な絵を置いてます、という近寄りがたさはあまりない。無料というのがまずそうだけど、できるだけ私たちの実生活に絵画を近づけようとしてるように見える。
たとえば無料でおいてあるパンフレットには、数多いコレクションの中からどれに焦点を当てて見ればよいか、についてアドバイスしてるものがある。それも、たとえば
「"I've split up" Collection(「恋人と別れました」コレクション)」というものは、パンフレットをひらくと
「分かります、その気持ち。世界が真っ暗になった気がしますよね・・・」
という語りかけで始まり、
「そういうときには真っ暗な絵を見て、どん底まで落ちるのがよいでしょう」
と、それ向きのくら〜い絵を紹介してくれる。そして、
「それから、浴びるほどお酒を飲みましょう」
と言って、大酒をかっくらっている女性の絵。
・・・というふうに、イギリスらしいユーモアで肩ひじ張らない絵の鑑賞を紹介してくれるのだ。
その他にも、「"I'm in a hurry" Collection」では最低限見ておいたほうがいい2枚(だけ)を空白のパンフレットの最初と最後にぽつんと置いてみたり、「"I'm hungover" Collection」なんかもある。
ティールームも一応あるけど、小さくていつも混んでいたので私は使わなかった。メニューはそこそこ充実してたみたい。ここのウェイターは絶対ゲイだ、というのが同僚Eの持論だったけど、はてさて。笑
そんなわけで軽食も取らず、鑑賞後はテムズ河沿いにふらふら歩くのが常だった。ただ、適当に歩いていると意外に迷ってしまい、ビクトリアに戻りたかったのに結局トラファルガー広場まで歩いてしまいました、なんてことも。なんせ普通の家やオフィスビルばっかりで、目印がないのさ。カフェもないからずっと何も食べず、大体テートに行った帰りはすごくお腹がすく。笑

【テート・モダン】
こっちはテート・コレクションでも現代美術、モダンアートの方。
実はテート・ブリテンよりずっと人気がある。建物自体、元は発電所だったものを改造したという異様な風体で、ヒップでキッチュなロンドナーに人気(笑)ちなみにここの改造をしたのがヘルツォーク&ド・ムーロンというペアの建築家で、最近では北京オリンピックの国家体育場(鳥の巣というやつですね)を設計してました。
こちらも無料。
でも、私はモダンアートがあまり好きじゃないので、ここはあまり行かなかった。だってね、「アナーキー」ってタイトルで天井からグランドピアノ吊り下げられても、どう反応しろと・・・。
ウォータールーからも歩ける距離で、観光客多かったし。
ただ、上の階にあるリーディング・ルームみたいなのは広い窓からテムズが見下ろせて快適だった。
しかしやはり無料のため、いつもコミコミ。ロンドンで落ち着ける場所を探すのは、だから難しい。

【サーチ・ギャラリー】
ここは確か有料だったと思う。まぁ有料だと有象無象がさかんに入ってくるというのは避けられるかも知れない(←何様?)これはウォータールーの、しかもロンドン・アイのすぐそばにあって周りは観光客だらけなんだけど、行ったのが平日の夜でもあったからか、比較的空いていた。
こっちもモダンアートなんだけど、私はサーチはOKでした。悪趣味すぎて。笑
あそこまで悪趣味なら、それはそれでいいやという気持ちになってしまう。頭の上下が逆になったような、ちょっと調子の狂う感じがいいです。
今、現役で活動してるイギリスの美術家では一番成功してると言われる、ダミアン・ハーストの作品が多く展示してあります。私の時はしてありました。でもハーストとサーチが仲違いして、ハーストは自分の作品をすべて買い戻したというような話が、ウィキペディアに載ってたような、載ってなかったような。
とにかくこのダミアン・ハーストの作品が悪趣味の筆頭です。牛を輪切りにしてホリマリン漬けとか、そういうヤツです。
サーチは中の廊下が細長くて、学校の廊下にじゅうたんを敷いたような感じで、木の床に塗った油の匂いとか、裸電球とか、白く塗りつぶした壁とかが印象的なのですが、その廊下のあちこちにも、面妖なオブジェが置いてあったりします(笑)


・・・あれ、意外と長くなりそうだな(汗)続きは別のエントリで。


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